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9話

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 俺たちは、新しくパーティーに加わったアリスと共に「リトル・グランドベアー」を討伐するため、2階層の奥へと足を進めた。

徐々に湖がなくなり、本格的に砂漠化的な感じのところになった道を進んでいる。

「エマよ。あと、どれくらい進んだら「リトル・グランドベアー」はいるんだ?・・・この名前長いな。呼ぶの面倒臭いから「リトグラ」に改名しよう!うん、それがいい」

「リトグラですか。じゃあ、そのリトグラというのはもうすぐそこにいますよ」

「えっ?」

俺は前方を観た。
すると、体長約130cmの小型な熊がいた。

本当に小さいな。
元の世界のは体長2m越すのもいるからな。
よく見ると、小さくて可愛いものだな。
俺はそう思った。

「さぁ、「リトグラ」を討伐しようか・・・ん?」

討伐しようとしたが、すでに1人の冒険者が「リトグラ」と遭遇している。
俺たち以外に情報を持っている冒険者がいたとは・・・。

ーーん?あれ?

その冒険者は苦戦を強いられているようだ。
それもそうだよな、1人の冒険者に対して「リトグラ」は3体。
しかも、興奮のあまり狂暴化している。
このままではあの冒険者は確実に神殿送りにされるだろう。
少し考えた。
・・・よし、助けるか!

「エマ、アリス。あの冒険者を助けるぞ」

2人は「了解です」と答えた。

俺は、ユニークスキル「大天使のご加護」をあの冒険者に対して発動した。
その間、エマとアリスは「リトグラ」を片付けた。

その後、「リトグラ」との戦闘が終わり、あの冒険者の元へと向かった。

「怪我はないか?」

1人の男子冒険者だった。

「ふん。助けることなかったのに」

なんて生意気なんだ!
俺は少し腹が立った。

「・・・もう一度聞くが怪我はないのか?」

俺は再度、彼に聞いた。

「ふん。俺の右手に宿る〈漆黒の邪念(ダーク・インフェニティ)〉が炸裂するとき、この世界は混沌の闇へと堕ちるであろう。フフフ」

話、聞いてねぇし、
しかも、こいつ、やべぇ奴じゃね?
なに、漆黒の邪念(ダーク・インフェニティ)って。
エマとアリスもすげぇ引いてるし。

「我が名を聞くがいい。我が名は漆黒の闇を操りし者、〈デス・イン・ダークフレイヤー〉だ。いずれ、この世界を支配するものだ。覚えておくがいい、人間・・・とエルフ」

最後ぐらい、ビシッと決めろよ。
なにが、「覚えておくがいい、人間」だぁぁあ?
お前も人間だろが!!!
それに名前、です・いん・・・なに?
なげぇぇえんだよ!!!
まぁいい。

「その、です・・・なんちゃらさん」

「〈デス・イン・ダークフレイヤー〉だ!!」

「あ、はい」

・・・こいつ、めんどくせぇぇええ!!!
完全に厨二だよな!?
それ以上関わるのは骨が折れそうだ。
ここは退散しよう。「リトグラ」も倒したところだし。

「俺たちは用事も済んだので帰ります」

「ちょっと待てぇぇぇええい!!!」

俺は、「はぁ・・」とひとつ溜息を吐いた。

「なんでしょうか」

「お前たちとなにかの縁で結ばれているらしい」

こいつ、なに言って・・・。

「どうだ?俺と一緒に冒険をしようじゃないか」

「結構です」

俺たち3人は口を揃えてキッパリと言った。

「・・・え?そこは仲間にいれてくれる流れだろぉぉおお!!!」

「いいえ、そんなルールは存在しません」

「ふっ、まぁいいだろう。いずれお前たちとはまた会うことになるだろう」

どうやら、諦めてくれたようだ。
俺たちはもう貴方と二度と会いたくない。
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フラグ回収成立

「その時まで、我が名〈デス・イン・ダークフレイヤー〉を忘れるな!では、さらばだ!」

そう言うと、です・・・なんとかさんは走り去っていった。
嵐のような人だった。

俺たちはギルドへと戻った。
・・・大変な1日だった。
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