Я side The Assassin

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社長令嬢護衛編

35.北澤 夏鈴という女

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太刀城学園 グラウンド

セツナとサトシが拘束した人物に尋問していた

「で?金儲けのためにやったと」

サトシが圧力のある口調で聞き返すと男は恐れおののきながら答える

「そ、そうなんだ!!だ、だだだ、だからなんも知らねぇ!」

2人が目を合わせてこれ以上の尋問に意味が無いことを察し合うとサトシはその男の胸ぐらを掴んで持ち上げた

「ひえっ!!」

「いいか?金がなかった、何も知らなかったとはいえお前は人の命を奪いかけたことに変わりはない だからこれは忠告だ」

頭をぎゅっと近づけて睨む

「次やったら命はないと思え」

「は、、はい!」

その男から手を離し、手を払いながらセツナに指示する

「こいつはここに置いていく 7組に潜入してる仲介班が回収するだろう 俺たちはすぐに生徒集団に戻るぞ」

「分かりました」

2人は爆破犯をそこに放置して避難場所となっている体育館に走る
走りながらセツナは尋問で得た情報を頭で整理していた

カリンさんの首に賞金、、3日中にカリンさんを殺した人物に金を寄与する
賞金は制限時間が迫るごとに上がっていき殺したタイミングの額を手に入れることができる、、
これが殺人予告を宛ててきた奴の仕業だとしたら相当秀逸な殺人計画だ…


そう思考するセツナと、サトシが走り去っていくのを校舎の屋上から見ている白衣の男がいた

「ん~やっぱりボディガード的なヤツらはいるよね~」

屋上の地面に置かれているパソコンに映っているのはカリンの写真と、刻刻と数字を落としていくタイマーだった

61:31:43


体育館

セツナとサトシが体育館に入ると2人のそれぞれの担任が駆け寄ってきた

「ミカワ!何してたんだ!」

「キヤマもだよ!心配してたんだから!」

2人は同時に頭を下げた

「「すみませんでした!!」」

「無事ならいい すぐにクラスの列に並びなさい」

「「はい!」」


その後、教頭から全員の無事が伝えられると1年7組以外のクラスは学級待機となり、速やかに教室に戻った
1年7組は体育館に留まり、軽傷の生徒を手当てするようだ


1年5組

担任がまだ戻ってきていない教室はざわめいていた
その騒がしいなか、セツナは席について疲れを癒していた
すると、後ろの席から肩を叩かれた

「ねぇねぇ!なんで急に教室飛び出したの?」

女子生徒が興味深々に質問してきたが、爆破犯を捕まえるためとは当然言えないため言い訳を即座に考える

「えっ、、と慌てちゃって…」

「あははwなにそれミカワさんおもしろーい」

なんとか誤魔化せたようだ

「私!無良 湊月ムラ ミツキ!これからよろしくね!」

「うんよろしく」

差し出された手をとって握手すると勢いよく手を引かれて耳元で囁かれた

「ねぇ知ってる?この学園の噂っ」

「噂?」

声を潜めることなく聞き返すと「シー!」と小さく言われ、口を閉じた

「女子バド部に学校にカチ込んできた不良10人以上を1人でのし倒した先輩がいるって噂だよ」

噂程度なことに関心もなかったセツナだったが、その言葉で話を聞く気になった

「なにそれ」

「お、興味持ったね~」

ムラは話を聞いてくれるのが嬉しいのか少し声が高くなって話した

「今、女子バドのキャプテンらしんだけどバドやってた子も怖くて入りたくないって!見るだけ見てみたいよねぇ~」

「そうだね 私も気になる」

会話を続けようとするムラだったが、担任がドアを開いたことで口を尖らせて引き下がった

担任の話を聞くふりをしてセツナは思考する

サッカー部にはあのやばい生徒会長…バド部にはすごい噂がある生徒…カリンさんの入部する部活もあると考えると…やっぱ部活はみんなと話して選んだ方がいいかも…


午前11時30分

北澤 夏鈴殺害の賞金取り下げまで60:30:00

爆破事件があったことから警察がやってきて生徒は放課になった
サトシは7組に潜入している仲介班の人員とともにグラウンドで拘束した男をあたかも偶然、発見したかのように教員と警察に差し出した

