Я side The Assassin

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赤き因縁編

69.燃えろ

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トラックが道路を走っている
後ろを追う自動車も横の歩道を歩く人々もそのトラックが子供を売るために動いているとは知る由もないこと

そのトラックを運転している人物と助手席にいる政治家匙山が会話する

「赤髪の女はいたか」

フードを被っている運転手が匙山に聞いた

「はい いました 8年前の女児かは確かではありませんが」

坂野と話している時の態度は一変され、立場が上の人間に対して使う言葉遣いだ

「ソイツの身元は関係ない ウチの連中はビジュアルを重視する節がある 見た目さえ良ければあとは教育次第で使える駒かどうかが決まるんだ」

「は、はぁ」

怪しげに微笑みながら話す運転手に匙山は少しの恐れを感じていた

「このまま千葉まで連れてく この前は運搬役がやらかしたから、今は俺が来てる ミスったらお前も俺も、坂野とか言うやつも首が飛ぶなw」

七黒 千一家の残酷さを突きつけられ匙山は気が気ではいられない

「ビビってんのか?安心しろ 俺はその教育で合格貰った人間だ お前や坂野と違ってな」

強調するように言葉を一度止める

「ヘマはしない たとえ今、空から雷が落ちてきても…」

言い終わりと同時に匙山が上空を眺める

「……! なんか、ありませんか…」

「は?」

「上からなんか来ます」

「何言ってんだ ほんとに雷でも落ちて……」

      ドォォォォォオン!!

「「……!?」」

上空から落ちてきたものがフロントガラスにヒビを入れこちらを睨む
目に捉えた眼には復讐の炎が灯っていた

「クッソ…!」

ハンドルを大きく左に切るとトラックは車道を外れ、歩道のガードレールを破壊し建物の外壁に衝突する

上空から現れた人物は直前でトラックから離れ荷台を前にする

「烈火 火突ひとつ

炎の穂先が荷台の扉を貫通し焼き溶かす
中の様子が見えるとマサルは声をあげる

「ドアに近ずくな!」

槍で素早くドアを切り裂くとトラックの戸は完全に破壊された

「逃げろ!!」

その掛け声と同時に内側にいた児童が走って逃げ出す

最後に出てきたイチゴとアサミにマサルは指示した

「お兄様…!」

「話は後だ 他の子供たちを安全な場所に避難させろ」

「「分かりました!」」

「あと! よく頑張った」

「…!はい!」

2人は逃げ出した児童を先導してできるだけ遠くを去ろうと走り出す

「みんな着いてきて!」

アサミの掛け声で児童が後ろを走って着いてくる

お兄様……あとは頼みます!

自身の兄に復讐を預け、自分にできることに専念する


一方、マサルの方では、トラックから運転手が降りてきた

「誰かと思えば、Яのアカカミ マサルじゃないか! なんだお前ら ガキを守ることを信念にしてたのに人のガキを奪いとるなんて!」

「奪い取る?元々、お前たちの子供じゃないはずだ」

「いいや俺たちの物だ キンドシエスタの組織長は千一家の出来損ない そこにぶち込まれた時点で俺たちの所有物だ」

フードを取ると、真っ黒で四方に尖った髪の毛とツリ目が特徴の男の素顔があった

「あそこの組織長は苗字も貰えない野郎だったが、人物補給には良い奴なんだ だけど最近やらかしたらしくてね 今日もこんなんだとアイツの首はないかな ついでに助手席にいる政治家も」

