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見つけてくれなかった普通じゃないところ
4.処刑①
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12月24日 16時頃
真部は自室である8号室の布団の上で目覚めた
「なんだ…!」
シャンパンを飲んだ瞬間に意識が飛んだ…?
睡眠薬か…!
なぜ俺は部屋にいる…!?食堂にいたはずだ!
慌てて布団から飛び起きて部屋のドアを勢いよく開こうとした
『開けるな』
潰れているような声だった
今まで聞いた事のない
そう、暗闇から静かに囁く悪魔のような一度聞いたら忘れられない
何度聞いても体が縛られるような
そんなこの世のものではない声だ
それが聞こえたのは部屋の小机に置かれた古びたラジオだった
荷物を置きに来た時には無かったはずだ…
その不審なラジオから聞こえる声は語り始める
『これで全員が目覚めた』
各部屋、全てこの位置にラジオが置かれている
宿泊者はそれに怯え戸惑いながらその声に耳を貸す
『まずは自己紹介といこう 我が名は"Mr.クリスマス" この宿泊会に君たちを招待したものだ』
参加者の全員が目を見開いた
姿を現さなかった招待者が不気味な存在であったのだと驚愕と恐怖を帯びる
『突然、眠らせてしまってすまないが、これは必要な儀式なんだ 許してくれ』
全く声のトーンが変わらなかった
反省している人間の調子ではないことが分かる
『早速だが本題に入ろう 狩りという名のゲームの時間だ』
「わけがわからん」
真部が話を打ち切った
『08番どうした』
「俺の声が聞こえているのか」
通常のラジオならば聞き手から配信者に言葉を届けることは不可能だが、今確実にクリスマスを名乗る者は真部に返事をした
「盗聴器でも部屋に仕込んだのか?まぁいい
リアルタイムで話せるようだから聞いてやる 何がしたい」
『それを答えるところだ それに君の声は我のみならずほかの者たちにも聞こえている 君たちに聞こえるようになるのは我がラジオで話している時だけだが、我が君たちを監視しているのは常だ 気に止めておけ』
「態度がデカイな それに質問に答えてない」
『せっかちな警察官だな…』
「貴様…!」
とラジオを殴りかけた瞬間、三鷹の声が部屋に響いた
「捜査一課さん まずはこの方のお話を聞くべきですわ 静かにするのはそちらですわよ」
舌打ちして拳を下ろした
『では話を戻そう』
Mr.クリスマスはゲームの話を続ける
『Infinity night 簡単に言えばオオカミを吊るまで島から出られない人狼ゲームだ』
島から出られない?
『小窓から見ればわかる通り、外は豪雪だ ここで外に出れば凍え死ぬ つまり、君たちはこのゲームに強制参加だ』
逆らいようのないことのようだ
『君たち15人の中に他の参加者を殺す処刑人がいる 他は罪人 字で書けば処刑人と罪人だ』
なんて物騒な役付けなんだろう
『処刑人は罪人を狩り尽くすことが勝利条件、罪人も処刑人を吊るせば勝ちだ』
至ってシンプルな人狼ゲーム
『死体発見から1時間以内ならどのタイミングでも会議を開始できる 誰か一人でも会議開始を宣言すれば会議を行う』
参加者は聞き逃さないよう真剣に話を聞いている
『死体発見と会議開始はそれぞれ行われた時にこちらが知らせる 会議時には速やかに食堂へ集まるように 宣言から1分経過した時点で来ていない者は…』
察しが着いて息を飲む参加者
『𝐤𝐢𝐥𝐥 だ』
どう足掻いても逃げられないようにしこまれている
『以上 解説は終わりだ 質問はあるか』
そこで市島が手を挙げた
「1つよろしいでしょうか」
『話せ』
「先程、ゲームの狩られる側は罪人であり、罪人だと申しましたね なぜそのような名称に?」
それには即答で返ってきた
『君たちが罪人だからだ』
全員がわけが分からないとなるが亜久里だけはニヤついた
「はて?なんのことやら」
見当もつかないと聞き返す
『5年前』
その悪魔の言葉に全員が痺れた
市島も冷え汗をかく
「なるほど… それは納得せざる負えないかもしれませんね…」
