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社長令嬢護衛編
40.青い春
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端っこにモヤがかかったような視界の先で私のお爺様は私に諭すように話した
「カリン お前に話さなければならないことがある」
いつもは明るくて歳を感じさせずに笑うお爺様がその時だけは奇妙な静けさを放っていた
幼い私はそんなことも感じ取れず無垢に口を開く
「なに?おじいさまっ」
「お前のお婆様、延いては母上、いや我らの姓を持ちて産まれた女の話だ」
当時の私の瞳は今よりも美しく透き通った水色だっただろう
それが今や見た目だけ着飾った、そう、カラコンと同じで中身を隠すための色になってしまっている気がする
いや、きっとそうだ、あの時から私は、、
午後5:00
北澤夏鈴の賞金取り下げまで31:00:00
体育館
サトシと目も表情も見えない白衣の仮面が睨み合っている
ランマルは立ち上がって座りすくんでいるシイナの元に寄った
「シイナ、、」
「………」
殺される寸前まで追い詰められたことで虚無感に襲われているようだ
「シイナァ!!」
「……!」
ランマルが大きく声を上げたことでやっと表情を揺らした
「オレがおぶる 乗れ」
「わ、わかった」
全身麻痺で立つこともままならないシイナの移動手段になる
「さーせん隊長 しくじりました…」
悔しさを食いしばりながら話す
サトシはそれを振り返ることもせずに返す
「安心しろ お前らじゃどうやったって勝てない相手だ 状況を潜入している仲介班に伝えろ」
「わかりました…」
シイナを背におぶって痛みに耐えながらそこから走って離れる
体育館を出たくらいでシイナが耳元で口を開いた
「怪我だいじょぶなの…」
「ああもちろん」
「ごめん、私がみっともないせいで」
「それはどっちもどっちだろ あと、キタザワを逃がすように促したのは助かった 病院で言ったことが伝わっててよかった」
「ま、まぁ言われたことは守るわよ…」
こんな状況でも褒められると照れてしまうもので顔を背中にうずくめた
一方、体育館内ではまだ睨み合いが続いていた
「ウチの雑魚が世話になった」
「なぁに言ってんの~味方に雑魚とかさいてぇ~」
「実際そうだ 俺の足元にも及ばん」
「うわーやなじょーし」
挑発的な態度にサトシの額の血管が浮き出る
「最近の俺の周りにはムカつく奴が多くてな…妹との戦闘を邪魔する男に、大して強くもねぇのに仕掛けてくるウサギ小僧、、このストレス一旦お前にぶちまけるわ!!」
爆速モードで急接近すると同時に脚を振り抜くが、寸前で体を反らしてかわされる
勢い余って反対側まで飛んでいき、前を確認すると体勢を整えた白衣が壁に向かって試験官を投げつける
バリンッという試験官の割れる音が体育館に響くと流れるように白衣はスプレーを壁に振った
ボォン!!
体育館の壁が一部破壊され、外の光が差し込む
「逃げんのか!待ちやがれ!」
「ごめんむりぃ!アンタと闘えるほど驕っちゃいないんでね!」
またも高速で追いかけるが白衣が外に出た瞬間、袖から取りだした丸い球体を体育館の床に叩きつけた
すると、たちまちに白煙が舞い上がり、サトシの視界を塞ぎ、動きを止める
「クソッ…!」
白煙がサトシの周囲から拡散していく
「チッ…まだ俺を楽しませる強者はいないのか」
校庭
羽斑とサッカー部の闘争は静かになっており、立っているほとんどがサッカー部員で残る勝負は
「オラァ!!」
「ホイっと!!」
センドウの拳とガクトの脚が衝突する
「やるなぁ坊主」
「とっとと帰れよ ヤクザ」
睨み合いを終えて互いに距離をとった
「そうだな そろそろ帰るとするか」
センドウがガクトに背を向けると他の羽斑の人員も立ち上がってそこから去ろうとするが、何人かは気を失っており、起き上がらない
「くたばってるヤツらは置いていく 好きにしろ」
「はぁ?めんどくせぇ」
ガクトの言葉を無視して黒スーツの集団が校門から出ていった
それを見ていたセツナは思った
NO.2置いてくんだ…無慈悲だな
「す、すごかったね、、セツナちゃん」
ムツキは淡白な言葉しか出てこず、状況をギリギリ理解しているにすぎない様子だった
