Я side The Assassin

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少年たちの成長編

55.嘘のような真実

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武道場

「ドアッ!!」

セツナが派手に床に転がった
その前にいるのはシジマである

「実は初めてだな 俺に稽古つけてもらうのは」

「そうですね!!」

立ち上がって飛び蹴りするが、それを片腕で受け流す
背後に滑り流れたセツナはすぐに軌道変更し切り返しで殴りかかるが、それも片手で横に流される

「やっぱり受け流された時の対応がなってないな」

片拳がセツナの腹のど真ん中に突き当たる

「オエッ…!!」

シジマは倒れることを許さずセツナの脇に腕を通して下方向に力をいれる
下降するセツナの身体にあわせて膝を突き上げる

「オエェッ!!」

今度は両肩を掴み、立ち直させ頭がぶらりと上に向いた瞬間、額どうしを勢いよくぶつける

「イッ……!!」

「セツナ お前は相手を離れて観察し動きを見ながら、それを見切るときに低姿勢となり、そこから強烈な攻撃を仕掛けることが多い」

今にも気を失ってしまいそうなセツナに指導する

「だからお前が一番不得意であろう相手を想定して闘ってやる」

自分の全体を見せないよう常にセツナとは至近距離におり、低姿勢をとらないよう倒させず身動きを封じて攻撃し続ける
セツナの"視覚情報暗記闘型ビューインプットスタイル"を完全に殺した

ムナさんやキドウさんから話には聞いてた…相手の得意を殺す師匠の戦闘方法…

"得意封殺ストロングキラー"……!

強烈な右ストレートがセツナの顎を打ち上げた
床に背中から落ちたセツナを見てシジマは手を止めた

「終わりだ」

起き上がったセツナは実に清々しい様子でぶれていた心が正常に戻ったようだ

「ふぇ~強いですね」

「一応、TOP張ってるからな」

立ち上がりながら質問する

「こういう相手ってどうするのがいいんでしょうか」

「それは教えられない」

口をとがらせて不満の意を見せるとシジマがため息をついて仕方なさそうに話した

「教えれないんだよ」

「え、、」

「俺はセツナの体じゃないし、その時のコンデションにもよる だから俺から教えられることがないんだ」

「でも、いざってなった時…」

「克服したいなら自分で答えを見つけろ それまで何度でも相手をしてやる」

「……! ありがとうございます!!」

セツナが勢いよく礼をした

「そういえばセツナ」

「はい!」

「少年隊長にはならないのか」

「はい!なりません!」

元気よく否定

「そ、そうか、清々しいな、、」

「推薦したい子がいるんです」

目を真っ直ぐに向けてきたセツナとその発言からその相手は本当に推しているのだと分かった

「そうか これからも励めよ」

シジマは子供の成長に嬉しくなりながら武道場から出た

「ありがとうございました!!」

出ていくシジマに深く頭を下げる
扉が閉まる音を確認して頭を上げると同時にアナウンスが流れる

『あー…テステス…』

ヒイマの声だ

『少年隊のみんな!!今すぐに武道場に集合!』

本部の各地にいる少年隊の耳にヒイマの指示が通る

『少年隊長を決めるよ!!』

え、私…タイムリーだな


数分後、、

少年隊の隊員が武道場に集まった

「セツナちゃん!」

セツナの元にレナとゴウが合流する

「さっきより顔が明るいね!」

変化に気づきレナは笑顔である

「うん ありがとうレナ おかげで吹っ切れた」

互いに顔をあわせて小さく笑いあった
それを間に入ることなく見たゴウが静かに笑う

すると、集団の前に立っているヒイマが大きな声を上げる

「全員いるねー!少年隊長を決める前にその定義から教えとくね!」

全員が認知していることを確認するための説明が始まる

「少年隊という未成年の戦闘員を集めた集団のリーダーにあたる 連絡とかもそうだけど隊長が責任を負ってるの 戦闘員といっても任務にあたることはほとんどないから任務が入ったら必ずその任務に順次することになる 現場をまとめたり、いざとなった時に前に立って闘うことになるの そんな責任重大な立ち位置よ」

