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社長令嬢護衛編
52.curse scramble 終着
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暗闇の中、少女が1人走りながら泣き叫ぶ
「ママ!!パパ!!ヤダァァァ!!」
燃え上がる爆炎が少女の手と女性の間を通り抜けて遮る
「離れなさい!!」
消防士が少女を強引に抱えてその場から離れさせる
「ダメ!!放して!!ヤダァ!!」
少女は忘れることはない
その赤々と燃えるは目に焼き付ける
少女は今も、その時の後悔と憎しみを胸に目を覚ます
16時頃
病院
「そろそろお暇しますわ」
カリンは退院の身支度を整えて、最後にセツナたちの病室に訪れていた
「うん」
セツナがそう言うとカリンはミツキと並んで病室のドアに触れる
「じゃあねセツナちゃん!」
ミツキは最後に振り向いて手を振る
カリンはシイナのベッドを尻目にドアを開いて廊下へ一歩、踏み出した
「カリン」
「……!」
シイナが名前を呼ぶと振り向かずに動きを止める
「あの時、何があったか分からないけど、アンタが立ち上がって声を上げてなかったら、リンドウさんが間に合わなくて、私たち3人は死んでたかもしれない」
白との闘いでカリンが強い感情を興して身にやどる呪いを放ってしまった時のことだ
「だからその、、」
シイナは呪いのことは一切知らない 知らないからこそ出た言葉なのかもしれない それでもカリンにその言葉は涙ぐませることになる
「ありがとう、、」
照れるように出た感謝の言葉が心に染み渡る
涙を堪えるのに精一杯で声は出なかった
「あと、、ゲーセン楽しかった、、」
ほんの一時だったあの時間をシイナは青春として胸に刻んでいる それを知ると呪いで縛られている自分が少しでも楽になった気がする
任務は終わった…もし、高校生活をまともに送ることができたとしても…そこにシイナさんたちはいない…だから、これだけは言っておこう
「私も楽しかった…」
叶うことはのかもしれない
それでも伝えたかった
「また遊ぼうね!」
涙を落としながらも満面の笑みを見せた彼女はミツキと共に病室を後にした
病室を出た後、空気を読んで口を出さなかったミツキがカリンに話しかける
「ねぇなんでそんなに一生のお別れみたいな空気なの」
「それは私とあの人たちとの秘密よ だから言えないわっ」
「えぇ~」
その会話を影で聞いていたЯ の特攻班員4名が静かにボディガードとしてついていった
Я 本部
一方、その頃、目を覚ました白が仲介班副班長 ヒノ に取り調べを受けていた
「知ってることを話せ」
両手と片目を失った相手は両足だけを椅子に縛られている
「お姉さんさぁ~見た目いいねぇ~ アイドルとかやってそう」
「関係ないことよ 今回の事件、Nは何が目的でZ社の社長令嬢を狙ったのか」
「それはぁ無理な相談だぁ 何があっても組織のことは口に出さないって誓ってるしぃ~」
「早く言わないと次は片足がなくなるよ」
「勝手にしなぁ~何されても教えないからぁ~」
取り調べを防犯カメラから見ているシジマの元へカタギリが訪れる
「失礼します」
リーダー室の戸を開けて報告する
「今しがた令嬢が病院を出たそうです」
「そうか 安全なんだな」
「特攻班が4人着いているので問題ないでしょう」
「わかった あの子たちが戻ってきたら詳しい報告を貰おう」
「了解です」
カタギリの耳にも取調室の音声が届く
