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第五章
アジト
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午前八時。ただ朝の時間帯と言っても、俗に言う朝日というものはここには無い。あるのはささやかなライトと、喧騒だけ。
俺達は放棄された坑道の一部を改装し、そこをアジトとしている。元は大規模な採掘作業が行われていたようだが、何らかの理由によって使われなくなったようだ。
ここの主な問題は、空気が悪い事と食料が安定していないこと。この施設は地下三十階から下は、資源採掘用のフロアになっているので。上層ほど生活環境が安定していない。
そしてここは、地下五十二階。空気が悪くて当然。ひとたび換気シャフトが停止しようものなら、即座に死活問題へと発展する。
「あ、隊長。お疲れ様です」
「ああ。今日の配給は?」
「カンパンだそうで。合成でもいいから、肉が食いたいもんですよ」
今俺が居るのは、居住区の中にある食堂だ。半ば洞穴に近いような構造だが、慣れれば悪い所じゃない。
中央には細長いテーブルがあり、皆ここで食事をする。まあ食事とはいっても、質素なものばかりだが。
「確か今日は、ムスタングの部隊だったか」
「ええ。半舷休息ってやつですね。まあどうせ今日も、訓練で潰れるんでしょうが」
「訓練以外にすることないだろ」
「ポーカーとか?」
「馬鹿だな」
今俺に話しかけているコイツ。名前はフェイ、最近入ってきた新入りだ。既にわかる通り、若干楽観的な性格なもので。叩き直してほしいというので、俺の部下に配属された。
髪が緑色なのといい、一体どこから手に入れたんだか、ちゃらついたネックレスをしているあたり。中々変わった奴なのは確かだ。
「いいか、お前はもっとな。銃に頼らない戦い方を覚えたほうがいいぞ。レオの馬鹿とまでは言わないが、最低限自衛できるようにだな……」
「あー聞こえません。聞こえません」
「はあー。ったく、お前は……」
「おい、フェイ」
すると、別の班の奴がフェイに近寄った。そいつはフェイの肩に手を回したと思うと、突然フェイと軽いキスをする。
「休みだろ? ちょっと付き合えよ」
「ああ。じゃあ隊長、また後で」
そうして二人は、仲良くどこかへと行ってしまった。こういうのは何だが、ここではああいうのがザラにある。
規制されない自由な恋愛、と言えば聞こえはいいが。ただ単に風紀が乱れているだけでは? と思わなくはない。……ただ昨日のことがあったので、もう俺は深く考えないようにした。俺も人のことは言えない。
「アイジス」
だが悶々としていた俺の思考を、一つの声が吹き飛ばした。すぐに俺は缶詰を置き、起立して敬礼をする。
「せ、先生!」
それは、先生――メアだった。いつの間にか、俺の隣の席で着席しており。俺と同じように、カンパンを食べていた。
「構えないで。今は食事時よ」
「……はあ」
「座って。話がある」
俺はおどおどしつつ、椅子に座り直し。先生の言うことに、耳を傾けた。
「悪いけど、今日の休みはナシ。あなたには、別の任務に行ってもらう」
「別の任務?」
「ええ。まあやることは同じだけど。第六収容所に居る奴を見張って。それだけ」
「は、はあ……」
「返事は?」
「はっ、了解しました」
先生はそれだけ伝えると、すぐに席を立った。そして俺は、よくわからないまま食事を終え。今日の仕事場の方に向かった。その道中で、人目を盗んでセックスをしてるフェイが居たが。もはやそれを注意するような、俺ではない。
俺達は放棄された坑道の一部を改装し、そこをアジトとしている。元は大規模な採掘作業が行われていたようだが、何らかの理由によって使われなくなったようだ。
ここの主な問題は、空気が悪い事と食料が安定していないこと。この施設は地下三十階から下は、資源採掘用のフロアになっているので。上層ほど生活環境が安定していない。
そしてここは、地下五十二階。空気が悪くて当然。ひとたび換気シャフトが停止しようものなら、即座に死活問題へと発展する。
「あ、隊長。お疲れ様です」
「ああ。今日の配給は?」
「カンパンだそうで。合成でもいいから、肉が食いたいもんですよ」
今俺が居るのは、居住区の中にある食堂だ。半ば洞穴に近いような構造だが、慣れれば悪い所じゃない。
中央には細長いテーブルがあり、皆ここで食事をする。まあ食事とはいっても、質素なものばかりだが。
「確か今日は、ムスタングの部隊だったか」
「ええ。半舷休息ってやつですね。まあどうせ今日も、訓練で潰れるんでしょうが」
「訓練以外にすることないだろ」
「ポーカーとか?」
「馬鹿だな」
今俺に話しかけているコイツ。名前はフェイ、最近入ってきた新入りだ。既にわかる通り、若干楽観的な性格なもので。叩き直してほしいというので、俺の部下に配属された。
髪が緑色なのといい、一体どこから手に入れたんだか、ちゃらついたネックレスをしているあたり。中々変わった奴なのは確かだ。
「いいか、お前はもっとな。銃に頼らない戦い方を覚えたほうがいいぞ。レオの馬鹿とまでは言わないが、最低限自衛できるようにだな……」
「あー聞こえません。聞こえません」
「はあー。ったく、お前は……」
「おい、フェイ」
すると、別の班の奴がフェイに近寄った。そいつはフェイの肩に手を回したと思うと、突然フェイと軽いキスをする。
「休みだろ? ちょっと付き合えよ」
「ああ。じゃあ隊長、また後で」
そうして二人は、仲良くどこかへと行ってしまった。こういうのは何だが、ここではああいうのがザラにある。
規制されない自由な恋愛、と言えば聞こえはいいが。ただ単に風紀が乱れているだけでは? と思わなくはない。……ただ昨日のことがあったので、もう俺は深く考えないようにした。俺も人のことは言えない。
「アイジス」
だが悶々としていた俺の思考を、一つの声が吹き飛ばした。すぐに俺は缶詰を置き、起立して敬礼をする。
「せ、先生!」
それは、先生――メアだった。いつの間にか、俺の隣の席で着席しており。俺と同じように、カンパンを食べていた。
「構えないで。今は食事時よ」
「……はあ」
「座って。話がある」
俺はおどおどしつつ、椅子に座り直し。先生の言うことに、耳を傾けた。
「悪いけど、今日の休みはナシ。あなたには、別の任務に行ってもらう」
「別の任務?」
「ええ。まあやることは同じだけど。第六収容所に居る奴を見張って。それだけ」
「は、はあ……」
「返事は?」
「はっ、了解しました」
先生はそれだけ伝えると、すぐに席を立った。そして俺は、よくわからないまま食事を終え。今日の仕事場の方に向かった。その道中で、人目を盗んでセックスをしてるフェイが居たが。もはやそれを注意するような、俺ではない。
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