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少年隊入隊試験編
16.一次試験
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「だめ!ゴウ!」 「やめとけランマル!!」
「その人ら
1位の2人!」
そいつら
レナとシイナの声で2人の動きは止まったが、トップの2人は止まらなかった
「どりゃー!」 「伏せろや雑魚」
しまった…!
2人の思考が重なった瞬間、ランマルの前に背中が、コウキの後ろに影が現れる
リュウマの拳を木刀で受け、瞬速にしてコウキを背後から頭を拘束したのは班長2名だった
「なに…!」 「なんや…!」
「騒ぎは面倒なんだ やめてくれ」
リュウマの拳を木刀で受けたのは、、
「「村上 信二さん…!」」
特攻班班長 村上 信二
「シンジ先輩の言う通りだ 試験まで抑えとけ」
コウキを縛ったのは、、
「「柴木 雷蔵さん!」」
派遣班班長 柴木 雷蔵
Я のトップ層2者が揃うと周囲は黙り込み、争いを始めようとした4人も拳を下ろす
試験資格取得者にムラカミが声を上げた
「6日後には一次試験だ この間、お前らは他人に暴力を振るうことを禁ずる それは訓練を理由にすることも無しだ それ以外は各々自由に過ごせ 仲を深めるのも対策を深めるのもいつもの生活を繰り広げるのも自由とする わかったか」
「「「「はい!!」」」」
この場にいる全員が声を張って返事した
「じゃあ解散!」
資格取得達は本部へと入っていった
数時間後、、
本部内をシイナが何か言いながら歩き回っている
「北海道支部の部屋は、、」
シイナは気になっていることがあった
それは一昨年に起こったcool war の影響で移転を余儀なくされた北海道支部の訓練生たちの様子だ
「どっか誰かいないかな」
何かが迫る予感がしたシイナは回し蹴りで振り向く
「ヒャッ!」
高い声を出してしゃがんだ華奢な少女は猫耳つきのフードを被っている
「ご、ごごごご!!!ごめんなじゃい!!」
シュトトトトトトトトトトトトトト……!!
「は!はやい!!」
巻足で逃げる少女をシイナは逃がさまいと追いかける
「ちょ!アンタ誰!」
「こ、ここここ、こ!このような未熟者で陰キャで陰湿で存在価値のない人間に名乗るものなどございませんんんんんんんんん!!」
さらに加速して遠のいていく
「あ、ちょ!!アンタ!そこ!」
「ごめんなじゃ… ドォン!
「あ、、」
壁に全身がぶつかった
「はにゃぁ~?」
その場で額から血を垂らしながら目を回して後ろから倒れた
ゆっくりと近づいてしゃがむ
「だ、だいじょうぶ…?」
と手を伸ばすと「は!」と飛び上がって瞬間的に正座をし、頭を15回くらい上げ下げする
「すみません、すみません、ずみばせん!」
なぜそんなにも謝って来るのか分からないシイナは逆に困ってしまう
「別に怒ってないけど、、」
「え、そうなんですか」
「う、うん」
正座をといた少女は先程の騒ぎはなんだったのだろうと思わせるように落ち着いて立ち上がる
「急に蹴ったりしてくるから、、怒ってるのかなって、、」
人差し指をつんつんしながら言う少女にシイナは「ごめん」と申し訳なさそうに言った
「アンタ名前は」
「三股 小鈴です、、」
目を背けながら答えた
「ふーん ミマタって北海道支部?」
「あ、えと、はい」
あ、ちょうどいいじゃーん
「今、アンタらの支部ってどうなってんの」
「それって、、あの事件からってことですか、」
「そう」
cool war の詳細は訓練生にも伝わっているため抽象的な言い方でも相手に伝わる
「札幌から、函館に移転しました、、その後は移転する前と変わってないですよ、、心配ありがとうございます、、」
「いや、心配はしてない 気になっただけ」
「あ、そうですか、、」
「ごめんな引き止めて じゃ、試験頑張ろ」
そう言って振り返って去っていったシイナを見届けていると横から声がした
「今のが13位の女か」
かなり男気を感じさせる声だ
「凱くん 聞いてたんだ」
170cmくらいの身長で作業着を着用し、前チャックを開けたままにして割れた腹筋と胸筋を空気に晒している
さらに額に黄色のハチマキを巻き、髪の毛は半分が逆立ち、もう半分は眉毛くらいまで垂らされて先端は尖っている
