Я side The Assassin

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少年隊入隊試験編

20.二次試験

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ドーム観戦席

一次試験の様子を配布されたデバイスから映像で確認していた観戦者たちがいる

親衛班副班長 キドウ、派遣班副班長 アカカミ

「ミカさん」

「どうしたマサル 試験中は全く話しかけてこなかったクセに」

冗談とイジりを含んだ返しにアカカミは顔をしかめる

「そんな顔すんなよ でどした」

「今年の子はどうだったんですか」

「本部のヤツらは盛んだったな みんな何かしら目標とか信念とか掲げるものがあった」

「へぇ~何となくで特攻班選んだ俺とは大違いだな」

「お前は昔からライゾウに引っ張られただけだったからなぁ」

キドウとアカカミは同時に同じことを思い出す

派遣班班長 シバキと副班長 アカカミの初めての出会い

キドウは当時、特攻班に属しており訓練生の戦闘訓練担当になっていた

キドウが訓練生たちに向かって声を上げた

「今日がお前ら初の戦闘訓練ってことで自己紹介しておこう!
私は鬼堂 美香キドウ ミカ!お前らに戦闘を教える!よろしく!!」

熱のこもった挨拶に訓練生は緊張も相まってか「はぁ」といった感じで静まった
しかし、それを拍手で濁した者がいた

「キドウさん!よろしくお願いします!」

元気に頭を下げたのは訓練生時代のシバキだった

「おお!元気なヤツは育てがいがある!」

シバキは目を光らせた

「ありがとうございます!!」

嬉しそうにそう言ったシバキを見て1人ボヤく者がいた

「なにがありがとうだよ……」

その小さな声にシバキは気づきその者の腕を掴んだ

「……!」

振り向いたのは当時のアカカミだった

「感謝の気持ちを表してなにが悪いんだよ!」

「うるさいなぁ 俺はお前みたいな空気読めないヤツ嫌いなんだよ!」

「な、なんだと!!」

そこで殴り合いが勃発しそうになったところにキドウが声をあげた

「やめろ!!」

空気がピリついた
特攻班という戦闘のプロの鋭い一言は殴り合いを起こさせない

「近頃、実戦訓練もある そん時にやれ」

「「はーい…」」


2人が記憶から戻って会話を続ける

「で実戦訓練のときお前は負けて…」

「やめてください」

「いや言うね 泣いた」

「はぁ…それがあったおかげで俺たちは分かり合えたんでもう良い思い出ですけどね」

すると、キドウのスマホが鳴った
画面を開いて通知から内容を把握した

「そろそろ二次試験だ 位置つくぞマサル」

「やっぱ苦が重すぎだと思うんですけど」

「しゃあないな ムナもシジマさんこれでいくことを決めたんだ 私たちは指示に従うだけ」

体をほぐすための伸びをしながらそう言って歩き出すキドウにアカカミも着いていく

「子供を傷つけることはしたくないんですけどね~」


待機室

一次試験の合格者100名が待機している

ガオの声が部屋に響いた

「なんやて!!ミドリちゃんが落ちた!?」

他のもの達が友人との会話や飲食を停止してその声を見た

「声がデカいわボケ」

リュウマはそれを注意して話を続ける

「メール見た感じやとランマルにしてやられたっぽいわ」

「リュウ蹴ってきたやつか」

「これでワイはアイツとのゲームに勝ち確になったけどな」

「そのゲーム本気でやっとったんやな」

腰に手を当てて胸を張ったリュウマと冗談だと思っていたガオの間にストローのズボボという詰まった音を鳴らして割り込んで来た男がいた

「オレは負けないよっ」

まだ中身の入ったオレンジジュースのパックをリュウマに投げつける

「あ…?」

パックをキャッチして振り向くとそこには空になったパックを潰すランマルがいた

「おうおうおう…!」

睨みつけながらそう言ったリュウマにガオが「なんでそんな喧嘩腰なんや」と呟いた

ガオを無視してリュウマはランマルを見つめる

「よう話しかけて来れたのぉ雑魚」

「なんかベンザイとか言うヤツがオレにお前の努力みたいなこと語ってきたから一応言いたいことがあって」

「チッ…ミドリのヤツ余計なことしよってからに」

「なんかめっちゃ頑張ってたらしいけどオレには関係ないから…」

「おぉ…せやな んでそれがどしたねん」

「いやそんだけ じゃ互いに頑張ろうぜ」

煽るような素っ気ない態度にリュウマは沸点に達した

グチョッともらったオレンジジュースのパックを握り潰してオレンジの液体を片手に垂らしながら白目をむく

「なんやと貴様ぁぁぁあ!」

「やめんかリュウ!」

ガオが腕を前に置いてリュウマが前進するのを止める

「ふざけとんちゃうぞ我!!」