『まぁ組織以外の情報ならあげないでもないけど』
ついに白がまともなことを話すようだ
ヒノもシジマもカタギリも、その発言に強く意識を向ける
北澤家の"朱色の呪"のことか…いや、コイツにそれを持った本人を連れ去れという指示が出ているとしたらそれをここで、組織の目的をバラすわけがないか…
Z社社長のタカオから聞き出した情報を1人隠し持っている男がその可能性を否定し聞き入る
『私は教師役で潜入したから先に生徒の情報を知ることができたんだけどウチのクラスに入学式前日にある生徒が受験合格を取り消したんだ』
『どういうこと?』
『分からないわ でもすぐにその穴埋めをするかのように生徒が1人入ったの』
シジマがカタギリに視線を送る
「少年隊の奴らは正規に受験合格して入学したことにしているので入学前日にふと代わることはないかと」
シジマからの確認を的確に返す
『あなたのクラスはどこだったの』
『5組ね』
『その生徒の名前は?』
立て続けに質問し答えを急ぐ
『その生徒は、、、』
その生徒の名前を確認した瞬間、シジマとカタギリは携帯を手に取った
「カタギリは子供たちに連絡しろ 俺はリンドウに連絡する」
「分かりました」
シジマが電話を鳴らしてもリンドウがそれに応答することはない
既に街灯に背をつけて通りかかる人に囲まれている中、気を失っているから
「何故出ない」
すると、カタギリがセツナとの連絡を取り付けた
病院
「カタギリさん?」
『ミカワだな お前今回の任務の潜入先のクラスは5組であってるよな』
「はい、そうですけど」
慌てるカタギリに戸惑いながら返事する
それを見ている仲間たちは首を傾げている
『今から言う名前の人間を知らないか!』
「はい?」
『〇〇 〇〇!』
「え、、」
心臓が凍えた
その頃、帰り道を共にするカリンとミツキが他愛もなく笑っていた
「でもセツナちゃんってちょっと天然でさ」
「え、どこが?」
「スカートの中に下着以外何も履いてなかったの!」
「それは無防備ね」
「だよね~」
その会話を終わらせると同時に突如、ミツキは立ち止まった
「ミツキさん?」
下を向いて影に隠れた目が不気味に感じる
「ま、そんなことはどうでもいいの もうセツナちゃんとは友達じゃないし」
「え?」
カリンが怯えながらふと口に出した一文字をミツキは無視して後ろを振り返る
「いるんでしょ」
物陰に隠れている特攻班4名が焦り始める
「Я のお仲間さんっ」
『無良 湊月っつう生徒を知らないか!!』
「その子が、どうしたんですか」
『その生徒がなにか知っている可能性がある!どこにいるか分かるか!!』
絶句に包まれた声で返す
「ミツキは、、今、カリンちゃんと一緒に帰っています、、」
『!?』
それを聞いたカタギリとシジマが驚愕で目を合わせる シジマは即座に護衛の特攻班4名に電話を鳴らす
しかし、それが鳴っている携帯の持ち主の頭から大量の血液が流れ出ていた
「ミツキさん、、?」
カリンが怯えながら足を後ろに運ぶ
逃げなきゃ…逃げなきゃ…!
その少女から一刻も早く離れようと駆け出そうとした時、不気味な声がそれを止める
「逃げるんだね」
「……!?」
恐怖で足が止まる
「怖がってるでしょ 私のこと」
金縛りにかかったかのように動けなくなったカリンの背中に徐々に詰め寄る
「そんなに怯えながら逃げたら、また発動しちゃうよ」
瞬きもできず硬直するカリンの背中に自身の胸を強く押し付けるようにゆっくりと抱きつき耳元で囁く
「"朱色の呪"」
「……!!!??」
私の呪いのこと…知って…!!
