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鍛冶の街 グレンコット
第29話 鍛冶の街 グレンコット
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目移りしてしまうというのは、こういうことなんだろうか?
グレンコットの街の大通り……。
そこには鍛冶工房がずらりと軒を連ねていた。
あたりはもうもうと煙に覆われる。
「ゴホッゴホッ。凄いですわね」
ああ、ここが夢にまで見た鍛冶の街だ。
「あっ。お兄ちゃん、あそこに美味しそうな串があるよ」
む?
あの人は……。
むむ!!
あの人も……。
うわっ!
あの人までいるのか……。
凄すぎるな。
まるで鍛冶師の見本市のように有名人がたくさんいるぞ。
ああ、こんなところで自分の鍛冶工房を開けたら……。
「ちょっと!! 聞いているんですの?」
「ぶーっ!!」
ん?
なんで、二人に睨まれているんだ?
「えっと……どうかした?」
「どうかした? ではありませんわ。ずっと私達の話を無視して……そんなに私達と一緒なのが嫌なんですの?」
困ったな……。
「いえ、そんなことは。むしろ、光栄で。その……手もつなげて、嬉しいなぁって……」
「まぁっ!」
やっぱり、フェリシラ様はキレイだよなぁ……。
「ねぇ、お兄ちゃん。あれ、食べてきていい?」
「ん? ああ。いいぞ。ちゃんと、お金持ったか?」
何だ、その顔は。
「しょうがないな。余り無駄遣いするなよ。それと僕達のご飯もちゃんとリサーチしてくるんだよ」
「らじゃぁ!」
まったく……。
「アリーシャちゃんには随分と甘いのですね?」
……そうかなぁ?
どちらかというと、安値で働いてもらっているから給料の補填的な意味合いが強いんだけど。
それでも、あまりこういう事はやらないほうがいいのかな?
やっぱり、公爵令嬢ともなると、こういう事には厳しくなるんだろうか?
アリーシャにやったみたいに、フェリシラ様にしたら、怒られるのかな?
「あの……フェリシラ様にも何か、買いましょうか?」
「えっ!? いいんですの? ……いえ、止めておきます。買って頂く理由がありませんから」
一瞬だけ、すごく嬉しそうな顔をしたのは気のせいかな……。
だったら……。
「もうちょっと先に行きましょうか」
「ええ」
あれ?
なんだか、すごく緊張するぞ。
ああ、フェリシラ様と二人だけで手を繋いでいるからか……。
なんか、これって……デートみたい?
どうしよう……何を話せばいいんだ?
「……」
「……」
ヤバイ。無言が続いているぞ……。
ん?
あれって……
「フェリシラ様。ちょっと、あれを見てもいいですか?」
「ええ」
僕の目を引いたのは、一つの店だった。
露天商のように、商品が地面に置かれているだけだ。
周りからは一切見向きもされていなかったけど、僕にはすごく興味が湧いた。
だって……。
「これは魔道具ですよね?」
「いらっしゃい。そうだよ。といっても、ガラクタみたいなものだけどね」
そうなのかな?
どれもが装飾品としては、とても素晴らしいものだと思う。
その上、魔道具だなんて……
「これって、どうやって作っているんですか?」
「ん? お兄さんも鍛冶師なのかな?」
どうして、そんな事を……。
「なに、こんなものに興味を持つのは鍛冶師くらいなものだからね」
……確かにそうかもしれないな。
魔道具の歴史は古いが、どれもが遊び道具の領域を出ることはない。
最近までは……。
それでも、子供に贈られる事がほとんどだ。
「これはなんですか?」
「ああ。『拡大』というスキルが入っているよ。これで物を見ると……ほら、ちょっと大きくなるだろ?」
なるほど……。
ちょっと便利だな。
でも、このために買いたい……と言う程ではない。
「これは?」
僕はそれぞれを聞いたが、やはり、性能はいまいちだ。
どちらかというと、装飾品としての価値のほうが高そうだな。
「この元になるスキルはどうやって手に入れるんですか?」
「そんなことも知らないのか? ダンジョンだよ。スキル玉って言ってね。そこで簡単に手に入るよ」
へぇ……。
ダンジョンか。
僕には無縁の存在と思えていたけど、スキル玉が手に入るなら、ちょっと行ってみたいかも。
「スキル玉って、もしかしてこれ?」
「ああ、そうだよ」
宝石だと思っていたけど……これが。
