12 / 13
第11話 旅の醍醐味
しおりを挟む
ここの食事はたしかに美味しかった。
村では食べたことのないいわゆる洗練された味っていうやつなのかも知れない。
村では大抵は味付けに塩だけだ。
皆言っていた。
「不味いだと? だったら、塩をぶっかけておけ」
それで大抵のことは片付けてきた。
塩の加減だけで味の良し悪しを決める料理。
それが村の料理だった。
しかし、それがどうだろうか。
たった2日。
たった2日歩いただけで到達できるこの街の料理は。
どうして、こうも違うんだ?
いや、違いすぎないか?
何だ、この味は。
薄い塩味の中に広がる野菜の甘味……
軽くかじるだけで滲み出る肉汁……
喉を通り過ぎるまで味わい深い謎の料理……もはや、異国!!
そんな料理が目の前のテーブル一杯に広がっている。
だが、気になることがある。
さっきまで、彼女と一緒の部屋になってしまったことに動揺していた……
が、今は違う。
「食べ……ないの? 美味しいよ?」
用意された料理に彼女は一切手を入れなかった。
それはワンちゃんも同じだった。
店の好意でワンちゃん用のご飯も用意してもらった。
お皿に大きく盛られた肉。
見るからに美味しそうだ。
百歩譲ってワンちゃんが手を付けないのは理解しよう。
ワンちゃんは元を辿れば魔獣。
もしかしたら人間が食べる食べ物を受け付けないのかも知れない。
しかし、彼女は別だ。
もしかして、体調でも崩しているのだろうか?
それを僕に言えないで、我慢していたのではないか。
彼女は首を振るだけだった。
料理には全く見向きもせずに、僕の方ばかり見てくる。
正直、食べづらい。
「あの……料理は口に合いますでしょうか?」
女店主だ。
「はい。とても美味しいです。こんな料理がこの世にあっただなんて、信じられないですよ」
「まぁ!! 大袈裟ですね。だけど嬉しいです。ありがとうございます。……ところで。お連れ様はお食べにならないんでしょうか? さっきから、手を付けていないご様子ですが……」
言われても無理はないか。
これだけ用意してもらったのに、彼女は一切手を付けないのだから。
せめて、一口でも食べてくれれば……とも思うが、何か理由があるのだろう。
「すみません。実は彼女の体調が優れないみたいなんです」
「それは大変ですね。お医者様でも呼びましょうか?」
医者はどうだろう?
彼女は普通の人間ではないから、医者が役に立つかどうか未知数だ。
彼女は首を振り、女店主に少し微笑んだ。
「大丈夫です」
「そう……ですか。もし、体調が戻られて食事が必要なら、おっしゃってください。簡単なものだったら、お作りしますから」
なんて、いい人なんだ。
こんな宿屋を紹介してくれた衛兵には感謝をしなければな。
「ありがとうございます。その時は遠慮なく言わせてもらいますね」
女店主が去ってからも食事は続く。
といっても、見つめられながら一人で食べるというなんとも言えない食事になってしまった。
女店主にお礼を告げてから、部屋に向かうことにした。
「すみません。その犬の件なんですが……」
女店主に呼び止められてしまった。
どうやら犬は客室に入れないようだ。
一応、行商人用の馬小屋があるらしいので、ワンちゃんはそこで一泊させることになった。
「ごめんな。朝、すぐに迎えに来るからな」
「くぅーん」
ものすごく辛そうな顔をしているが、こればかりはどうしようも出来ない。
勝手に連れ込んで、女店主に迷惑を掛けるわけにはいかない。
後ろ髪を引かれる思いがするが、彼女と部屋に向かった。
彼女はこんなときでもワンちゃんに勝ち誇った表情を見せることを忘れることはなかった。
部屋に入り、彼女はゆっくりと鍵を閉めた。
「これでやっと二人っきりになれましたね」
「えっ!?」
たしかにこの状況は……良くない。
良くないぞ。さっきまで料理のことで忘れていたが、今晩は彼女と二人っきりで過ごさなければならない。
しかも、この部屋のベッドは一つしかない……どうしてだ!!
女店主は何を勘違いしているんだ!!
