Я side The Assassin

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社長令嬢護衛編

34.隊長

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4月9日

新春 学生や社会人、日本国内の皆が新生活を迎える
だが、最もそれを感じるのは受験という厳しい関門をくぐり抜けた者に高校入学生である

桜の花びらが舞うここ神奈川でも、、

神奈川県 横浜市 

私立太刀城たちしろ学園

紺色を基調とした制服、チェックのネクタイを着用し、学校から配られるスクールリュック担いで校門の前で仁王立ちする男が1人いた

「入学だーーーーー!!」

ガイが大きく声をあげた
他の学生の視線がガイに集まるのが分かる
その目立つガイの背後から駆け走る男がいた

「うっさいわボケ!」

勢いよく背中を蹴りつけたのはハヤテでガイは「どへっ!」と言ってバランスを崩すが、倒れることなく前に出た

「初手から目立ってどうすんねんドアホ」

「興奮するのは仕方ないだろ!」

睨み合いに発展した2人だが、その異様な光景にまた視線が集まる

「はぁほんとバカみたい」

「ま、そんなこと言ってあげるな」

それを何も関係ない人のように横から通るランマルとシイナ
女子の制服はネクタイはなく、リボンが紺色で膝の少し上まであるスカートはチェックになっている

「2人ともやめて恥ずかしいから」

間に入ったのはセツナでそれを聞いた2人は周りを見渡して黙った

「あかん目立ってもうた」

「やっちまったぁ~」

「いや、アンタらのせい」と言いたいのを我慢してセツナは2人と並んで生徒昇降口までの道を歩く


セツナはその道で1週間ほど前のことを思い出す

リーダー室

今回の任務に参加する
セツナ、ハヤテ、ランマル、シイナ、ガイ、サトシがシジマに招集されていた
シジマは背もたれが高い革質の椅子に座り、机を挟んで6人と対面している
6人は手を後ろに組んで両足を離して立っている

「これからZ社の社長がいらっしゃる そこで任務の詳細を説明しよう くれぐれも無礼が無いようにな」

すると、部屋の扉が開く
そこにはカタギリが立っており、先に入って背後にいる人物を案内した

黒いスーツ服を着たふくよかで大きな男性が入ってきた

「失礼する」

ふてぶてしい態度で入室したこの男はZ社社長 北澤 高雄キタザワ タカオである
6人はカタギリの目の合図でリーダー席の後ろにずらりと並び直した

「キタザワ様 ようこそお越しくださいました」

シジマがへりくだってソファに座るように案内するとタカオはソファに座り、その向かいのソファにシジマも座る

「それでは実際に本題から」

シジマが続けるとタカオは手を前に出して言葉をさえぎった

「申し訳ないが、先に娘がお世話になる者たちに敬意を示しておきたい」

タカオは立ち上がると6人に頭を下げた

「無邪気で失礼な奴だが、根はいい子なんだ そんな不器用な娘の護衛をよろしく頼む」

新入隊員5人はまさかの対応にあたふたしていたが隊長のサトシだけはキリッとした態度で口を震わせることなく言った

「はい 僕たちの命に懸けて必ず御守りいたします」

これも経験というものだろうか
セツナたちにはできない応対をスラスラと行えるサトシは成るべくして隊長になったのだろう

激励にほっとしたのかタカオはソファに腰を下ろした

シジマが話を本題に移した

「始めに今回の発端について確認します」

その後、シジマが説明したことはこうだ

1月頃にタカオ社長宛に届けられた手紙に

"拝啓、北澤様。
新春より我々は貴方様の一人娘である北澤 夏鈴の息を止めに参ります。新生活に期待を膨らませている貴方様方に最高のおもてなしを致すことを心から思っております。

と書かれていた
そこでタカオ社長は娘 夏鈴カリンにボディガードなどを付かせようとしていたが、それを娘は拒否した
そして、少年隊入隊試験の会場を提供することを条件にЯ リサイドに娘の護衛を指示てきたのだ

