Я side The Assassin

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2.Я

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6月16日

愛知県 名古屋市

福岡を朝4時に出発し10時間、しかし未だに車の中で揺れている

「師匠…まだですか」

助手席にいるセツナがついに痺れを切らした

「もう着く」

その信じられない返事にセツナはムスッとした

それに気づいたシジマが「ハハッ」と笑った

「そんな怒んなよ」

「だって3回くらい寝ても着かないし」

「じゃあお前がこれから入り込む世界について話しておこう」

シジマは口調を変えることなく、自身の生きる過酷な環境について語り始める

「今からお前が生きていくのは裏社会だ 簡単に命はなくなるし、人の命を奪わければならない」

分かっていた…分かっていたけど、改めて言葉にされると息を飲んでしまう

「全国でも 大阪、東京、福岡、埼玉、茨城、千葉、そしてここ愛知は治安の悪い都道府県として世間に認知されている」

セツナは聞き逃すことないよう、静かに説明を聞いていた

「この7都府県は少なくとも200人に1人が犯罪に遭遇しているが、実際のところ政治には気づかれないように起こる殺人が多い」

実際の数字よりも大きな確率で犯罪が起こっているということだ

「そして、それぞれの都府県で最大規模の組織をこの世界に生きる者たちはこう呼ぶ」

車の外の風景が賑やかな街並みから廃れた暗い建物が並ぶ怪しい雰囲気に変わる

七黒シッコク

セツナは周りの雰囲気に呆気に取られながらシジマの話を聞く

「で、俺らはその中の…」

話を続けようとした瞬間、進む車の前方に手榴弾が落ちた

ドォォン!!

手榴弾が爆ぜた
激しい爆発音と共に黒煙と炎が舞い立つ

道路の脇で3人の男が拳を上げた

「しゃっ!!シジマ討ち取ったりィィ!」

「思ったよりちょろかったな」

「助手席にガキいたよな」

「どーでもいいどーでもいい 心配したってもう死んで…」

バァン

煙の中から弾ける音がした瞬間、一人の男が倒れた

「「…!」」

残り2人の男が頭から血を流す仲間を見て驚く

煙の中でセツナの咳き込む声が聞こえた

「おいおいやめてくれよ こっちにゃ子供がいるんだ」

煙の中でギラつくシジマの眼光が残る2人の男を戦かせる

「見かけない若造だな もちろん俺が誰か分かってやってんだろうな」

セツナを抱きかかえて煙の中から姿を現したシジマはその若い男に銃口を向けて睨みつけている

「俺の命は狙ってくれて構わないが、それで子供を巻き込もうってんなら」

シジマの踏み出した一歩が男たちには怪人が踏み込んだように大きく、重く感じられた

「容赦なくぶっ殺す」

男2人は確かに怯んだが、それでも引き下がることはせず大声を上げた

「し、しるか!!俺たちがお前を殺してここのトップに立つんだよ!!」

すると、どこからともなく何人もの男たちがシジマとセツナを円で囲むように集まってきた

「ここにいる奴ら全員死ぬ覚悟できてんだろうな」

気が動転しているセツナを優しく地面に座らせて頭を撫でる

「安心しろ でも見とけ これがお前が生きようとしている世界だ」

セツナはその大きな背中を見つめている

シジマが一歩、一歩と集団に近づくたんびに囲んでいる男たちは戦きを見せる

「ひ、怯むなぁ!こっちゃ30人近くいるんだ!ぜってぇ殺せる!!かかれ!!」

一人の男が拳銃を発砲したが、その銃弾はシジマが頭を動かすだけでかわされる

「格の違いを魅せてやんよ」

その鋭い眼光を凍てつかせ、地面を蹴るように踏み込むと発砲した男の首を掴んでいた
容赦なくその男の喉をナイフで切断し、一瞬にして絶命させる

その男の周りにいたほかの者たちも一斉に襲いかかる
前方6人の視界を自分の羽織っていた黒スーツで眩まし、その間に背後にいる6人に旋回してそれぞれ1弾、銃弾を当て、全員殺す
黒スーツで視界が塞がれた6人も素早く刺し殺し、拳銃の弾を補充する
脱ぎ捨てた黒スーツをまた悠々と羽織る