「コスズ お前は自信持てよなぁ 順位はお前の方が上だろ」
三股 小鈴 総合10位
「そうだけど、、たまたま上だっただけかもだし、、」
「じゃあ自信つけるためにもぉ試験受かんなきゃだな!」
大神 凱 総合6位
「なんなら!試験中に負かせれば強いことの証明になっからな!!」
「一次試験だと仲間割れだからしないけど、、」
「お?確かにそうだな」
「まぁ、、」
フードの中の笑みが見える
「機会があれば、かな、」
薄茶色の前髪で隠れたマゼンタ色のジト目が光ったような気がした
宮城支部 待機場
コウマは自身の待機室で椅子に座り、足を貧乏ゆすりしていた
「つまんないなー 試験まで待てないな~」
「コウマってば静かにしてよー さっきからずっと大きい独り言」
幼い喋り方で目に小さな星マークのついた少女が頬をふくらませて文句を口にする
「男の子ってほんとに!バトル!とか戦い!とか大好きだよね!」
「イチゴは違うの?」
「ちがう!わたしは傷つけるのやだ!」
「なんで特攻班試みてんだよ」
「それもちがう!!わたしは戦える親衛班になりたいの!そう!あのかわいいムナさんみたいに!」
紅 イチゴ 総合9位
「かわい子ぶってるだけのイチゴじゃ無理だよ」
「なんだとーーー!」
勢いよく立ち上がる
「お!やんのかーー!」
コウマも立ち上がってお互いに殴り合いの構えをとる
拳がまじわるその瞬間、ドアが勢いよく開いた
「騒がしい!!」
2人が同時にそこを見ると本を持った少年がいた
籠ったような声をしており、張ってもそんなに大きな声にはならなかった
「りっくん!」
イチゴがその少年に抱きつくと少年はそれを「邪魔」と冷たく言って突き放した
「あたっ」
「本部の人達に迷惑だから試験まで騒ぐのやめてくれ」
旗上 陸斗 総合5位
コウマが「はーい」とつまんなそうに床に寝そべった
「楽しみだなぁ…!」
天井に向けたその笑顔は確かに明るかったが、同時に恐ろしいものでもあるような気がした
武道場
明かりもつけずに腕立て伏せをしているオレンジ色のアフロで鍛え上げられた肉体の男がいた
すると、そこに明かりをつけて入ってきた男がいたリュウマだ
その明かりで動きを止めて立ち上がった
「よぉリュウ!お前さんも筋トレかいな」
片谷 我男 総合7位
「ちゃうわ アンタみたいな筋肉馬鹿ちゃう」
「おぉ?鍛えるのは大事なことやけどな」
「中身だけでいいわ!見た目までそんなんやったら女の子からドン引きされてまうやろ」
「初めましてで暴力する方がモテんとちゃうか」
ランマルとのいざこざを思い出す
「あれはあっちからしてきたことやし」
「挑発したのはリュウやで」
「うるさいわボケ!」
ツッコミのノリで回した右脚を左腕で受ける
「暴力したらあかんってムラカミさんから言われたやろ!」
「あ、そうだった」
ゆっくりと脚を下ろしたリュウマの背後にまた違う人物がいる
「リュウはほんまに喧嘩っ早いわ~」
リュウマが振り向くとそこには左下まぶたに小さなホクロのついた抹茶色の髪をサイドテールにした少女がいた
弁財 翠 総合4位
「ミドリ…あんま驚かすなや」
「ごめんごめん」
「ミドリちゃん!なんか用かいな」
ガオが元気に聞くとミドリは耳を軽く抑えてその大きな声を緩和する
「提案しにきたんやで~リュウにな~」
「ワイ?」
「喧嘩ふっかけて来よったあの新田 蘭丸とかいう下郎、どっちが先に潰すか競争しぃひん?」
その突飛な提案に関西人は意図も簡単に乗ってしまうのかそれともここにいる人物がおかしいのか
リュウマは鋭く笑った
「ノった」
本部内で様々な思惑が渦巻く中、ついにその日は来た
「お、お!お!」
セツナが野外で何かを見上げて驚いている
「大きいぃ!!!」
目の前にあるのはスポーツに使われるようなドームが1つ
ここは仲介班班長カタギリのコネと巧みな話術によって毎年この時期に借りれるようになっている
ドームの屋根が大きな鳥の翼でドーム内を包むような装飾が施されていることから"大鷹ドーム"と呼ばれている
100人の集団の先頭に立つ先導役のリンドウが資格取得者たちに大きく声をかけた
「全員、合格カードは持ってるよな!」
全員が試験用の紫色の戦闘服の胸ポケット内を確認する