「そこで任務の詳細ですが、ここにいる6人を娘さんの通い始める太刀城学園の新入生、転入生として潜入させます」

学園の関係者には予め、事情を説明しており、多額の金を払ってこの件の対外秘を契約した

「皆、優秀なので娘さんの命は補償致します」

「おお、それはありがたい それで、報酬額はいかが致しましょう」

「そんなものはいりません 未来ある子供の生存 それがなによりの報酬ですから」


そうこの任務を師匠が簡単に引き受けたのは非力な子供を守るため、Я リサイドの信念に私も今日から

ふと前を横切った桜の花びらに誘われたように顔を上げると五階建てで生徒昇降口の屋根の上に刀と洋剣を交わらせたオブジェが備わっている大きな校舎が日光に照らされていた


体育館

新入生350名とその保護者がステージに立つ校長の言葉に耳を傾けていた
ほとんどが緊張で姿勢よく着席しているが、ごく一部は睡魔に耐えきれず頭をコクコクと落とす

ランマルはそのごく一部だった
緑メッシュが縦に揺れる
隣に座る生徒が迷惑そうに落ちていく頭を見る

そのランマルも司会の「在校生代表挨拶」というマイクを通した声には目を覚ました

「代表 生徒会長 松竹 岳斗マッチク ガクト

すると、ステージ脇から現れたのは制服でサッカーボールを蹴る美青年だった
会場の全員がまさかの登場に驚き、目を釘付けにする

ステージ中央までドリブルしていくとボールを浮かし、トラップで頭上にボールを滞空させる

「今から調子にのってる人にシュートしまーす」

入学生の口が開いた

軽く跳んで体をひねらせ、落下しているボールに標準ミートを完全にあわせる脚ぶりを魅せた

力と勢いがこもった蹴りがボールに吸収される
脚とボールが離れた瞬間、その力はボールから解放され急加速を生み出す

ほとんどの人物がそのボールを遅れて見ることしかできなかったがシュート先に選べれた調子にのってる人はしかとそのシュートの恐ろしさを理解していた

あ…これやばいな

狙われていたのはハヤテだった
甘んじて受ければタダで済まないことを瞬間的に察した

床を蹴って飛び上がり、パイプ椅子が倒れる音が体育館に響くと時間が凝縮されたように遅く感じる  遅い時のなかでハヤテの綺麗な長い茶髪がなびく

「よっ…と!」

向かってきたボールを空中で右足で収めるとそのまま壇上に蹴り返した瞬間、凝縮された時間は元に戻る

「まじっ?」

ガクトも思わず苦笑した
勢いが反転してこちらに向かってくるボールを右手で掴んだ
指を食い込ませるように力強く握り、ボールの勢いを殺した

「うっそぉん」

キャッチされると思っていなかったハヤテも着地しながら苦笑する

一連の超人現象に教員、入学生、保護者は一瞬、声をなくした
その静けさを破壊したのはガクトの言葉だった

「キミ!いいね!ぜひサッカー部においで!すぐにレギュラー入りだ!」

いや、ほかに言うこと絶対あるだろ

ハヤテは顔崩して「は?」と言った


教員の1人が「マッチク!!」と声を上げながらステージに走っていくのが見える

「あ、、」

やってしまったのだろう、ガクトは後ろ頭を空いている左手で撫でてこう言った

「キミたちと楽しい生活を送れることを嬉しく思うよ!入学おめでとう!」

全員に雑な挨拶をして教員の「待ちなさい!」という声を無視してステージ裏に走って降りていった
騒然した体育館は「今のはなんだ」や「あんなのが生徒会長とかマジ?」といった声が聞こえ、今起きた出来事に整理がつかないような様子だったが、セツナたち、少年隊はそうでなかった

俺の蹴ったボール片手キャッチはアカンやろ…

あのマッチクとかいう奴…一般人じゃないわね

特別な訓練を受けていない一端の高校生があのような動きをして、訓練を受けた人物の蹴ったボールを片手で受け止めることなどできるはずがない

セツナたちはマッチク ガクトを要注意人物として警戒心を高めた


数分後、、

入学式は仕切り直して入学生代表挨拶に移った

「首席 北澤 夏鈴キタザワ カリン

ステージ裏から現れたのは胸まである触角と背中の中心まである先端が水色になっている銀髪と白い肌に水色の瞳が麗しい清楚な女子生徒だ

この女子生徒がZ社社長の娘 カリン であり、護衛対象である

彼女は凛とした姿で口を開いた

「ご来場の皆様 本日は私たち入学生のためにお越しくださり大変ありがとうございます そして、私たち入学生はこの学園で大きく成長し、学園の誇りなれるよう努力していく所存です」

綺麗な文章で声もハキハキしている
社長が言っていた無邪気で失礼な感じは一切ない
しかし、その判断も次の言葉で破壊される

「だから言っておきましょう この学園で最も誇りと思われる存在になるのはこの私だと」

どうやらこの学校には変人しかいないらしい

「同級生の皆さん ぜひ私に負けぬようもがき苦しんで下さい」

その一言を最後にしてカリンは頭を下げてステージ裏に去った

もう呆れて注意する気も起きなかったのか教員は入学式を閉式し、入学生を各クラスへ案内した

1クラス50人の構成で成績が均等になるように生徒が配分される
セツナたちはそれぞれ違うクラスに入る

1組にシイナ、2組にハヤテ、3組にガイ、4組にランマル、5組にセツナとなっており、6、7組にはЯ リサイドの仲介班2名が潜入する
一方、今件の防衛対象カリンは1組であり、シイナが速やかな接触を謀っている


第一教室棟1階

1年1組~1年4組

その向かい第二教室棟1階

1年5組~1年7組

そこでそれぞれ担任から設備や校則などの説明を受けている

1年1組

シイナは橘高キッタカという苗字から北澤キタザワを姓にもつカリンは目の前の席にいる
そして、そのクラスの生徒50名の前に立つ担任は眼鏡をかけた真面目そうな小顔の女性だ

