Я side The Assassin

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社長令嬢護衛編

51.一触即発

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13時30分

北澤 夏鈴の賞金取り下げまで11:00:00

太刀城学園

騒がしさの後にくる静けさが流れていた

リンドウの到着によってホワイトは倒され、その後、科学班が後処理をする形となった

両腕と片目を失ったホワイトは抵抗することもできず回収された
また、中庭で放心状態であったヒュウを重要参考人として保護、同時にアバレの死体を回収
リンドウが所在不明となった少年隊隊長のサトシを捜索するため学園を後にする

セツナ、シイナ、ランマル、ハヤテ、カリンは仲介班が学校側に手回しし、ほかの重傷者と同じ病院へ搬送された
搬送時に到着した救急車と同時に警察も同着、その前にはЯ リサイドの応援に来た特攻班や後処理をした科学班は撤退していた


そして今は警察、鑑識が現場調査を行っている

その様子を校舎内に隠れているブラックは見ていた

「サツが来やがった」

舌打ちをしながら自身の完全敗北を胸に期す

ホワイトは連れてかれて、水色ブルーとは連絡がつかねぇ…それに目標を達成できなかった

カリンを五体満足で組織に連れていくという任務を達成できず悔やんでいた

すると、足音がした おそらく校舎内を捜査している警察である
ブラックはひとまず1年7組の教室に隠れる
廊下を歩いているのを確認して教室のドアを通り過ぎるのを見た
静かにその場から飛び出すと警察が振り返って銃を向けた

「誰だ!」

ジャクッ!

振り返ったと同時に背後をとり喉をナイフで切り裂いて殺した

警察になりすましてこの場から退散するか、、

マントの上から警察の制服を纏って仮面を外す
その姿で堂々と裏昇降口から外に出るとすぐに警察に話しかけられた

「お前!あそこの手伝いしてやってくれ!死体があるらしいんだが、人手が足りないらしいんだ」

「はい!了解です!!」

礼儀正しく敬礼してその警察が指さしたところに向かうと見たことのある顔がそこにあった

水色ブルー……」

ブラックは目を疑いたくなり、込み上げるものがあったがそれをグッと堪えて他の警察と死体を持ち上げる
目を瞑って肌が白くなったせいか首の切り傷が色濃く見える
遺体収納袋にその身体を入れてチャックを閉める
最後に見えた表情は実に切なくその場で拳を握りしめた

少女の言葉が思い出される

「私はブラックのこと好きだよ!!」

脳にしがみついた何気ない会話の一言、クソみたいな組織で生きてきた俺たちが想像した表社会の普通、きっとアイツにとって大した言葉じゃないのかもしれないけど俺には刻まれてるその一言で湧き上がる何かを俺は感じた

Я リサイド…許さねぇ」


カフェ

運び屋とウルフカットがコーヒー片手に話しているところにメールが届く

「お、学園での戦争終わったらしい」

「そうか…つーかどうやってその情報手に入れてるんだよ」

「だーからっ種は撒いてるって言っただろ」

「種ってその程度のことなのか」

「いやぁ?それはここからだ」

ウルフカットがタブレットPCのEnterキーをクリックした
すると、そこに【TimeOver】の文字が赤く表示された
それを確認して小さく笑うとタブレットPCを閉じる

