Я side The Assassin

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少年隊入隊試験編

17.嫉妬

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一次試験終了まで20:00

高層ビル地帯

ランマルはある程度かかってくる灰色の受験者たちを一波超えて息を着いていた

「フゥー…」

あんなに固まってた受験者も結構バラけたな…

「できれば同じとこに落ちた誰かと手を組みたかったけど、、」

誰もいない周囲を見渡して呟くと耳元に花の香りが漂った

「うちが一緒にいてあげましょーかっ」

「…!」

その妙に色気の多い声にランマルは魅了されることなく瞬時に距離を取った

「あら?お気に召さなかったようね」

金髪サイドテールの関西人が舌を小さく見せて立っていた

弁財 翠ベンザイ ミドリ……」

「うちの名前を知っとるとはお目が高いなぁ~」

突如、現れた彼女への警戒をさらに高める

「そんな怖い顔せんといてやー メッシュくんっ」

め、メッシュくん…

その呼ばれ方に違和感と少々の不快感を覚えながらも体勢を変えずに攻撃に備え続ける

「ほんまに警戒心の強いお方やわ」

「オレになんの用事がある」

「やっと話す気になってくれやしたなぁ けどその前に、昔話に付き合ってくれへんかなぁ」

「YES」とも「はい」とも「どーぞ」とも返さなかったのにミドリはランマルに話し始めた

「滋賀支部の中でもなぁ うちとリュウとガイは実力はずば抜けてたんよぉ それ、なんでやと思う?」

「知らない」

と端的な返答を鋭く返す

「そんな冷たくせんでもええやーん まぁいい」

この女、めんどくさい、、

「3人で競い合って来たからや 単純に順位争いしとるんとちゃうよ? 各々が持っとるプライドや尊厳、信念を突き通すために高めあって来たんや」

「何が言いたい」

「うちらが本部に着いた時、アンタはリュウに「調子に乗ってる」って言うたよな」

ランマルは当日のことを鮮明に浮かべながら話を聞いている

「リュウは1位を取ったと知った時、全力で喜びよったんや 訓練期間アイツは誰よりも努力しよった、、」

空を見上げるミドリは汗を飛ばしながら訓練をしているリュウマの姿を思い浮かべている

「努力と結果からくる自信の言葉をアンタは貶した」

美しい瞳は一気に曇り、ランマルを睨む
その様子の変化に気づき、ランマルも再び力を入れ直す

「やからアンタはうちが倒す リュウの、友達のプライドと自信を護るために!!」

勢いよく踏み出した右足には確かに力がこもっている
大体、こういう飛び込みは蹴りか拳、一瞬、右腕を引く動作が見えたランマルは正拳突きを警戒し、両腕を盾にするようにして頭の前に置く