「私が和らげてあげるからそのまま動かないでね」
小さな袋を手に取ってそれをカリンの口元につけた
カリンは一瞬にして眠りにつきその場で膝を崩した
すると、そこにキャンピングカーが到着した
降りてきた運転手がミツキに話す
「種は撒いてるってそういうことか」
「アナタが運び屋さんですね」
「あぁその通りだ 目標はその女か 連れ帰る乗せろ」
運び屋が後部座席のドアを開くとカリンを抱き上げて運ぶ
目についた気を失っている少年と男性に驚く
「あら?このお2人は?」
「仲間とЯ の少年隊隊長だ よく知らんがコイツらも基地に連れて帰るらしい」
「そうですか、ならカリンちゃんは荷台に乗せましょう こんな男臭いところの上に乗せるのは気が引けます」
「めんどくせぇな」
後部座席のドアを閉めて荷台に回ったその時だった
「ミツキ!!」
聞き覚えのある声がミツキの動きを止める
「セツナちゃん」
至って怪しげな目つきでセツナを見る
その目と特攻班4名の死体を見てセツナは瞳を絶句に染めて話す
「なんで、、何してるの」
「病院から抜け出してきたの?良くないよ」
「そんなことどうでもいい、、」
「怒ってるの?だよね 自分が守った人が友達だと思ってた人に…」
「答えてよ!!!」
声を張り上げて黙らせる
「なんでそんなことするの!!なにか理由があるんでしょ!悪い人に唆されてるの!?」
轟々たる発言の熱を冷めさせる返答が返る
「セツナちゃん 私さ、妹のためならなんでもやるって決めたの」
「……!?」
カフェで話したいた小学生の妹の話だ
「お姉ちゃんっ子のあの子のためならなんでもするって」
「その時ミツキは!自分が導いてあげなきゃって言ってた!!今!その行動が本当に、妹に導くべきことなの!?」
「………」
ミツキの表情が暗くなる
「セツナちゃんには分からないよ」
「え、、」
「いや、もう分かってもらう必要もないの 私とセツナちゃんはもう敵同士なんだし」
「勝手に決め付けないで!」
「勝手なのはそっち 何も知らない癖に味方みたいな顔しないで」
カリンを荷台に乗せてセツナを睨む
「もうやらないと分からないみたいだから」
「いやだ、、」
「いくよ セツナちゃん」
ミツキが飛び出した瞬間、セツナは咄嗟に防御の姿勢をとった
ミツキが整え切れていないセツナの防御を突くその寸前、2人の前に影が入り込む
「はいストップ!!」
「「……!?」」
ウルフカットの青年が割って入り争いの始まりを阻止する
「リーダーさん」
ミツキがそう呼ぶ青年がセツナの方を向く
「誰、」
「誰でもいいだろ美川 刹那」
「……! なんで私の名前を…!」
「教えねぇ それよりミツキ 目的は達成してるんだ 早く帰るぞ」
「分かりました」
ミツキとウルフカットは潔く振り向いてキャンピングカーへ歩く
「逃がさない!!」
セツナがウルフカットに襲いかかろうとした時、腰に激痛が走った
その痛みに耐えきれず体制を崩しそこに転び倒れる
「やめとけ 闘いが終わったばっかだろ」
ウルフカットが地面に倒れるセツナを見下す
「安心しろ 俺たちはまたすぐ会える その時まで楽しみにしときな」
倒れるセツナを背後に2人はキャンピングカーに乗り込もうとする
そこにシイナ、ランマル、ハヤテが後追いで追いついた
「セツナ! ってなんやねんこれ!!」
仲間の死体を見て驚愕するハヤテに今、去ろうとしている者たちを目に捕えるシイナとランマル
「アナタたち何者なの!!」
ミツキが後部座席に乗り込むのを見たランマルはそこにサトシが気を失っているのが見えた
「隊長をどこにやるつもりだ!」
助手席に乗り込んだウルフカットがそこにいる少年たちに高らかに声を上げる
「俺は北澤夏鈴に懸賞金をかけた張本人だ!取り下げたのはお前らの油断を誘うためってこと!!それだけは教えといてやる」
キャンピングカーは走り出しその場から退散しようとする
「待ちなさい!!」
3人がそれを追おうとするが、疲れ切った体で自動車に追いつけるはずもなく、サトシとカリン、そしてミツキを乗せた車はそこから見えなくなっていく
「ミツキーーー!!」
セツナの叫び声が誰もいない平日夕方の住宅街に響いた
curse scramble
Z社社長令嬢 北澤 夏鈴 の護衛は失敗し、Я の少年隊隊長も同人を連れ去った人物によって誘拐された
死者:23名 重傷者:41名 行方不明者:2名
1人の呪いを宿した少女は闇の手に堕ちてしまった
Я 少年隊の完全敗北である
「ママ!!パパ!!ヤダァァァ!!」
燃え上がる爆炎が少女の手と女性の間を通り抜けて遮る
「離れなさい!!」
消防士が少女を強引に抱えてその場から離れさせる
「ダメ!!放して!!ヤダァ!!」
少女は忘れることはない
その赤々と燃えるは目に焼き付ける
