無人島転生 〜素材チートで開拓してたら、村どころか王国ができそうです〜

しゅがれっと

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14 食生活の安定

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 狩猟、漁、農業──ようやくこの異世界での食料供給が安定し始めた。

 六本足ウサギ(仮)を狩る技術は向上し、例の軌道修正する弓を使えば命中率も格段に上がった。川の魚(仮)も氷の槍を使えば確実に捕れる。さらに、魔素水と菌糸の力を借りた畑では、異世界の果実や野菜が順調に育っている。

 「……いよいよ、本格的なスローライフが始まったな」

 だが、人間というのは欲深い生き物である。飢えをしのぐだけの生活では満足できなくなる。食糧を確保できるようになれば、次に求めるのは「味」だ。

 俺はせっせと狩った肉を焼き、魚を炙り、採れた野菜を調理し、異世界料理の試行錯誤を始めた。

 その日も俺は、朝から新たなレシピの開発に励んでいた。

 まずは、六本足ウサギ(仮)の肉を焚き火のそばで干し肉にし、さらにそれをじっくりと炙って香ばしさを出す。次に、畑で採れたゼリー状の果実を加熱し、半透明のソースに仕立ててみた。魚(仮)は串に刺し、ゆっくりと燻すことで旨味を閉じ込める。

 「これは……けっこううまそうだぞ?」

 俺は満足げに焼き上がった肉を手に取り、さっそくかじりついた。

 ──噛む。

 ──ジュワッ。

 干し肉特有の濃縮された旨味が口いっぱいに広がる。だが、それだけではなかった。

 「……ん?」

 何かが違う。いつもと同じ肉のはずなのに、体が妙に軽い。

 俺は試しにぴょんと飛び上がってみた。

 ──ふわっ。

 「……は?」

 俺の体は、いつもより遥かに軽やかに宙を舞った。そして、地面に降りるときも、まるで羽毛のようにふわりと着地した。

 「おいおい、どうなってんだ?」

 混乱しつつ、次は魚(仮)を食べてみる。炙った皮の香ばしさと、ふっくらとした白身の甘さが口の中に広がる。

 すると──

 ──スッ。

 視界が、一気にクリアになった。

 「……え?」

 周囲の景色が異様にはっきりと見える。遠くの木の葉の細かい筋までくっきりと視認できるし、地面を這う小さな虫の動きすら捉えられる。

 「待て待て待て……」

 俺は慌てて目をこすった。しかし、視力が向上したままである。まるで望遠鏡でも内蔵したかのように、視界が異常に鮮明になっている。

 「……まさか、食べ物に“効果”があるのか?」

 そう考えてみると、思い当たる節がいくつもあった。この異世界の食材は、どれも普通ではない。六本足のウサギ(仮)、水と同化する魚(仮)、魔素を吸収して成長する植物……すべてが「普通の食べ物」とは違う。

 「……つまり、この世界の食材には、栄養以外に何か特別なエネルギーが含まれている?」

 考えてみれば、魔素を含む水を飲んだだけで種が急成長するような世界だ。食材にも同じような「力」が宿っていてもおかしくはない。

 俺は次々と食べ物を試した。

 ──ウサギの干し肉:体が軽くなる。

 ──炙った魚(仮):視力が向上する。

 ──ゼリー状の果実を加熱したソース:口に入れた瞬間、全身がじんわりと温かくなる。

 「……これ、完全にバフ付きの料理じゃないか!」

 転生したらスローライフを送りたかったはずなのに、いつの間にか「食べるだけで特殊能力が得られる食事」を開発しつつある自分に気づき、なんとも言えない気持ちになる。

 しかし、これは大発見だ。もしこの「食材の力」をうまく組み合わせれば、俺のサバイバル生活は格段に快適になるはずだ。

 「……よし、もっといろんな料理を試してみよう」

 俺は新たな食材を求め、再び森へと足を踏み入れた。
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