Я side The Assassin

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少年隊入隊試験編

21.力とドリルとブーメラン

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1年前、、

会議室

キリマが各班の班長、副班長、そしてリーダーシジマの前で今回の二次試験の概要を説明していた

「以上が二次試験の概要 なにかある?」

シバキが資料を読みながらキリマの説明も踏まえて考察していた

試験者の武器は科学班が手配して俺たちは木刀とか生身とか、、最低限度の威力のある武器だけしか使えない…
まぁそれはいいか…訓練生と俺たちじゃ実力が違う…ただ、、

同じことを考えていたのかムラカミが手を挙げて質問した

「逃げ役に特攻班と少年隊、あと傘下の組織から招集した人物を起用するらしいが、収集は着くのか?」

「最低限度の人数で結構よ 逃げ役も反抗してもいいようにするし、試験者が気絶したらその子は親衛班が会場から回収するわ」

「回収されたやつのポイントはそれまでに稼いだものしかなくなるってことか?」

「ええ、そう」

「了解した」

ムラカミは口を閉じ椅子にのたれかかる

「ムナ」

ドシリとした声がキリマの耳に届いた

「はいなんでしょう リーダーさんっ」

シジマは厳しい顔持ちで口を開いた

「そうなると受かる子供がいなくなってしまうかもしれないぞ」

さらに目を細めたシジマを見てマチシタが息を呑んだ

ひぇ~やっぱ真剣な顔のリーダーは怖ぇな…
子供が近くにいないとずっとあんな顔しやがる

キリマも冷え汗を少しかきながら応える

「そこは問題ありません、、」

「ほう?それ何故?」

問いにキリマは息を吸い直して冷静な表情で口を開き直す

「私はあの子たちをずっと見てきたから分かります」

続けて自信満々の笑みで大きく声を出す

「あの子たちは優秀ですから!」

その勢いで会議室は一瞬、衝撃を帯びて静まった
シジマもそれを見てニヤつく

「そうか なら楽しみにしておく」


現在、、

観覧席の一角でシジマはコーヒーを含みながら逃げ役が準備している様子を見ていた

「さて、逃げる側も訓練生たちを落とすように動く どうなるかな」


荒地

観覧席よりの隅の方で100名の訓練生は待機していた

セツナ、レナ、ゴウが向き合って話している

「2人とも今回は協力できそうだね!」

「そうだな」

「絶対受かろう」

特攻班…私が目指してる場所、そこにいる人たちがどんな人なのか知れるチャンスでもあるんだ…!

セツナが意気込みをつけたところで開始のホイッスルが鳴った

ピーーー!!

100人が同時に飛び出した
集団の先頭にいた受験者が前方に見える影に気づく

「なんだ…1人なんかいんぞ!!」

瞬間、その影の1つが大きく跳び、こちらに急接近する

「やべぇ…!くるぞ!!」

構えた瞬間にはもう目の前に左拳が迫っていた

ドゴッ…!ボォン!!

拳を打ち付けられ地面に押しつけられた
砂埃が舞う中、屈強な女性の影が見える
地面に倒れた1人の受験者は気を失って倒れ伏せている

「さぁテメェら!!私が第一関門だ!!」

砂埃を払って出てきたのはЯリサイドの特服の前をあけて胸を包帯で巻いて隠し、背中に「特別!」の弾幕をつけているキドウが突撃してきたのだ

「かかってこいやガキども!!」

「マジか…」「一撃…」「突っ込んでくるとか聞いてねぇぞ!」

全員が恐ろしくなって足を止める中、アフロの男はキドウに向かって集団の中から走り抜けてきた

「きたな!!」

その男の筋骨隆々の拳をキドウも拳で打ち返す

「総合7位 片谷 我男カタヤ ガオか!殴り合いじゃ負けねぇってか!!」

「そんとおりや!!アンタに通せんぼされちゃ困るからの!!」

「あっそ!!」

急に拳離したと思いきやミドルキックでガオを離す

さすがは隊長、副班長の中でも怪力に自慢のあるキドウさんや…!

さらに、ガオの背後から跳んで手首に装着したドリルを振り下ろしてきた男がいた

「削れちまえ!!」

「…!」

後ろに跳んでかわすとドリルは地面に突き刺さり、荒地の地面をドカドカと削った

作業服を着た屈強な男が肩を回す

「6位の大神 凱オオガミ ガイか…力持ちっぽいお前らが相手になってくれんだな!」

「風穴ぶち開けるぜ!!」

右手首に装備されたドリルが勢いよく回転する

「待てや!協力せな勝てへんて!!」

ガイとガオがキドウの気を引いているうちに他の受験者たちはこの場から離れるために走り出した

猫耳フードを被ったコスズが同じ北海道支部であるガイに心配の視線を送るが自分も点を稼ぐために行かなければならないと加速した

セツナ、レナ、ゴウは共同して動くため、走りながら行先を決める

セツナが話を切り出す

「どこ行く?」

率先して行先を決めたのはゴウだった

「工業地帯だ あそこは建物もあって逃げ役も結構いるかもしれない それに高層ビルよりも戦闘で動きやすい」

「なるほどね!じゃあそこにしよ!!」

セツナとレナも賛同し、工業地帯の方へ走る

リュウマが走りながらガオの様子を伺う

あのバカ…!考えなしに突っ込みよって…俺は手伝わん…!闘いたい相手がおるからな!

