Я side The Assassin

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雪王編

11.烈火

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槍の穂から紅い炎がたつ

アカカミの愛槍 烈火レッカ
スピーダーに並ぶ科学班の大作

槍の穂が特殊合金であり、周囲の熱を吸収しやすい
よって簡単な摩擦で着火する
着火後、すぐに火が消えないのは持ち手の先端から周囲の空気を吸収し、穂に空けた無数の僅か0.1mm未満の穴から空気を送り出しているからで、一度の着火でそれ以降、高火力を続行できる

シロナワは充てられていた 灯火のように燃え立つ炎に

「アカカミィィ!!」

目に映る炎に飛びかかり薙刀を振る

「……」

静かにゆらりとかわす
流れるように背後に回ったアカカミが槍を突く動作を取ると同時にシロナワはそれに対応し、背後に薙刀を振るが、アカカミはシロナワの頭の上を舞っていた
もう一度、背後をとったアカカミは着地する前に槍をシロナワの右肩に突いた

「……!」

槍の穂から火が肩に回した毛皮に燃え移る
火傷と貫通、痺れるような痛みがドツかれた痛みを長引かせる

「クソが!!」

薙刀の持ち手の先端で背後にいるアカカミを突いて火がさらに燃え移らないよう距離を取らせる
しかし、アカカミはバク宙でそれを行い、宙で回りながら槍を投げる
槍は勢いよくシロナワに迫るが、薙刀でそれを薙ぎ払う
薙ぎ払われた槍を着地と同時に手に収め、構えを取り直す

「痛いか?」

アカカミが傷を抑えるシロナワに語る
シロナワは睨むような鋭い目で返す

「だがそれはお前らが殺した人達のほんの数割でしかない」

街の人々を殺した罪を痛みで感じさせる

「さらには子供まで手駒として使う その傲慢さに俺は腹が立つ」

まだ10代の子供を脅し、自身の手中で従わせていたシロナワにアカカミのみならず、Я リサイドの全員が怒りを覚えている

俺がまだ少年隊でクソガキだった頃にリーダーに言われた

シジマの声が脳裏に響く

「俺たちの信念は子供絶対防御 何があってもこれは守れ」

だから俺はその信念を貫く


「何があっても俺は子供を守る そのためにお前は殺す!!」

その憤りとは裏腹に動きはフラフラとしていた

「そんなのろい動きで俺を殺せると思うなよ!!」

反してシロナワは一気に距離を詰めて仕留めにかかる動き

大きく振り下ろした薙刀がアカカミを捉えた
かのように見えた時、アカカミは背後を取っている

「なぜ…!」

遅かったはずだ…!俺が叩き切ったはずだ…!

背後を取られたことに理解が追いつかず動きが鈍る

烈火レッカ  火突ひとつ

静かに、でも確かに怒りの籠った声で呟き、背後から腹を貫く

「ぬおっ!」

アカカミが静かに槍を抜くと、腹から炎が湧き立ち、シロナワの全身を炎が包む

「ぬおぉぉぉぉお!!!」

黒ずみになっていく体を赤い鮮やかな炎が彩る

「俺はぁぁぁあ!!」

毛皮や服が焼け破れて塵となっていく
さらに赤々と色を濃くしていく炎がシロナワを焼き尽くしにかかる

「ま、ま、まだ、だぁあ!」

その炎を強引に薙ぎ払うと、そこには火傷で皮膚が爛れ、ほぼ丸焦げとなったシロナワがそこにはいた

「ま、まだぁあぁぁあ!!俺はぁぁぁあ!!」

自暴自棄になるようにアカカミに接近し、薙刀を振るが、流れるような足運びでまたもや背後を取った

不規則、それでもって華麗に流れるその足運び
アカカミのその動きを見た者は名前をつけた
それは名が体を表している

陽炎カゲロウ

もう槍に炎は灯っていない
腹を貫いた時、槍の先端から吸収した空気を全て放出し、強引に炎の火力をあげたからである

しかし、もうシロナワの体は槍でなくとも簡単に貫かれてしまう砂の塊ような枯れたものになってしまっていた

背後から心臓を一突き

静かで呆気ない最後だ
七黒シッコクの一角に名を轟かせる野望は自身の体と共に塵となって消えた


陽炎カゲロウ 赤上 勝アカカミ マサル 勝利


アカカミは一息つくとまた、槍を握りしめた

「支部に戻らないと、、」

そう、支部には得体の知れない化け物がいる


北海道支部

大きな褐色の拳がチシマに迫る
拳を頭の横、寸前でかわすが、拳で起こった風圧がチシマを浮かし、窓ガラスを揺らす

「お前、、すばしっこい、、うざい、、」

「とっとと捉えて殺してみろ!!」

飛び蹴りがクマガワの顔面に直撃するがピクリともしない

「お前、、力、、弱い、、」

クマガワは顔面に伸びたチシマの脚を掴む

「……!」

そのまま、強引にチシマの全身を床に打ちつけた
地面に置かれたものが振動で床から離れる

「グハッ!」

背中に強い痛みを感じながらもチシマは身をよじらせて脚を相手の手から離させる

いってぇな…
顔面蹴ったのに、無傷とか人間じゃねぇだろ

支部の地下に避難させた女子高生2人を守らなければならないたまチシマはここから離れることはできない

応援を待つ…いや、、

その判断は土俵坂の信念に反する

勝つ…真正面勝負で、、

「俺は勝つ!!」

強く豪語したチシマに無表情なクマガワは口を開く

「お前、、オデに、、勝てない、、」

「いいや勝つね 」

土俵坂の老い先近いリーダーの姿が浮かぶ

「ワシたちは男じゃけんのう どんな時も真っ向勝負じゃ」

チシマはこの言葉を胸にその化け物に拳を構える

「ジィちゃんの後継ぐ俺がここで負けるわけないからな」
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