「そうだね」
結局、狙いはカリンちゃんじゃなかったのかな…
体育館の状況を知らないセツナはカリンへの弊害はなかったとして相手の行為に疑問を持った
一方、寝転がっているハヤテをヒュウが手を貸して起きあげる
「足死んでねぇよな」
「はっははー こんなんで死んでたらやばいっす」
「それならいい お前は俺が負かせるからな」
「ひえー根に持つ男はモテませんでー」
ハヤテは疑問を解消するチャンスだと思い、先輩に質問した
「なんで先輩たちってこんな強いんっすか」
ヒュウは一瞬、何言ってんだというような表情をしたが、納得したかのように普通に表情を戻して話した
「あぁそうか 1年が知るわけないな 俺ら去年まで不良だったんだ」
ユニフォームの襟を引っ張って見えた左胸に奇抜なタトゥーが描かれていた
「え、マジっすか 古っ!」
「うっせぇー」
ヒュウは校庭から去りながら思い出すように話を続けた
「今のサッカー部のレギュラーは2つの集団に分かれた不良だったんだ」
1年前、、
ヒュウをリーダーとした女遊びの絶えない集団とアバレをリーダーとした器物破損と暴力沙汰の集団
女子生徒2名が廊下を歩いているとヒュウが制服の前を開け、肉体美を丸出しにして現れた
「ねぇお二人さん 今度の日曜遊びいかない?金なら出すよ」
その風貌と優しい口調からか女子生徒2名はすぐに了承した
それを階段の影で見ていた男子生徒がヒュウに歩き寄る
「お前!そういうの良くないと思うんだけど」
「なにがー?」
「噂に聞いた そうやって人誘って上手くいかなかったらまた違う女に手出してるって!」
その瞬間、男子生徒と口はヒュウの手で塞がれた
「ちょっと表出ろ」
その後、その男子生徒は校舎裏で傷だらけになっていた
「あーあ 大して強くないのに俺に突っ張るからこうなるんだぁ」
「先輩こっわーw」「ヒュウやりすぎだろw死ぬぞw」「モテない奴が嫉妬するから悪いでしょ」「やっばwそれ暴論すぎだろw」
同じ集団の仲間たちもヒュウを誇張させ持ち上げる
「ま、いっか!これで俺にたてつけないっしょ!」
すると、バリーンッ!というガラスが割れる音が聞こえた
そこに目を向けると1階の窓ガラスを割って外に出てくる生徒が5名ほどいた
「げぇ~ ジラマだ」
「よぉ~カミキィ 今日もまた女誘ったらしいじゃねぇか」
アバレが怖い形相で顔を近づけてきた
「っるせぇ 器物破損破損野郎 まだ壊しちゃいけないものも分かんねぇガキなのかテメェらわ」
「ガッハッハ!集団リンチしてる奴が良く言うぜ!」
「あ?なんだとテメェ」
「やんのかオラァ!!」
殴り合いが起ころうとした時、割れた窓から1人の飄々とした男子生徒が出てきた
「キミらさぁ~何してくれてんのぉ~」
まだ名もないガクトだった
「なんだコイツ」「知らねぇぶち殺す」
ヘイトがガクトに向けられ、ヒュウとアバレ、それに着く仲間たち10人が一斉にガクトに襲いかかった
しかし、ガクトはいとも簡単に全員をのし倒した
「チッ、強えな…」「何もんだテメェ」
地面に転がって悶えながら聞いた
「何者でもねぇよ 強いて言うなら俺はこれからお前らのキャプテンだっ よろしく」
「「はぁ!?」」
「つーことで現サッカー部結成!ってことな」
「会長のゴリ押しなんすね」
過去話も去ることながらグラウンドに到着し、ヒュウとハヤテは離れた
すると、ハヤテの元にシイナとランマルが駆け寄る
「ランマルとシイナやーん」
「そんな気軽に話してる余裕はないの!」
「へ?」
「セツナどこ」
今すぐにでも状況を整理したく、セツナを探すが、見つける前に教頭のアナウンスが流れる
『怪我人がいるようならすぐに前に来なさい!あと!生徒会長も来なさい!他の生徒は順次帰宅とする!寄り道などしないように!』
解散の号令で全生徒がわちゃわちゃとグラウンドから履けていく
人混みの中でセツナだけを探し出すことは難しく、気づけば人に流されるようになって見つけ出すことができなかった
「アイツら!どこ行ったの!!」
とシイナが叫ぶと突如、隣に現れたカリンが耳を塞いで驚いた
「び、びっくりしたぁ」
「あ、ごめんなさい」
頭を下げる様子も見せずテキトーな返事にカリンはムカついたがランマルの質問で言葉は何も発せなかった
「カリン怪我してない?」