その大声を無視してパックを捨てる場所を探すランマル

「どこだっけゴミ袋」

それを見て更に熱が上がる

「逆撫でしとんのかこの雑魚!!」

「みっともないて!!」

ガオが襲いかかろうとするリュウマを抱きついて止める

「はぁ…!はぁ…」

落ち着きを取り戻す

なんでワイがアイツに煽られなあかんねん…!
しかもミドリのヤツ…!ワイの憧れの人の話までしとったら後でぶっぱなしたるわ…

思うと同時にその憧れの人物の背中が見える
凛とした佇まいで刀を持ち、背中を見せている

ワイはあの人みたいになるためにこんなところで躓く訳にはあかんねん

真剣な表情に変わったリュウマをガオは「フッ」と笑った

やっぱお前さんはそういう顔が似合うわ


一方、その頃、、

女子更衣室

隣接したシャワー室のドアを開けてから更衣室に首にタオルをかけて胸を隠しただけで出てきたシイナは金髪の髪から水滴を床に落としながら自分の服があるロッカーへ歩く

ロッカーに手を伸ばすとちょうど隣で下着を着終わってスカートに手を伸ばすコスズがいた

「キッタカさん」

「ん?なにー」

互いに着替えを進めながら会話をする

「シャワー長かったですね」

「ミマタも今、出たとこでしょ」

「私は、、入るのが遅かったので、、」

言えない…シャワーの出し方に10分以上戸惑ってたなんて…

「二次試験どんな感じだと思う?」

「そうですね…ってえええ!!」

コスズはミマタがロッカーから取り出した物に驚いた

「な、ななな!なんてブラジャー!!」

それは大人が着用しそうな黒が基調とされたもので花の編み込みがされている

「そ、そんなに驚く?」

「いや奇抜!大人っぽい!エッチ!!」

「最後のは違うから!!」

迫真のツッコミ

「て、てか!スタイルも抜群ですし!、なんか!モテてそうです!」

「え、そう?」

満更でもない顔でスタイルを見せびらかすようなポーズをとる

「そうですよ!私なんて、、」

自分の胸を両手で触る

そんな音がしていないのは確かだが、2人には聞こえた

ペタッ…

「あ、、」

「私なんて!小さめのスポブラで十分なものしか持ってないのに!!」

ここで注意【彼女は15歳なので恥じることではありません。シイナのが盛んなだけです】

「まあまあ、まだ将来もあるんだし、」

「その時にキッタカさんはGぐらいありそうですよね、、」

「なんでちょっと泣きそうなのよ…」

すると、シイナの反対隣にちょうど着替え終わったコスズよりも小柄な女子がいた

「ほらあの子なんて身長も足りてないし」

気づかれないように指さして小声で言うとコスズも小声で返す

「聞こえたらどうするんですか」

「聞こえてるわよ」

ドキリッ…!

明らかに鳥肌がたった動きをした2人を見て、星型の目は瞑られた

「はぁ…さっきから胸の話ばっかり…」

立ち上がっても140センチ程の身長の少女が言う

「この際だから教えてあげるわ!この世の男はね!胸より!ロリなのよ!!」

ドォォオン!!

シイナとコスズの心に雷が落ちた

「待って、それめちゃくちゃアウトな気がするから…」

シイナが止めようとするがその少女は止まらない

「良い…!?この世の男はね!エ○動画を見る時に!小○生が!男に○○○されるのを見て○コってんの!」

「や!やめてください!!」

大変気持ち悪い表現申し訳ございません。作者としても垢BAN覚悟の上でこのセリフを採用しております。つきまして、ご指摘があった場合、即座にこのセリフを健全なものに改善致します。誠に申し訳ございません。

「フンっ!まぁいいわ」

なんか急に開き直ったんだけど…

「私は 紅 イチゴ アンタらには負けないから」

真剣な勝利宣言にコスズは慌てて頷く
シイナはニヤリと笑った

「望むところだわ」


待機室

ひとりベンチに座っているゴウは右手首を抑えていた

まだ痛むな…

折れているであろう右手首だが、包帯や補強をつければセツナやレナに心配され彼女らの不安の要素になりかねないため、そのようなことはしない

すると、ちょうどレナが横に座った

「おつかれゴウ…ちょっと怪我してんね」

焦寅 虎兎麻コイン コウマに襲われてな」

「あーあ…会って早々に喧嘩なんて売るから…」

「あれはあっちが先に蹴りかかってきたろ」

「はいはい…言い訳はいいから てか!セツナはどこ?」

「わからん まだ会ってない」

「まさか落ちた?」

「んなわけあるか」

「だよね~ 更衣室見てくる!」

今は言うなれば休憩を兼ねた着替え時間で一次試験で使われた試験服はもう使用しないため、普段の個人で使っている戦闘服に着替える
なので、合格したセツナも着替えている最中かもしれない
よって、レナは更衣室へ向かったのだ
しかし、更衣室にいないことはベンチから立ち上がった瞬間にわかった

