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第十三章
お墓参り
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メアたちから攻撃を受けてから、何日かが過ぎて。ボクたちは、ようやく攻撃の傷が治りつつあった。大体の人の治療は終わって、後は回復を待つだけ。
ゲートの修理とか、壊れた場所の修理も。少しずつ進んでいる。物資が足りないみたいで、捗ってはいないみたいだけど……。
それでも、心の傷は治っていなかった。皆、泣いてて。皆、お墓を作っていた。それで、ずっと、そのお墓の前に居た。
『声をかけることは推奨しません、クロ』
ボクは今、霊園という場所に居る。そこはとてもたくさんの、土っていうのがあって。その土の下に、……死んだ人が埋まってて。誰が埋まっているかわかるように、名前が書かれた金属の板みたいなのが刺さってる。
ボクは物陰から、そこを見つめていた。他の人に教えてもらって、お供え物っていうのをしに来たんだけど……。まだほかにも、たくさんの人が居て。とてもボクが入っていけそうな雰囲気では、なかった。
『また後にしましょう。そうすれば、彼らも眠っているかもしれません』
「……うん……」
金色の子と、銀色の子。あれからこの二人は、ずっとボクの側にいてくれている。なんでも、ずっと前から見守ってきたって言ってるけど……。
ボクは二人の言う通り、一度戻ることにした。それで、これからどうしようかって考えて……。シロの様子を見に行くことにした。
今シロは、あのニックと同じ場所に居る。同じ病室では、ないんだけど。その隣の部屋で、治療を受けている。
心の傷が、深すぎた。……とても怖い目にあったみたいで。ボクが居ても、暴れてしまうことがある。
「ね、ねえ……シロ。入っても、いいかな……?」
ボクは病室の扉を、ノックした。すると、中から「どうぞ」って聞こえて……。ボクは、扉を開けた。
「クロ……。来てくれたんだね」
ベッドに座るシロは、嬉しそうに笑顔を向けてくれた。……それで、扉を閉めて。ボクはシロの隣に、座る。
「今日は、どうだった? 何か、楽しい事あった?」
「え、えっと……。そう、あの。ニックが、またコックさんのお仕事を始めたんだよ。少しずつだけど、上手になっていってるんだ」
「そうなんだ……。よかったね」
「うん……」
「……」
こういうのを、ギクシャクするって言うんだと思う。前みたいに、うまくお話出来なくて。
シロは、ずっと壁を見てた。たまにボクと目を合わせると、笑顔を見せてくれるんだけど……。それ以外の時はずっと、壁ばっかり見つめてる。
「……ね、ねえ。一緒に、ご飯でも……」
「っ!!」
今ボクは、シロの手に触れた。ほんの少しだけ、本当に、少しだけ。でもそうしたらシロは、とてもびっくりしたみたいで。ボクの手を払いのけて、壁に背をついてしまった。
「ご、ごめん……」
シロが、怯えてる。あんなに冷静だったシロが、こんなに。……身体が、震えてて。息が、荒くなってて。
「い、いや……。僕のほうこそ、ごめん……」
ゆっくりと、ベッドに座り直すけど。シロはボクから、少しだけ離れて座った。……今までは、とても近かったのに。
それで、気が付いた。……シロの袖から、血が出てる。だからボクは、ポケットからいつもの道具を取り出して。シロに、覆いかぶさった。
「やっ……やめろ!! やめろ!! うわあッッ!!」
「っ……!」
シロを、押さえ付ける。顔を、叩かれるけど。なんとかシロのお洋服の、袖をまくった。
血が、出てる。たくさんの切り傷が、あって。……ついさっき、出来た傷だった。
「来るなッ!! お、お前ら全員、殺してやる!! 殺してやる!!」
ボクはシロの腕を消毒した。……もう、これで消毒液は空っぽで。ガーゼも、包帯も。ここのところずっと続いてる手当てで、使い切っちゃった。
「黙れ! 黙れ黙れ! 黙れ! お前らなんか、全員死ね!! 死んじまえ!!」
ボクに、言ってない。シロは今、幻覚を見てる。もっと正しく言ったら、過去の夢を見てるっていうほうが、いいかもだけど……。
そして手当てが終わると、シロは静かになった。でも、静かになったというより。静かに、なっちゃった。シロは、泣いてて。目が、真っ暗で……。怯えたように、無防備になっている。
……ふと、床を見てみると。そこには血が付いた、何かの破片があった。とても尖ってて、腕くらいなら簡単に切れるくらい……。どこから、持って来たんだろう。これがある限り、シロは、ずっと。
「う……あ……」
するとシロが、ボクのほっぺに手を伸ばした。……だから、銀色の子と金色の子は、お部屋を出て。扉を閉じて、二人っきりにしてくれた。
ボクは、お洋服を脱いだ。それで、シロの動くままに、身を任せて。キスした。……でも、なんでだろう。とても、悲しくて。……とても、空っぽで。
シロは、ボクを求めてた。求めてたんだけど。前みたいにじゃない。……必死に、何かを忘れようとしてるみたいで。
だからボクは、動かなかった。……あくまでも、シロが動いて。なぜかボクは、直観的に、動いちゃ駄目だと思った。
気持ちよくは、なかった。前のように、シロはボクのを、中に入れたんだけど……。とても、広くて。
シロがいくのを、待った。シロが、ボクを使って。気持ちよくなるのを、待った。お口で、中で、手で、足で……。いろいろ、してた。シロはボクを使って、気持ちよくなろうとしてた。
でも、いけなかったみたいで。気持ちよく、なれなかったみたいで。シロが、泣いてた。それで、ずっと小声で、謝ってて。