「ええ、お陰様でね」
ランマルがカリンを心配しているのを見てシイナは頬をふくらませた
それを見たハヤテがくすくすと笑う
「なによ」
「いーやぁ?なんでもあらへんよ~」
目線をそらして全く鳴っていない口笛を吹く
「しょうがない!任務用宅に戻ってから話し合いましょう セツナもさすがに帰るでしょうし」
「だな」
提案に乗ったハヤテ、ランマルが校門から帰路に出ようとした時、カリンが立ち止まって3人の背中に言った
「あの!お願いがあるんだけど」
「「「ん?」」」
数十分後、、
ゲームセンター
「オラァ!!」
ハヤテの拳から繰り出されたパンチの威力は140kgfであった
「げ、低ないか」
「どけ オレの方が強い」
ハヤテを押しのけて躍り出たランマルのパンチ力は163kgf
「普通じゃない?」
「普通やな」
「ハヤテに言われたくないわ!!」
「いや十分強いでしょ」
普段、殴り合いに投じている3人の異次元さに呆れるカリン
通常、一般男性の平均パンチ力は120kgfなので十分すぎる力である
「まぁ俺もランマルも殴り合いするようなタイプちゃうしな」
「たしかし」
相手の道具をくすね取るランマルと足で戦うハヤテなので拳の力が他と劣っているのは仕方ないことだと言える
パンチングマシンから離れて他のゲーム機に移る4人
「つーかカリンちゃん急にゲーセン行きたいとかどういうことやねん」
「いや、シンプルに思い出作りを、、」
「賞金取り下げられてからで良くないか」
「そしたらあなた達いなくなってしまうのでは!」
「「「確かに」」」
今すぐにでも帰宅して危険性を下げるべきだが、任務が終了すれば学園から去ることも当然なのでその前に学生として青春を刻もうとするのは彼らの若々しさ故なのだろう
「次、バスケやりましょ!」
「カリンちゃんの得意分野で勝負したいだけちゃうそれ」
「うるっさいわね!やるわよ!」
一方、任務用宅では1人で他のメンバーの帰りを待つサトシの姿があった
「アイツら何しとんじゃい!!」
ポケットから抜き出したスマホから誰かに電話をかけた
その電波はカフェの机の上にあるスマホに伝わり、振動させた
手に取ったセツナが無言で赤いボタンを押した
「え、切って良かったの?」
ムツキがコーヒーカップを持って聞いた
「いいの 今はすごく休みたいから」
カフェでコーヒーをシバいているムツキとセツナは教頭の指示をフル無視で寄り道し、タルトを口に入れた
「これ美味しいね」
セツナがそう言ってムツキに顔を合わせるとムツキはクスっと笑ってこちらに指を伸ばした
「生地が口の横についてるよっ!」
それをつまんでセツナの前に突き出す
「はいアーン」
「恥ずい…」
「女子同士で恥ずかしがってたら男とやった時気絶しちゃうよ」
そんな予定はこれから先到底ないのだがここで口を差し出さないのは1人の女子高校生としてあってはならないと思い相手の指にかぶりついた
恥ずかしがって頬を赤くしているとムツキがコーヒーを置いて会話を投げてきた
「セツナちゃんって北澤さんと仲良いの?」
「え、あ、まぁ良いのかな なんで」
「いやぁ頭良さそうだし、私も関わりたいなぁって思ってるんだけど、なんかお嬢様感丸出しで話しかけにくいと思ってたんだけど、今日、廊下でセツナちゃん話してたし行けるかもと思って」
「あ~あれは、、」
その時の会話はカリンへセツナがあまり1人にならないように注意をしていただけなのでムツキが思うような友だち的会話はしていない
「そんなに警戒しなくてもいんじゃないかな カリンちゃんも普通の女子だし、金持ちなのはそうだけどそれを武器にするような人じゃないと思うけど」
「へぇー!じゃあ私も次見かけたら話しかけてみよっかな」
タルトの二口目を頬張りながら会話は続く
「私、小学生の妹がいるんだけど、すごくお姉ちゃん大好きっ子でこれ、自立できるのかな~なんて思ってるんだけどまだちっちゃいから私が導いてあげなきゃなとか思ってんの」
ムツキの脳に洗って草原を走る妹の姿が映る
「いいお姉さんだね」
「そうかな、、世の中のお姉ちゃんはもっとしっかりしてそうだけど」
「そうなのかな 私、兄弟いないからわかんないけど頑張ってるっていうのは人それぞれだし、他人を見て考えるのはあんま良くないんじゃないかなって思うな」
