Я side The Assassin

文字の大きさ
11 / 68
雪王編

10.星

しおりを挟む
ドォン!ビュンッ!

2つの音が交差し、互いの飛び道具が撃ち落とされる

あの矢、、昨日使ってたのと違うな…銃弾と相殺できる強度がある…

建物の屋上を橋渡りにして一定の距離を保ち続けている2人の立ち回りは硬直を生んでおり、それにおける利点と欠点を2人は見極めていた

最高は私があの男を殺してヒョウラのところに戻ること、そうすれば槍使いも殺しやすくなるから私たちの勝ちは確定…でも、、

って思ってるんだろうなあっちは…もちろんそれは俺もそうだけど、、せきじょーは俺のサポートなしでもシロナワに勝てる

仲間の強さへの信頼からくる決断がマチシタをぶらさない

だから俺は…お前をここに留める
これが最善手だ

ライフルのレンズで標準をシロヤマに合わせると、やはり相手もこちらに弓を引く
だが、先程までと心做しか弓の引き方が違うように見えた
気になったがライフルを構えた以上、撃たなければ相手に隙を晒すことになる
よって、マチシタは引き金を引いた

今まで通りなら弾丸と矢が衝突し、相殺されるのだが、今回、それは起こらなかった

「……!」

矢が……曲がった…!?

僅かに弧を描く軌道をした1本の矢がマチシタの左腕を刺した
真っ直ぐに進んだ弾丸はシロヤマにかわされる
左腕を抑えることによる隙が生まれる

「もらった…」

弓手は弓を横に持ち、三本の矢を同時に引いた
放たれた三本の矢はそれぞれ違う方向に進む
1本はまっすぐ、2本は左右に弧を描くように放たれる

飛んできた一本を右手のひらでギリギリ受け止めたが左右に放たれた矢は背中に刺さる

「しまった…!」

屋上から飛び降り、2つ下の階の小さなベランダに転がり込み、頭を隠す

「まじかw」

突き刺さった矢を抜きながら相手の実力を見誤ったことに後悔する

曲がる矢に3本同時撃ち…視力が良いだけじゃなかったかw

矢がベランダの塀のスレスレを通って室内に続く扉のガラスを破る

「わぁお 頭出したら終わるなw」


シロヤマはベランダの塀に頭を隠したマチシタを逃がさないよう弓を引いた状態でベランダを睨む

アイツは多分、私をここに留めてヒョウラのところに戻らせないようにしてる…
なら速攻で殺す

マチシタの考えを的中させた上で勝負に出る
それがシロヤマの判断

さぁ、早く頭を出して…完全に射抜いてやる

矢の先端を塀より数cm上に合わせて相手が顔を出すのを目を凝らして待っていた

しかし、、

「は……!?」

塀から覗き出たのは頭ではなく、引き金が上に向いて逆さになっているライフルだった

ドォンッ!

そのライフルから放たれた銃弾かシロヤマに迫る

「チッ…!」

その銃弾を撃ち落とすため、矢を放った
矢と銃弾が相殺し落下する

シロヤマが急いで弓を引くがもう遅い
矢を放ってから新しい矢を弓に引くまでの間にマチシタはベランダから飛び降りて落下している

しかし、その落下中、彼は無防備だ

「バカが!!」

ここからの距離とマチシタの落下速度を加味して標準をマチシタよりもかなり下に合わせる

落下中に攻撃
それを予知していたマチシタは落下で体制が整わない中、一瞬で標準を自身よりも上に位置するシロヤマに合わせ、引き金を引く

「ドハッ…!」

銃弾は矢を放つ寸前のシロヤマを捉え、左肩を貫通する
痛みと直撃した時の衝撃で矢から手が離れ、矢を屋上から落としてしまう

マチシタは地面にあったゴミ溜めの袋の上に安全に落ちる

「っぶねー」

危機的状況を切り抜けたが、狙撃手としてのアドバンテージである高所から離れてしまった
さらに地上にいると屋上にいる弓手の恰好の的である

「クソがっ!!」
 
シロヤマは5本同時に矢を射抜く
これは全て曲げず、速度を重視して力強く放つ

空気抵抗も受けて重さが増している矢を転がってかわし廃棄されている自動車に身を隠す

「またか…!今度は出たらぶち抜いてやる」

シロヤマの予想は甘かった
銃弾が自動車のガラスと天井の装甲を貫通してシロヤマをまた捉える
次は左脚を貫通し、体制を崩される

「なんで!」

あの位置から私が見えるわけない…!だって車で見えないはずだから…!さっきもそうベランダの塀から頭を出さずにこっちの位置を把握するなんて…!
いやちがう、、アイツは私の位置を分かって撃ってる