「今日は予想外の収穫もあったし!上等だろ!」

勢いよく立ち上がる

「アジトに帰るぞ」

「まだ飲み終わってない」

「おっせぇなー」


病院

セツナたちがベッドの上でくつろいでいた

「アップルパイおいしぃ」

セツナが食べながら話す
他のメンバーも同じ病室でアップルパイを食べていた

「そうね これムナさんが作ったやつじゃないかしら」

「うめぇな」

食べながら喋る3人に呆れるハヤテ

「礼儀っちゅうもんがないかアンタらには」

視線が集まると3人は同時に言った

「「「お前に言われたくない!!」」」

病院食を放置してアップルパイの食べかすを机や布団の上に落としている

「あはは~しゃあないやん 足使えへんのやから」

ピコンッ

スマホが鳴った

「なんだ」

ランマルがいち早く内容を確認する

「……!?」

驚愕のあまり口の中のアップルパイをベッドに落とす

「汚い!!」

セツナが指さすと「ごめんごめん」と言って拾う

「どんな内容だったの」

シイナの質問にランマルがその内容を伝える

「カリンの賞金取り下げられたらしい」

「「え!!」」 「なんやて!!」

大声が病室の外まで聞こえて廊下を歩いていた患者や看護師の動きが止まり、再び動き始めた

「まだ10時間くらいあったじゃん」

「ほな任務完了ってことやんなぁ」

「そうっぽい カタギリさんから任務は終わりっていう連絡も同時に来た」

「散々だったけどカリンちゃんが無事で良かった」

すると、コンコンとノックする音が聞こえた

「どーぞ」というとドアが開き、ミツキが花束をもって現れた

「あ!ミツキ!!」

「セツナちゃん!元気そうで何より!」

駆けつけたミツキが花束を手渡しする

「ありがとう!」

「なかなか避難場所に来ないからヒヤヒヤしたよ」

「ごめん!色々あって!!」

「ごめんって言うのはこっち!セツナちゃんが逃がしてくれなきゃ私多分死んでると思うし」

その言葉を聞いて自分が救えた命があるのだとホッとした
しかし、セツナには引っかかっている点がある

それはカリンが強い想いを込めて叫んだ後のこと なぜあんな行動をしてしまったのか未だに分からない 過去に入隊試験でも味わった感覚を確かに持った だがあの時と今回でなにが同じなのか分からずただ迷惑をかけたことだけが分かっていてとても申し訳なく思っている

