追放鍛治師の成り上がり〜ゴミスキル『研磨』で人もスキルも性能アップ〜家に戻れ?無能な実家に興味はありません

秋田ノ介

文字の大きさ
36 / 69
鍛冶の街 グレンコット

第30話 初めてのプレゼント

しおりを挟む
食事を終えてから、再び街を練り歩いた。

僕が足を止める度に怒られた。

「止まるなとは言いませんが、長居し過ぎですわ」

鍛冶をしている姿を見つけたら、ずっと見てしまうよね?

その職人の思いの丈を全てぶつけている姿は本当に格好いいと思う。

そんな姿に見惚れてしまうのは仕方がないじゃないか。

「とりあえず、今日はどこかの宿に泊まりましょう」

あれ?

なんだか、フェリシラ様が仕切りだしたぞ。

もしかして、僕ってそんなに不甲斐ない?

ここは、ちょっとでも格好いいところを……

「僕が宿を探してきますよ!! ちょっと、待っていて下さい!!」
「ちょ……ライル!!」

僕は走った。

フェリシラ様が泊まる宿となると……やっぱり、上等な所だよな?

この辺りで一番上等……となると、ここか。

峡谷を一望できる最高の場所にある宿屋……。

「申し訳ありません。空きがございません」

なんてことだ……。

いや、諦めるな。

「他に宿屋はありませんか?」
「おそらく、どこも一杯かと。今は冒険者の方達が集まっておりますから」

くそっ!!

鍛冶師の次は冒険者か。

いつも、宿屋運に見放されているな。

こうなったら……馬車に戻って……

「あれ? 君、ライル君じゃない? やっぱり、そうだ。久しぶりねぇ」

打ちひしがられている時に声を掛けてきたのは……。

「えっと……どちら様でしょうか?」

全く見に覚えのない女性でした。

姿は……冒険者かな?

顔は……全く記憶にない。

「あれぇ。酷いな。私よ!! マリアよ」

……マリア?

なんだか、最近聞いたことが……。

「……」
「本当に忘れちゃったの? ほら、ベイドと同級生の。花屋さんの隣のお家の……わからない?」

僕は必死に思い出そうとしていた。

そういえば、そんな人が居たような……。

いたっ!!

いたな!!

「あの、不細工なワンちゃんがいる」
「ベイドは不細工じゃないもん」

えっ? ベイド?

「どうして、ワンちゃんの名前がベイドなんですか?」
「えっ? だって、ベイドからもらったから。いいでしょ?」

ううん……あの不細工な犬に名前を付けられるのは、かなり不本意ではないだろうか?

まぁ、いいか。

「じゃあ、僕はこれで」
「ちょっと!! 酷いじゃない! せっかくの再会なのに」

いや、僕は貴女とは全く面識がないと思うんだけど。

「私ね、ベイドと婚約しているのよ。だから、貴方の姉になるの」

……やっぱり、この人のことを言っていたのか。

あのベイドは。

んんんんん。

まぁ、普通の女性だな。

「そうですか……それはおめでとうございます。それでは」
「どうして、行っちゃうかな? もうちょっと、話そ?」

なんだか、とても面倒くさくなってきたな。

「すみません、僕は宿を探さないといけなくて。連れを待たせているので……」
「何? 宿を探しているの? だったら、先に言ってよ」

いや、何の脈絡もなく、言えないだろうに。

「はぁ……それじゃあ……」
「だから、行かないでよ。ねぇ、宿があるって言ったら、どうする? しかも、ここの」

ん?

この人……何を企んでいる?

なんか、妙な胸騒ぎがする……。

……。

「じゃあね!!」

マリアと名乗る女性はダンジョンに行くと言って、去っていった。

だけど……僕は手に入れた。

宿屋の宿泊券を!

しかも!

一番いい部屋だぁ!

いい人だな。マリアさんは。

これをタダでくれるんだから。

今度、会ったときにはしっかりとお礼をしないとな……。

……。

「お待たせしました。宿を取ってきましたよ」
「あの女性は誰かしら?」

へ?

いや、まさかな。

かなりの距離があったはず。

「えっと……マリアさんと言って、ベイドの婚約者みたいですよ」
「へ? へぇ、そうですか」

それから、マリアさんの話題は上がることはなかった。

……。

「とっても素敵な見晴らしね」

まぁ、煙が充満しているせいで、何も見えないけど。

というか、ブレスレットを見過ぎではないだろうか?

暇があれば、ずっと見ている気がする。

「あの……それ、すごく気に入っているみたいですね。もし、あれでしたら、もう一つ買いましょうか?」

僕はフェリシラ様がブレスレット愛好者なのかと思ったんだ。

だから、言ったのに……

ものすごく怒られてしまった。

「プレゼントというものは、何度も贈るものではありません。気持ちが篭った一つで十分なんです。このブレスレットのように」

えっと……なんだか、とても恥ずかしいことを言われた気がしました。

「ありがとうございます。フェリシラ様」
「いいえ。私の方こそ。そう、私からもライルに贈りたいものがあります」

ん?

なんだろう……。

ってこれは……何だ?

「砥石……ですか?」
「ええ。とても珍しいものらしいですよ」

まぁ、珍しいと言うか……見たことがないかな?

普通の砥石はざらついた面をしているが、これはツルツルだ。

仕上げも仕上げ、最後の最後で使う研磨用の砥石だろう。

だけど、僕が気になるのはそこじゃない。

その石そのもの。

光り輝く粒の様なものが散りばめられた石だったのだ。

正直、こんなキレイな砥石は見たことがない。

「分からないです」
「ふふっ。魔石が含まれた石なんですって。この光っている粒がそうらしいですわ」

へぇ……魔石の砥石か。

なんだか、面白いものがあるんだな。

「ありがとうございます!! 大切にしますね」
「ええ」

これは僕にとっては一生の宝物だ。

首にかけて持ち歩こうかな?

ここは鍛冶の街だ。

それ位の加工はなんてことはないだろうな。

「ねぇ、ライル。ちょっと、頼みがあるの」

ん?

なんだろう?

「このブレスレット……ちょっと、傷があるみたいなの。直してくれないかしら」

……よく、こんなに小さい傷を……。

「分かりました。だったら、この石でやってみましょうか?」
「任せますわ」

生憎と粗めの砥石しか持ってきていないから、こんな細かいものにやったら、傷がますます付いてしまう。

ちょっと時間はかかるけど……。

シュッ……シュッ……。

いいじゃないか。

シュッ……シュッ……。

悪くない。

……。

「出来ましたよ」
「ありがとうございます。あら? なんだか、とても光るようになりましたね」

さっきまで、点々としか光らなかったのに……。

今は眩しいくらい光り輝いていました。

これも『研磨』の効果なのかな?
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

処理中です...