レナやゴウもそのカードがあることを確認して前を向き直した
「持ってることが確認できたら!正面にある5台のバスに20人ずつ乗ってもらう!それぞれのバスに乗る人員はこちらで既に決めている指示に従ってバスに乗ってくれ」
「「「はい」」」
全員が口を揃えて返事したが、総合5位、宮城支部のリクトが違和感と疑問を覚えた
ドームには着いているのに、バスに乗るのか
そのことを不思議に思いながら資格取得者はリンドウの指示に従ってバスに乗っていく
「セツナとゴウ、どっちもと違うバスだね」
レナが寂しそうに言うとゴウが元気づけるように言う
「かなり怪しいが、問題ないだろう 3人とも受かるぞ」
「「おぉー!!」」
3人で激励をしてそれぞれのバスに乗り込む
バス内のアナウンスでリンドウからバスの説明がされた
「このバスは自動運転だ 不安なこともあると思うが、それはすぐになくなるだろう」
「ん?すぐなくなる?」
とセツナが首を傾げた瞬間、バスが急旋回して180度違う方向に向いた
「フェッ!!?」
さらに1秒も満たぬうちに時速メーターの針が180を振り切る
「「ぬァァァァァ!!!」」
急発進したバスは中の乗客の体調を何一つと考えていない速度で走る
「なになになになになに!!!」
他のバスも同じ仕打ちを受けているのだろう
各バス内は歯を食いしばる者や、椅子に掴まる者がいる
その速度のまま、各バスは違う大型車両用入口に入る
その時に聞こえたリンドウのアナウンスが不敵にもほどがあった
『一次試験を開始する!健闘を祈る!!』
大型車両を止める空間を過ぎてバスがアスファルトの壁に衝突した
ドォォォォン!!!
その瞬間、バスは大爆発しアスファルトの壁を大崩壊させると当時に乗客を大鷹ドームの中、つまり、半径1kmの試験会場に突如として放り出されたのである
「やってる事ヤバすぎでしょぉぉぉお!!」
100人それぞれがドームの各地に着地した
見渡すと会場はいくつかにエリア分けされているようだ
荒地、水辺、工業地帯、高層ビル地帯、沼地
バス内を20人ずつに分けたのは各エリアに受験者を分散させるためだと勘のいい者は察していた
工業地帯
ここに放られたゴウはそれ以外にも気づくことがあった
101位から200位を俺たちよりも先にここに連れてきた理由、、そういうことか…!
それに気づいた瞬間、横から手が伸びてきた
「もらった!!」
「……!」
それを反射で跳んでかわすと自分たちの着ている戦闘服の色違い、灰色の服を着た少年がいた
ゴウの周りにいた紫色の服の受験者も灰色の服の受験者に攻撃されていた
「やっぱり先にコイツらをここに連れてきたのは…」
沼地
レナも同じ状況に陥っておりゴウと同じことに気づいた
「作戦を立てさせるため…!」
この試験会場の構造を把握させて、自分たちの闘いやすいフィールドを選択させたってわけね!
高層ビル地帯
ランマルが1人を道路の端に置かれたトラックに蹴り飛ばした
「それだけじゃなく、1位から100位の人達の仲の良い奴を違うバスに乗せて協力を難しくしてる、、」
「それだけじゃねぇぞ!!」
ランマルが目をやるとそこには総合6位 北海道支部のガイがおり、灰色の受験者の腹を殴って気絶させている
「コイツら明らかに協力してる動きや!」
「こっちの協力の回避だけじゃなく、あっちの協力の強化も狙ってるってこと?」
「そういうこっちゃ!!」
ガイがまた1人相手をはっ倒す
「こりゃかなり手強いことなんぞ」
荒地
セツナが敵の攻撃を得意な動体視力で回避しながら反撃している
3人で固まって動く作戦だったのに…!それは対策済みって感じ…!
当初の予定であったレナやゴウとの協力は早々にして破綻した
合流も視野に入れて前に走りながら相手を払っていくが、邪魔をしてくる紫色の受験者がいた
「待てよ」
その言葉でセツナは足を止め目線を向ける
「早速か…」
ごめん、レナ、ゴウ、、私、合流無理だ
先日、夕食後に宣戦布告をしてきた本部 総合67位のエイタがポケットに手を突っ込んで闘いの意を向けていた
「ミヤモト、、」
「キミのカードは僕がもらう」
「その人ら
1位の2人!」
そいつら
レナとシイナの声で2人の動きは止まったが、トップの2人は止まらなかった
「どりゃー!」 「伏せろや雑魚」
しまった…!
