追放鍛治師の成り上がり〜ゴミスキル『研磨』で人もスキルも性能アップ〜家に戻れ?無能な実家に興味はありません

秋田ノ介

文字の大きさ
52 / 69
ダンジョン

第44話 ダンジョンに入ります

しおりを挟む
ダンジョンというのは不思議な場所だ。

グレンコットの街外れに大きく口を開くような洞窟。

それがダンジョンの入り口だった。

そこに足を踏み入れた瞬間、まるで異世界に迷い込んだような感覚になる。

「これがダンジョンですか」
「ええ。面白いでしょ?」

最初こそ、洞窟然とした一本道が続いていた。

だが、次の階層に降りると……。

「これは……」

大きな空間……そして、迷路のように入り組んだ通路……。

そして、マグマが滾る場所……。

そんな景色が眼前に広がっていた。

「この階段を降りてからがスタートよ。ちなみにここで見ている景色は幻。だから、覚えても意味ないわよ」

すごいな、の一言だ。

冒険者という人たちはこんな場所で命を削って、稼いでいるのか……。

「この奥には一体何があるんですか?」
「え? 決まっているじゃない。次の階層に向かう階段よ」

……は?

ここだけじゃないのか?

「ちなみに次の階層の奥には?」

「同じよ。そのさらに下への階段」

……マジか。

「ここってどこまで下に続いているんですか?」
「さあ? まだ、分かっていないわよ。でも、すごいお宝があるのよ、きっと」

なるほど……それを夢見て、冒険者はダンジョンに潜るのか……。

そんな物見遊山気分は一瞬で吹き飛んでしまった。

通路の影からモンスターが現れたのだ。

「ここは私に任せて!!」

これが冒険者の戦いか。

すごいな。

一撃で倒してしまった。

「凄いですね!!」
「そう? でも、こいつは雑魚。奥にもっと強いのがいるわ」

そう言いながら、マリアさんは倒したモンスターの体を漁っていた。

「何をしているんですか?」
「何って……ドロップ品の回収よ。これが私達の生活の糧なんだから」

手にしていたのはモンスターの指だった。

「これをどうするんですか?」
「売るのよ。ギルドで」

へぇ……そんな仕組みだったのか。

モンスターを倒して、お小遣いを稼ぐもよし。

最下層を目指して、一攫千金を得るもよし。

そういうことなんだな。

「ダンジョンって、面白いですね」
「そうでしょ? だけど……もっと面白い場所があるのよ」

本当に奥が深いんだな。

「フェリシラ様。大丈夫ですか?」
「ええ。大丈夫ですわ。でも、ちょっと……」

フェリシラ様が震えている?

「僕の手を握りますか?」
「いいのですか? それではいざという時に……」

こう言っては何だが……。

多分、このメンバーで一番役に立っていないのが僕とフェリシラ様だろう。

だって……。

「お兄ちゃん、ぶちゅって潰れちゃったよ」
「ライル殿。これはウィネット様が喜んでくれるだろうか?」

もう、勝手にモンスターを倒しまくっていた。

「僕の調査はもうちょっと開けた場所でやるつもりですから」
「それなら……お言葉に甘えさせてもらいますね」

フェリシラ様の手はすこし汗ばんでいた。

やっぱり、怖いんだな……。

まぁ、僕の手のほうが酷いことになっているだろうけど。

「ごめんなさい。僕の手……」
「とっても落ち着きますわ。ありがとう、ライル」

……可愛いな。

僕達は快進撃をするように、どんどん先に進み次の階層にたどり着いた。

「ここから先は危険になってくるわ。落とし穴にも注意よ」

そんなものまであるのか……。

ここは本当に不思議な場所だ。

一体、誰がこんなものを作ったのだろうか?

「ねぇ、ライル。私も戦ったほうがいいかしら?」

それを僕に聞きますか?

もっとも役立たずの僕に。

「えっと……今は大丈夫じゃないですか? 魔法はいざという時の方が」
「そう? そうよね」

まだ、怖がっているのか。

……それにしても……

「お兄ちゃん!! 見てよ。おっきいトカゲだよ。食べたら美味しいかな?」
「ライル殿!! これもウィネット様が喜ぶだろうか?」

元気だな。こいつらは。

「さて、ここらへんで休憩にしようか」

ん?

ここは……モンスターの気配がないな。

「ここはセイフティーゾーンっていってね。モンスターが入れないように結界が張られているんだ。これのせいで、私達がいくら払わされているか……」

維持費がとても高いようです。

「まぁ、これがないと休憩も出来ないから、仕方がないんだけどね」

休憩中もずっとフェリシラ様と手を握っていた。

「ねぇ、二人って付き合っているの?」

マリアさんの他愛のない言葉だった。

手を繋いでいるから誤解しているのだろう。

ここは……。

「違……」
「そうみえるかしら?」

ん?

「あ? ああ、まぁ……」
「そう……」

あれ? 終わり?

でも、フェリシラ様、とっても嬉しそうな顔だな。

「さて、行こうかね」

そろそろ僕の調査もやらないとな。

「あの、ちょっと開けた場所ってありませんか? 硬そうで、剣で太刀打ちできなさそうなモンスターがいるといいんですけど」

「硬そう? ……そうね。うってつけの場所があるわ。私にとっても、あなた達にとってもね」

……ん?

もしかして、おいしいドロップ品でもあるのかな?

まぁ、今回はドロップ品は全部、マリアさんに譲しかない。

それ位のお返しはしないとな。

「案内、お願いしてもいいですか?」
「ええ、もちろんよ。そういえば、貴女達!」

マリアさんがイディア様とアリーシャに話しかけるなんて珍しいな。

「そこのエルフさんはキレイな物を探しているの?」
「む? ああ、私の崇拝する方のお嬢様が気に入るものを」

「だったら、いいのがあるわよ」
「本当か?」

……。

「お嬢ちゃんはおいしい食べ物を探している?」
「うん。料理に使える新食材をゲットしたい」

「だったら、ここからちょっと行った場所にマモーっていう牛のようなモンスターがいるわ。そのお肉は最高なのよ」
「にくぅぅぅ」

流石だな。

二人の会話を戦いの中でもしっかりと聞いていたんだな。

マリアさんはやはり凄腕の冒険者なのかも知れない。

「だが、私は護衛としてライル殿についている。離れるわけには」

「いいじゃない。私がいるんだし。キレイなもの……欲しくないの?」
「ぐぬぬぬぬ、ライル殿!!」

……。

「まぁ、別にいいんじゃないですか? ウィネットちゃんが喜んでくれるものがあるなら……」
「本当か? じゃあ、行ってくる!!」

行ってしまった。

「私も行ってもいい?」
「ああ。だけど、無理はするな。怖かったら、戻ってくるんだぞ」
「うん!!」

本当に食べ物が好きなんだな……。

今度はちゃんとした調理セットでも買ってやるか……。

「やっと、三人になれたね」

ん?

「ええ。じゃあ、お願いします」
「行きましょうか」

不敵な笑みを浮かべたマリアさんが少し気になったけど……。

フェリシラ様の手の感触がとても幸せで、全てが良く見えてしまいます。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

処理中です...