まさか、彼女と夫婦とでも?
いや、そんな訳がない。
こんな成人したての夫婦なんていてたまるか。
「ロレンス様? 何を動揺しておられるのですか?」
彼女が意味深にゆっくりとこちらに近づいてくる。
ダメだ……動揺が隠しきれない。
(彼女はマリーヌじゃない……彼女はマリーヌじゃないんだ)
そう思い、なんとか平静を保つ努力をしてみた。
無理だ!!
僕は思わず、彼女を抱き締めていた。
「……」
「……」
抱きしめる腕の中で彼女は忍び笑いをしだした。
「ロレンス様も男なんですね。でもダメですよ。この体は私のでも、私だけのものではないんですから。そういう事はしっかりとマリーヌに許可を貰わないとダメですよ」
……その通りだ。
一体、何をやっているんだ……。
後悔が押し寄せてくる。バカだ……。
すると、頬に暖かな感触が伝わってきた。
彼女の唇が頬に当たっていたのだ。
「な、なにを……」
いたずらっぽく笑って、彼女は一歩離れる。
「それくらいならマリーヌも許してくれると思いますよ。分からないですけど……体が喜んでいるような気がしますから」
「それって……」
彼女は首を横に振る。
「この体にはマリーヌはいませんよ。だから、私の気持ちかも……知れません……よく分からなんです。私には……私達、天使には恋愛感情というものはありませんから」
なんと答えればいいんだろうか。
「ごめん」
「何を謝っているんですか? 抱きしめるくらいなら許してあげますよ。だけど、それ以上は……」
それ以上って……急に体が熱くなってしまった。恥ずかしい……
「ウブなんですね。まぁ、それはさておき……ようやく二人っきりになったのでお話が出来ますね」
何を言っているんだ?
「ワンちゃんはいたけど、話そうと思えばいくらでも話せただろ。村を出てからずっと一緒だったんだから」
「気付いてなかったんですよね? 私がずっと話しかけていたの……ロレンス様はずっと考え事をしていたみたいでしたから」
……そういうことか。
「ごめん。色々と考えてしまって」
「そんなに謝らないでください。分かっているつもりですから。今はお話できますよね?」
そうか。さっきまでのことは彼女なりに励まして……元気を出させるためにしてくれたことだったのか。
「ありがとう。もちろんだよ」
「そんな……お役に立てて何よりです。えへへ」
なんで、コロコロと態度を変えるんだ? ちゃんとしていれば、ちゃんと見えるのに……
「じゃあ、お話しますね。私達、天使のことを……」
また嘘くさい話が始まるのかと、ちょっと嫌な気持ちになった。
「我々は神の力を宿した者の守護をするために神より遣わされた存在、というのは話したと思います。我々の存在が神の力があるという証明です。ロレンス様の右手もまさに神の力なのです」
それは聞いた。
何度聞いても、胡散臭さは拭えないけど……
「大事なのはこれからで、マリーヌの能力のことです。ホグース村での話をまとめると一つの結論が出てくるんです」
「マリーヌの能力?」
「ええ。マリーヌの能力はおそらく……治癒……もしくはそれに近い何かということになります。マリーヌは殺されたと言われていましたが、この体にその時に与えられた傷はありませんでした。それは間違いありません。そうなると、どこかで治療されたことになります」
治癒魔法……
「場所は牢獄。とても治療できる人が側にいたとは思えません。だとすると、結論は神の力がマリーヌに宿ったこと。そして、その力は殺されるほどの傷を無傷にしてしまうものなのです」
そうか……そうだったら、なるほど……
マリーヌが平然と僕の前に姿を現したのも納得できるな。
「そして、その時に一緒に殺されてしまった魔獣。それが……」
「ワンちゃんか!!」
「魔獣はマリーヌに慣れていたと言っていましたね。おそらく、孤独になったマリーヌの唯一の支えが魔獣だったのかも知れません。魔獣とそんな事が出来るかは謎ですが、状況からしたらそれしか説明が出来ないと思います」
それなら辻褄はあうな。
あの魔獣と心を通じ合わせる……
今こそ、不思議ではないが、魔獣と仲良くなれるなんて話、聞いたこともない。
「マリーヌはロレンス様の体の中にいます。もしかすると……ロレンス様はマリーヌの能力を受け継いでいるかも知れません」
「つまり、僕が治癒魔法が使えると?」
「分かりません。私も初めてのことで……発動する条件も調べる必要がありますね」
「発動条件?」
ああ、なるほど。
この右手もなんで消滅させる魔法が発動するわけではない。
相手に敵意がないとダメなんだったな。
だとすれば、治癒魔法の発動条件とは?