「エイタが落ちた…!」

ゴウとレナが目を合わせる
明らかにセツナの声だった
声の元に人混みをわけて行くとそこにはセツナとタカマサが向き合って立っていた

「あぁ…なんでか知らんが俺の胸ポケットにはカードが入ってた」

「そんなわけない!エイタはお前のカードを取って…!」

その時のエイタとの会話を思い出す

「まさか…!エイタ、私に嘘を…でもなんで!」

「メール見たら俺のためとか言ってたぜ」

「はぁ…!?なんでアンタ何かのために…!」

証拠だと言うようにスマホを見せつける
送り主はエイタでそのまま文が続いていた

タカマサ、裏切ってごめん…でも、殴ってきた時はムカついた…だからあぁいうことしたって分かってくれ。あの時は咄嗟にお前を倒したけど…お前の夢を台無しにする訳にはいかないからカードは入れたままにしといた…

セツナがその文を読み終わる

コイツの夢…?

「だってよ なんか知らねぇがびっくりするぐらい俺を買ってるらしい」

なんとも思ってなさそうなタカマサの態度にセツナはイラついた

「アンタはそれでいいの?元はと言えばアンタがエイタを裏切って…!」

「関係ない関係ない…俺は受かってアイツは落ちた それが結果で事実だ 裏切りとかどうでよくね?」

調子のいい態度にセツナは胸ぐらを掴んだ

「テメェ…!」

「離せ 俺はヒーローになるんだ こんなしょうもないことに感情的になりたくない」

「クッ…!」

拳が繰り出されそうになるとレナとゴウは「セツナ…!」とやめとけとも取れる声をあげた
しかし、セツナの拳は止まらない
拳がタカマサの頬に当たる瞬間、それを受け止めた者がいた
我に返ったセツナが上を見上げる

「はっ…!リンドウさん!」

セツナは拳と掴んでいた胸ぐらを離す

「す、すいません!」

「当たってないからセーフにしといてやる」

リンドウの寛大な態度にセツナは頭を下げた

「サイオンジ お前もお前だ 煽るのはやめろ」

「さーせんっ」

全く反省していない口だったが、今はそんなこと気にしている暇もないとリンドウが大きく声をあげた

「二次試験の内容を発表する!全員!よく聞け!!」

全員がリンドウの方を向いた

「二次試験はだ」

ポイント制…?

「一次試験で使ったフィールドをそのまま、規定範囲とする!フィールドには様々な場所に逃げ役を配置しておいた!受験者はその逃げ役を…」

懐から銀色の手錠を出した

「この手錠をかけて捕まえる鬼役になる!手錠は1つしか配らないが、1つ1人に使う必要は無い 何度も使用してくれ」

リンドウが一度、息を吸い直す

「また、逃げ役にはそれぞれポイントが割り振られている 合計ポイント上位30名を二次試験合格とし、少年隊入隊試験の合格者とする」

誰もが思った

合格者数…30…!?

明らかに少ない数字であることは誰もがわかった

シイナが思考する

通年なら80人は合格していたのに…やっぱり、試験の難易度が今までの比じゃなくなってるのね…!

「で、その逃げ役なんだが、特攻班や少年隊の人員に任せている 1~5点の配点をしているが、逃げ役はもちろん攻撃もしてくるぞ」

まぁただの鬼ごっこなわけないよなぁ

コウマが呑気にそんなことを思う

「そして、逃げ役には30点を保有する特別逃げ役もいる」

「「「「………!?」」」」

ガイもその数字に驚く

30点か…5点とかと比べるとデケェな!

「ただし、特別逃げ役は…この方々だ!」

待機室の壁に貼り付けられたモニターがついた
その画面には服の中心に「特別!」とゴシック体でかかれた者たちが立っていた

「はぁぁあ!?」「マジかよww」「フェ~」

それぞれが反応を見せるのも当然、そのダサい服を着た者たちは、、

「特攻、親衛、派遣の!班長、副班長だ!」

特攻班班長 村上 信二ムラカミ シンジ
  副班長 町下 寛太マチシタ カンタ
親衛班班長 桐間 無奈キリマ ムナ
  副班長 鬼堂 美香 キドウ ミカ
派遣班班長 柴木 雷蔵シバキ ライゾウ
  副班長 赤上 勝アカカミ マサル

全員に電撃が流れるような衝撃と緊張がほとばしる

「お前らは持ち武器でもなんでも使って構わない!大量得点目指してけ!!」

「「「「はい!!!!」」」」

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