「でも、私はもっと頑張りたいから北澤さんから勉強教えてもらって!もっと頼りになるお姉ちゃんになります!」
宣言とピースサインで笑顔なムツキを見て、素直にすごいなと思った でも、ムツキの中には私じゃ見出しきれない何かがあるんじゃないかとも思わせる笑顔だった
コーヒーカップを手に取り、ぬるくなったカフェオレを口に含んで飲み込んだ
ゲームセンター
「いぇーい!」
「いえーい」
カリンとシイナはプリクラを撮影していた
カリンは盛れる笑顔だったが、シイナは強引に作った嫌々笑顔で全く盛れていない
「ちょっとアナタ!もうすこし上手に笑いなさいよ!」
「そんなこと言われても」
その会話を見ながらランマルとハヤテが小声で話す
「ぜってぇーバスケでボコボコにされて拗ねてる」
「せやなぁ 19点差はさすがに萎えるわ」
1分で20ゴール決めたカリンに対して1ゴール止まりのシイナとは天地の差があると言えよう
すると、メイキングを終えた2人、カリンがプリクラを持ってランマルとハヤテに見せつける
「じゃーん!」
目が真ん丸になったカリンに対して全く変わっていないシイナの顔に微笑を隠しきれない
そしてオマケに付けられた猫耳と猫ひげがより一層質素感を際立たせる
「盛れてなさすぎでは」
「なっははーwこりゃ大作」
「2人とも1回殴る」
拳を振るうシイナをかわす
「危ないて!客おるんやぞ!」
「知らん!そんなこと!」
ハヤテとシイナを見ながらため息をつくカリンとランマルが互いの反応が重なってまた笑う
「ちょいランマル!」
2人で笑い合う姿に嫉妬したのかハヤテへの執着をなくしてランマルの腕を掴む
「一緒に撮るわよ」
「へ?」
「早く!」
引っ張られてプリクラのボックスに連れていかれた
シャッターを切る音が何度か聞こえてすぐにメイキング室に入り、思うがままにメイクした結果、真っ白な肌にピンクの装飾が飾られたものが出来上がった
「よし!これでいい」
「オレらの原型が無くないか」
「プリクラとはそういうものよ!」
最低限誰かわかるレベルにするべきなのでは…
「もう1枚行くわよ」
「は?」
財布から金銭を取り出そうとするシイナだったが貯金が尽きたことに気づく
財布を逆さにしても何も落ちてこない
「しまったわ、、コスメを試験後に買いすぎたせいね」
「なははーなら撮れないねー」
「ランマルが出してくれても良いのだけれど」
「断る こんなんに使うなら武器買う」
「いいじゃない!金貸しなさいよ!」
財布を盗みとるために体をあちこち触りまくるが、ランマルはそれをぬらりくらりとかわして、シイナの手首を掴んで止めてしまった
「また来ればよくね それまでお預けな」
ランマルの一言に顔を赤らめるシイナ
「そ、そうね、、」
気軽にされた将来の約束に照れてしまった
その様子を見ていたカリンがハヤテに耳元で質問した
「あの2人って付き合ってないの?」
「知らんけど、ランマル見る感じだとそうなんやないかな」
「へぇ~」
興味ありげに二人を見ながら微笑んだ
Z本社 社長室
社長席に鎮座するZ社社長 北澤 高雄 氏の元にカタギリが急遽、参上した
「失礼します キタザワ様」
「カタギリくんか 娘は大丈夫なのだろうね」
「ええ、娘さんの首に賞金がかかっていることに驚きましたがうちのガキ共がなんとか守ってますよ」
「そうか それはありがたいことだ して、キミは何故ここに来たのかな」
ただならぬ空気が漂っていた
社長の鋭い視線がカタギリに刺さる
「いやぁ気になったことがありましてね なんでこの護衛作戦にうちを採用したのかってことに」
「あははっ 笑わせないでくれたまえ 先日キミたちがうちのドームを借りて、その働き払いだと」
「そういうことじゃなくてですね そんなの金でどうにかなる話なんすよ」
「何が言いたいのかな」
「わざわざ裏社会のわたくし達を使わなくとも警察なりRFBになり頼めば、より安全だったんじゃないのかなって」
カタギリは喋りながら社長席に近づいていき、背を低くして社長と近距離で目を合わせる
「なんか表にバレてはいけないことでもあるんでしょうか キタザワ様っ」
すると社長は高笑いし、カタギリがまさかの反応に距離を離すと社長は笑いを止めて口を開いた
