Infinity night

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双生の真実は末路を呼ぶ

20.恋事

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16年前 12月

 千鶴 生誕

私は最悪な家庭に生まれた
父親は 林道 千秋 という裏社会の人間で母親は浮気するような最低な奴だった

そんなことを知らなかった幼いころの私は父親にベッタリで「将来はパパと結婚するぅ」と捏ねていた時もあった
母親はそれを「パパはやめた方がいいわよ」と優しく否定する
父親がそれに「そうだぞぉ?千鶴にはもっといい男の人が見つかるかもなんだぞ?」と返す

多分、この会話自体はどこの家庭でもされていることだろう
私もそれが普通だったし、楽しかった

でも、ある日、父親から衝撃的なことを話された

「千鶴、ママは不倫しているんだ」

信じられるわけなかったし、話気を聞いた時は「そんなことないでしょ!」と父親に怒りの矛先を向けた
でも、それを裏付ける写真を見せられた時、私は信じるしかなくなった

母親が知らない男と腕を組んで街中を歩いている写真

その写真を見せてから父親は私にこう言った

「そして、ママは死んだ」

私が6歳で小学校にも馴染み始めた時期だった
そんな小さな私には情報過多すぎてどうしようもなくなった
泣いたし、叫んだし、3日寝込んだ

4日目も行動を起こす気力はなかったけど学校の先生から連絡があって心配されるのも嫌なのでなくなく行った

ほぼ脳死状態で授業を受けた
その時の内容は全く覚えてない
小1だし、大したことはしてないと思う
給食も一口、二口目で食べる気をなくしたから全部残した

そしたら昼休みに男の子から声をかけられた

「ちづるちゃんだいじょうぶ?」

私は視線を合わせることはせず机を見て答えた

「だいじょうぶ」

「ほんとぉ?」

そう言って私の顔を覗き込んできたから私は驚いて椅子から落ちた

「あ、ごめん、、」

「う、ううん!だいじょうぶ」

私が立ち上がるとその男子は心配の表情で言った
「そっか、、でも!ほんとになんかあったらいってね!!」

その男子の名前は 最上 凑 決して、明るい人じゃなかった
教室で友達とも遊ばずに本を読んでいるような寂しそうな男の子だった

それからなんとなくの日常を送ること5年、、

小5の時にまた、凑くんと同じクラスになった
と同時に彼は私を気にした

「小1のときクラス同じだった千鶴ちゃんだよね」

いやなんで覚えてるんだよって思ったけどそんなこと口に出さずに私は冷たい口調で返した

「凑くん だっけ なんか用?」

この時の私は母親が死んだことも飲み込んで世間を少し疑っていたからグレてた

「いやぁ変わったなぁって思ってさ」

「は?」

「前までは全然元気なかったのに今は違う、なんかあった?」

いや、なんもねぇからこうなってんだよ

「なんもない」

「あっそ」

やっとら呆れてくれたか、、とっととどっか行ってくれ

そう思った瞬間、私の髪を彼が上げた

「ひゃっ!」

そんな乙女みたいな声を上げて恥ずかしさを感じると彼は笑ってこう言った

「可愛い反応できんじゃん」

私は率直に思った

これで惚れない人っているのかな

って

凑くんはそれ以来、あんまり話さなかったけど私の性格も丸くなってきた
多分、凑くんに恋してから可愛いって言ってくれた時の表情や気持ちになりたかったんだと思う

中学生になったら告白しよう

なんて同じ中学に行くのかも分からない同級生にそう思っていた時、悲劇が起きた

「千鶴 お前はこれから俺の子じゃなくなる」

お父さんのその一言が私の心に突き刺さった
なんのことか分からず、戸惑いながらもお父さんを問いただしたけど返答はなかった
ただ黙って私を私の知らない人に抱き抱えて渡した
そんな時、お父さんとその知らない人はこんな会話していた

「じゃあ頼んだ」

「あぁ、もちろんだが、本当に良いのか」

「もういい 俺は片桐に着いていくことにした 千鶴の存在はいずれ邪魔になる だからいい」

邪魔になる…!? え、なんで!!お母さんとなんか関係あるの…!片桐って誰!!わかんない!!

明らかに戸惑う私を無視して知らない人は私を抱えてお父さんから離れていった

「まって!!お父さん!!なんで!!」

お父さんは叫んで手を伸ばす私になんの表情の変化も見せず、背を向けて私の前から消えていった

児童保護施設に置いていかれた
その施設に入ってからすぐ、ニュースが流れた

商店街で大量殺人が起きて、実行犯が何人か捕まったその中にお父さんの言っていた片桐って人がいてよくある苗字だしたまたまかなとも思ったけどその事件で逃亡している実行犯の名前を見て私は愕然とした