マチシタはシロヤマの位置を完全に把握して狙撃をしている
ではどうやって位置を把握したのか
それは飛んできた矢の向きで判断している
ベランダにいた時に室内に刺さった矢の向きから方角を完全に把握
その方角に銃口を向けることで見ずとも相手の位置に狙撃することができる
先程も同じこと、自動車に隠れる前に放たれた矢が刺さった向きから位置を把握したのだ

だが、これは超技だ
一般的な狙撃手もここまでの芸当はできない
方角が分かったところでその方角から数cmズレるだけで狙撃は失敗する
さらには相手までの距離や相手のいる高度、そこまでにある建物の高さ、空気抵抗による減速と銃弾が通る軌道のズレ
これらも把握しておかなければ相手を見ずにライフル弾を的中させるなど不可能だ

俺はお前ほど目も良くなければシンジやせきじょーほど近距離で動けるタイプでもないからねぇ
視力以外の狙撃センスを磨けるところまで磨いたんだ…ガキの頃からな


「クソッ!分が悪い…ここは撤退を…」

シロヤマは昨日と同じく退避を選び、マチシタがいる地上の反対側に飛び降りるため移動する

矢が飛んでこない…逃げるつもりか!

自動車の上に飛び乗ってレンズでシロヤマのいた方角を覗くが、そこには誰もいない

建物の中、いやそれじゃに降りるのに時間がかかる…反対側から飛び降りるのか…!

相手の動きを読み切るマチシタ
しかし、ここから建物の向こうにいる相手を撃ち抜くのは不可だ

「普通の弾丸ならな!」

ジャケットの中に細長い銃弾が等間隔に並べられている
前日に科学班から受け取ったものだ
そのうちの1弾を取り出す

その弾丸をライフルに装填し、銃口を相手のいる建物に向ける

こっち側から反対側に移動する時間、さらに、屋上から落下する速度、こっからあそこまでの距離、全てを加味しろ…!

自分の能力を信じて相手の位置予測を進める

一方、シロヤマは反対側にたどり着き飛び降りる寸前だった
シロヤマは一歩前に出るように屋上から足を離した

「ここだ…あと3秒」

天才的狙撃手が銃口の向きを決定し、カウントする
その間にもシロヤマは地面までの距離を休息に詰める

「2…1…」

ドォン!!

0のタイミングで放たれた銃弾は高速で進み、シロヤマいた建物の壁を貫通し、室内を通り、反対側の壁も貫通した

ジャストだ
そこには落下中のシロヤマの胸部があり、背中から心臓を貫いた

シロヤマの死体が地面に勢いよく打ち付けられ、胴体から血が弾け飛んだように地面にこびりつく
胸部からじわじわと流れ出る血液が彼女の死を意味していた


マチシタが今、使った弾丸は科学班が開発、完成させた超威力弾 

スピーダー

ほかの弾丸よりも細長い形状をしており、空気抵抗で速度が落ちることがない
しかし、それでは空気抵抗によって生まれる重さを蔑ろにしてしまい、威力が心許無くなる
それを改善するため銃弾に極小のジャットを搭載した
ライフルから放たれた瞬間に装甲が1枚破れ、銃弾を加速させるよう空気が勢いよく噴射され続ける
これによって加速度が大きくなり威力もほかの銃弾から一線を画すようになった
作り出すのに時間がかかる
無駄遣いを避けるため、現在、使用できるのは確実に直撃させるマチシタのみである


「ま、当たっただろ」

マチシタは銃弾が当たったことの確認もせずその場から立ち去る

「さて、アカカミのサポート戻るか」


天才狙撃手スナイパー 町下 寛太マチシタ カンタ 勝利
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...