リクトとイチゴが並んで走っている

「リクト!どこ行く!!」

「高層ビルと工業地帯だけは避けたい…」

「なんで!」

「高い建物があるところはマチシタさんに撃たれる」

「あー…なるほどね!」

狙撃を警戒し、建物がある区域を避ける選択をとった

「あとイチゴ…」

「なに!」

「コウマはどこだ」

「あ!また単独行動しやがったなアイツ!!」


シイナとランマルは集団から一抜けしたため2人のみで走っていたのだが、

「シイナ」

「なに」

ランマルが後ろを不思議そうに見ながらシイナに話す

「あの猫耳だれ」

「え?」

シイナが振り向くと自分たちを追いかけているコスズの姿が見えた

「ミマタ!?」

驚きで足を止めるとランマルも走るのをやめたが勢い余って転びそうになる

「おっとっと」

片足で体幹を保つランマルを横目に追いかけてきたコスズに声をかける

「なんで追いかけてきたの」

追いついたコスズがあたふたしながら応える

「えと、、1人が心細くて、、協力した方がいいかなって」

どんどん視線が下にいくコスズを見てため息をつきながらも了承の返事をする

「まぁいいわよ」

「あ、ありがとうございます! キッタカさん!」

ランマルはコスズが頭を下げるのを見ながら「え、誰」と至極当然の反応を見せるその瞬間、

シイナの背後に影が映った

「シイナ!!」

「……!」

ランマルの声でシイナは反射でジャンプしてそのナイフをかわした

「お、やるな」

そこには成人男性が立っていた

特攻班か…ランマルが気づくまで分からなかった…!

シイナは少々焦る

「序盤に集団から距離とるなんて先に潰してくださいって言ってるのと同じだよ 見習いくんたち!」

次に狙われたのはランマルでナイフの斬撃を寸前でかわしながら後ろにさがっていく

「ランマル!」

ケアに入ろうとするシイナの横からさらに逃げ役の人員が襲いかかる

「よそ見すんな!」

咄嗟に取り出したサバイバルナイフで相手のナイフの太刀を受け止める

その2人以外にもほか3人の逃げ役が3人を囲んでいた

5人…!多いな!

ランマルが足を上げて応戦するがギリギリ相手の頭には当たらない
しかし、シューズの先端から刃が飛び出す

「うおっ!」

その隠し刃が相手の額をとらえる
浅い切り傷が入り、少量の血が散る

傷を負った逃げ役のカバーをとるかのようにランマルの横にいる違う逃げ役が銃口を向ける

「しまった…!」

撃たれると思った瞬間、、ランマルの頬スレスレになにか円形のものが通り過ぎた

ジャクッ…!

「なっ…!」

それは銃を向けた逃げ役の腕を通り過ぎ、切り傷を負わせる

勢いよく元の方向に旋回して戻っていくカッターブーメランを掴んだのは、、

「私の友達の友達をいじめないでください、、」

「……!」

シイナが自分に向かって来た逃げ役を払ってそれを見る

「ミマタ?」

シイナもランマルも呆気にとられたが、その隙を相手がみすみす逃す訳もなく、額に傷を受けた逃げ役が再び、ランマルにかかる
シイナも目の前の相手とナイフ同士の撃ち合いになり、力で押されそうになる

やっば…!

しかし、投げられたカッターブーメランが2人の間を通り抜け、逃げ役のナイフを持った手の肘を切った

「いっ…!」

力が一気に弱まりシイナがそれを押し返すと相手は倒れる
追い討ちをかけるように相手の方にナイフを突き刺す

「なっ……!」

シイナは相手の手首に手錠をかけた

ランマルを狙っていた銃を持った逃げ役は標的をコスズに変える

「まずはあの子からだ!」

その逃げ役がまだ動いていない2人の逃げ役に指示すると2人の逃げ役は挟むようにして襲いかかって来る

シイナの方へ投げたブーメランが右手に帰ってくるが、反対の対応は間に合わないように見える

「もらった!!」

「ひぇぇぇえ!!」

両肩からナイフが迫る
左手を腹ポケットに入れて何かを素早く取り出すと右手に持ったブーメランと同様に相手の刃を受け止める

「…!2つ目!」

2つ目のカッターブーメランで左側の相手の刃を受け止めている

「持ち運びのために軽量化してるんです、、すいません、、」

姿勢を突然低めにとり、2人の足元をカッターブーメランで切る
2人が痛みで倒れるのに合わせて跳び、2人の頭を踏み落とす

「「ぬおっ!」」

顔面が荒地の地面に突きつけられた
2人の手首に手錠をかけようとしているところを銃を持った逃げ役が発砲しようとする

しかし、手元に銃はなかった

「ど、どこに…!」

それは背後から後頭部に触れた

瞬奪しゅんだつ…それは俺が盗った」

逃げ役は潔く両手を上げて降伏の意を示す
先程までランマルと闘っていた逃げ役は地面に倒れている
挙げた腕に手錠をかけて3人はこの場の危機から脱した

手錠をかけられた5人の服の袖につけられたリングから出る発光が緑色から赤色に変わった

「これが捕まえた証拠か、」

変色の意味を察しているとシイナがコスズに飛びついているのが見えた

「あわわわわ…!」

バフンッ

「ミマタやるじゃない!!」

「えっと、、ありがとうございます…!」

ランマルはそれを見て微笑みながら2人の近くに寄っていく

シイナ2点、ランマル3点、コスズ3点

幸先の良い出だしを切った3人だが、この後、まさかの人物を相手にすることになる、、
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