「話すつもりはなかったが、ここまで疑われては仕方がない 妻方家系の呪いのお話を」
ゲームセンターで同級生と笑う娘が背負っているものについて
「カリン お前に話さなければならないことがある」
いつもは明るくて歳を感じさせずに笑うお爺様がその時だけは奇妙な静けさを放っていた
幼い私はそんなことも感じ取れず無垢に口を開く
「なに?おじいさまっ」
「お前のお婆様、延いては母上、いや我らの姓を持ちて産まれた女の話だ」
当時の私の瞳は今よりも美しく透き通った水色だっただろう
それが今や見た目だけ着飾った、そう、カラコンと同じで中身を隠すための色になってしまっている気がする
いや、きっとそうだ、あの時から私は、、
午後5:00
北澤夏鈴の賞金取り下げまで31:00:00
体育館
サトシと目も表情も見えない白衣の仮面が睨み合っている
ランマルは立ち上がって座りすくんでいるシイナの元に寄った
「シイナ、、」
「………」
殺される寸前まで追い詰められたことで虚無感に襲われているようだ
「シイナァ!!」
「……!」
ランマルが大きく声を上げたことでやっと表情を揺らした
「オレがおぶる 乗れ」
「わ、わかった」
全身麻痺で立つこともままならないシイナの移動手段になる
「さーせん隊長 しくじりました…」
悔しさを食いしばりながら話す
サトシはそれを振り返ることもせずに返す
「安心しろ お前らじゃどうやったって勝てない相手だ 状況を潜入している仲介班に伝えろ」
「わかりました…」
シイナを背におぶって痛みに耐えながらそこから走って離れる
体育館を出たくらいでシイナが耳元で口を開いた
「怪我だいじょぶなの…」
「ああもちろん」
「ごめん、私がみっともないせいで」
「それはどっちもどっちだろ あと、キタザワを逃がすように促したのは助かった 病院で言ったことが伝わっててよかった」
「ま、まぁ言われたことは守るわよ…」
こんな状況でも褒められると照れてしまうもので顔を背中にうずくめた
一方、体育館内ではまだ睨み合いが続いていた
「ウチの雑魚が世話になった」
「なぁに言ってんの~味方に雑魚とかさいてぇ~」
「実際そうだ 俺の足元にも及ばん」
「うわーやなじょーし」
挑発的な態度にサトシの額の血管が浮き出る
「最近の俺の周りにはムカつく奴が多くてな…妹との戦闘を邪魔する男に、大して強くもねぇのに仕掛けてくるウサギ小僧、、このストレス一旦お前にぶちまけるわ!!」
爆速モードで急接近すると同時に脚を振り抜くが、寸前で体を反らしてかわされる
勢い余って反対側まで飛んでいき、前を確認すると体勢を整えた白衣が壁に向かって試験官を投げつける
バリンッという試験官の割れる音が体育館に響くと流れるように白衣はスプレーを壁に振った
ボォン!!
体育館の壁が一部破壊され、外の光が差し込む
「逃げんのか!待ちやがれ!」
「ごめんむりぃ!アンタと闘えるほど驕っちゃいないんでね!」
またも高速で追いかけるが白衣が外に出た瞬間、袖から取りだした丸い球体を体育館の床に叩きつけた
すると、たちまちに白煙が舞い上がり、サトシの視界を塞ぎ、動きを止める
「クソッ…!」
白煙がサトシの周囲から拡散していく
「チッ…まだ俺を楽しませる強者はいないのか」
校庭
羽斑とサッカー部の闘争は静かになっており、立っているほとんどがサッカー部員で残る勝負は
「オラァ!!」
「ホイっと!!」
センドウの拳とガクトの脚が衝突する
「やるなぁ坊主」
「とっとと帰れよ ヤクザ」
睨み合いを終えて互いに距離をとった
「そうだな そろそろ帰るとするか」
センドウがガクトに背を向けると他の羽斑の人員も立ち上がってそこから去ろうとするが、何人かは気を失っており、起き上がらない
「くたばってるヤツらは置いていく 好きにしろ」
「はぁ?めんどくせぇ」
ガクトの言葉を無視して黒スーツの集団が校門から出ていった
それを見ていたセツナは思った
NO.2置いてくんだ…無慈悲だな
「す、すごかったね、、セツナちゃん」
ムツキは淡白な言葉しか出てこず、状況をギリギリ理解しているにすぎない様子だった
「そうだね」
結局、狙いはカリンちゃんじゃなかったのかな…
体育館の状況を知らないセツナはカリンへの弊害はなかったとして相手の行為に疑問を持った
一方、寝転がっているハヤテをヒュウが手を貸して起きあげる