サトシも任務で異常事態が起きた時には即座に反応し行動していた

「この説明を受けて隊長になりたいっていう立候補がある人は手を上げてね」

集団の中にいるコウマが手を上げた

「お、焦寅コインく…」

「あ、いや俺じゃなくて、」

横に目をそらすとそこには身長が足りず手を上げても気づかれていないイチゴがいた

「私ですー!!」

過去に話したことのあるヒイマはその声で誰なのか分かった

ベニ イチゴちゃんね」

自分の名前が聞こえてほっとしたイチゴが胸を撫で下ろす

「ふー良かった」

他の立候補者を募集する声が響くとセツナが手を上げた

「お、ミカワちゃ…」

「違います!!」

またもや手を上げた人物と違う人物が立候補したのかとため息を着くとセツナの上げていた手が横に降ろされた

「え、、」

向けられた人物は目を仰天させて口を小さく開けている

基山 麗奈キヤマ レナさんを推薦します!!」

「えぇーーーーーー!!!」

セツナからの指名に驚きを隠せず全員の視線を集める大声をあげてしまった

「ちょ、ちょちょ!セツナちゃん!!」

「レナ さっき励まされた時思ったんだ」

肩に手を置く

「レナは人を大切にできるいい人だから人の前に立つのは似合ってるって」

「~~~! ゴウもなんとか言ってよ!」

レナがゴウに転換して助けを求める
しかし、

「いいんじゃないか レナならピッタリだ」

助けは来なかった

セツナがレナをこちらに向き直させる

「全力でサポートするし!みんなも着いてきてくれると思う!だから!一緒に頑張ろう!」

「~~~////」

照れて顔が真っ赤になってしまった

「そこまで言うならやります」

押し負けたかのように手を上げた

「じゃあキヤマちゃんも立候補ね!」

ここで問題が発生してしまった

「立候補者が2人になっちゃったけどどうする?多数決でも…」

「ちょっと待ったーーー!!」

イチゴが大きな声を出すとヒイマの喋りが停止する イチゴは集団の中を掻き分けながらレナの方へ歩いていく

「多数決で決めてもお互い納得できないわ」

自分よりも高い人たちの脚を分け歩き、レナの足元に着くと威勢のいい表情で見上げる

「勝負よ レナさん」

「……ッ!」

「お互いに自分を含めて5人で1対1の3本先取で決めるわよ」

やる気と気概に満ちた発言にレナは動揺もせず、同じ威勢のいい表情で返す

「臨むところよ」

それを見ていたヒイマがフッと笑う

「いいよ 今すぐにやろう 早く残り4人を決めてね」


数分後、、

「あと2人…」

レナはセツナとゴウを仲間に加えて、残り2人のメンバーを探していた
そこに見えたシイナとランマルにレナが声をかける

「2人とも~!私と…」

「却下よ」

間髪入れずにシイナに否定されしょぼんとなる

そういえば…シイナって私のこと嫌いだったんだ…

「じゃあランマル…」

「オレ、武器なしの戦闘得意じゃないからやめとく」

「あぁ~⤵」

2人にバッサリ切り捨てられてしまった
すると、奥からイチゴの声が響いた

「じゃあキッタカさん私たちのチームにこない!キヤマさんのチームを一緒に倒しましょ!」

「のったわ」

目の前でシイナを対戦相手にとられてしまった
相手のチームを見ると既に5人揃っているようだ
それをゴウが確認し、メンバーを口に出す

「コインに、タキタツ、アサミにキッタカか…」

どうやら派遣班副班長 赤上 勝アカカミ  マサルの妹である愛咲美アサミもイチゴ側に着いたようだ

「とほほ~なんかメンツ強いよぉ~」

肩をガクりと落として目を細めていると後ろから肩を叩かれた

「ん?」

「俺に任せとき」

「ハヤテくん!!」

ハヤテがレナのチームに着きたいと意思表示したのだ

「闘いたい相手がおんねん」