2人の思考が重なった瞬間、ランマルの前に背中が、コウキの後ろに影が現れる
リュウマの拳を木刀で受け、瞬速にしてコウキを背後から頭を拘束したのは班長2名だった
「なに…!」 「なんや…!」
「騒ぎは面倒なんだ やめてくれ」
リュウマの拳を木刀で受けたのは、、
「「村上 信二さん…!」」
特攻班班長 村上 信二
「シンジ先輩の言う通りだ 試験まで抑えとけ」
コウキを縛ったのは、、
「「柴木 雷蔵さん!」」
派遣班班長 柴木 雷蔵
Я のトップ層2者が揃うと周囲は黙り込み、争いを始めようとした4人も拳を下ろす
試験資格取得者にムラカミが声を上げた
「6日後には一次試験だ この間、お前らは他人に暴力を振るうことを禁ずる それは訓練を理由にすることも無しだ それ以外は各々自由に過ごせ 仲を深めるのも対策を深めるのもいつもの生活を繰り広げるのも自由とする わかったか」
「「「「はい!!」」」」
この場にいる全員が声を張って返事した
「じゃあ解散!」
資格取得達は本部へと入っていった
数時間後、、
本部内をシイナが何か言いながら歩き回っている
「北海道支部の部屋は、、」
シイナは気になっていることがあった
それは一昨年に起こったcool war の影響で移転を余儀なくされた北海道支部の訓練生たちの様子だ
「どっか誰かいないかな」
何かが迫る予感がしたシイナは回し蹴りで振り向く
「ヒャッ!」
高い声を出してしゃがんだ華奢な少女は猫耳つきのフードを被っている
「ご、ごごごご!!!ごめんなじゃい!!」
シュトトトトトトトトトトトトトト……!!
「は!はやい!!」
巻足で逃げる少女をシイナは逃がさまいと追いかける
「ちょ!アンタ誰!」
「こ、ここここ、こ!このような未熟者で陰キャで陰湿で存在価値のない人間に名乗るものなどございませんんんんんんんんん!!」
さらに加速して遠のいていく
「あ、ちょ!!アンタ!そこ!」
「ごめんなじゃ… ドォン!
「あ、、」
壁に全身がぶつかった
「はにゃぁ~?」
その場で額から血を垂らしながら目を回して後ろから倒れた
ゆっくりと近づいてしゃがむ
「だ、だいじょうぶ…?」
と手を伸ばすと「は!」と飛び上がって瞬間的に正座をし、頭を15回くらい上げ下げする
「すみません、すみません、ずみばせん!」
なぜそんなにも謝って来るのか分からないシイナは逆に困ってしまう
「別に怒ってないけど、、」
「え、そうなんですか」
「う、うん」
正座をといた少女は先程の騒ぎはなんだったのだろうと思わせるように落ち着いて立ち上がる
「急に蹴ったりしてくるから、、怒ってるのかなって、、」
人差し指をつんつんしながら言う少女にシイナは「ごめん」と申し訳なさそうに言った
「アンタ名前は」
「三股 小鈴です、、」
目を背けながら答えた
「ふーん ミマタって北海道支部?」
「あ、えと、はい」
あ、ちょうどいいじゃーん
「今、アンタらの支部ってどうなってんの」
「それって、、あの事件からってことですか、」
「そう」
cool war の詳細は訓練生にも伝わっているため抽象的な言い方でも相手に伝わる
「札幌から、函館に移転しました、、その後は移転する前と変わってないですよ、、心配ありがとうございます、、」
「いや、心配はしてない 気になっただけ」
「あ、そうですか、、」
「ごめんな引き止めて じゃ、試験頑張ろ」
そう言って振り返って去っていったシイナを見届けていると横から声がした
「今のが13位の女か」
かなり男気を感じさせる声だ
「凱くん 聞いてたんだ」
170cmくらいの身長で作業着を着用し、前チャックを開けたままにして割れた腹筋と胸筋を空気に晒している
さらに額に黄色のハチマキを巻き、髪の毛は半分が逆立ち、もう半分は眉毛くらいまで垂らされて先端は尖っている
「コスズ お前は自信持てよなぁ 順位はお前の方が上だろ」
三股 小鈴 総合10位
「そうだけど、、たまたま上だっただけかもだし、、」
「じゃあ自信つけるためにもぉ試験受かんなきゃだな!」
大神 凱 総合6位