「皆さん入学おめでとうございます 担任の宇都宮 桜子ウツノミヤ サクラコです 教科は物理と化学、、だけど1年は物理だけだね よろしく」

シイナは教室内の全てを警戒していた
その中で目に止まったのは目の前にあるカリンの頭の髪飾り、銀色で複雑な植物の模様が彫られている
それに見惚れているのではなく違和感を感じたのだ
髪飾りと髪の間に小さく点滅する赤い光が見えた

「……!」

シイナは反射でその光に素早く手を伸ばして指でつまんだ

「なに!」

カリンが振り返ると同時にシイナその光の正体を確認すると
すると、光の点滅がなくなり、鋭く赤い光を放った

マズイ……!

その小さな光を握りつぶすとパチッと音同時に小さな火花がとんだ

瞬間、

ドォーーーン!!

「え……」

向かいの校舎の一部から爆発した音が聞こえた
まさかな場所の爆破にシイナは気を取られるがすぐにどこが爆発したのかわかった
火災報知器が騒がしく鳴り始める

「7組…!」

全ての教室が1年7組に注目する

すぐに飛び出したのは同じ第二教室棟にいる5組のセツナだった

1年5組

戸惑っている担任と生徒を置き去りにしてセツナは教室のドアを開き廊下を走る
7組の教室から灰色の煙が出ているのが見える
ドアは破壊されておらず、小規模な爆発のようだった

ドアを蹴破ると教室は煙でうめつくされており、一部で火が上がっている

「ケホッゲホッ!」

咳き込む生徒が何人もおり、灰まみれになって倒れている生徒もいた

「大丈夫ですか!早く逃げてください!」

まずは動ける人物を教室の外に逃がし、倒れている生徒に駆け寄る

「大丈夫!!」

首に手を当てて脈を図る

生きてる、、この状態なら他の生徒もいきてるはず

そして、目をあげると窓の向こうで笑う何者かを見つけた

「セツナ!」

教室のドアからガイが声をかけた
セツナがそこを向くとランマルとハヤテもそこにいた

「3人とも!教室の避難は!」

「終わらせてきた!どういう状況だ!」

「わかんないけど、、怪しいヤツを見つけた!」

「なに…」

「私はそいつを追う!倒れてる人達お願い」

するとセツナは床を蹴って窓にとびつきガラスを割って外に抜けた

「おい!待て!って…聞いてねぇな」

「どうすんねん 追う?」

「いや、避難が先だ」

ガイ、ランマル、ハヤテは教室に倒れている生徒を抱えて避難させる

一方、外に飛び出したセツナは背中を向けてグラウンドを縦断する先程の者と思われる人物が見える

「待て!誰だお前!!」

誰が向かっているとこに気づいた何者かは舌打ちをして手に持つスイッチを押し込んだ
セツナが足を地面につける瞬間、地面は光を放った

「……!」

ボォーーン!

地面に仕掛けられていた爆弾が爆発し、セツナを吹き飛ばす

「クッ……!」

小規模な爆発なため、砂がかかる程度で終わったが視界を奪われ、その人物を逃がしてしまった

「逃がした…」

と口から漏らした時、隣を一瞬で横切った人物がいた

「…!さ、サトシさん…!」

目にも止まらぬ速度で抜けていったサトシが校外とグラウンドを隔てる巨大フェンスで止まる

「見とけ新人 これが俺の実力だ」

先程、セツナが追っていた人物がフェンスを上っているのがわかった

「な、なんだアイツッ!」

驚いて手足を素早く動かすが、それを逃がすほどこの男は甘くない

サトシは試験の時と同じ鋼鉄のブーツを両脚に装備していた

「モード変形」

ガチンッ!

脚の裏側の装甲が開き、脚に沿った長く分厚いバネがあらわになる

跳躍ハイジャンプモード」

膝を曲げるとバネが縮み、押し返そうとするがそれをさらに締めて縮ませる

「フゥ~」

そして、一気に膝を伸ばすとバネが大きな弾性の力を生み、サトシを標的がいる高さまで跳ね上げた

「ひぇーーーー!!!」

「モード変形 爆速ジェットモード」

開いた装甲が閉じてバネを隠すとそこから噴射機が生えて高圧力の空気を噴射した

その勢いから放たれる右脚の一撃が無防備な背中を振り抜いた

「オエッ…!!」

白目を向いて気絶した標的は力なく、地面に落下した
サトシもそれの後から悠長に降りる

その光景をセツナはしかと目に焼き付けていた

これが…次期特攻班副班長候補…キヤマ サトシ

気絶した標的を引きずりながらこちらに歩いてくるサトシはセツナに向かって改めてこう言った

「あと、名前じゃなく 隊長と呼べ」
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