事故の衝撃で気を失っている匙山が指摘された

話続けている男に言葉を返す

「お前こそ8年前までのリストに載ってない面だな 苗字を貰って対して時間も経ってないだろ
実戦経験の少ない青二才がよく言えたもんだ」

マサルの言葉に男は顔を顰めた

「青二才…?」

歯を食いしばりながら、男は両手首にバングルようなものを装着する

「俺は千一家の大黒柱の一本!"せん ラバン"様だぁぁ!」

手首から射出されたアンカーの針がマサルに迫る

「……!」

突然の攻撃に回避を余儀なくされるがその攻撃はマサルを狙ったものではなかった
伸びたアンカーは歪んだガードレールに巻き付けられ、ラバン本人を引き寄せた

「オラァァ!」

引き寄せられる勢いを乗せて振った拳は軽やかに回避される

「まだじゃあ!!」

アンカーを回収しながらガードレールを踏み台に反対の手からアンカーを射出する
その針が建物の外壁に突き刺さるとラバンは伸びきった状態でマサルの下をくぐるように地面を滑る 
すると、マサルはアンカーの縄部分を足にかけられ体勢を崩した

「……!」

「もらった!!」

腕をバネにして地面から蹴りかかったラバンに対して、転びかけているマサルは至って冷静だった

ふぅ~~~~~~

呼吸と同時に、時が緩やかになる
素早く動いているはずのラバンが遅く見える
自分の崩れ落ちそうな体の感覚も容易に捉えられる
そして、右足のつま先が地面に触れたその瞬間、時は収束するように目まぐるしく動き出す

マサルの姿はそこにない

「い…いない…!?」

蹴り飛ばそうとしている相手が、体勢を崩していた相手が一瞬にして目の前から姿を消した

陽炎カゲロウ

静かな一言でラバンは気づいた
狙われているのは自分であることに…

宙に浮いた体、伸び切ったアンカー、まさに崩れた体勢である
槍の刺突が眼前に迫るその瞬間、咄嗟に動いた腕が頭部の盾となる

グサッ!

「クッ……!」

腕を貫通した槍はそのまま頭部に進んだが僅かな時間がラバンに猶予を与え、頬を掠める程度に頭を動かせた
しかし、以前体勢は崩れたまま
マサルは槍を振り回し、突き刺さったラバンをトラックへ投げ飛ばした

バァン!!

「ガハッ…!」

助手席のドアに背中を打ち付けたラバンは思わず吐血する
その衝撃で気を失っていた匙山が目を覚ます

「う、うわぁぁぁぁあ!!」

起きるや否や、目の前の光景に酷く驚愕し運転席側から逃げ出してしまった

逆に気を失いかけているラバンはフラフラと立ち上がる

「これが大黒柱の一本か…」

「アァ…?」

「8年前はまだ俺も見習いだったから分からないが、ムラカミさんたちが言うには、ウチの連中と正面からやりやったら負ける確率の方が高いとか言われてたのにな」

マサルはがっかりしたかのように語る

「俺と俺の妹はお前らのせいで人生が終わりかけたことがある 見た目が良いからって理由で売られかけた だから今回、お前たちが再び動き出したと聞いて、チャンスだと思ったんだ」

ラバンの目の前から何度も姿を消しながら追い詰めるかのように話す

「千一家は人身売買で手に入れた子供や誘拐で手に入れた子供を戦闘教育して、優秀な者に"せん"と苗字を与えるらしいな
その中でも8人の幹部 大黒柱 メンツは変わりながらも実力は確かな人物が選定されていると聞いたが、、それがこれか」

「なん…だと… 俺はまだ…」

「俺はな復讐しに来たんだ 子供の人身売買をまだ続けているお前らに なのにこんなんじゃ収まんねぇよ!!」

次の瞬間、マサルはラバンの前に現れた
ラバンがその姿を捉えた時、腹部に煮え立つほどの熱を感じた

「だから骨も残らないよう燃やしてやる せめてカスは集めて畑の肥料にでもしてやる」

ボォォッ!

「アッ…!」

腹部から炎が沸き立つ

「や、やだ、ヤダァァァァァア!!」

ラバンの悲痛な叫びと共に炎は勢いを上げ、その身を焦がしていく

「アッ!アアア、、アァァ」

掠れていく声を確かに耳に収めながら槍を抜く
そして消えていく炎に手を添えるとまだ燃えていない爪の欠片が手に落ちる

「!!」

それを握りつぶすと炎は完全に消え失せ、チリだけが残った
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