「足死んでねぇよな」
「はっははー こんなんで死んでたらやばいっす」
「それならいい お前は俺が負かせるからな」
「ひえー根に持つ男はモテませんでー」
ハヤテは疑問を解消するチャンスだと思い、先輩に質問した
「なんで先輩たちってこんな強いんっすか」
ヒュウは一瞬、何言ってんだというような表情をしたが、納得したかのように普通に表情を戻して話した
「あぁそうか 1年が知るわけないな 俺ら去年まで不良だったんだ」
ユニフォームの襟を引っ張って見えた左胸に奇抜なタトゥーが描かれていた
「え、マジっすか 古っ!」
「うっせぇー」
ヒュウは校庭から去りながら思い出すように話を続けた
「今のサッカー部のレギュラーは2つの集団に分かれた不良だったんだ」
1年前、、
ヒュウをリーダーとした女遊びの絶えない集団とアバレをリーダーとした器物破損と暴力沙汰の集団
女子生徒2名が廊下を歩いているとヒュウが制服の前を開け、肉体美を丸出しにして現れた
「ねぇお二人さん 今度の日曜遊びいかない?金なら出すよ」
その風貌と優しい口調からか女子生徒2名はすぐに了承した
それを階段の影で見ていた男子生徒がヒュウに歩き寄る
「お前!そういうの良くないと思うんだけど」
「なにがー?」
「噂に聞いた そうやって人誘って上手くいかなかったらまた違う女に手出してるって!」
その瞬間、男子生徒と口はヒュウの手で塞がれた
「ちょっと表出ろ」
その後、その男子生徒は校舎裏で傷だらけになっていた
「あーあ 大して強くないのに俺に突っ張るからこうなるんだぁ」
「先輩こっわーw」「ヒュウやりすぎだろw死ぬぞw」「モテない奴が嫉妬するから悪いでしょ」「やっばwそれ暴論すぎだろw」
同じ集団の仲間たちもヒュウを誇張させ持ち上げる
「ま、いっか!これで俺にたてつけないっしょ!」
すると、バリーンッ!というガラスが割れる音が聞こえた
そこに目を向けると1階の窓ガラスを割って外に出てくる生徒が5名ほどいた
「げぇ~ ジラマだ」
「よぉ~カミキィ 今日もまた女誘ったらしいじゃねぇか」
アバレが怖い形相で顔を近づけてきた
「っるせぇ 器物破損破損野郎 まだ壊しちゃいけないものも分かんねぇガキなのかテメェらわ」
「ガッハッハ!集団リンチしてる奴が良く言うぜ!」
「あ?なんだとテメェ」
「やんのかオラァ!!」
殴り合いが起ころうとした時、割れた窓から1人の飄々とした男子生徒が出てきた
「キミらさぁ~何してくれてんのぉ~」
まだ名もないガクトだった
「なんだコイツ」「知らねぇぶち殺す」
ヘイトがガクトに向けられ、ヒュウとアバレ、それに着く仲間たち10人が一斉にガクトに襲いかかった
しかし、ガクトはいとも簡単に全員をのし倒した
「チッ、強えな…」「何もんだテメェ」
地面に転がって悶えながら聞いた
「何者でもねぇよ 強いて言うなら俺はこれからお前らのキャプテンだっ よろしく」
「「はぁ!?」」
「つーことで現サッカー部結成!ってことな」
「会長のゴリ押しなんすね」
過去話も去ることながらグラウンドに到着し、ヒュウとハヤテは離れた
すると、ハヤテの元にシイナとランマルが駆け寄る
「ランマルとシイナやーん」
「そんな気軽に話してる余裕はないの!」
「へ?」
「セツナどこ」
今すぐにでも状況を整理したく、セツナを探すが、見つける前に教頭のアナウンスが流れる
『怪我人がいるようならすぐに前に来なさい!あと!生徒会長も来なさい!他の生徒は順次帰宅とする!寄り道などしないように!』
解散の号令で全生徒がわちゃわちゃとグラウンドから履けていく
人混みの中でセツナだけを探し出すことは難しく、気づけば人に流されるようになって見つけ出すことができなかった
「アイツら!どこ行ったの!!」
とシイナが叫ぶと突如、隣に現れたカリンが耳を塞いで驚いた
「び、びっくりしたぁ」
「あ、ごめんなさい」
頭を下げる様子も見せずテキトーな返事にカリンはムカついたがランマルの質問で言葉は何も発せなかった
「カリン怪我してない?」
「ええ、お陰様でね」
ランマルがカリンを心配しているのを見てシイナは頬をふくらませた
それを見たハヤテがくすくすと笑う
「なによ」
「いーやぁ?なんでもあらへんよ~」
目線をそらして全く鳴っていない口笛を吹く