その男の強さに男たちは唖然として足が動いていなかった

「おいどうした 俺を殺すんだろ?」

そう言いながらゆっくりとまた違う男に接近していく
接近されている男は絶望を浮かべた顔でシジマに銃口を向けた

「ほら 撃てよ」

拳銃を掴んで自分の首に近づけるという余裕の行動がさらに相手を怯ませる

「アァァァァァア!!」

相手の叫びから発砲を感じたシジマはそれが行われる前に相手の腹に膝蹴りを打ち続け気絶させる

背後から迫る銃弾に気づいていたシジマは気絶した男の胸ぐらを掴んで後ろに回し、盾がわりにした
男に銃弾が3弾撃ち込まれる

死んだ男の胸ぐらを離して地面に落とすと異様な空気が流れる

「ば、バケモンだ!!」

仲間を呼び出した男は思った

わかってた…!分かってたんだ…!こいつが強いことなんて…!でも!でもぉ!ここまでとは…思わんだろ…

その男が目を向けたのはシジマの姿を凝視しているセツナだった

「おいこらシジマ!!」

声がした方向に目をやるとセツナのこめかみに拳銃を当てた男がいた

「……!」

「動くなよ 動いたらこいつの命がどうなるか!」

シジマの動きは制限され、その場から動くことができなくなる

「ハハッ!やっぱ人質がいちばん効果あんなぁ!やれ!!」

動かないシジマに大人数で襲いかかる男たち

「し、師匠ぉぉぉぉお!!!」

セツナの甲高い声がシジマにも届いたが、何を動くでもなく、その男は笑った

「俺の勝ちだ」

地面に落ちた何かを見てシジマは耳と目を塞いだ

襲いかかった全員が思う

閃光弾……!

廃れた周囲を急激に輝かせる光と鋭い高音が満たす
それを目に焼き付けた男たちの視界と聴覚が一瞬にして強く鈍る

その大きな隙をシジマは逃さず手に持ったナイフで取り囲んでいた男たちの喉を的確に捌いた

「な、なんだ、、何が…」

セツナを人質にとった男は状況を掴めていない
その戸惑いの隙をついてセツナはその男の股間を踵で蹴りつけた

「なぁァァァァ!!」

激しい痛みで腕が緩みセツナがそこから逃げ出す

「こ、このクソガキがぁ!!」

痛みに悶えながら標準を背を向けて逃げ出すセツナに向ける

「死ねやぁぁあ!」

バァン!

死んだのは男の方だった

建物の上から放たれた細長い銃弾が男の頭を貫通した
建物の上にいる男はスナイパーライフルのレンズに目を当てて目標に当たったことを確認していた

「シジマさーん 手間取らせないでくださいよ」

と下にいるシジマに伝える

「相変わらず腕がいいな町下マチシタ

頭を上に向けてグッドサインを出す

生きている男たちも状況に困惑し、足が止まっている
しかし、それを待ってくれるほどの優しい連中はここにはいない

生き残った数名の男たちの中心に刀を鞘にしまわれている刀を握る和服を着た男がいる

「あんたは本当に人騒がせだ」

リーダーの愚痴をボヤきながらその刀を素早く抜いた
途端にして生きていた男たちの体を切り裂く

「おぉー村上ムラカミ 約束通り帰ってきたぞ」

襲ってきた全員を殺しきったとはいえ、余裕すぎる会話にセツナは仰天していると背後から抱き上げられる

20代くらいの女性のようで体から伝わる体温がとても居心地の良さを感じさせる
その女性が優しい目でシジマに話しかける

「リーダー また子供連れてきちゃったんですかー?」

それを見たムラカミがジト目でシジマを見る
すると、建物から降りてきたマチシタが笑った

「ナッハハッ そんな目で見てやんなよシンちゃんっ」

シジマに肯定する発言をするとシジマも便乗する

「そうだぞムラカミ 子供が増えたからって怒んな」

寛太カンタ 俺は子供が増えたことに怒ってるんじゃない無奈ムナの仕事を増やしてることに怒ってんだ」

「私は子供大好きだから全然だいじょぶだよ?」

このガヤガヤとした会話をムナと呼ばれる女性の腕の中で聞いているセツナは頭に「?」を浮かべるしかない

その様子に気づいたシジマが思い出したかのように車の中で語っていたことの続きを始める

「俺らが七黒シッコクの一角、」

セツナが今から生きる世界と今から入る組織についてしかと頭に残す

「市島連合  Я リサイドだ」
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