すごくキレイな石なんだな。
スキルがなくても、これだけで価値がある気がする。
「どうするんだい? 何か、買っていかないか?」
……ここまで話しておいて、買わないのはなぁ……。
そうだ……。
僕は一つを指差した。
「ありがとうよ。また、おいで」
金貨一枚……決して、安い買い物ではなかった。
だけど……。
「フェリシラ様。これをどうぞ」
「えっ? いや、でも……」
僕はこれをフェリシラ様へのプレゼントにしようと思っていたんだ。
「『感知』というスキルが入っているみたいですよ。ほら、人が近づくと……」
「ちょ、ライル、近すぎますわ」
こうしないと、実演できないんだよな……
「ブレスレットが光るんですよ。面白いですよね」
「えっと……でも、私、受け取ることなんて出来ません。その……ライルには返しきれない恩があって、それも返していないのに……」
本当に律儀な人だな。
僕は本当にフェリシラ様に恩を売るなんて、そんなつもりはないんだ。
彼女の笑顔さえ見られれば……
「でも、せっかく買ったので受け取ってくださいよ。それとも、アリーシャに渡そうかな?」
「いえ! 折角のご厚意ですものね。受け取らねば、公爵家の恥。有難く、受け取らせていただきますわ」
良かった……。
彼女の腕にブレスレットを装着すると、ピカピカと輝き出した。
「キレイね……」
彼女の表情に胸の高鳴りを覚えた。
フェリシラ様のほうがずっとキレイだ。
そんな事を考えていたが……とても言えないな。
「じゃ、じゃあ、次の場所に行きましょうか」
「……」
そんなにブレスレットが欲しかったのかな?
まぁ、喜んでくれるのはすごく嬉しいけど。
「フェリシラ様。前を見ないと危ないですよ」
「……キレイねぇ」
ダメだ。
一旦、どこかで休もう……。
「アリーシャ!!」
僕は叫んだ。
別に無駄に叫んだわけではない。
「なに?」
流石だな。
「ここらで、休憩できるところはないか? 出来れば、食事も取れるといい」
「こっちにね、とっても美味しそうなお店があったよ」
この子はきっと素晴らしいガイドになれると思う。
もっとも、食べ物限定だけど。
「結構食べたのか?」
「まだまだ!!」
そうか……食い気があって、いいことだな。
「お姉ちゃん、そのブレスレット、かわいいね」
「……」
「今はそっとしておこう」
「そうなの?」
フェリシラ様と会話が出来たのは、食事が届いてからだった……。
グレンコットの街の大通り……。
そこには鍛冶工房がずらりと軒を連ねていた。
あたりはもうもうと煙に覆われる。
「ゴホッゴホッ。凄いですわね」
ああ、ここが夢にまで見た鍛冶の街だ。
「あっ。お兄ちゃん、あそこに美味しそうな串があるよ」
む?
あの人は……。
むむ!!
あの人も……。
うわっ!
あの人までいるのか……。
凄すぎるな。
まるで鍛冶師の見本市のように有名人がたくさんいるぞ。
ああ、こんなところで自分の鍛冶工房を開けたら……。
「ちょっと!! 聞いているんですの?」
「ぶーっ!!」
ん?
なんで、二人に睨まれているんだ?
「えっと……どうかした?」
「どうかした? ではありませんわ。ずっと私達の話を無視して……そんなに私達と一緒なのが嫌なんですの?」
困ったな……。
「いえ、そんなことは。むしろ、光栄で。その……手もつなげて、嬉しいなぁって……」
「まぁっ!」
やっぱり、フェリシラ様はキレイだよなぁ……。
「ねぇ、お兄ちゃん。あれ、食べてきていい?」
「ん? ああ。いいぞ。ちゃんと、お金持ったか?」
何だ、その顔は。
「しょうがないな。余り無駄遣いするなよ。それと僕達のご飯もちゃんとリサーチしてくるんだよ」
「らじゃぁ!」
まったく……。
「アリーシャちゃんには随分と甘いのですね?」
……そうかなぁ?
どちらかというと、安値で働いてもらっているから給料の補填的な意味合いが強いんだけど。
それでも、あまりこういう事はやらないほうがいいのかな?
やっぱり、公爵令嬢ともなると、こういう事には厳しくなるんだろうか?
アリーシャにやったみたいに、フェリシラ様にしたら、怒られるのかな?
「あの……フェリシラ様にも何か、買いましょうか?」
「えっ!? いいんですの? ……いえ、止めておきます。買って頂く理由がありませんから」
一瞬だけ、すごく嬉しそうな顔をしたのは気のせいかな……。
だったら……。
「もうちょっと先に行きましょうか」
「ええ」
あれ?