アレはなんだったんだろ…

考え事をしていると遠くからミツキの声が聞こえた

「セツナちゃん!!」

意識を現実に戻すとそこにはカリンがいた

「カリンさん来てるよ」

「あ、えと、、」

タイムリーすぎて言葉が出ない
セツナが何かを発する前にカリンが言葉を発した

「すいませんでした」

「え!!なんで!?」

「あの後のこと聞きました 私のせいで…」

「ちょーと待った!!」

カリンの口を塞いだ
耳元で小さく伝える

「ミツキがいるからその話やめて」

「……!」

一般人の前で堂々と隠していることを話してしまうところだった

「ん?2人ともどうしたの 秘密のことなの?」

「「いや!なんでもない!!」」

するとカリンのスマホが鳴った
通知の内容はシイナからのDMだ

【今日はアンタだけ退院よ 私の仲間達が護衛に着くから大人しく帰りなさい】

横目でシイナの方を見ると照れた表情で目を逸らされた それを見て気づかれない程度に笑う

「ねぇ!カリンさん!!」

「ふぇ!はい!」

ミツキが急に顔を近づけて話しかけた

「今日一緒に帰んない?」

「え!!」

今しがた護衛が近くにつくことが決まったというのに…

「ていうか!何があっても一緒に帰るから」

「えぇ~」

目配せするとシイナが瞬時にスマホから仲間たちに連絡をいれた

【学校のお友達が護衛対象の近くにいます 適切な距離を保って護衛いただけると幸いです】

すると、すぐに返信が届いた

【了解した】

それを確認してシイナはGoodサインをカリンに示す

「うん!わかった!」

「よし!」

ミツキを嬉しそうに拳を握った

その後もその病室で駄弁を続けた



15時00分

埼玉県 某所

ブラックNエヌのアジトに到着した

「戻りやした」

警察官の服を脱ぎすててドアから入る

「あ~!任務しくったブラッきゅんだ!」

黄色のマントで半ズボンで仮面をつけた 幼い身長の女子がブラックの前で煽りながらくるりと回る

イエロー うるせぇ」

天井に届く高さの本棚の前で本を読んでいる灰色マントの男が本を読みながら言う

灰色グレちゃん 仮面外さなくてよく本読めるよねー」

本を閉じて元の場所に戻しながら答える

「心で読んでるからな」

「え、厨二……」

灰色グレーが投げたナイフをイエローがヒョイッとかわすとブラックが仕方がなさそうにナイフを受け止める

「それぐらいでキレるなよ灰色 グレー

「フン…これだからガキは嫌いだ」

ブラックが部屋全体を見渡して口を開く

グリーンオレンジシルバーはどこだ 地下か」

「前者2人はな シルバーは遊びに行ってる」

「人が死にかけてる時に呑気な野郎だ」

すると、部屋の中央に置いたパソコンから重低音の声がする

ブラック よく戻った』

「「「ボス!!」」」

3人が即座にパソコンの前に並ぶ

「任務を達成することができず大変申し訳ないです」

『先程、連絡を受けた際の状況ならば致し方ない まさかЯ リサイドのみならず別戦力も加担してくるとは想定できるはずもないからな』

「死んだ水色ブルー、捕まったホワイト、俺の効率の悪さから戦力をかいてしまったことをお詫び申し上げます」

『詫びる必要はない 私はまだ目標を諦めたわけでない 生存しているならまだ先延ばしにするだけで問題ないからな』

「しかし…」

『根に持つな 私が心配しているのはそこではない』

「と申しますと…」

『幼き頃からともにしてきた水色ブルーが死んだこと お前にとってそれは…』

「関係ありません 俺たちはNエヌの存続のためならなんでもすると誓っています 仲間の死程度で狼狽えなどしません」

心にも無い言葉を強がりを見せずに出す

『そうか ならよいのだがな』

ブラックは目を細める

『地下にいる者たちにも伝えておけ 今後の長期の目標は"北澤 夏鈴の確保"だ』


16時00分

街中を歩き回っているリンドウが辺りを見渡す

「いねぇか」

行方をくらましたサトシを見つけるため探索を行っているのだが、数時間経っても見つからない

クッソ…見つからなかったNエヌの奴に攫われたか、いや、子供たちの話ではそれ以外の戦力もあったらしいし、それと関係が?それとも学校の瓦礫の下に…

自分の額をコツンと叩く

最悪の想像をするな…ただ我武者羅に探すしかない

すると、通りの横のコンビニから出てきた2人組が目に止まった

「病院を出たらしい 指定の位置にいこう」

「また俺をこき使うのか」

「金は払うから許せ」

そう言いながら歩道側に寄せたキャンピングカーの後ろのドアを開ける
そこにコンビニの袋を投げ入れる

リンドウは車の中にいた少年の姿を見逃さなかった

「……!?」

リンドウは助手席に入ろうとする男に飛びついた

「なんだ…!」

紺色のウルフカットをした若い男は地面に背中をつける

「中にいる子供をかえせ!!」

「おっとぉ!?」

ウルフカットはリンドウの袖にあるRが左右反転した刺繍を見て即座に確信する

「飛んだ鉢合わせだ!!」

右拳でリンドウを殴り、距離を離してから立ち上がる  そしてスマホを運転席に座る運び屋に投げ渡す

「運び屋!!位置はそれに載ってる 先いけ」

「は!?」

「北澤が手に入らなくなる 急げ!」

運び屋が助手席のドアを閉める

「キタザワ…お前らまさか!!」

発車すると同時に上に飛び乗ろうとした瞬間、横切りで入ったウルフカットがリンドウをコンビニの自動ドアへ蹴り飛ばした

「キャーーー!」

店員の叫び声と同時に店の奥へ逃げる
自動ドアが破壊されたことによる緊急サイレンが響く

その間にサトシを乗せたキャンピングカーは発車し、そこから去っていった

「お前が Я リサイドのリンドウだな 腕に着けてんのは衝撃を吸収する盾」

悠長に知識をひけらかす

「それは吸収した衝撃を任意のタイミングで跳ね返すことができる優れ物 その名を反盾パリシ

「よく知ってるな」

「お前らのことはよくからな」

眼光を赤くしてリンドウに襲いかかる
飛び回し蹴りを反盾パリシで受け止めたその時、、

ガシャッ…

「!?」

バリーーーーン!!

ホワイトの破壊的威力の攻撃を無に帰したその盾が一撃で破片となって散った

「オラよ!!!」

蹴り飛ばされたリンドウが街灯に凹ませるほどの勢いで打ち付けられ、気を失った

雑魚𝒁𝑨𝑲𝑶が!!」


一触即発にしてリンドウはウルフカットの青年に敗れた

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