「あまり考えすぎないほうがいいかも知れません。そもそも発動するかどうかも怪しいですから」
確かにその通りだな。
むしろ、この右手のことを詳しく考えたほうがいいだろう。
「それだけか?」
「えっ? ええ。それだけです。今のところ、分かったのは。これから色々分かってくるでしょう」
話が済んだところで、彼女に気になっていたことを聞いてみた。
「なんで食べなかったんだ? 天使は人間の食べ物は食べれないのか?」
「そうじゃないですよ。必要がないんです。我々天使は食事が不要ですから」
そうなのか……。
人間は食べ物で栄養を摂取しなければ生きてはいけない。
だったら、天使は……?
「神から力を頂いているんですよ。でも、今は……」
彼女はそう言うと、再び近づいてきて、右腕にしがみついてきた。
「ここから力を貰っているんです」
そういうことだったのか。
一緒の部屋にしたのも……なんて勘違いだったんだ。
ずっと恥ずかしい思いをしてばっかりだ。
「でも、そうじゃなくても離れたくないってこの体が言っている気がするんですよね」
「それって……」
彼女はにやっと笑う。
不覚にもドキッとしてしまうのが本当に嫌だ。
「分かりません。マリーヌのほんの少し残った残滓のせいなのか、それとも私の気持ちなのか……」
一体、どっちなんだ!!
その夜は静かに更けていった……。
翌朝、ワンちゃんがぐったりしているのを発見して、大騒ぎするところから次の日が始まった。
村では食べたことのないいわゆる洗練された味っていうやつなのかも知れない。
村では大抵は味付けに塩だけだ。
皆言っていた。
「不味いだと? だったら、塩をぶっかけておけ」
それで大抵のことは片付けてきた。
塩の加減だけで味の良し悪しを決める料理。
それが村の料理だった。
しかし、それがどうだろうか。
たった2日。
たった2日歩いただけで到達できるこの街の料理は。
どうして、こうも違うんだ?
いや、違いすぎないか?
何だ、この味は。
薄い塩味の中に広がる野菜の甘味……
軽くかじるだけで滲み出る肉汁……
喉を通り過ぎるまで味わい深い謎の料理……もはや、異国!!
そんな料理が目の前のテーブル一杯に広がっている。
だが、気になることがある。
さっきまで、彼女と一緒の部屋になってしまったことに動揺していた……
が、今は違う。
「食べ……ないの? 美味しいよ?」
用意された料理に彼女は一切手を入れなかった。
それはワンちゃんも同じだった。
店の好意でワンちゃん用のご飯も用意してもらった。
お皿に大きく盛られた肉。
見るからに美味しそうだ。
百歩譲ってワンちゃんが手を付けないのは理解しよう。
ワンちゃんは元を辿れば魔獣。
もしかしたら人間が食べる食べ物を受け付けないのかも知れない。
しかし、彼女は別だ。
もしかして、体調でも崩しているのだろうか?
それを僕に言えないで、我慢していたのではないか。
彼女は首を振るだけだった。
料理には全く見向きもせずに、僕の方ばかり見てくる。
正直、食べづらい。
「あの……料理は口に合いますでしょうか?」
女店主だ。
「はい。とても美味しいです。こんな料理がこの世にあっただなんて、信じられないですよ」
「まぁ!! 大袈裟ですね。だけど嬉しいです。ありがとうございます。……ところで。お連れ様はお食べにならないんでしょうか? さっきから、手を付けていないご様子ですが……」
言われても無理はないか。
これだけ用意してもらったのに、彼女は一切手を付けないのだから。
せめて、一口でも食べてくれれば……とも思うが、何か理由があるのだろう。
「すみません。実は彼女の体調が優れないみたいなんです」
「それは大変ですね。お医者様でも呼びましょうか?」
医者はどうだろう?