一方、セツナたち新人は下校道の街道にて今後の方針について話していた

「ってことで部活は分かれた方がいいかなって」

セツナが先程、考えていたことを伝えるとハヤテが真っ先に口を開けた

「俺はサッカー部にいくで あの生徒会長結構やばそうやし」

あの身体能力からして一般人の域を超えているように見える生徒会長のガクト それに誘われたハヤテがいけば何も違和感を生まれないだろう

「それには賛成よ でもキタザワさんがどこに入るかわかんない以上、決め兼ねるわ」

「確かにシイナの言う通り、警戒すべき人物がいる部活に全員が入れば本人の防御が手薄になるしな」

シイナとガイの言うことも全くその通りである

「それに悪いが俺は部活には入れない」

「なんでや」

「放課後に学園内で物壊したり、人殴り倒してる輩がおるらしくてな 俺はそれが気になる」

またも妙な話だ
身体能力が高すぎる生徒会長に女バドの先輩、放課後に学園に現れる暴力者
この学園はいつもこのような生徒たちが募っているのだろうか

「私はバド部に入るからランマルとシイナはカリンさんと同じ部活に入ってほしいな」

「ええ 私も別にアンタの意見に反対って訳じゃないからそれでいいわ あとは…」

シイナの話をランマルが繋げる

「キタザワが何部に入るかだなっ」

「そうだね…」

調査すべきことが多すぎて頭を悩ませている

しかし、その悩みを一瞬で忘れさせる轟音が響く

ゴンッ!

「なに!」

音の方向を見ると歩道を乗り越えて店に突っ込んだ車があった
すると、車から出てきた黒マスクの男3人のうち1人が上空に向かって発砲した

パァン!!

周囲の人達がおののいて耳を抑える

「おいコラァ!!太刀城生出て来やがれ!」

太刀城の生徒が狙い…?あいつらもカリンさん殺しを…!

「出てこねぇと全員ぶっ殺すぞ!!」

次は地面に発砲し、周囲の人々の恐怖を煽る

瞬間、2人が足を踏み出した

1人は駆け出すと美しい長髪がなびき、もう1人 は手首に装備したドリルが急旋回する

「出てきてやったで!チンピラどもお!」

ハヤテが車を飛び越えると拳銃を持っている男を踏み倒した

「な、なんだテメェ!」

助手席側にいる男がその様子を見ると背後から狙う影があった

グウィィィン!!

「腐ったからだにデッケェ穴ぶち開けてやんよ!」

「ヒェッ!」

突き出したドリルは反応した男の頬を掠めた

「おつかれさんっ!!」

ボゴッ!!