「なんなら!試験中に負かせれば強いことの証明になっからな!!」
「一次試験だと仲間割れだからしないけど、、」
「お?確かにそうだな」
「まぁ、、」
フードの中の笑みが見える
「機会があれば、かな、」
薄茶色の前髪で隠れたマゼンタ色のジト目が光ったような気がした
宮城支部 待機場
コウマは自身の待機室で椅子に座り、足を貧乏ゆすりしていた
「つまんないなー 試験まで待てないな~」
「コウマってば静かにしてよー さっきからずっと大きい独り言」
幼い喋り方で目に小さな星マークのついた少女が頬をふくらませて文句を口にする
「男の子ってほんとに!バトル!とか戦い!とか大好きだよね!」
「イチゴは違うの?」
「ちがう!わたしは傷つけるのやだ!」
「なんで特攻班試みてんだよ」
「それもちがう!!わたしは戦える親衛班になりたいの!そう!あのかわいいムナさんみたいに!」
紅 イチゴ 総合9位
「かわい子ぶってるだけのイチゴじゃ無理だよ」
「なんだとーーー!」
勢いよく立ち上がる
「お!やんのかーー!」
コウマも立ち上がってお互いに殴り合いの構えをとる
拳がまじわるその瞬間、ドアが勢いよく開いた
「騒がしい!!」
2人が同時にそこを見ると本を持った少年がいた
籠ったような声をしており、張ってもそんなに大きな声にはならなかった
「りっくん!」
イチゴがその少年に抱きつくと少年はそれを「邪魔」と冷たく言って突き放した
「あたっ」
「本部の人達に迷惑だから試験まで騒ぐのやめてくれ」
旗上 陸斗 総合5位
コウマが「はーい」とつまんなそうに床に寝そべった
「楽しみだなぁ…!」
天井に向けたその笑顔は確かに明るかったが、同時に恐ろしいものでもあるような気がした
武道場
明かりもつけずに腕立て伏せをしているオレンジ色のアフロで鍛え上げられた肉体の男がいた
すると、そこに明かりをつけて入ってきた男がいたリュウマだ
その明かりで動きを止めて立ち上がった
「よぉリュウ!お前さんも筋トレかいな」
片谷 我男 総合7位
「ちゃうわ アンタみたいな筋肉馬鹿ちゃう」
「おぉ?鍛えるのは大事なことやけどな」
「中身だけでいいわ!見た目までそんなんやったら女の子からドン引きされてまうやろ」
「初めましてで暴力する方がモテんとちゃうか」
ランマルとのいざこざを思い出す
「あれはあっちからしてきたことやし」
「挑発したのはリュウやで」
「うるさいわボケ!」
ツッコミのノリで回した右脚を左腕で受ける
「暴力したらあかんってムラカミさんから言われたやろ!」
「あ、そうだった」
ゆっくりと脚を下ろしたリュウマの背後にまた違う人物がいる
「リュウはほんまに喧嘩っ早いわ~」
リュウマが振り向くとそこには左下まぶたに小さなホクロのついた抹茶色の髪をサイドテールにした少女がいた
弁財 翠 総合4位
「ミドリ…あんま驚かすなや」
「ごめんごめん」
「ミドリちゃん!なんか用かいな」
ガオが元気に聞くとミドリは耳を軽く抑えてその大きな声を緩和する
「提案しにきたんやで~リュウにな~」
「ワイ?」
「喧嘩ふっかけて来よったあの新田 蘭丸とかいう下郎、どっちが先に潰すか競争しぃひん?」
その突飛な提案に関西人は意図も簡単に乗ってしまうのかそれともここにいる人物がおかしいのか
リュウマは鋭く笑った
「ノった」
本部内で様々な思惑が渦巻く中、ついにその日は来た
「お、お!お!」
セツナが野外で何かを見上げて驚いている
「大きいぃ!!!」
目の前にあるのはスポーツに使われるようなドームが1つ
ここは仲介班班長カタギリのコネと巧みな話術によって毎年この時期に借りれるようになっている
ドームの屋根が大きな鳥の翼でドーム内を包むような装飾が施されていることから"大鷹ドーム"と呼ばれている
100人の集団の先頭に立つ先導役のリンドウが資格取得者たちに大きく声をかけた
「全員、合格カードは持ってるよな!」
全員が試験用の紫色の戦闘服の胸ポケット内を確認する
レナやゴウもそのカードがあることを確認して前を向き直した