彼女は普通の人間ではないから、医者が役に立つかどうか未知数だ。
彼女は首を振り、女店主に少し微笑んだ。
「大丈夫です」
「そう……ですか。もし、体調が戻られて食事が必要なら、おっしゃってください。簡単なものだったら、お作りしますから」
なんて、いい人なんだ。
こんな宿屋を紹介してくれた衛兵には感謝をしなければな。
「ありがとうございます。その時は遠慮なく言わせてもらいますね」
女店主が去ってからも食事は続く。
といっても、見つめられながら一人で食べるというなんとも言えない食事になってしまった。
女店主にお礼を告げてから、部屋に向かうことにした。
「すみません。その犬の件なんですが……」
女店主に呼び止められてしまった。
どうやら犬は客室に入れないようだ。
一応、行商人用の馬小屋があるらしいので、ワンちゃんはそこで一泊させることになった。
「ごめんな。朝、すぐに迎えに来るからな」
「くぅーん」
ものすごく辛そうな顔をしているが、こればかりはどうしようも出来ない。
勝手に連れ込んで、女店主に迷惑を掛けるわけにはいかない。
後ろ髪を引かれる思いがするが、彼女と部屋に向かった。
彼女はこんなときでもワンちゃんに勝ち誇った表情を見せることを忘れることはなかった。
部屋に入り、彼女はゆっくりと鍵を閉めた。
「これでやっと二人っきりになれましたね」
「えっ!?」
たしかにこの状況は……良くない。
良くないぞ。さっきまで料理のことで忘れていたが、今晩は彼女と二人っきりで過ごさなければならない。
しかも、この部屋のベッドは一つしかない……どうしてだ!!
女店主は何を勘違いしているんだ!!
まさか、彼女と夫婦とでも?
いや、そんな訳がない。
こんな成人したての夫婦なんていてたまるか。
「ロレンス様? 何を動揺しておられるのですか?」
彼女が意味深にゆっくりとこちらに近づいてくる。
ダメだ……動揺が隠しきれない。
(彼女はマリーヌじゃない……彼女はマリーヌじゃないんだ)
そう思い、なんとか平静を保つ努力をしてみた。
無理だ!!
僕は思わず、彼女を抱き締めていた。
「……」
「……」
抱きしめる腕の中で彼女は忍び笑いをしだした。
「ロレンス様も男なんですね。でもダメですよ。この体は私のでも、私だけのものではないんですから。そういう事はしっかりとマリーヌに許可を貰わないとダメですよ」
……その通りだ。
一体、何をやっているんだ……。
後悔が押し寄せてくる。バカだ……。
すると、頬に暖かな感触が伝わってきた。
彼女の唇が頬に当たっていたのだ。
「な、なにを……」
いたずらっぽく笑って、彼女は一歩離れる。
「それくらいならマリーヌも許してくれると思いますよ。分からないですけど……体が喜んでいるような気がしますから」
「それって……」
彼女は首を横に振る。
「この体にはマリーヌはいませんよ。だから、私の気持ちかも……知れません……よく分からなんです。私には……私達、天使には恋愛感情というものはありませんから」
なんと答えればいいんだろうか。
「ごめん」
「何を謝っているんですか? 抱きしめるくらいなら許してあげますよ。だけど、それ以上は……」
それ以上って……急に体が熱くなってしまった。恥ずかしい……
「ウブなんですね。まぁ、それはさておき……ようやく二人っきりになったのでお話が出来ますね」
何を言っているんだ?