ハヤテが男の顔面を踏みつけると男は気絶し何本か歯を破損させた
すると、ガイは男の頭をその大きな手で掴んで地面に叩きつけた

「ぶっ!」

その男も気絶した

「う、動くなぁ!」

「「……!」」

振り返ると最後の1人の男が女性を人質にして威嚇してきた

「て、手をあげろ!さもないとこいつを殺す!」

「いやァァ!」

「だまれぇ!!」

明らかに素人なやり方なのは分かっていたが、もしもを想定して2人は手を挙げた

まだ、動いていない3人が飛び出そうとする瞬間、それよりも早く動いた同じ制服の生徒がいた

「おバカさん!!こっちを向きなさい!!」

「な、なに…!」

慌てて振り返るとそこには銀色の髪をたなびかせた女子高生がスクールバッグを振り回していた

「喰らいなさい!!」

「ブハッ!!」

スクールバッグが男の頭部に振り当てられ、男は人質にしていた女性を手放す
その機を逃さずハヤテは男を飛び蹴りで倒した ガイは人質になっていた女性を腕で支えた

「はっはー!見たかこの愚か者!」

太刀城の女子生徒は倒れた男を指さして高らかに声をあげた

「あんま危ないことすなよ…って!アンタ!」

ハヤテが倒した男を抑えて顔を上げるとスクールバッグを振り回した女子高生の正体に声を詰まらせる

「ええ!ご察しの通り!北澤 夏鈴よ!!あなた達!何か私に言うことがなくって?」

「は?なんのこと ブヘッ…!」

スクールバッグで殴られた

「な、なにすんねん!」

「悪者退治にお手伝いいただきありがとうございます…でしょうが!!」

「あ?何様やねん!!」

言い合いの後ろでガイは人質だった女性に感謝を伝えられていた

「本当にありがとうございました!」

「どう致しまして 気をつけて帰りな!」

「はい…!」

ガイは女性を見送ると倒れている2人の拘束を始めた
まだ、続いている言い合いにセツナとシイナが合流して仲介した

「まあまあカリンさん 落ち着いて」

「ハヤテも黙りなさい」

二人が間に入ったおかげで言い合いは収まったが、カリンがシイナを指さしてさらに大きな声になった

「あ!アンタ急に私の髪触ってきた…!」

「あ、え、あ、え、ええ」

「私の高貴なる髪と髪飾りに勝手に触れるなど!言語道断なのよ!一髪殴らせなさい!」

「お、お断りするわ!」

「私の言うことが聞けないと言うの?ますますいけ好かないないわ!」

気に食わずスクールバッグを振り回そうと腕を回したが手には何も持っておらず勢い余ってバランスを崩す

「あれっ!私のスクバどこ!!」

キョロキョロするカリンから少し離れたところで彼女のスクールバッグについたキーホルダーの音が鳴った
その音の方に目を向けるとランマルが持ち手を持ってバッグを揺らしていた

「こっちだよぉ~」

嫌な予感したから盗っててよかったぁ

お得意の盗む技術でバッグをくすねておいた

「なんて無礼なの!」

カリンはスクールバッグを奪い返すとランマルを下から睨んで胸に指を突きつけた

「アンタ、イケメンなのは認めるけど女の子の私物を奪うなんてサイテーよ!」

そして、指をさらにランマルの胸に押さえた時、シイナの中で何かが切れた
シイナはランマルの左腕に抱きついた

「ランマルは私を守ろうとしただけなの そんなこと言われる筋合いはないわ」

すると、カリンは口を指2本で押さえた

「あら?おふたりさん お付き合いなられていたのね?それはごめんなさ~い」

からかい口調だったが、シイナは顔を赤らめて慌ててランマルから離れた

「そ、そんなんじゃないわ///ただの幼なじみよ!」

「え~?本当かしら」と言うカリンにシイナが怒鳴りかけたため、セツナが割って入った

「もうやめとこうよ 警察の人来てるから…」

「「え?」」

シイナとカリンがそちらを向くとガイとハヤテが警察官に事情と出来事を伝えていた

「つーことでそのわりぃヤツらがこれだ」

縛られた3人の男が警察官の目に止まる

「これ、、キミたちが捕まえたの…」

「せやで 軽くのしてやったわ!」

驚きを隠せない警察官だが、拘束されている以上、真実だと受け入れるしかないようなのでとりあえず、トランシーバで他の警察官に応援を要請した


その様子を建物の上から双眼鏡を使って見ている白衣を着た何者かがいた

「あーあ やっぱ有象無象じゃどうにもなんないかぁ~」

双眼鏡で男1人がパトカーに入っていくのを見て、言いながらポケットからスマホを取り出して片手で操作する

「用済みちゃんはバイバーイっと」

スマホの画面を親指でタップした


ドォーーーーン!!!