少女は今も、その時の後悔と憎しみを胸に目を覚ます
16時頃
病院
「そろそろお暇しますわ」
カリンは退院の身支度を整えて、最後にセツナたちの病室に訪れていた
「うん」
セツナがそう言うとカリンはミツキと並んで病室のドアに触れる
「じゃあねセツナちゃん!」
ミツキは最後に振り向いて手を振る
カリンはシイナのベッドを尻目にドアを開いて廊下へ一歩、踏み出した
「カリン」
「……!」
シイナが名前を呼ぶと振り向かずに動きを止める
「あの時、何があったか分からないけど、アンタが立ち上がって声を上げてなかったら、リンドウさんが間に合わなくて、私たち3人は死んでたかもしれない」
白との闘いでカリンが強い感情を興して身にやどる呪いを放ってしまった時のことだ
「だからその、、」
シイナは呪いのことは一切知らない 知らないからこそ出た言葉なのかもしれない それでもカリンにその言葉は涙ぐませることになる
「ありがとう、、」
照れるように出た感謝の言葉が心に染み渡る
涙を堪えるのに精一杯で声は出なかった
「あと、、ゲーセン楽しかった、、」
ほんの一時だったあの時間をシイナは青春として胸に刻んでいる それを知ると呪いで縛られている自分が少しでも楽になった気がする
任務は終わった…もし、高校生活をまともに送ることができたとしても…そこにシイナさんたちはいない…だから、これだけは言っておこう
「私も楽しかった…」
叶うことはのかもしれない
それでも伝えたかった
「また遊ぼうね!」
涙を落としながらも満面の笑みを見せた彼女はミツキと共に病室を後にした
病室を出た後、空気を読んで口を出さなかったミツキがカリンに話しかける
「ねぇなんでそんなに一生のお別れみたいな空気なの」
「それは私とあの人たちとの秘密よ だから言えないわっ」
「えぇ~」
その会話を影で聞いていたЯ の特攻班員4名が静かにボディガードとしてついていった
Я 本部
一方、その頃、目を覚ました白が仲介班副班長 ヒノ に取り調べを受けていた
「知ってることを話せ」
両手と片目を失った相手は両足だけを椅子に縛られている
「お姉さんさぁ~見た目いいねぇ~ アイドルとかやってそう」
「関係ないことよ 今回の事件、Nは何が目的でZ社の社長令嬢を狙ったのか」
「それはぁ無理な相談だぁ 何があっても組織のことは口に出さないって誓ってるしぃ~」
「早く言わないと次は片足がなくなるよ」
「勝手にしなぁ~何されても教えないからぁ~」
取り調べを防犯カメラから見ているシジマの元へカタギリが訪れる
「失礼します」
リーダー室の戸を開けて報告する
「今しがた令嬢が病院を出たそうです」
「そうか 安全なんだな」
「特攻班が4人着いているので問題ないでしょう」
「わかった あの子たちが戻ってきたら詳しい報告を貰おう」
「了解です」
カタギリの耳にも取調室の音声が届く
『まぁ組織以外の情報ならあげないでもないけど』
ついに白がまともなことを話すようだ
ヒノもシジマもカタギリも、その発言に強く意識を向ける
北澤家の"朱色の呪"のことか…いや、コイツにそれを持った本人を連れ去れという指示が出ているとしたらそれをここで、組織の目的をバラすわけがないか…
Z社社長のタカオから聞き出した情報を1人隠し持っている男がその可能性を否定し聞き入る
『私は教師役で潜入したから先に生徒の情報を知ることができたんだけどウチのクラスに入学式前日にある生徒が受験合格を取り消したんだ』
『どういうこと?』
『分からないわ でもすぐにその穴埋めをするかのように生徒が1人入ったの』
シジマがカタギリに視線を送る
「少年隊の奴らは正規に受験合格して入学したことにしているので入学前日にふと代わることはないかと」
シジマからの確認を的確に返す
『あなたのクラスはどこだったの』
『5組ね』
『その生徒の名前は?』
立て続けに質問し答えを急ぐ
『その生徒は、、、』
その生徒の名前を確認した瞬間、シジマとカタギリは携帯を手に取った
「カタギリは子供たちに連絡しろ 俺はリンドウに連絡する」
「分かりました」
シジマが電話を鳴らしてもリンドウがそれに応答することはない
既に街灯に背をつけて通りかかる人に囲まれている中、気を失っているから
「何故出ない」
すると、カタギリがセツナとの連絡を取り付けた
病院
「カタギリさん?」
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「はい、そうですけど」
慌てるカタギリに戸惑いながら返事する
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『今から言う名前の人間を知らないか!』
「はい?」
『〇〇 〇〇!』
「え、、」
心臓が凍えた