ボクは、抱きしめるしか出来なかった。他にどうすればいいのか、わからなかった。……ただ、それでも……。どうしようもない怒りだけが湧いてくることだけが、はっきりとわかった。
ゲートの修理とか、壊れた場所の修理も。少しずつ進んでいる。物資が足りないみたいで、捗ってはいないみたいだけど……。
それでも、心の傷は治っていなかった。皆、泣いてて。皆、お墓を作っていた。それで、ずっと、そのお墓の前に居た。
『声をかけることは推奨しません、クロ』
ボクは今、霊園という場所に居る。そこはとてもたくさんの、土っていうのがあって。その土の下に、……死んだ人が埋まってて。誰が埋まっているかわかるように、名前が書かれた金属の板みたいなのが刺さってる。
ボクは物陰から、そこを見つめていた。他の人に教えてもらって、お供え物っていうのをしに来たんだけど……。まだほかにも、たくさんの人が居て。とてもボクが入っていけそうな雰囲気では、なかった。
『また後にしましょう。そうすれば、彼らも眠っているかもしれません』
「……うん……」
金色の子と、銀色の子。あれからこの二人は、ずっとボクの側にいてくれている。なんでも、ずっと前から見守ってきたって言ってるけど……。
ボクは二人の言う通り、一度戻ることにした。それで、これからどうしようかって考えて……。シロの様子を見に行くことにした。
今シロは、あのニックと同じ場所に居る。同じ病室では、ないんだけど。その隣の部屋で、治療を受けている。
心の傷が、深すぎた。……とても怖い目にあったみたいで。ボクが居ても、暴れてしまうことがある。
「ね、ねえ……シロ。入っても、いいかな……?」
ボクは病室の扉を、ノックした。すると、中から「どうぞ」って聞こえて……。ボクは、扉を開けた。
「クロ……。来てくれたんだね」
ベッドに座るシロは、嬉しそうに笑顔を向けてくれた。……それで、扉を閉めて。ボクはシロの隣に、座る。
「今日は、どうだった? 何か、楽しい事あった?」
「え、えっと……。そう、あの。ニックが、またコックさんのお仕事を始めたんだよ。少しずつだけど、上手になっていってるんだ」
「そうなんだ……。よかったね」
「うん……」
「……」
こういうのを、ギクシャクするって言うんだと思う。前みたいに、うまくお話出来なくて。
シロは、ずっと壁を見てた。たまにボクと目を合わせると、笑顔を見せてくれるんだけど……。それ以外の時はずっと、壁ばっかり見つめてる。
「……ね、ねえ。一緒に、ご飯でも……」
「っ!!」
今ボクは、シロの手に触れた。ほんの少しだけ、本当に、少しだけ。でもそうしたらシロは、とてもびっくりしたみたいで。ボクの手を払いのけて、壁に背をついてしまった。
「ご、ごめん……」
シロが、怯えてる。あんなに冷静だったシロが、こんなに。……身体が、震えてて。息が、荒くなってて。
「い、いや……。僕のほうこそ、ごめん……」
ゆっくりと、ベッドに座り直すけど。シロはボクから、少しだけ離れて座った。……今までは、とても近かったのに。
それで、気が付いた。……シロの袖から、血が出てる。だからボクは、ポケットからいつもの道具を取り出して。シロに、覆いかぶさった。
「やっ……やめろ!! やめろ!! うわあッッ!!」
「っ……!」
シロを、押さえ付ける。顔を、叩かれるけど。なんとかシロのお洋服の、袖をまくった。
血が、出てる。たくさんの切り傷が、あって。……ついさっき、出来た傷だった。
「来るなッ!! お、お前ら全員、殺してやる!! 殺してやる!!」
ボクはシロの腕を消毒した。……もう、これで消毒液は空っぽで。ガーゼも、包帯も。ここのところずっと続いてる手当てで、使い切っちゃった。
「黙れ! 黙れ黙れ! 黙れ! お前らなんか、全員死ね!! 死んじまえ!!」
ボクに、言ってない。シロは今、幻覚を見てる。もっと正しく言ったら、過去の夢を見てるっていうほうが、いいかもだけど……。
そして手当てが終わると、シロは静かになった。でも、静かになったというより。静かに、なっちゃった。シロは、泣いてて。目が、真っ暗で……。怯えたように、無防備になっている。
……ふと、床を見てみると。そこには血が付いた、何かの破片があった。とても尖ってて、腕くらいなら簡単に切れるくらい……。どこから、持って来たんだろう。これがある限り、シロは、ずっと。
「う……あ……」
するとシロが、ボクのほっぺに手を伸ばした。……だから、銀色の子と金色の子は、お部屋を出て。扉を閉じて、二人っきりにしてくれた。
ボクは、お洋服を脱いだ。それで、シロの動くままに、身を任せて。キスした。……でも、なんでだろう。とても、悲しくて。……とても、空っぽで。
シロは、ボクを求めてた。求めてたんだけど。前みたいにじゃない。……必死に、何かを忘れようとしてるみたいで。
だからボクは、動かなかった。……あくまでも、シロが動いて。なぜかボクは、直観的に、動いちゃ駄目だと思った。
気持ちよくは、なかった。前のように、シロはボクのを、中に入れたんだけど……。とても、広くて。
シロがいくのを、待った。シロが、ボクを使って。気持ちよくなるのを、待った。お口で、中で、手で、足で……。いろいろ、してた。シロはボクを使って、気持ちよくなろうとしてた。
でも、いけなかったみたいで。気持ちよく、なれなかったみたいで。シロが、泣いてた。それで、ずっと小声で、謝ってて。
ボクは、抱きしめるしか出来なかった。他にどうすればいいのか、わからなかった。……ただ、それでも……。どうしようもない怒りだけが湧いてくることだけが、はっきりとわかった。
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