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第三章
お部屋
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頭が、揺れる感じがした。まるでカプセルの中に入れたボールみたいに、ぐるぐると回って。なんだか、上手く立てなかった。
黒い染みに入ったボクらは、ずっと手を繋いでた。でも、手が、千切れたような感じがして。ボクから二人が離れてく感じがして。だから必死に、前に進んだ。
真っ暗だった。でも、きらきらしてた。絵本にあった、星空みたいに。とても綺麗で……。……――気が付くと、それが終わっていた。
「……あれ」
そこは、大きなお部屋だった。見たこともない場所だった。
いたるところに、色々な小さな”木”があって。何かの機械で、自動的に水がかけられている。
天井は、なぜか丸っこくて。透明なガラスがあって。そこから、あの不思議な色をした空が見えていた。
沢山の家具。沢山の本。沢山の、フラスコ。それからよくわからない、道具。ボクの見たことのないものが、色々あった。
「――ようこそ、私の研究室へ。ここに君を連れてくるのは、初めてだったね」
隣にマスターが居た。シロが居た。ボクの手は、千切れてなくて。それは、幻覚か何かで。
「さあ、おいで。案内してあげよう」
マスターは、ボクを連れてお部屋を歩いた。本棚の前とか、木の前とか。色々あって、色々不思議だった。
その中でも特にボクが気になったのは、沢山のフラスコがある部分だった。緑色、赤色、紫色。へんてこな色とかの液体が入ってて。その横には、何かコポコポって音がしてるフラスコもあった。
「これはね、新しいお薬を研究してるんだ。古い言い方をすれば、錬金術……に近いものがあるかな」
よくわからない。でも、何かすごい気がした。
マスターのお部屋は、とても綺麗だった。汚れひとつなくて、ゴミのひとかけらもなくて。……、うん?
「あ、マスター。ちゃんとゴミは、ゴミ箱に捨ててねって言ったじゃない」
シロが、床に落ちていたものを拾った。気が付いてみると、お部屋の隅っことかに、似たようなものがいっぱいあった。
「もうアルミだって少ないんだし。ちゃんとリサイクルしないと、またプラントがストップしちゃうよ?」
「す、すまない。でも、そんなに汚れてるだろうか?」
「汚れてるの! もう。この前だって、配線を綺麗にしてって言ったのに。やってくれてなかったんだね」
「……忙しかったのだよ」
「それに、お酒は控えてとも言ったよ。お酒の飲み過ぎが悪いのは、僕でもわかるんだから」
シロが、マスターを怒っていた。でも不思議と、なんだか止める気にはならなかった。しょんぼりしてるマスターが、なんだか珍しくて。
「うう、怒られてしまったよ。君」
するとマスターが、ボクに抱きついた。思わずボクは、焦っちゃって。でも、なんだか嬉しくて。……よく、わからなかったけど。気が付いたらボクは、マスターの頭をなでなでしていた。
「クロ、甘やかしちゃ駄目だよ。マスターはすごいけど、こういうところが抜けてるんだ。だから、僕たちがしっかりしないと!」
「で、でも」
「うう、君ィ」
「……。なんだか、可愛いよ」
「もう! ほら、マスター!」
するとシロは、ボクからマスターを引きはがした。
「マスターは、お仕事が残ってるでしょ! 六番サンプル、もう出来てるよ!」
「ええー」
シロはマスターの背中を押す。マスターは少しイヤイヤしながら、そのまま押されていって。隣の部屋に、消えていった。
「あ、そうだ。ねえクロ」
するとシロだけが、壁からひょっこりと。
「先に、シャワー浴びてて。……後で僕も、行くから」
……ドキッ、って。何を言われたわけでもなかったけど、ボクは、勝手にドキドキしちゃってた。
ボクは、シロが指さした方の部屋に向かった。その間、ボクはずっともんもんとしてて。考えるのをやめようとした。
もしかして、期待してる? もしかして、またこの前みたいに、……あの子と、したいの?
