崩壊した世界からの脱出 -ボクたちはセックスしか知らない-

空倉霰

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第十一章

屈辱

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 俺はふと、クロに会いに行こうと思った。自分が会いたいというのもあったが、何よりもこの前のことが、気になって。
 あの戦闘の時、クロは様子がおかしかった。もちろん子供には刺激が強すぎたというのもあるのだろうが、それ以外にも何かがある気がする。
 ……もしかして、原因はコイツではないだろうか。この俺の目の前に居る、生意気な子供。
『ここから先は立ち入り禁止だ。去るがいい』
「そんなことお前に指図される覚えはないが」
 金色のちゃらついた髪の毛が、憎たらしい。クロと同じ子供のくせして、可愛げなんてものは全く無く。嫌に気難しい喋り方が、さらにそれを助長させていた。
「俺はクロに会いに来ただけだ。邪魔をすんなよ」
『だったら残念だったな。今は取り込み中だ』
「なんだと……?」
『貴様もいっぱしの大人なら、他人のプライベートには気を配ってほしいものだが』
 気が付く。一人足りない。クロの隣には、もう一人銀髪の奴が居たはずだ。
 確かこの先は、廃棄された倉庫。もう使っていないはず。そこなら、誰かが来るような心配もない。……つまり……。
『おい貴様、どこへ行く』
「黙ってろ。俺はお前の部下じゃねえんだ」
 俺はコイツを押しのけ、先に進んだ。何か、嫌な予感がしたので。……そして、廊下を進み切り。奥にあった扉に、手をかけようとすると……。
『あっ……、アラ、ネア……』
「っ……?」
 声が聞こえる。クロの声だ。だから、この中にクロが居るのは間違いない。……間違いない、のだが。なんだ、この声は。……これは、まるで……。
『あっ……う……』
『……素敵ですよ、クロ』
『う、動かさ……ないで……』
『そうは言っても、こんなになってしまってるじゃないですか。……ほら、ここも……』
 ……扉が、少し開いていた。だから俺は、確かめたくて。これがただの、気のせいで。何かの間違いであってほしかった。
 俺は隙間から、中の様子を覗いた。……すると、奥の方にあの銀髪の奴が見えて……。そいつが、クロに挿れているのがわかった。
「ひあっ……」
『……どうですか? 最近は、こっちではしていませんでしたからね』
「っ……。な、なんで……知って……」
『なんでも、知っていますよ。あなたのことなら、何でも……ね』
 その時だった。銀髪の奴が、俺と目を合わせた。思わず俺は、少し後ろに下がるが。あいつはふと、ニヤリと笑い……。腰を動かし続けた。
『……ここを、強く突かれるのが好きなんでしょう?』
「ああっ……! う……! うくっ……!」
 あいつは、気が付いている。それで俺に、見せつけているらしい。……。なんなんだ、あいつは。いきなり出てきたくせして、何を……。
『負け犬というのは、本当にみっともないものだな』
「……。何だと?」
 後ろで、金髪の奴が呟く。
『貴様は負けたんだ。いや、最初から負けていた。ハナから貴様に、勝ち目などないのだよ』
「……」
 残念ながら、それを否定することは出来なかった。……あの、クロの顔。あんなに幸せそうな顔は、俺の前では、見せたことは無い。
 あの時の俺は、クロに俺を押し付けていただけだ。……だがあいつは、クロを想っている。クロを幸せにする、セックスをしている。……傍から見ただけでも、そんなことは嫌でもわかった。
『それで、どうするのだ。まさかここで、自慰行為でもするか? まあ負け犬には、それがお似合いだろうがな』
「……。馬鹿にすんなよ」
『……フン。無駄な足掻きを。……だが、まあ』
 その時だった。金髪の奴が、突然俺の服をつかんで。地面に押し倒す。一応訓練も受けているこの俺が、こんなにあっさりと。
「ぐっ……!? な、何すんだ!」
『貴様には、一応借りがある。歪んだ形とは言え、クロを守っていたことには違いない』
 そして金髪の奴は、俺に馬乗りになると。自分の服のボタンを外していった。そして、服がはだけ……。金髪の奴は、俺の前で半裸になった。
『好きにするがいい。借りを返してやろう』
「……何だと……?」
『貴様のようなペドフィリアには、たまらんはずだ。肉体年齢としては、クロと同じくらいだからな』
 ……。クロと、同じ。確かにそれは、その通りだった。胸も、身体も。細身なところも。色々な部分で、似通っていた。
 そして、顔も。顔が同じとまではいかないが、似たような幼い顔。よくよく見てみれば、嫌に色気があり。まるで不気味な人形のように、整った顔をしていた。
 長い髪が、俺の頬に触れる。今の時代ではありえないくらい、サラサラで。小刻みに揺れるそれが、俺の鼻をくすぐった。
『……どうした? 私にはわかるぞ。既に貴様の陰茎は、限界まで硬直している。……挿れたいのだろう、私に』
 こいつは腰を少し動かし、ズボンの上から俺のを刺激する。……この動きは、知っている動きだ。どうすれば、果てさせることが出来るのか。
 言い返すことは出来なかった。こいつに挿れたいと思っている自分が、確かに居る。このまま流れに身を任せれば、俺のこの不純な想いは満たされるだろう。
『貴様の性欲を、私にぶつけるがいい。どうせ貴様は、その程度の男なのだから』
 そしてこいつは、俺のズボンに手をかけ。そのまま俺に、キスしようと近寄ってきた。
 ……だが、だが。……ここまで侮辱されて黙っているほど、俺はお人好しじゃない。
『ん……?』
「馬鹿にすんのも大概にしろよ」
 俺はこいつを押し返し、そのまま服も投げ返した。そして、叫ぶ。
「俺だって、俺だってな! クロの身体だけを好きになったんじゃねえんだよ!! あいつの心の奥に、心底惚れてたんだ!!」
『……』
「そりゃ、そりゃ最初は、身体だけだったかもしんねえけど……。でも今は違う!! ……なのに、人が無理して忘れようとしてんのによ!! 邪魔すんじゃねえ!!」
 ……こいつは、無表情で俺を見ていた。何を考えているのかわからない。だが、ふとこいつは笑うと。俺の上から、どいた。
『面白い。どこまで意地を張れるか、見物だな』
「……」
『まあ、好きにするがいい。貴様には選択権があるのだから』
 落ちた服を拾い、丁寧に着直していく。一つ一つのボタンを、一ミリのズレもなく整え。最終的には、マネキンに着せているかのようになっていた。
『したくなったら、いつでも相手をしてやろう。貴様のマヌケな絶頂顔を見るのも、面白そうだ』
「……誰が見せるかよ」
 俺は立ち上がり、こいつを押しのけ。その場から、立ち去っていった。……その間にも、後ろからクロの甘い声が聞こえていて。俺はなぜか、どうしようもない敗北感に襲われていた。
 だが、これでいいのかもしれない。……クロが、幸せになるのなら。あいつらなら、俺よりも。もっと確実に、クロを守り抜ける。
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