瞬間、パトカーに入っていた男が爆発を起こした

「いやぁぁ!!」

「あぶねー!!」

ガイが瞬間的にカリンを担いで倒れた
他は爆風を受けてパトカーから距離をとるように後退する

「ば、爆発やと!」

「うっそぉ…」

「私!消火器とってくる!!」

シイナが近くの店に消火器を取りに走る

一方、危機一髪で回避したガイとカリンだが、カリンは倒れた衝撃で気を失ってしまった

「やべぇ結構強引だった…」

「死んではないでしょ!すぐ病院!」

「もうかけとるわい!」

適切な判断でハヤテが119番に連絡する

「オレ 隊長と本部に連絡する」

ランマルも仲間への報告を行う


その慌ただしい様子を双眼鏡で見ている白衣の人物は笑った

「ええーw今のでも誰も殺れないのかー やっぱ七黒シッコクのヤツらは格が違うね~」

賞金とタイムリミットが映されているノートパソコンを閉じて建物から飛び降りようとするとポケットのスマホが鳴った

「ありゃ 誰だ~」

耳に当てて気だるげに「もしもーし」と言うと何者かの声が聞こえる

『順調か』

「んー意外と不調かもぉ~ 思ったよりアイツら強いし」

『子供数人に何を手こずることがある』

「まあまあそんな急ぐなって!まだ私は出てないんだし!」

『失敗は許さない 分かってるな』

「もっちろーん」

ヘラヘラとした喋り方が少し引き締まる

「賞金は誰にも渡さないからっ」

そこで通話は終わり、スマホをポケットに戻すと白衣の人物はため息をつく

「うっせぇなー ようは殺せばいんでしょ殺せば」

不気味さと恐ろしさを建物の屋上に置いてそこから飛び降りた


午後1時00分

北澤 夏鈴の賞金取り下げまで59:00:00

「何があった!!!」

カリンが勢いよく起き上がるとそこは病室だった
自身は病衣を着て、ベッドの上にいた

「あら 起きたのね」

ベッドの横の椅子に座ったシイナがみたらし団子を食べながら言った

「なにが、あったの」

気絶する直前の記憶を失っているのだろう

「爆発に巻き込まれたのよ アンタはガイが助けたけど捕まえた男3人とお巡りさん2人は死んじゃったわ」

呑気に食べ終わったみたらし団子の串を入れ物に戻して輪ゴムで止める

「死んじゃったって…そんな簡単に」

「事実だから仕方がないことよ」

そう言った途端、カリンはシイナの頬をはたいた

バチンッ!という音が周囲の音を失わせる
突然、何をされたのか分からず、シイナは唖然とした

「なにすんのよ…」

眉を尖らせるシイナだったが、カリンは強気に出る

「人の死をそんな簡単に済ませるな!」

「は…?」

カリンは語り始めると目を赤くした

「人が死ぬことは!そんな簡単なことじゃないのォ…!人が今まで積み立てたものを……!!一瞬で奪い去られたァ!!」

頭をガクガクと縦に落としながら涙を布団に染み込ませる

「そんなの……」

続く言葉は思いつかなかったのか涙を拭って、その充血しきった瞳をシイナに向ける

「アナタは…他人が死んでもどうでもいいの…?」

シイナの中で怒りを制御する糸が切れた

「ええ!どうでもいいわ!知らない奴の命とか!積み立ててきたものとか!クソ喰らえよ!」

病衣を破かんほどに掴み掛った

「アナタ……それ本気で言ってるの!今アナタがどんなに非人道的か!!」

涙は吹き飛んで怒りが勝るカリンは服を掴み返す

2人の言い合いは病室の外にまで聞こえていた

「非人で結構!!私は…!」

脳に過ったのは幼いランマルが頭を潰して大量の血液を流し出しているあの日の視界だ

「ある人を守るためなら誰でも!!自分でも!犠牲にしてやるわ!!」

指一本も入らない距離で睨み合う

「人の死を悲しめない愚者に命なんて守れないわ」

至り冷静になったカリンは怒鳴るのをやめ、静かな怒りを放つ

「愚者…私の人生を何も知らないヤツに語られる筋合いなんてないわ!!」

拳が振りあがり、カリンが目を瞑ったその時、

「やめろシイナ!!」

「……!」

ランマルの声が彼女の拳を止めた