「しょうがない!任務用宅に戻ってから話し合いましょう セツナもさすがに帰るでしょうし」
「だな」
提案に乗ったハヤテ、ランマルが校門から帰路に出ようとした時、カリンが立ち止まって3人の背中に言った
「あの!お願いがあるんだけど」
「「「ん?」」」
数十分後、、
ゲームセンター
「オラァ!!」
ハヤテの拳から繰り出されたパンチの威力は140kgfであった
「げ、低ないか」
「どけ オレの方が強い」
ハヤテを押しのけて躍り出たランマルのパンチ力は163kgf
「普通じゃない?」
「普通やな」
「ハヤテに言われたくないわ!!」
「いや十分強いでしょ」
普段、殴り合いに投じている3人の異次元さに呆れるカリン
通常、一般男性の平均パンチ力は120kgfなので十分すぎる力である
「まぁ俺もランマルも殴り合いするようなタイプちゃうしな」
「たしかし」
相手の道具をくすね取るランマルと足で戦うハヤテなので拳の力が他と劣っているのは仕方ないことだと言える
パンチングマシンから離れて他のゲーム機に移る4人
「つーかカリンちゃん急にゲーセン行きたいとかどういうことやねん」
「いや、シンプルに思い出作りを、、」
「賞金取り下げられてからで良くないか」
「そしたらあなた達いなくなってしまうのでは!」
「「「確かに」」」
今すぐにでも帰宅して危険性を下げるべきだが、任務が終了すれば学園から去ることも当然なのでその前に学生として青春を刻もうとするのは彼らの若々しさ故なのだろう
「次、バスケやりましょ!」
「カリンちゃんの得意分野で勝負したいだけちゃうそれ」
「うるっさいわね!やるわよ!」
一方、任務用宅では1人で他のメンバーの帰りを待つサトシの姿があった
「アイツら何しとんじゃい!!」
ポケットから抜き出したスマホから誰かに電話をかけた
その電波はカフェの机の上にあるスマホに伝わり、振動させた
手に取ったセツナが無言で赤いボタンを押した
「え、切って良かったの?」
ムツキがコーヒーカップを持って聞いた
「いいの 今はすごく休みたいから」
カフェでコーヒーをシバいているムツキとセツナは教頭の指示をフル無視で寄り道し、タルトを口に入れた
「これ美味しいね」
セツナがそう言ってムツキに顔を合わせるとムツキはクスっと笑ってこちらに指を伸ばした
「生地が口の横についてるよっ!」
それをつまんでセツナの前に突き出す
「はいアーン」
「恥ずい…」
「女子同士で恥ずかしがってたら男とやった時気絶しちゃうよ」
そんな予定はこれから先到底ないのだがここで口を差し出さないのは1人の女子高校生としてあってはならないと思い相手の指にかぶりついた
恥ずかしがって頬を赤くしているとムツキがコーヒーを置いて会話を投げてきた
「セツナちゃんって北澤さんと仲良いの?」
「え、あ、まぁ良いのかな なんで」
「いやぁ頭良さそうだし、私も関わりたいなぁって思ってるんだけど、なんかお嬢様感丸出しで話しかけにくいと思ってたんだけど、今日、廊下でセツナちゃん話してたし行けるかもと思って」
「あ~あれは、、」
その時の会話はカリンへセツナがあまり1人にならないように注意をしていただけなのでムツキが思うような友だち的会話はしていない
「そんなに警戒しなくてもいんじゃないかな カリンちゃんも普通の女子だし、金持ちなのはそうだけどそれを武器にするような人じゃないと思うけど」
「へぇー!じゃあ私も次見かけたら話しかけてみよっかな」
タルトの二口目を頬張りながら会話は続く
「私、小学生の妹がいるんだけど、すごくお姉ちゃん大好きっ子でこれ、自立できるのかな~なんて思ってるんだけどまだちっちゃいから私が導いてあげなきゃなとか思ってんの」
ムツキの脳に洗って草原を走る妹の姿が映る
「いいお姉さんだね」
「そうかな、、世の中のお姉ちゃんはもっとしっかりしてそうだけど」
「そうなのかな 私、兄弟いないからわかんないけど頑張ってるっていうのは人それぞれだし、他人を見て考えるのはあんま良くないんじゃないかなって思うな」
「でも、私はもっと頑張りたいから北澤さんから勉強教えてもらって!もっと頼りになるお姉ちゃんになります!」
宣言とピースサインで笑顔なムツキを見て、素直にすごいなと思った でも、ムツキの中には私じゃ見出しきれない何かがあるんじゃないかとも思わせる笑顔だった