全員に共通した何かがあるのだろう
誰もその口を開くこともせず焦りと恐怖、未知の出来事への遭遇に驚愕していた
『ということでゲームは開始だ とりあえず人が死ぬまでは宿泊を楽しむことだ』
そこでラジオからの声は途切れた
何がゲームだ バカバカしい
とっととMr.クリスマスとやらを見つけて事件解決といこうか…
にしても…5年前… まぁいいか
そう思い、部屋から出る
階段をくだり、まだ入ったことない2階へと足を踏み込んだ
2階は図書館のような部屋に加え、武器庫か…
処刑人はここの凶器を使って殺しにくるということか…
男女に別れた標識を見つける
ここが便所か…
確かに1階にも3階の自室にもなかったし、ここにしか置かれてないのか
階段から右に図書室があり、それが2階の半分を占める
階段の左に武器庫と便所が並べて配置され、その正面には休憩室のような部屋がある
ドアに着いたガラス越しに見た感じは丸机がいくつかあり、それぞれに2~3席の椅子が置かれている
コーヒーをつぐカップやポットなどが奥の棚に置かれているのがわかる
真部はまず、武器庫を調べることにした
どのような凶器が置かれており、どんな殺人方法が考えられるかを予想するためだ
ドアを開くと4つの棚が等間隔に並べられていた
棚にはナイフや銃、さらに爆発物や毒物なども置かれている
しかし、真部の目に入ったのはそんな凶器ではなかった
「なるほど…本当に処刑人とやらはいるらしい」
その衝撃的光景も彼は慣れているのだろう
驚きも恐怖も絶望もなく、ただただ冷静に事実を飲み込んだ
車椅子に座った男性が胸部にナイフを刺されて目を瞑っている姿を
そして報告する
「死体を発見した」
真部の発言の直後、館内に置かれたスピーカとラジオが起動する
『Merry Xmas 08番 真部 仁一 が2階、武器庫にて 09番 塩崎 隆明 の死体を発見』
Mr.クリスマスからの放送で全員が各地で驚きの表情を浮かべた
中には一緒に行動していた者たちもいるようだ
『60分以内に会議を発令し、処刑人を吊るせ』
16時10分 罪人称呼番号 09番
処刑人の餌食となり、処される
この報告を受けて最も絶望したのはもちろん
娘の塩崎 詩音である
詩音が武器庫のドアを勢いよく開けると真部が父の遺体を触っていた
これに詩音は怒りを覚えた
「なにしてるんですか!!」
落ち着いている真部はすぐに答える
「なにって遺体調査だ」
「私の父です 勝手に触らないでください」
「断る 俺が第1発見者である以上 他の奴らはグレーだ 確証を得るまでお前らにこの死体は触らせない」
「正気の沙汰じゃない!!」
真部の元まで力強く歩み寄り、下から睨みつける
「お前こそ冷静じゃない そんな奴を死体に近づかせる訳にはならない」
見下し返した
「それはあまりにも暴論すぎますよ 真部さん」
武器庫のドアから声をかけたのは豊代であり、こちらに近づきながら真部に注意する
「もし、Mr.クリスマスが言う通り、ゲームが行われているとするならば全員で調査をすべきだ」
車椅子に乗せられた隆明の死体を見つめる
「見たところ目立った外傷はナイフを胸に突き立てられているくらいですね」
豊代の見解に真部は応える
「あぁ 死因はナイフによる刺殺で間違いないだろう」
「それはどうでしょう」
予想外の反応に真部は「なに?」と返す
「胸部から流れた血液が服にシミとなって着いていますが僕には赤紫に見える」
「それがどうした」
ここから話される豊代の見解は医師としてのものだ
その道のプロならば真部は信用できるのだろう
豊代の言葉に耳を貸した
詩音も冷静さを取り戻し、話を聞く
「人間の血液は通常、青紫色ですが死亡後、血液は死斑と言って赤紫に近くなる」
その原理から導き出されることを真部が代弁する
「この傷は死亡後につけられたものだと」
「そういうことです」
真部は納得せざるおえなかった
ここで豊代に反論し、調査に参加させなければ処刑人の罠にかかってしまうところだったのだ
「真部さん やはり全員で調べるべきです その方が情報も集まりやすいですし、それぞれのもつ知識も活用できる」
豊代の意見にため息をつきながらもそれに仕方なく同意するように後ろ頭をかいた
「わかった だが死体をその場から動かすなよ」
その発言と同時に詩音は父の頭を胸に抱いた
「お父さーーん!!」
嘆くように叫び号泣する
その後ろで真部は呆れたように「ふっ」と鼻息を放ち、豊代は切なく詩音の背中を見ていた
「おい医者」
「豊代です」
「豊代 死体の調査はお前に任せる」
そう言って武器庫から出ようとドアノブにてをかける
「真部さんは?」
「事情聴取だ 俺の仕事だろ?」
武器庫のドアを開くと既にほかの参加者が集まっていた
遠藤が真部が部屋のドアを閉めるのを待たずに聞いた
「本当に亡くなってしまったのですか」
「あぁ 紛れもない事実だ」
男性は目を見開き、女性は口元に手を当てた
「これからお前らに事情聴取をする 嘘をつくなよ」
聴取は先程見た武器庫正面の休憩室のような部屋で1人ずつ行われた
真部は1人1人部屋に呼び入れる
ゲーム開始の放送からどのような行動をしていたのかを聞き出す
最上 凑の証言
「僕は詩音さんに頼まれて隆明さんを探していました」
「それはどういう経緯で」
「詩音さんが言うには隆明さんの部屋に隆明さんがいなかったようで食堂まで行ってみたところ そこにもいないことに気づいたら亡くなったという放送がありました」
「一緒に食堂に行ったのはお前と被害者の娘だけか」
「いいえ、小なm… 千雛さんと黒木さんも一緒でした」
「2人とはどこで」
「千雛さんはよく付きまとってくるので僕が部屋を出たらすぐに、黒木さんは詩音さんが隆明さんがいないことに気づいた大きな声で居合わせた感じです」
「その双子の妹と部屋の前で合流した後に娘の声がしたのだな」
「はい」
「なるほど」
小波 千雛の証言
「ミツルンの言ってることに全く嘘はないよー」
千雛のテキトーな言葉遣いに真部はイラつく
「お前はなんでその男子につきまとうんだ?」
「それは乙女心」
「舐めてるのか」
ふざけた回答に真部は相手を睨んだ
「えーこわこわ」と何も怯えずにそう返す
「まぁここだけの話~ 好きだから」
「そうか」
反応があまりにも薄かったため千雛は「あれ?」と言わんばかりに首を傾げた
詩音と豊代を除く参加者の聴取が終わった
わかった事として最上、千雛、詩音、黒木は死亡報告の寸前まで1階にいたようだ
黒木の発言も怪しい点はなく、隆明の様子がどうなっているか確認するため1階におりようとしたところ詩音の声が聞こえ、ほか3人と3階で合流してから1階まで降りたという
また、三鷹と市島、倉宮親子は報告があるまで同室にいたとのことだ
聴取を終えた参加者を自室に戻らせて武器庫の前で2人を待っていると隆明の遺体を抱えた豊代と目が充血した詩音が出てきた
泣きじゃくったのだろう
目が乾燥し、痛くなっても父の死を悔やんで
真部はすぐに遺体の状態と聴取をしたかったが豊代の言葉でそれを後に回す
「隆明さんは本人の部屋に眠らせましょう」
「あぁ、そうだな」
隆明の遺体を9番室のベッドに仰向けに寝かせ、布団をかけてゆっくりと部屋の扉を閉じた
詩音は心を癒すまで自室で待機するようで真部は自身の8番室で豊代に聴取を始めた
ほかの参加者と同じく、死亡報告があるまで部屋で状況を整理していたとわかった
真部が最も聞きたかったのは遺体の状態と死因である
「死体はどうだった」
「近くで見てもやはりあれは死斑です」
「つまり、殺された後につけられた跡だと」
「そうですね… しかし…」
豊代の言葉が止まり、顎に手をあてる
「どうした」
「死因と死亡時刻がわからない」
「なに?」
殺人事件においてそのふたつの要素は重要な手がかりとなる
しかし、それが読めないというのだ
捜査一課も手詰まりになることを予測した
「服を脱がすのは失礼と思いましてやっていませんが頭部にも傷はありませんでしたし」
「毒物などの可能性は」
「それは不可能でしょう なにせ直前まで僕たちは部屋で眠っていたのですよ?」
確かに…Mr.クリスマスの放送から2階に行ったのは俺だけだ
それは俺の後に誰も着いていなかったことやほかの参加者の聴取からも分かる…
じゃあ、どうやって死体は2階に…
まさか…!
「俺たちが部屋で目を覚ます前に被害者は殺されたのかもしれん」
豊代は驚きで目を見開いた
2階に来たのは真部のみでほかの参加者は部屋か1階にいた
眠らされるまで隆明は食堂で冷えた体を温めていた
つまり考えられるのはゲーム開始前の犯行のみとなる
「そうだ… 電子カイロはどこに行った!それになぜ被害者の部屋に布団はあるんだ!」
隆明を温めるために使った電子カイロの行方と隆明の部屋から押収した布団が部屋に戻っている
全員が眠らされていたのならばそれらは食堂に放置されているはず
さらにおかしな点がある
俺たちはどうやって自分たちの部屋に運ばれた…?Mr.クリスマスが運んだのか?
いや、声をわざわざ変えてまで俺たちから姿を隠している奴がそんなリスキーなことする訳がない
つまり、、
「処刑人が俺たちを部屋に運んだ」
「なるほど!処刑人だけはあの時、眠らされていなかったということですね!」
犯行は自分たちが眠っている間に行われ、その間に眠らせれていなかった処刑人が起こしたと考えられた
「ではなぜ、隆明さんだったのでしょう 別に他の参加者でも…」
豊代は眠らされた時の隆明の状態を思い出した
「シャンパンを飲んでいない…」
つまり、隆明は目覚めたのだ
低体温症から一定の体温を取り戻し安定した状態になった彼は目を開き、処刑人だけが起きているところに遭遇し、ゲーム開始前にやむ無く殺された
これが2人の出した推理
残る問題は無くなった電子カイロの行方と誰が殺人犯なのかということだ
「武器庫と食堂、各客室の捜査をする もし客室から電子カイロが出てきたらそいつが処刑人だ」
捜査を始めようと真部が部屋のドアノブに手をかけようとした瞬間、目前でドアが勢いよく開いた
「お母さんが!いない!!」
輝人が血相を変えて焦りを露わにしてそこにいた
「なに?」
空気が一変する
自室待機を要請したはずの参加者の1人が部屋から抜け出している
ベテランの警察の指示を聞かずに勝手に行動した
これは真っ先に疑われる行為だ
「早く探さないと…!」
輝人は母親を館内から探し出そうとしているが、真部はその者の行方など今はどうでもよかった
「いや、そいつの部屋をそいつがいない内に捜査する」
疑いの目は日向美に向いたのだ
「え、なんで!」
「待機していろと言ったはずだ それを無視して勝手に部屋の外に出た…疑うべき人物になったんだお前の母親は」
「そんな、、」
「手伝え小学生 母親の無実を証明したかったらな」
一方、1階の食堂にも警察の指示を守らずにキッチンルームの冷蔵庫からジュースを取り、コップに注いで飲んでいる者がいた
黒木だ
コップ一杯の炭酸ジュースを飲み干して「あぁ!」と上を向いた
瞬間だった
背中に強い熱を感じた
全身に衝撃が走り、一瞬にして気を失う
倒れた黒木の背後に立ち、気を失った体を見下していたのは
スタンガンを持った 倉宮 日向美だった
真部は自室である8号室の布団の上で目覚めた
「なんだ…!」
シャンパンを飲んだ瞬間に意識が飛んだ…?