しかし、ミドリの右拳は両腕の盾に当たることはなく、平手のまま空振ったかのように地面に勢いよく撃たれた

「なに…!」

平手が地面に着くと同時に腕をバネのようにしてランマルを越えて背後をとる

「しまっ…!」

後ろへの警戒を緩めていたランマルに左足が迫る


工業地帯

「オレは運がいい!!」

コウマの小動物のようなすばしっこさがゴウを翻弄していた

「チッ…!」

突然襲ってきたと思えば、コイツか、、

ひとつの工場の屋根で始まった戦闘はコウマの優勢で展開され、ゴウは手も足も出ない状況に置かれていた

小刻みに絶え間なく行われるパンチやキック、体術、同じ動きを繰り返しているわけではない型にハマらないとても捉えずらい攻撃の応酬がゴウを守りに徹させている

「クソッ…」

投げ技を仕掛けたゴウの飛びつきを跳んでかわし、背後に回ると同時に空中にいる状態でゴウの後頭部を右足で蹴りつける

「ドワッ…!」

受け身が取れない体勢で食らった一撃で前に倒れかける

「おっと!倒れちゃダメだよ!!」

両脚を背後から腰に回し自分の体を後ろに反らし逆バク転の要領で倒れかけているゴウを後ろに投げ飛ばす

「ヌアッ…!」

屋根に体を一度打ちつけ、そのまま屋根から落下する
地面に体を打ち付けることのないように今度はしっかり受け身を取って体勢を整える

投げようとして逆に投げられるとはな…

コウマが追って屋根から飛び降りきた

2つの工場の間にある狭い道、周りの建物で日は通らず、コウマの色のない瞳がさらに暗く感じられる
その死んだような目を見てゴウは口を開いた

「お前、、人生楽しいか…」

憐れみのような表情だ
コウマは基本、笑顔だ 闘っている時でさえ無邪気に笑っている

だが、どこか充実していないように見える
その色の落ちた瞳はなぜ、輝きが灯っていないのか、いや、おそらくその輝きはどこかで消えてしまったのだろう
そこにコウマの何かがある、そんな気がゴウにはした

「俺は闘ってればそれだけで楽しい!!」

飛びついてくる相手を寸前でかわし、左拳を振るがコウマはしゃがんで回避、自身の左腕を中心に低い姿勢のまま回転、その際に脚で相手を引っ掛け体勢を崩す

「やべっ!」

仰向けに倒れると追い討ちをかけるように右拳が迫るがそれを転がってかわす
ある程度、距離を離したところで立ち上がり右手首を抑える

その動作を見てコウマは指摘を始める

「なあなあお前…手首折れてんだろ」

「……!」


荒地

ランマルやゴウと違い、セツナはエイタを圧倒していた

蹴り飛ばされたエイタが乾いた地面に体を打ちつけ、転がりながら立ち上がる

「なんで私を倒そうとするの」

「教える筋合いがない」

「なんでそんなツンツンしてるの!!」

踏み込み跳びからのかかと落としは回避されたが、着地の瞬間にウサギのように跳んで背後をとり、ミドルキックを背中に入れる

「のはっ」

「もう一髪っ!」

回し蹴りをエイタの頭に繰り出そうとした瞬間、灰色が目の前に現れた

「……!」

その灰色の試験服を着た少年はセツナの脚を受け止めた

「やっと見つけたぜ エイタ」

「来るのが遅い」

「わりぃな!!」

弾かれたセツナは静かに着地し、自分の攻撃を止めた人物を凝視する

身長は私と同じくらい…スカーフを手首に巻いて銀色のピアスを右耳につけてる明らかにチャラそうな男子、、

「え、誰」

「そう!それを待ってた!!」

ボロっとでた言葉を意図的に出したように捉えその男子は一回転した
エイタはそれを見て額に手を当ててため息をついた

「俺は!」

髪を手でサッと通す

「みんなのヒーロー!」

左脚を軸に急回転し、右足を地面につけて勢いを殺して左目でウィンク
セツナはそれに思わず「うわっ…」と小声でこぼす

西園寺 貴将サイオンジ タカマサ

総合101位 鹿児島支部 西園寺 貴将

「エイタとやってやがるってことはセツナとかいう女で合ってるよな!」

言葉の勢いに任せて殴りかかってきた

「え、ちょ、まっ!!」

それをかわすが、畳み掛けるように接近し、近距離での殴り合いになる

タカマサが拳を伸ばせばセツナはそれを手で受ける
これを両手で繰り返す

「連打連打!!」

タカマサの乱暴な連打は勢いと速度を増す
セツナも受けが間に合わなくなっていき、腹や頭に何度が被弾する

「くっ……!」

「どしたどした!!守りばっかじゃ俺は倒せんぞ!」

「ほざけ!!」

姿勢を低くすると同時に相手の脚を足首ですくい上げる
体勢が崩れたタカマサの頭を蹴りつけようとした瞬間、背後にいたエイタがすかさず飛び蹴りし、セツナを守りに回させ、後退させる