リュウマを睨むと気配を感じたのかリュウマもハヤテの方を向いてお互いにニヤリと笑った

「ありがとう!!」

レナが感謝の意を伝える

「でもまだあと1人決めないとだね」

セツナが辺りを見渡すと見覚えのある怪しげな人物が歩いてくるのが見えた

「……ッ!」

セツナは警戒し目をしかめる
その少女は白い髪を肩までストーレートに伸ばした赤紫色の瞳をしており、入隊試験でセツナに核心をつく一言を囁いた人物だった

「お困りのようね」

怪しげで少し籠っているような少女の声だ

「アンタは…あの時の…」

セツナが疑心暗鬼を極めて警戒態勢に入るとまたもや、静かに耳元まで接近した

「今回はアナタに変なことはしないわ」

「……ッ!」

白髪の少女はそう囁くとすぐに後ろにいるレナに声をかけた

「私 座北 永遠華ザキタ トワカと申す者よ お困りならばお力添えするわ」

「え、ほんと!!」

レナがトワカの手をとるとセツナが振り向いて焦りを見せる

「レナ…!ソイツはやめ…ッ!」

トワカの見せる不気味な笑みから異様な威圧を感じ言葉を噤んだ

「やっぱ…なんでもない…」

「そう?じゃあ決まり!!よろしく!!」

大きく手を上げるとそれが見えたヒイマが少年隊の面々に声を上げる

「決まったみたいだから他のみんなは観戦に回ろうか!離れてー!!」

武道場の中央にある戦闘用の場から全員がはけていった
それを確認したヒイマが場の真ん中に立つ

「ルールは3本先取!審判は私がやるわ それじゃあ各チームの先鋒!中央に!」

レナのチームもイチゴのチームも先鋒を誰にするかコソコソと話す

「私が行くわ」

トワカがそう言うとセツナは目をしかめ、レナは「任せた」と声をかけた

トワカが白線の内側に入ると同時に相手の先鋒も白線に入った

「あら?立候補者のアナタが最初なのね」

相手チームは立候補者であるイチゴに先鋒を託したようだ

「ええ 私が大将である必要はないからね」


場外では立候補者であるイチゴよりもトワカについて議論されていた

「あの子のこと誰か知ってる?」

レナの質問にゴウ、ハヤテの順に答える

「知らないな 訓練生時代は本部で見かけなかったし支部から来たのか」

「俺も知らへんな~」

レナが「ふーん」と言って最も真剣に彼女を見ているセツナに再度質問する

「セツナちゃんは?」

「私も知らない…けど…」

ヒイマから「試合開始!」と発せられ場内では試合が開始する

「なんか怖い…」

セツナがそういうことに不思議に思いながらレナは試合の方を向く

先に飛びかかったイチゴがトワカの腹に脚を絡みつけて拳を握った

「先手必勝!」

超至近距離から撃たれる拳、イチゴの筋力でも充分な威力になるだろう

「オリャッ!!」

イチゴの小さくも力ある拳がトワカの頬を撃つ

パスッ!

「え、、」

はずだった

気づけばイチゴはトワカから離されて宙にほおり出されており、絡みつけていたはずの足も相手から離れている

「私の勝ちだわ」

無音の一歩で接近したトワカが左手を使って払うように相手の腹を触った
それは本当に無音で、何も聞こえず触られた本人も触られたか分からないほどであった

ボフンッ!ズタッ…

「「「……………」」」

その場の誰しもが見間違いだと思った
しかし、それは至って現実であり、変えられようのない事実であった

「うそ…でしょ…」

イチゴのしりは床につけられており足の方を見ると足裏が白線の外側にあることに気づいた

「いいえ 真実よ」

トワカの目配せを受けたヒイマが唖然を払って審判としての役目を果たす

「ベニちゃん場外!ザキタちゃんの勝利!」
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