睡眠薬か…!
なぜ俺は部屋にいる…!?食堂にいたはずだ!
慌てて布団から飛び起きて部屋のドアを勢いよく開こうとした
『開けるな』
潰れているような声だった
今まで聞いた事のない
そう、暗闇から静かに囁く悪魔のような一度聞いたら忘れられない
何度聞いても体が縛られるような
そんなこの世のものではない声だ
それが聞こえたのは部屋の小机に置かれた古びたラジオだった
荷物を置きに来た時には無かったはずだ…
その不審なラジオから聞こえる声は語り始める
『これで全員が目覚めた』
各部屋、全てこの位置にラジオが置かれている
宿泊者はそれに怯え戸惑いながらその声に耳を貸す
『まずは自己紹介といこう 我が名は"Mr.クリスマス" この宿泊会に君たちを招待したものだ』
参加者の全員が目を見開いた
姿を現さなかった招待者が不気味な存在であったのだと驚愕と恐怖を帯びる
『突然、眠らせてしまってすまないが、これは必要な儀式なんだ 許してくれ』
全く声のトーンが変わらなかった
反省している人間の調子ではないことが分かる
『早速だが本題に入ろう 狩りという名のゲームの時間だ』
「わけがわからん」
真部が話を打ち切った
『08番どうした』
「俺の声が聞こえているのか」
通常のラジオならば聞き手から配信者に言葉を届けることは不可能だが、今確実にクリスマスを名乗る者は真部に返事をした
「盗聴器でも部屋に仕込んだのか?まぁいい
リアルタイムで話せるようだから聞いてやる 何がしたい」
『それを答えるところだ それに君の声は我のみならずほかの者たちにも聞こえている 君たちに聞こえるようになるのは我がラジオで話している時だけだが、我が君たちを監視しているのは常だ 気に止めておけ』
「態度がデカイな それに質問に答えてない」
『せっかちな警察官だな…』
「貴様…!」
とラジオを殴りかけた瞬間、三鷹の声が部屋に響いた
「捜査一課さん まずはこの方のお話を聞くべきですわ 静かにするのはそちらですわよ」
舌打ちして拳を下ろした
『では話を戻そう』
Mr.クリスマスはゲームの話を続ける
『Infinity night 簡単に言えばオオカミを吊るまで島から出られない人狼ゲームだ』
島から出られない?
『小窓から見ればわかる通り、外は豪雪だ ここで外に出れば凍え死ぬ つまり、君たちはこのゲームに強制参加だ』
逆らいようのないことのようだ
『君たち15人の中に他の参加者を殺す処刑人がいる 他は罪人 字で書けば処刑人と罪人だ』
なんて物騒な役付けなんだろう
『処刑人は罪人を狩り尽くすことが勝利条件、罪人も処刑人を吊るせば勝ちだ』
至ってシンプルな人狼ゲーム
『死体発見から1時間以内ならどのタイミングでも会議を開始できる 誰か一人でも会議開始を宣言すれば会議を行う』
参加者は聞き逃さないよう真剣に話を聞いている
『死体発見と会議開始はそれぞれ行われた時にこちらが知らせる 会議時には速やかに食堂へ集まるように 宣言から1分経過した時点で来ていない者は…』
察しが着いて息を飲む参加者
『𝐤𝐢𝐥𝐥 だ』
どう足掻いても逃げられないようにしこまれている
『以上 解説は終わりだ 質問はあるか』
そこで市島が手を挙げた
「1つよろしいでしょうか」
『話せ』
「先程、ゲームの狩られる側は罪人であり、罪人だと申しましたね なぜそのような名称に?」
それには即答で返ってきた
『君たちが罪人だからだ』
全員がわけが分からないとなるが亜久里だけはニヤついた
「はて?なんのことやら」
見当もつかないと聞き返す
『5年前』
その悪魔の言葉に全員が痺れた
市島も冷え汗をかく
「なるほど… それは納得せざる負えないかもしれませんね…」
全員に共通した何かがあるのだろう
誰もその口を開くこともせず焦りと恐怖、未知の出来事への遭遇に驚愕していた
『ということでゲームは開始だ とりあえず人が死ぬまでは宿泊を楽しむことだ』
そこでラジオからの声は途切れた
何がゲームだ バカバカしい