彼に続いて他の同期も病室に流れ入る
ランマルは迷わずシイナの元に行き、カリンから距離をとらせた

「カリンさん!大丈夫?」

セツナがすぐにフォローに入り、カリンを落ち着かせる

「え、ええ…何もされてないわ」

するとランマルはシイナに背を向けた

「ちょっと来い」

「でも…ランマ…」

「来い!!」

珍しく怒鳴るランマルに、シイナだけでなく他の者たちも驚く
ランマルがシイナを連れて病室を出ていくと張り詰めていた空気が晴れた

「な、なんやぁ偉い怖いなランマル…なんもないとええんやが」

「アイツらは幼馴染だろっ だから大丈夫だと思うぜ」

心配するハヤテだが、ガイは2人の信頼関係を信じている
セツナがカリンの体を確認して傷がないことを把握する

「アナタお名前は?」

カリンの突然の質問に戸惑いながら答える

「セツナ…だ…よ?」

敬語の方がいいのか迷いながら答えたので妙な合間がある

「セツナは人の死ってどう思う」

廊下にいた時に聞こえてきた言い争いの内容をセツナにも問う
2人の激論がそこにあったことを知っているセツナは意図せず答えを準備していて、躊躇いもなく口に出せた

「悲しいかな…人が死んだとこからなんとも言えないけど、なんの罪もない人の命が亡くなるのは…」

「そうですか…」


また下を向くとカリンの視界は雨が打ち上てられる道路にかわった

「もう…死んじゃおっかな」

前を向かずして踏み出した一歩で歩道の線を超えた

キィィィィイ!ボォォン!!

薄れゆく意識の中、誰かが自分を呼ぶ声がす


「カリンさん…カリンさん!カリンさん!!」

「は!!」

顔を上げると自分の肩に手を乗せているセツナの顔があった

「お兄さんが面会にきたよ」

「お兄さん…?」

目を左に移すとそこにはスーツを着た、黒髪に白いメッシュを三本入れて前髪をオールバックに右寄せしている男性がいた

「大丈夫か…カリン」

カリンを包容しようとするその両腕に恐怖したかのようにカリンは後ろにすって身を引いた

「どうしたんだ?」

ガイが首を傾げて質問するとカリンは怯えながら口を開く

「私に兄はいないわ……」

「は…?」

全員の視界が男に向けられる

「フッ…」

男は腕を伸ばすと袖から針金が取り出され、カリンの首元を狙った

「危ない…!」

セツナが回し蹴りで男を蹴ると壁に背を打ちつけ、窓を揺らす

「チッ…お前ら護衛かよ…」

一気に戦闘態勢に入った3人を見て、戦闘能力のある人物だとわかり、イラつく

「めんどくせぇな!!」

背中に回した針金でガラスを割った

落下する破片の下にいたのはランマルとシイナだった

「「ガラスッ…!」」

外に出いた2人は病室のすぐ下にいた
2人はガラスの破片を反対側に跳んで見事に回避した

3階の病室から飛び降りてきた男は2人の姿を見て呆れため息をつく

「はぁ…まだいんのかよ」

「アンタ何者!!」

「教えねーよ!」

スーツの男は針金を投げつけるが、シイナはそれを回避する
しかし、急接近してきたスーツの男がシイナの目を取り出した針金で刺しかかる

マッズ…!

その瞳に針先が触れる寸前、針金は男の手の中から抜ける

「あれっ」

抜けた針金はランマルの手に収まる

瞬奪シュンダツ…」

やり返すかのようにランマルが針金をスーツの男に向ける
スーツの男はランマルの手首を掴んで刺突を阻止した

「やっぱまだガキだな」

非力を痛感させ手首を強く握る
しかし、シイナが「蝶のワルツ」で割り込み、宙蹴りを頭部に放つが、ランマルの手首を離して回避されてしまう

コイツ…!ただのチンピラじゃない!

「カハハッw 早く抜いた方がいいぜその針」

「……!」

シイナの右脚に針金刺さっていることに気づく

「部分麻酔で脚動かなくなっから」

シイナが脚に刺さった針金を抜き捨てる

「賞金は俺のもんだ」

袖から出てきた数本の針金が切っ先を鋭く光らせていた
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