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「でもセツナちゃんってちょっと天然でさ」
「え、どこが?」
「スカートの中に下着以外何も履いてなかったの!」
「それは無防備ね」
「だよね~」
その会話を終わらせると同時に突如、ミツキは立ち止まった
「ミツキさん?」
下を向いて影に隠れた目が不気味に感じる
「ま、そんなことはどうでもいいの もうセツナちゃんとは友達じゃないし」
「え?」
カリンが怯えながらふと口に出した一文字をミツキは無視して後ろを振り返る
「いるんでしょ」
物陰に隠れている特攻班4名が焦り始める
「Я のお仲間さんっ」
『無良 湊月っつう生徒を知らないか!!』
「その子が、どうしたんですか」
『その生徒がなにか知っている可能性がある!どこにいるか分かるか!!』
絶句に包まれた声で返す
「ミツキは、、今、カリンちゃんと一緒に帰っています、、」
『!?』
それを聞いたカタギリとシジマが驚愕で目を合わせる シジマは即座に護衛の特攻班4名に電話を鳴らす
しかし、それが鳴っている携帯の持ち主の頭から大量の血液が流れ出ていた
「ミツキさん、、?」
カリンが怯えながら足を後ろに運ぶ
逃げなきゃ…逃げなきゃ…!
その少女から一刻も早く離れようと駆け出そうとした時、不気味な声がそれを止める
「逃げるんだね」
「……!?」
恐怖で足が止まる
「怖がってるでしょ 私のこと」
金縛りにかかったかのように動けなくなったカリンの背中に徐々に詰め寄る
「そんなに怯えながら逃げたら、また発動しちゃうよ」
瞬きもできず硬直するカリンの背中に自身の胸を強く押し付けるようにゆっくりと抱きつき耳元で囁く
「"朱色の呪"」
「……!!!??」
私の呪いのこと…知って…!!
「私が和らげてあげるからそのまま動かないでね」
小さな袋を手に取ってそれをカリンの口元につけた
カリンは一瞬にして眠りにつきその場で膝を崩した
すると、そこにキャンピングカーが到着した
降りてきた運転手がミツキに話す
「種は撒いてるってそういうことか」
「アナタが運び屋さんですね」
「あぁその通りだ 目標はその女か 連れ帰る乗せろ」
運び屋が後部座席のドアを開くとカリンを抱き上げて運ぶ
目についた気を失っている少年と男性に驚く
「あら?このお2人は?」
「仲間とЯ の少年隊隊長だ よく知らんがコイツらも基地に連れて帰るらしい」
「そうですか、ならカリンちゃんは荷台に乗せましょう こんな男臭いところの上に乗せるのは気が引けます」
「めんどくせぇな」
後部座席のドアを閉めて荷台に回ったその時だった
「ミツキ!!」
聞き覚えのある声がミツキの動きを止める
「セツナちゃん」
至って怪しげな目つきでセツナを見る
その目と特攻班4名の死体を見てセツナは瞳を絶句に染めて話す
「なんで、、何してるの」
「病院から抜け出してきたの?良くないよ」
「そんなことどうでもいい、、」
「怒ってるの?だよね 自分が守った人が友達だと思ってた人に…」
「答えてよ!!!」
声を張り上げて黙らせる
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「……!?」
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「え、、」
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「勝手に決め付けないで!」
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「もうやらないと分からないみたいだから」
「いやだ、、」
「いくよ セツナちゃん」
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「はいストップ!!」
「「……!?」」
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「リーダーさん」
ミツキがそう呼ぶ青年がセツナの方を向く
「誰、」
「誰でもいいだろ美川 刹那」
「……! なんで私の名前を…!」
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仲間の死体を見て驚愕するハヤテに今、去ろうとしている者たちを目に捕えるシイナとランマル
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助手席に乗り込んだウルフカットがそこにいる少年たちに高らかに声を上げる
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