とっととMr.クリスマスとやらを見つけて事件解決といこうか…
にしても…5年前… まぁいいか
そう思い、部屋から出る
階段をくだり、まだ入ったことない2階へと足を踏み込んだ
2階は図書館のような部屋に加え、武器庫か…
処刑人はここの凶器を使って殺しにくるということか…
男女に別れた標識を見つける
ここが便所か…
確かに1階にも3階の自室にもなかったし、ここにしか置かれてないのか
階段から右に図書室があり、それが2階の半分を占める
階段の左に武器庫と便所が並べて配置され、その正面には休憩室のような部屋がある
ドアに着いたガラス越しに見た感じは丸机がいくつかあり、それぞれに2~3席の椅子が置かれている
コーヒーをつぐカップやポットなどが奥の棚に置かれているのがわかる
真部はまず、武器庫を調べることにした
どのような凶器が置かれており、どんな殺人方法が考えられるかを予想するためだ
ドアを開くと4つの棚が等間隔に並べられていた
棚にはナイフや銃、さらに爆発物や毒物なども置かれている
しかし、真部の目に入ったのはそんな凶器ではなかった
「なるほど…本当に処刑人とやらはいるらしい」
その衝撃的光景も彼は慣れているのだろう
驚きも恐怖も絶望もなく、ただただ冷静に事実を飲み込んだ
車椅子に座った男性が胸部にナイフを刺されて目を瞑っている姿を
そして報告する
「死体を発見した」
真部の発言の直後、館内に置かれたスピーカとラジオが起動する
『Merry Xmas 08番 真部 仁一 が2階、武器庫にて 09番 塩崎 隆明 の死体を発見』
Mr.クリスマスからの放送で全員が各地で驚きの表情を浮かべた
中には一緒に行動していた者たちもいるようだ
『60分以内に会議を発令し、処刑人を吊るせ』
16時10分 罪人称呼番号 09番
処刑人の餌食となり、処される
この報告を受けて最も絶望したのはもちろん
娘の塩崎 詩音である
詩音が武器庫のドアを勢いよく開けると真部が父の遺体を触っていた
これに詩音は怒りを覚えた
「なにしてるんですか!!」
落ち着いている真部はすぐに答える
「なにって遺体調査だ」
「私の父です 勝手に触らないでください」
「断る 俺が第1発見者である以上 他の奴らはグレーだ 確証を得るまでお前らにこの死体は触らせない」
「正気の沙汰じゃない!!」
真部の元まで力強く歩み寄り、下から睨みつける
「お前こそ冷静じゃない そんな奴を死体に近づかせる訳にはならない」
見下し返した
「それはあまりにも暴論すぎますよ 真部さん」
武器庫のドアから声をかけたのは豊代であり、こちらに近づきながら真部に注意する
「もし、Mr.クリスマスが言う通り、ゲームが行われているとするならば全員で調査をすべきだ」
車椅子に乗せられた隆明の死体を見つめる
「見たところ目立った外傷はナイフを胸に突き立てられているくらいですね」
豊代の見解に真部は応える
「あぁ 死因はナイフによる刺殺で間違いないだろう」
「それはどうでしょう」
予想外の反応に真部は「なに?」と返す
「胸部から流れた血液が服にシミとなって着いていますが僕には赤紫に見える」
「それがどうした」
ここから話される豊代の見解は医師としてのものだ
その道のプロならば真部は信用できるのだろう
豊代の言葉に耳を貸した
詩音も冷静さを取り戻し、話を聞く
「人間の血液は通常、青紫色ですが死亡後、血液は死斑と言って赤紫に近くなる」
その原理から導き出されることを真部が代弁する
「この傷は死亡後につけられたものだと」
「そういうことです」
真部は納得せざるおえなかった
ここで豊代に反論し、調査に参加させなければ処刑人の罠にかかってしまうところだったのだ
「真部さん やはり全員で調べるべきです その方が情報も集まりやすいですし、それぞれのもつ知識も活用できる」
豊代の意見にため息をつきながらもそれに仕方なく同意するように後ろ頭をかいた
「わかった だが死体をその場から動かすなよ」
その発言と同時に詩音は父の頭を胸に抱いた