なんだか、すごく緊張するぞ。
ああ、フェリシラ様と二人だけで手を繋いでいるからか……。
なんか、これって……デートみたい?
どうしよう……何を話せばいいんだ?
「……」
「……」
ヤバイ。無言が続いているぞ……。
ん?
あれって……
「フェリシラ様。ちょっと、あれを見てもいいですか?」
「ええ」
僕の目を引いたのは、一つの店だった。
露天商のように、商品が地面に置かれているだけだ。
周りからは一切見向きもされていなかったけど、僕にはすごく興味が湧いた。
だって……。
「これは魔道具ですよね?」
「いらっしゃい。そうだよ。といっても、ガラクタみたいなものだけどね」
そうなのかな?
どれもが装飾品としては、とても素晴らしいものだと思う。
その上、魔道具だなんて……
「これって、どうやって作っているんですか?」
「ん? お兄さんも鍛冶師なのかな?」
どうして、そんな事を……。
「なに、こんなものに興味を持つのは鍛冶師くらいなものだからね」
……確かにそうかもしれないな。
魔道具の歴史は古いが、どれもが遊び道具の領域を出ることはない。
最近までは……。
それでも、子供に贈られる事がほとんどだ。
「これはなんですか?」
「ああ。『拡大』というスキルが入っているよ。これで物を見ると……ほら、ちょっと大きくなるだろ?」
なるほど……。
ちょっと便利だな。
でも、このために買いたい……と言う程ではない。
「これは?」
僕はそれぞれを聞いたが、やはり、性能はいまいちだ。
どちらかというと、装飾品としての価値のほうが高そうだな。
「この元になるスキルはどうやって手に入れるんですか?」
「そんなことも知らないのか? ダンジョンだよ。スキル玉って言ってね。そこで簡単に手に入るよ」
へぇ……。
ダンジョンか。
僕には無縁の存在と思えていたけど、スキル玉が手に入るなら、ちょっと行ってみたいかも。
「スキル玉って、もしかしてこれ?」
「ああ、そうだよ」
宝石だと思っていたけど……これが。
すごくキレイな石なんだな。
スキルがなくても、これだけで価値がある気がする。
「どうするんだい? 何か、買っていかないか?」
……ここまで話しておいて、買わないのはなぁ……。
そうだ……。
僕は一つを指差した。
「ありがとうよ。また、おいで」
金貨一枚……決して、安い買い物ではなかった。
だけど……。
「フェリシラ様。これをどうぞ」
「えっ? いや、でも……」
僕はこれをフェリシラ様へのプレゼントにしようと思っていたんだ。
「『感知』というスキルが入っているみたいですよ。ほら、人が近づくと……」
「ちょ、ライル、近すぎますわ」
こうしないと、実演できないんだよな……
「ブレスレットが光るんですよ。面白いですよね」
「えっと……でも、私、受け取ることなんて出来ません。その……ライルには返しきれない恩があって、それも返していないのに……」
本当に律儀な人だな。
僕は本当にフェリシラ様に恩を売るなんて、そんなつもりはないんだ。
彼女の笑顔さえ見られれば……
「でも、せっかく買ったので受け取ってくださいよ。それとも、アリーシャに渡そうかな?」
「いえ! 折角のご厚意ですものね。受け取らねば、公爵家の恥。有難く、受け取らせていただきますわ」
良かった……。
彼女の腕にブレスレットを装着すると、ピカピカと輝き出した。
「キレイね……」
彼女の表情に胸の高鳴りを覚えた。
フェリシラ様のほうがずっとキレイだ。
そんな事を考えていたが……とても言えないな。
「じゃ、じゃあ、次の場所に行きましょうか」
「……」
そんなにブレスレットが欲しかったのかな?
まぁ、喜んでくれるのはすごく嬉しいけど。
「フェリシラ様。前を見ないと危ないですよ」
「……キレイねぇ」
ダメだ。
一旦、どこかで休もう……。
「アリーシャ!!」
僕は叫んだ。
別に無駄に叫んだわけではない。
「なに?」
流石だな。
「ここらで、休憩できるところはないか? 出来れば、食事も取れるといい」
「こっちにね、とっても美味しそうなお店があったよ」
この子はきっと素晴らしいガイドになれると思う。
もっとも、食べ物限定だけど。
「結構食べたのか?」
「まだまだ!!」
そうか……食い気があって、いいことだな。
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