「持ってることが確認できたら!正面にある5台のバスに20人ずつ乗ってもらう!それぞれのバスに乗る人員はこちらで既に決めている指示に従ってバスに乗ってくれ」
「「「はい」」」
全員が口を揃えて返事したが、総合5位、宮城支部のリクトが違和感と疑問を覚えた
ドームには着いているのに、バスに乗るのか
そのことを不思議に思いながら資格取得者はリンドウの指示に従ってバスに乗っていく
「セツナとゴウ、どっちもと違うバスだね」
レナが寂しそうに言うとゴウが元気づけるように言う
「かなり怪しいが、問題ないだろう 3人とも受かるぞ」
「「おぉー!!」」
3人で激励をしてそれぞれのバスに乗り込む
バス内のアナウンスでリンドウからバスの説明がされた
「このバスは自動運転だ 不安なこともあると思うが、それはすぐになくなるだろう」
「ん?すぐなくなる?」
とセツナが首を傾げた瞬間、バスが急旋回して180度違う方向に向いた
「フェッ!!?」
さらに1秒も満たぬうちに時速メーターの針が180を振り切る
「「ぬァァァァァ!!!」」
急発進したバスは中の乗客の体調を何一つと考えていない速度で走る
「なになになになになに!!!」
他のバスも同じ仕打ちを受けているのだろう
各バス内は歯を食いしばる者や、椅子に掴まる者がいる
その速度のまま、各バスは違う大型車両用入口に入る
その時に聞こえたリンドウのアナウンスが不敵にもほどがあった
『一次試験を開始する!健闘を祈る!!』
大型車両を止める空間を過ぎてバスがアスファルトの壁に衝突した
ドォォォォン!!!
その瞬間、バスは大爆発しアスファルトの壁を大崩壊させると当時に乗客を大鷹ドームの中、つまり、半径1kmの試験会場に突如として放り出されたのである
「やってる事ヤバすぎでしょぉぉぉお!!」
100人それぞれがドームの各地に着地した
見渡すと会場はいくつかにエリア分けされているようだ
荒地、水辺、工業地帯、高層ビル地帯、沼地
バス内を20人ずつに分けたのは各エリアに受験者を分散させるためだと勘のいい者は察していた
工業地帯
ここに放られたゴウはそれ以外にも気づくことがあった
101位から200位を俺たちよりも先にここに連れてきた理由、、そういうことか…!
それに気づいた瞬間、横から手が伸びてきた
「もらった!!」
「……!」
それを反射で跳んでかわすと自分たちの着ている戦闘服の色違い、灰色の服を着た少年がいた
ゴウの周りにいた紫色の服の受験者も灰色の服の受験者に攻撃されていた
「やっぱり先にコイツらをここに連れてきたのは…」
沼地
レナも同じ状況に陥っておりゴウと同じことに気づいた
「作戦を立てさせるため…!」
この試験会場の構造を把握させて、自分たちの闘いやすいフィールドを選択させたってわけね!
高層ビル地帯
ランマルが1人を道路の端に置かれたトラックに蹴り飛ばした
「それだけじゃなく、1位から100位の人達の仲の良い奴を違うバスに乗せて協力を難しくしてる、、」
「それだけじゃねぇぞ!!」
ランマルが目をやるとそこには総合6位 北海道支部のガイがおり、灰色の受験者の腹を殴って気絶させている
「コイツら明らかに協力してる動きや!」
「こっちの協力の回避だけじゃなく、あっちの協力の強化も狙ってるってこと?」
「そういうこっちゃ!!」
ガイがまた1人相手をはっ倒す
「こりゃかなり手強いことなんぞ」
荒地
セツナが敵の攻撃を得意な動体視力で回避しながら反撃している
3人で固まって動く作戦だったのに…!それは対策済みって感じ…!
当初の予定であったレナやゴウとの協力は早々にして破綻した
合流も視野に入れて前に走りながら相手を払っていくが、邪魔をしてくる紫色の受験者がいた
「待てよ」
その言葉でセツナは足を止め目線を向ける
「早速か…」
ごめん、レナ、ゴウ、、私、合流無理だ
先日、夕食後に宣戦布告をしてきた本部 総合67位のエイタがポケットに手を突っ込んで闘いの意を向けていた
「ミヤモト、、」
「キミのカードは僕がもらう」
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