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最終幕
悠久
しおりを挟む――陛下、お逢いしとうございました。
淡く、静謐な浅瀬が広がる。昇っているのか沈んでいるのか、水面に身を浸した太陽が眩く、それでいて柔らかく二人の人影を照らした。
静かに佇むその人の前に跪き、黒い甲冑の若い男は、己の不甲斐ない生涯に対する謝罪を口にすべきか否か、しばし逡巡する。碧く澄んだ双眸には朝凪が揺らぎ、男の苛烈な運命にようやく終わりが訪れたことを告げていた。二対の眼が伏せられる。
――宵、大儀であった。
やがて降る柔らかな労いの言葉と、突然奪われたその日から幾度となく焦がれた微笑に、宵君は静かに瞼を閉じた。
――それは、勿体なきお言葉にございます――父君。
―了―
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