コーヒーカップを手に取り、ぬるくなったカフェオレを口に含んで飲み込んだ
ゲームセンター
「いぇーい!」
「いえーい」
カリンとシイナはプリクラを撮影していた
カリンは盛れる笑顔だったが、シイナは強引に作った嫌々笑顔で全く盛れていない
「ちょっとアナタ!もうすこし上手に笑いなさいよ!」
「そんなこと言われても」
その会話を見ながらランマルとハヤテが小声で話す
「ぜってぇーバスケでボコボコにされて拗ねてる」
「せやなぁ 19点差はさすがに萎えるわ」
1分で20ゴール決めたカリンに対して1ゴール止まりのシイナとは天地の差があると言えよう
すると、メイキングを終えた2人、カリンがプリクラを持ってランマルとハヤテに見せつける
「じゃーん!」
目が真ん丸になったカリンに対して全く変わっていないシイナの顔に微笑を隠しきれない
そしてオマケに付けられた猫耳と猫ひげがより一層質素感を際立たせる
「盛れてなさすぎでは」
「なっははーwこりゃ大作」
「2人とも1回殴る」
拳を振るうシイナをかわす
「危ないて!客おるんやぞ!」
「知らん!そんなこと!」
ハヤテとシイナを見ながらため息をつくカリンとランマルが互いの反応が重なってまた笑う
「ちょいランマル!」
2人で笑い合う姿に嫉妬したのかハヤテへの執着をなくしてランマルの腕を掴む
「一緒に撮るわよ」
「へ?」
「早く!」
引っ張られてプリクラのボックスに連れていかれた
シャッターを切る音が何度か聞こえてすぐにメイキング室に入り、思うがままにメイクした結果、真っ白な肌にピンクの装飾が飾られたものが出来上がった
「よし!これでいい」
「オレらの原型が無くないか」
「プリクラとはそういうものよ!」
最低限誰かわかるレベルにするべきなのでは…
「もう1枚行くわよ」
「は?」
財布から金銭を取り出そうとするシイナだったが貯金が尽きたことに気づく
財布を逆さにしても何も落ちてこない
「しまったわ、、コスメを試験後に買いすぎたせいね」
「なははーなら撮れないねー」
「ランマルが出してくれても良いのだけれど」
「断る こんなんに使うなら武器買う」
「いいじゃない!金貸しなさいよ!」
財布を盗みとるために体をあちこち触りまくるが、ランマルはそれをぬらりくらりとかわして、シイナの手首を掴んで止めてしまった
「また来ればよくね それまでお預けな」
ランマルの一言に顔を赤らめるシイナ
「そ、そうね、、」
気軽にされた将来の約束に照れてしまった
その様子を見ていたカリンがハヤテに耳元で質問した
「あの2人って付き合ってないの?」
「知らんけど、ランマル見る感じだとそうなんやないかな」
「へぇ~」
興味ありげに二人を見ながら微笑んだ
Z本社 社長室
社長席に鎮座するZ社社長 北澤 高雄 氏の元にカタギリが急遽、参上した
「失礼します キタザワ様」
「カタギリくんか 娘は大丈夫なのだろうね」
「ええ、娘さんの首に賞金がかかっていることに驚きましたがうちのガキ共がなんとか守ってますよ」
「そうか それはありがたいことだ して、キミは何故ここに来たのかな」
ただならぬ空気が漂っていた
社長の鋭い視線がカタギリに刺さる
「いやぁ気になったことがありましてね なんでこの護衛作戦にうちを採用したのかってことに」
「あははっ 笑わせないでくれたまえ 先日キミたちがうちのドームを借りて、その働き払いだと」
「そういうことじゃなくてですね そんなの金でどうにかなる話なんすよ」
「何が言いたいのかな」
「わざわざ裏社会のわたくし達を使わなくとも警察なりRFBになり頼めば、より安全だったんじゃないのかなって」
カタギリは喋りながら社長席に近づいていき、背を低くして社長と近距離で目を合わせる
「なんか表にバレてはいけないことでもあるんでしょうか キタザワ様っ」
すると社長は高笑いし、カタギリがまさかの反応に距離を離すと社長は笑いを止めて口を開いた
「話すつもりはなかったが、ここまで疑われては仕方がない 妻方家系の呪いのお話を」
ゲームセンターで同級生と笑う娘が背負っているものについて
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