「助かったぜー」

「走りすぎはよくない」

こけているタカマサに手を伸ばすとその手を掴んでタカマサは立ち上がる

セツナは殴られた頬の汚れを拭って2者に指を指す

「なんで!わたしを!!狙うの!」

「だから教える筋合いが…」

エイタが先程と同じ返答をしようとしたところにタカマサはそれを止めるように声を上げた

「それはね!!キミが突如としてЯ リサイドに入ってきたせいでね!俺が!ギリギリ100位に入れなかったからだよ!!」

張り切ってそう言ったタカマサにエイタは「はぁ~」と深いため息をつき、セツナは少々引いた表情をした

「それまじ?」

「そうさ!!幼い時からいた俺は2年前にいきなり現れたキミが俺よりも上にいることが気に食わないんだよ!!」

そう声を上げながら攻撃を仕掛けてきた
落下しながら拳を下ろしてくるのを見てセツナは防御に回るが、タカマサの下からエイタがスライディングで滑り込んできた

「……!」

セツナはそれに対応できず、前に倒れる
同時にタカマサの振り下ろした拳が後頭部に直撃した

「ブハッ…!!」

顔が地面に押し潰され、鼻から血が吹き出し、顔全体に硬い地面の破片が付着し、かすり傷を負う

「オラヨッ!!」

エイタが倒れた背に追い討ちで踏みつける

「どしたどした!!」

タカマサが胸ぐらを掴んで起きあげるとセツナの顔は酷く、右目頭が腫れており、流れた鼻血が顎まで垂れている

胸ぐらを掴んでいるタカマサの隣にエイタが立つ
無抵抗な相手に会話を持ちかける

「なぁセツナ キミが何人から嫌われてるか知らねぇだろ」

「……!」

「2年前、キミが本部に来てレナと闘った時、誰もがボコボコに洗礼を浴びると思った…だが、、」

当時の戦闘の様子を脳内に浮かべる

「キミはレナと互角だった、それどころかレナはキミに僕たちにすらなかなか見せない技を見せたんだ」

脚蹴りで相手が怯んだ隙に拳を打ち込んで倒す
というレナの得意技の話である

「その後もキミはゴウを倒して躍進を続けた キミよりも長い時間、訓練してきた僕たちがいきなり現れたキミにあっという間に追い抜かれるのは屈辱だったよ…」

明らかな恨みの視線を向けると彼女は鋭く微笑んだ

「ハハッ…」

エイタはその微笑みで更に苛立ちを覚えた

「あ…?」

「なんだそんなことか…それはそれは教える価値のないことだったね」

「なんだと…」

「詰まんねぇな~ただのとかw」

今までにない口調だった
口癖が悪いセツナは訓練生を含め、誰も見たことがない

「じゃあなんだよオメェらw私が運の良さでここまで上ってきたと思ってんの?笑わせんな!!」

不敵な微笑みから真剣な表情に一瞬にして変化し、胸ぐらを掴んでいるタカマサを右足で蹴りつけて離させ、着地と同時に高く跳ぶ

回転兎ラビット!!」

縦回転した勢いを乗せて頭の中心にかかと落としを食らわせた

「なっ…!!」

タカマサは白目を向いて気を失って倒れる

「タカマサ!!」

「どこ見てんのぉ!?」

気づけばセツナは自身よりも低い位置を取っていた

逆立ち兎リバースラビット!!」

逆立ちの勢いで足を上に勢いよく伸ばし、エイタの顎を捕らえた

「ドワッ…!」

倒れたエイタの前で綺麗に両足を地面につけたセツナは醜態な姿を見下ろした

「私がここまで来れたのはなぁ 運じゃねんだよ」

この時、彼女が体で感じていたのはと同じものだった


鋭利な何かから滴る何かわからない液体は静かに床を濡らしていた

私には嫌いな奴らがいた
私には憎ましい奴らがいた
私には殺したい奴らがいた


頭を上げようとするエイタを左足で踏みつける

「ぬっ…!」


だから、、殺した、、


「それが分かるまで相手してやっから早く立てよ…」

彼女はと同じように影の中で不気味に微笑んだ

いつもは黒い目がその瞬間、ドス黒い赤色に鋭く光った
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