「ワンちゃんはいたけど、話そうと思えばいくらでも話せただろ。村を出てからずっと一緒だったんだから」
「気付いてなかったんですよね? 私がずっと話しかけていたの……ロレンス様はずっと考え事をしていたみたいでしたから」
……そういうことか。
「ごめん。色々と考えてしまって」
「そんなに謝らないでください。分かっているつもりですから。今はお話できますよね?」
そうか。さっきまでのことは彼女なりに励まして……元気を出させるためにしてくれたことだったのか。
「ありがとう。もちろんだよ」
「そんな……お役に立てて何よりです。えへへ」
なんで、コロコロと態度を変えるんだ? ちゃんとしていれば、ちゃんと見えるのに……
「じゃあ、お話しますね。私達、天使のことを……」
また嘘くさい話が始まるのかと、ちょっと嫌な気持ちになった。
「我々は神の力を宿した者の守護をするために神より遣わされた存在、というのは話したと思います。我々の存在が神の力があるという証明です。ロレンス様の右手もまさに神の力なのです」
それは聞いた。
何度聞いても、胡散臭さは拭えないけど……
「大事なのはこれからで、マリーヌの能力のことです。ホグース村での話をまとめると一つの結論が出てくるんです」
「マリーヌの能力?」
「ええ。マリーヌの能力はおそらく……治癒……もしくはそれに近い何かということになります。マリーヌは殺されたと言われていましたが、この体にその時に与えられた傷はありませんでした。それは間違いありません。そうなると、どこかで治療されたことになります」
治癒魔法……
「場所は牢獄。とても治療できる人が側にいたとは思えません。だとすると、結論は神の力がマリーヌに宿ったこと。そして、その力は殺されるほどの傷を無傷にしてしまうものなのです」
そうか……そうだったら、なるほど……
マリーヌが平然と僕の前に姿を現したのも納得できるな。
「そして、その時に一緒に殺されてしまった魔獣。それが……」
「ワンちゃんか!!」
「魔獣はマリーヌに慣れていたと言っていましたね。おそらく、孤独になったマリーヌの唯一の支えが魔獣だったのかも知れません。魔獣とそんな事が出来るかは謎ですが、状況からしたらそれしか説明が出来ないと思います」
それなら辻褄はあうな。
あの魔獣と心を通じ合わせる……
今こそ、不思議ではないが、魔獣と仲良くなれるなんて話、聞いたこともない。
「マリーヌはロレンス様の体の中にいます。もしかすると……ロレンス様はマリーヌの能力を受け継いでいるかも知れません」
「つまり、僕が治癒魔法が使えると?」
「分かりません。私も初めてのことで……発動する条件も調べる必要がありますね」
「発動条件?」
ああ、なるほど。
この右手もなんで消滅させる魔法が発動するわけではない。
相手に敵意がないとダメなんだったな。
だとすれば、治癒魔法の発動条件とは?
「あまり考えすぎないほうがいいかも知れません。そもそも発動するかどうかも怪しいですから」
確かにその通りだな。
むしろ、この右手のことを詳しく考えたほうがいいだろう。
「それだけか?」
「えっ? ええ。それだけです。今のところ、分かったのは。これから色々分かってくるでしょう」
話が済んだところで、彼女に気になっていたことを聞いてみた。
「なんで食べなかったんだ? 天使は人間の食べ物は食べれないのか?」
「そうじゃないですよ。必要がないんです。我々天使は食事が不要ですから」
そうなのか……。
人間は食べ物で栄養を摂取しなければ生きてはいけない。
だったら、天使は……?
「神から力を頂いているんですよ。でも、今は……」
彼女はそう言うと、再び近づいてきて、右腕にしがみついてきた。
「ここから力を貰っているんです」
そういうことだったのか。
一緒の部屋にしたのも……なんて勘違いだったんだ。
ずっと恥ずかしい思いをしてばっかりだ。
「でも、そうじゃなくても離れたくないってこの体が言っている気がするんですよね」
「それって……」
彼女はにやっと笑う。
不覚にもドキッとしてしまうのが本当に嫌だ。
「分かりません。マリーヌのほんの少し残った残滓のせいなのか、それとも私の気持ちなのか……」
一体、どっちなんだ!!
その夜は静かに更けていった……。
翌朝、ワンちゃんがぐったりしているのを発見して、大騒ぎするところから次の日が始まった。
0
あなたにおすすめの小説
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ
天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。
彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。
「お前はもういらない」
ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。
だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。
――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。
一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。
生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!?
彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。
そして、レインはまだ知らない。
夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、
「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」
「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」
と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。
そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。
理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。
王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー!
HOT男性49位(2025年9月3日0時47分)
→37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる