Я side The Assassin

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少年隊入隊試験編

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同日 午後7:00

食堂

訓練生の食事時間で賑わっている
その一角でレナ、ゴウ、セツナが卓をともにしてうどんを啜っている

2本を啜っで飲み込んだレナが会話を生む

「けっきょく~~ 組まないってことでいいのかな」

厚揚げを噛みちぎったセツナがこたえる

「そうなんじゃない レナとか恨まれてたし」

「私なんかしたっけ」

セツナよりも長く一緒にいるゴウに視線を向けると汁を溜めたレンゲを容器の中に戻す

「知らん それにそういうのは自覚がないところで勝手に作られるもんなんだよ」

「それもそっか、、」

勝手に納得し、またうどんを啜る

「俺は組んだ方が良かったと思うけどな」

「それな」

協力することを肯定するレナとゴウを見てセツナが首を傾げる

「あ、セツナちゃん 分かってないね!」

「うん、わかんない」

いじるつもりで言った言葉を素直に受け止められるとスンとなってしまうのはレナだけではないと思う

その様子を見て汁を飲み干したゴウがため息をついてセツナに教える

「この試験は一見、資格取得者100と未取得者100の二次試験への切符の取り合いに見えるだろうが、実際はそうじゃない」

「…!?」

「合格カードの枚数は100枚固定、つまり、ゲームのスタートは確かにそうだが、もちろん未取得者は協力してカードを奪ってくるだろう」

頷きながらその話をちゃんと聞く

「だが、その協力している未取得者のうち、1人が1枚を手に入れるとどうなる」

「……!」

セツナも気づいた
考えれば簡単な事だったが、自分を生かすことの真剣で未取得者の事など頭に入っていなかったのだ

「ほかの未取得者がその1人が持ってるカードを奪おうとする!」

「そうだ ようは裏切りが絶えない血みどろの試験になる」

レナも汁を飲み干してうんうんと頷いた

「そんな混戦状態じゃカードを取られた取得者もそれを取り返すのも困難になる だから、」

「取られないように取得者同士で協力するってことか」

辻褄があって納得した

確かにこれは協力した方がいいかも…

「あとセツナ」

「ん?」

「早く食い終わんねえと閉まるぞ」

周囲を見渡すと食器を片付けている人達しかいない

「あ!」

残っていた厚揚げを強引に口に連れていき、汁を飲み干す
下に沈んでいた1、2本のうどんを掻き込む

「ごちそうさまでした!!」

手を合わせて言うとすぐに食器を持って立ち上がる

「落ち着けよ、、」

「セツナちゃん食べるのはやーい」

そんな茶番を終わらせて食器を返し、食堂から出ると腕を組んだ150cmくらいの小柄な男子の訓練生がいた
目元は前髪で隠れている

「なにしてんの宮本ミヤモト

総合順位67位 宮本 英汰ミヤモト エイタ

男子の中ではかなり低身長でチビといじられていたが、実力は確かな訓練生である

「用があるのはセツナだよ」

「え、わたし?」

「一次試験で僕はキミを倒す」

指をさして宣言すると満足したのか背を向けて去っていった

「な、なんで、、」

「ミヤモトって受験資格持ってたよね」

「ああ それで同じ取得を持ってる奴を標的にするのは見当違いなんだが、、」

疑問を残したままエイタの姿は見えなくなった


3人はすぐに歩き出して廊下の間も会話をした

「結局、私たちって組む?」

「そうした方がいい」

セツナの質問にゴウが即答した

「レナもそれでいいよな」

「うん なんか私 シイナちゃんから狙われてるみたいだから1人は狙われると思うし」

シイナからの恨みも背景にセツナとゴウと協力することを決めた

「まぁ狙われるのも100とか90とかの人たちだろうけど、、警戒はしとかなきゃね」

レナの言う通りで最初に狙われるのは取得者の中でも下位に属する者たちだ
しかし、上位も警戒をしなければ不意にカードを盗まれれでもすると面倒なことになる

すると、キリマの声で放送が鳴った
3人はその場で立ち止まり、その放送を聞き逃さないよう静かにする

『えー!入隊試験を受けるみんなー!おっしらせだよっ!!』

いつも通り元気な親衛班の班長に少し呆れる

『といっても!101から200位の子たちなんだけどぉ~~ 今から先に試験場に向かいます!!だから!!15分以内に支度を済ませて外に来てねっ』

そこで放送が切れた
陽気な声が響いた廊下が一気に静まると何もないのに少々気まずくなるのは3人以外もそうだろう

「なんで先に移動するんだろ」

レナが疑問を声に出したため、その気まずさは和らげて2人も話しやすくなる

「多分だが、本部の人数を減らすためだろう 明日、支部から来る奴らも全員、ここに泊めるってなるとどうしたって狭いからな」

「あとは、取得者に未取得者の作戦とかを聞かせないためとかかな、逆もあるかも」

ゴウとセツナの返答は最もなものでレナもその答えに頷いた

「ってことはー 明日ここに来るのも1~100位までの人なのかな」

あくまでセツナの予想が当たっていればの話である

「明日は支部の人たちとの顔合わせもあるだろうからもう部屋に帰ろうかな」

セツナの提案に従った2人も自室に戻った
その後、受験資格未取得者が大所帯で移動したことをそれぞれが部屋の中で音を聞いた把握し、各々の時間を過ごした
22:00頃には本部に残った訓練生が全員眠りについた


翌朝 7:00

本部の前に呼び出された受験取得者たちは指示に従って外である程度まとまって話していた

最後に来たレナがあくびをしてゴウとセツナに挨拶する

「おはよぉ~」

「レナ眠そうだね」

「いつもよりちょっと早かったから眠いぃ」

「早寝する癖をつけろ」

「私も10時くらいにはぇばぁし~」

「あくびで何言ってるかわからん」

そんな茶番を繰り広げていると訓練生の1人が廃れた道路の一直線上の向こうを指さした

「きたぞ!」

その一言で全員がそこに視線を向けるとセツナそれを見た

70人くらいの大所帯が固まってこちらに寄ってくる
すると、その集団の先頭にいた1人の男が突然と走り出し、こちらに向かってきた

それを見たゴウは嫌の予感を感じ、自分たちの集まりをかき分けはじめる

その間も男は止まることなく、スピードを増して、こちらに迫ってくる

「ライダーーーー!!!」

幼くてはつらつとした声だ
ほかの訓練生と比べれば少し低い身長で灰色の短髪にパーマのかかった男子
それが大きな声をあげながら跳んだ

「キーーーーック!!!」

早々の飛び蹴りに本部の集団は驚きを隠せず、動きが止まってしまう

訓練生1人に迫る右足
頭に直撃してしまう、、その瞬間

ゴウがその間に入り込み、右手で足を受け止める

ゴキッ…

「………!」

「おぉーー!!」

表情を明るくして掴まれた足を話すためにその場で身をひねり回転した

空中で横回転…!

その驚きも束の間、右手を振り解かれたゴウに着地することなく、回転の勢いをそのまま3回転くらいした右脚でゴウを左に蹴り飛ばした

何とか左腕で衝撃を緩和したおかげで大打撃を受けずに済んだ

「いきなり何しやがる…!」

突然の攻撃に怒りを覚えながら相手の黒みかかった黄色い瞳に問う

「試験前の交流だよこーりゅー」

「あ?」

いつもよりも低い声で明らかに怒っていた

「こわいな~ でも勝負は大好きだ やりたいならやろうよ」

「買った」

構えをとると先頭のいなくなっていた集団がその場に追いついた
そこにいた長身の男が2人に低い声で水を差す

「とらちゃーん よくないやろ?そんな自分よりもレベル低いやついじめんのは」

関西弁、頭の左半分はスキンヘッドで右半分は金髪を耳元くらいまで伸ばしている

「あ!りゅうーー!」

2人は知らないのようでとらちゃんと呼ばれた男子がりゅうと呼ぶ男子に元気に手を振る

「レベル低いだと…」

「あぁそうや? とらちゃんやワイよりも弱いっちゅーやつにワイらが構う理由がないねん さがって…

バァンッ!!

緑色のメッシュが足を伸ばした
それを受け止めた男は言葉を止めて相手を睨んだ

「なんのつもりや」

「お返し」

ランマルがお返しの足を離す

「調子のっとんちゃうぞ我」

「調子のってんのはお前らの方だ」

雑魚ワンちゃん強者オオカミさまに逆らっとんちゃうぞ」

互いに熱は上等、ゴウがとらと呼ばれる男に、ランマルがりゅうと呼ばれる男に仕掛けようとした瞬間、レナとシイナが声を上げた

「だめ!ゴウ!」 「やめとけランマル!!」

「その人ら
      1位の2人!」
  そいつら       



総合順位1位 焦寅 虎兎麻コイン コウマ
         滝辰 竜馬タキタツ リュウマ

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