「お父さーーん!!」
嘆くように叫び号泣する
その後ろで真部は呆れたように「ふっ」と鼻息を放ち、豊代は切なく詩音の背中を見ていた
「おい医者」
「豊代です」
「豊代 死体の調査はお前に任せる」
そう言って武器庫から出ようとドアノブにてをかける
「真部さんは?」
「事情聴取だ 俺の仕事だろ?」
武器庫のドアを開くと既にほかの参加者が集まっていた
遠藤が真部が部屋のドアを閉めるのを待たずに聞いた
「本当に亡くなってしまったのですか」
「あぁ 紛れもない事実だ」
男性は目を見開き、女性は口元に手を当てた
「これからお前らに事情聴取をする 嘘をつくなよ」
聴取は先程見た武器庫正面の休憩室のような部屋で1人ずつ行われた
真部は1人1人部屋に呼び入れる
ゲーム開始の放送からどのような行動をしていたのかを聞き出す
最上 凑の証言
「僕は詩音さんに頼まれて隆明さんを探していました」
「それはどういう経緯で」
「詩音さんが言うには隆明さんの部屋に隆明さんがいなかったようで食堂まで行ってみたところ そこにもいないことに気づいたら亡くなったという放送がありました」
「一緒に食堂に行ったのはお前と被害者の娘だけか」
「いいえ、小なm… 千雛さんと黒木さんも一緒でした」
「2人とはどこで」
「千雛さんはよく付きまとってくるので僕が部屋を出たらすぐに、黒木さんは詩音さんが隆明さんがいないことに気づいた大きな声で居合わせた感じです」
「その双子の妹と部屋の前で合流した後に娘の声がしたのだな」
「はい」
「なるほど」
小波 千雛の証言
「ミツルンの言ってることに全く嘘はないよー」
千雛のテキトーな言葉遣いに真部はイラつく
「お前はなんでその男子につきまとうんだ?」
「それは乙女心」
「舐めてるのか」
ふざけた回答に真部は相手を睨んだ
「えーこわこわ」と何も怯えずにそう返す
「まぁここだけの話~ 好きだから」
「そうか」
反応があまりにも薄かったため千雛は「あれ?」と言わんばかりに首を傾げた
詩音と豊代を除く参加者の聴取が終わった
わかった事として最上、千雛、詩音、黒木は死亡報告の寸前まで1階にいたようだ
黒木の発言も怪しい点はなく、隆明の様子がどうなっているか確認するため1階におりようとしたところ詩音の声が聞こえ、ほか3人と3階で合流してから1階まで降りたという
また、三鷹と市島、倉宮親子は報告があるまで同室にいたとのことだ
聴取を終えた参加者を自室に戻らせて武器庫の前で2人を待っていると隆明の遺体を抱えた豊代と目が充血した詩音が出てきた
泣きじゃくったのだろう
目が乾燥し、痛くなっても父の死を悔やんで
真部はすぐに遺体の状態と聴取をしたかったが豊代の言葉でそれを後に回す
「隆明さんは本人の部屋に眠らせましょう」
「あぁ、そうだな」
隆明の遺体を9番室のベッドに仰向けに寝かせ、布団をかけてゆっくりと部屋の扉を閉じた
詩音は心を癒すまで自室で待機するようで真部は自身の8番室で豊代に聴取を始めた
ほかの参加者と同じく、死亡報告があるまで部屋で状況を整理していたとわかった
真部が最も聞きたかったのは遺体の状態と死因である
「死体はどうだった」
「近くで見てもやはりあれは死斑です」
「つまり、殺された後につけられた跡だと」
「そうですね… しかし…」
豊代の言葉が止まり、顎に手をあてる
「どうした」
「死因と死亡時刻がわからない」
「なに?」
殺人事件においてそのふたつの要素は重要な手がかりとなる
しかし、それが読めないというのだ
捜査一課も手詰まりになることを予測した
「服を脱がすのは失礼と思いましてやっていませんが頭部にも傷はありませんでしたし」
「毒物などの可能性は」
「それは不可能でしょう なにせ直前まで僕たちは部屋で眠っていたのですよ?」
確かに…Mr.クリスマスの放送から2階に行ったのは俺だけだ
それは俺の後に誰も着いていなかったことやほかの参加者の聴取からも分かる…
じゃあ、どうやって死体は2階に…
まさか…!