いや、違う。きっと違う。ボクが好きなのは、マスターだけだ。これは、疲れちゃっただけ。疲れて、心臓がドキドキしてるんだ。うん。きっと、そう。
黒い染みに入ったボクらは、ずっと手を繋いでた。でも、手が、千切れたような感じがして。ボクから二人が離れてく感じがして。だから必死に、前に進んだ。
真っ暗だった。でも、きらきらしてた。絵本にあった、星空みたいに。とても綺麗で……。……――気が付くと、それが終わっていた。
「……あれ」
そこは、大きなお部屋だった。見たこともない場所だった。
いたるところに、色々な小さな”木”があって。何かの機械で、自動的に水がかけられている。
天井は、なぜか丸っこくて。透明なガラスがあって。そこから、あの不思議な色をした空が見えていた。
沢山の家具。沢山の本。沢山の、フラスコ。それからよくわからない、道具。ボクの見たことのないものが、色々あった。
「――ようこそ、私の研究室へ。ここに君を連れてくるのは、初めてだったね」
隣にマスターが居た。シロが居た。ボクの手は、千切れてなくて。それは、幻覚か何かで。
「さあ、おいで。案内してあげよう」
マスターは、ボクを連れてお部屋を歩いた。本棚の前とか、木の前とか。色々あって、色々不思議だった。
その中でも特にボクが気になったのは、沢山のフラスコがある部分だった。緑色、赤色、紫色。へんてこな色とかの液体が入ってて。その横には、何かコポコポって音がしてるフラスコもあった。
「これはね、新しいお薬を研究してるんだ。古い言い方をすれば、錬金術……に近いものがあるかな」
よくわからない。でも、何かすごい気がした。
マスターのお部屋は、とても綺麗だった。汚れひとつなくて、ゴミのひとかけらもなくて。……、うん?
「あ、マスター。ちゃんとゴミは、ゴミ箱に捨ててねって言ったじゃない」
シロが、床に落ちていたものを拾った。気が付いてみると、お部屋の隅っことかに、似たようなものがいっぱいあった。
「もうアルミだって少ないんだし。ちゃんとリサイクルしないと、またプラントがストップしちゃうよ?」
「す、すまない。でも、そんなに汚れてるだろうか?」
「汚れてるの! もう。この前だって、配線を綺麗にしてって言ったのに。やってくれてなかったんだね」
「……忙しかったのだよ」
「それに、お酒は控えてとも言ったよ。お酒の飲み過ぎが悪いのは、僕でもわかるんだから」
シロが、マスターを怒っていた。でも不思議と、なんだか止める気にはならなかった。しょんぼりしてるマスターが、なんだか珍しくて。
「うう、怒られてしまったよ。君」
するとマスターが、ボクに抱きついた。思わずボクは、焦っちゃって。でも、なんだか嬉しくて。……よく、わからなかったけど。気が付いたらボクは、マスターの頭をなでなでしていた。
「クロ、甘やかしちゃ駄目だよ。マスターはすごいけど、こういうところが抜けてるんだ。だから、僕たちがしっかりしないと!」
「で、でも」
「うう、君ィ」
「……。なんだか、可愛いよ」
「もう! ほら、マスター!」
するとシロは、ボクからマスターを引きはがした。
「マスターは、お仕事が残ってるでしょ! 六番サンプル、もう出来てるよ!」
「ええー」
シロはマスターの背中を押す。マスターは少しイヤイヤしながら、そのまま押されていって。隣の部屋に、消えていった。
「あ、そうだ。ねえクロ」
するとシロだけが、壁からひょっこりと。
「先に、シャワー浴びてて。……後で僕も、行くから」
……ドキッ、って。何を言われたわけでもなかったけど、ボクは、勝手にドキドキしちゃってた。
ボクは、シロが指さした方の部屋に向かった。その間、ボクはずっともんもんとしてて。考えるのをやめようとした。
もしかして、期待してる? もしかして、またこの前みたいに、……あの子と、したいの?
いや、違う。きっと違う。ボクが好きなのは、マスターだけだ。これは、疲れちゃっただけ。疲れて、心臓がドキドキしてるんだ。うん。きっと、そう。
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