亜久里 刹那 基山 聡 林道 千秋

りんどう…ちあき…

それは明らかにお父さんの名前だった

余計に何が何だか分からなくなってもう脳内パニックに陥った

でもただ思った、、

私はまた親から裏切られたのだと

お母さんもお父さんも何かしら私に隠していて長い間、それを教えず、私がそれに気づいた時には私の近くにいない

なんだよこの親

当時の私はまた、グレかけていた
でも、彼の顔がチラついてから涙がこぼれそうになった

凑くんに会いたい……

私が信じられて私を支えてくれのは凑くんしかいない、そう思うとさらに泣きたくなってくる

そういう日々を繰り返して、小5も終わりにかかろうとしていた時、施設に私のそっくりさんが来た

彼女が私を見て言った一言を忘れることはないだろう

「な、なんであんた!私にそっくりなの!!」

「う、うるさい、」

そんなこと私も知らないよと思った

その子は 南雲 千雛 って名前で字まで似てやがると思ったが、それ以前に私は南雲という苗字に既視感があった

例の商店街の事件の逃亡者の基山って人を捕まえた時に警官が誤射して殺してしまった人と同じ苗字

私はそれが気になったけど当たっていたらと考えると相手に失礼極まりないから話題に出すことはなかった

それからすぐだった
私たちの引き取り手が訪れたのは、、

その引き取り手が私たちに手を伸ばしてこう言った

「これから君たちのお父さんになる小波 耕平さざなみ こうへいだ よろしくな」

私たちは小波家に引き取られ、見た目も年齢も同じことから双子として新しい誕生日を与えられて小波 千鶴、小波 千雛 としての人生を始めた


そんな人生もここで終わる、、
奇跡的に出会えた片思いしていた男の子と一緒に、、

彼は何も覚えてなかったみたいだけど人生最後の瞬間にいるだけで何故か嬉しかった

私は同胞の姉妹に喉をナイフで引き裂かれて人生という幕を下ろした


8時00分 罪人ヒツジ称呼番号 01番 02番  処刑人オオカミの餌食となり、処される

千雛からの報告から間もなく、杉沢以外の生存している参加者は2人の死体発見場所である1号室に到着する

亜久里と三鷹、詩音が開いた1号室のドアから中を見ると千鶴がベッドの横で尻もちを着いていた

「どうした!死体はどこだ!」

亜久里が部屋に入って千雛が恐る恐る口を開いた

「布団の中に、、」

亜久里は布団を片手で力強く放り投げるとそこにはまさかの光景があった

「な、なんてこった…!」

そこには喉を切り裂かれた2人の死体が互いにで並んでいた

裂かれた喉から流れる血液が死んでから時間があまり経っていないことを示す

それはそうだ
遠藤の死体を確認した時は最上も千鶴も生きていた
それから30分、その間に殺されている
しかも2人もだ

亜久里の脳には多数の疑問が同時に襲いかかった

いつ殺された…!?なんで全裸なんだ…?30分以内に2人も殺せる手際の良い奴がいるのか…!そもそも処刑人オオカミの仕業なのか…!?誰にアリバイがない?

そんなの全員だ…!全員にアリバイがない…!
私は部屋の中にずっといたし、、他の奴らだって殺される危険を背負ってまで自分以外の奴と一緒にいるわけがない…!

人数が減ってもゲームが終わらないことは処刑人オオカミが絞られることになるが、その分、殺されるリスクも大きくなる
そんな中、ほかの人物とともに行動する馬鹿は当然、ここにはおらず全員が誰一人としてアリバイを出せる状況にないのだ

思考している間にほかの2人も部屋の中に入ってきて死体の状態に驚愕して口を抑える

詩音が口を抑えたまま言う

「なんて酷いことを…」

三鷹も同情するように激しく頷く

千雛は喪失感を覚えているのか床に腰を落としたまま同じ視点を見ており、瞬きしている様子もない

そして亜久里が最も疑ったのはこの場にいない彼女だった

杉沢陰湿女はどこだ」

千雛以外の人物も周りを見渡すが、杉沢が来る様子もなく、杉沢が他全員から怪しまれる

「私は杉沢陰湿女を探す!お前らは死体の様子を調べろ!」

指示を出された2人が「はい」と言うと亜久里は部屋を出た

千雛が呟く

「ミナミンが……」

好きな人が死んだことによる失望で立つにも力が入らないようだ

詩音が千雛の肩を叩く

「千雛ちゃん!!しっかり!!」

それでもピクリとも動かない千雛を詩音が脇に腕を通して引きずる

「私、千雛ちゃんをどうにかしてきますので三鷹さんは遺体をお願いします」

そう言い残して詩音は千雛を連れて部屋から出た

一方、階段を杉沢を探すため階段を下りていた亜久里は2階に着こうとした時、図書ルームの方向から目的の人物が歩いてきた

「おい杉沢陰湿女なんで……」

言葉が止まったのは陰湿女とは思えない美麗な女性が1つ結びをほどく姿があったからだ
つけていた丸眼鏡もなびかせるように取った

確かにその女性は杉沢であり、杉沢が髪をほだき、眼鏡を外しただけの姿のはずだった
しかし、亜久里はそれ以外の何かを感じた

「お前、誰だ…」

その問いに地味目な印象を捨てきった華麗なる女性が笑みで応える

「杉沢……」

苗字を言い終わったところで顎に指を置いて言葉を止めた

「いやちがうわね」

自身の発言を自ら即時に撤回し、名を言い直す

 

亜久里が目を見開く

「これが私の真名よ」

亜久里は目の前の人物への理解が追いついていなかった
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