「俺たちが部屋で目を覚ます前に被害者は殺されたのかもしれん」
豊代は驚きで目を見開いた
2階に来たのは真部のみでほかの参加者は部屋か1階にいた
眠らされるまで隆明は食堂で冷えた体を温めていた
つまり考えられるのはゲーム開始前の犯行のみとなる
「そうだ… 電子カイロはどこに行った!それになぜ被害者の部屋に布団はあるんだ!」
隆明を温めるために使った電子カイロの行方と隆明の部屋から押収した布団が部屋に戻っている
全員が眠らされていたのならばそれらは食堂に放置されているはず
さらにおかしな点がある
俺たちはどうやって自分たちの部屋に運ばれた…?Mr.クリスマスが運んだのか?
いや、声をわざわざ変えてまで俺たちから姿を隠している奴がそんなリスキーなことする訳がない
つまり、、
「処刑人が俺たちを部屋に運んだ」
「なるほど!処刑人だけはあの時、眠らされていなかったということですね!」
犯行は自分たちが眠っている間に行われ、その間に眠らせれていなかった処刑人が起こしたと考えられた
「ではなぜ、隆明さんだったのでしょう 別に他の参加者でも…」
豊代は眠らされた時の隆明の状態を思い出した
「シャンパンを飲んでいない…」
つまり、隆明は目覚めたのだ
低体温症から一定の体温を取り戻し安定した状態になった彼は目を開き、処刑人だけが起きているところに遭遇し、ゲーム開始前にやむ無く殺された
これが2人の出した推理
残る問題は無くなった電子カイロの行方と誰が殺人犯なのかということだ
「武器庫と食堂、各客室の捜査をする もし客室から電子カイロが出てきたらそいつが処刑人だ」
捜査を始めようと真部が部屋のドアノブに手をかけようとした瞬間、目前でドアが勢いよく開いた
「お母さんが!いない!!」
輝人が血相を変えて焦りを露わにしてそこにいた
「なに?」
空気が一変する
自室待機を要請したはずの参加者の1人が部屋から抜け出している
ベテランの警察の指示を聞かずに勝手に行動した
これは真っ先に疑われる行為だ
「早く探さないと…!」
輝人は母親を館内から探し出そうとしているが、真部はその者の行方など今はどうでもよかった
「いや、そいつの部屋をそいつがいない内に捜査する」
疑いの目は日向美に向いたのだ
「え、なんで!」
「待機していろと言ったはずだ それを無視して勝手に部屋の外に出た…疑うべき人物になったんだお前の母親は」
「そんな、、」
「手伝え小学生 母親の無実を証明したかったらな」
一方、1階の食堂にも警察の指示を守らずにキッチンルームの冷蔵庫からジュースを取り、コップに注いで飲んでいる者がいた
黒木だ
コップ一杯の炭酸ジュースを飲み干して「あぁ!」と上を向いた
瞬間だった
背中に強い熱を感じた
全身に衝撃が走り、一瞬にして気を失う
倒れた黒木の背後に立ち、気を失った体を見下していたのは
スタンガンを持った 倉宮 日向美だった
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