55 / 69
ダンジョン
第47話 ダンジョンからの帰還
しおりを挟む
グレンコットの冒険者ギルド。
そのギルドマスターの執務室で……
立たされていた。
「ライルさん! 本当に困りますよ!!」
僕達四人はラッセントさんに説教されていた。
登録もなしにダンジョンに潜ったことがとても大きな問題になっているみたいだ。
「我々は冒険者達を監督しなければならない立場なんです。分かっています?」
ギルドは冒険者がどこに赴くかを把握し、一定期間帰らなければ、捜索をしなければならない。
それがギルドの仕事なんだと……。
「すみませんでした」
「本当に最悪な事態になっていたらと思うと……あーっ!! 胃が痛い」
ラッセントさんって苦労人だな。
「まぁ、今回は偶々、冒険者が近くにいたから良かったものの」
結局、僕達はその冒険者に保護された。
もちろん、イディア様もアリーシャも一緒に。
彼女らは大量にダンジョンから物を持ち出した。
……没収されたけど。
「そんなぁぁぁぁ」
二人は息をぴったりに叫んでいたのが印象的だった。
保護された者の中に当然、マリアも一緒だ。
それでもロックハニーの執拗な求愛? を受けたことにより大きなダメージを受けていた。
「マリアから話を聞きましたから、今回のことは不問としますが……それでも次からちゃんと……いえ、今から登録をしてはいかがですか?」
なんで、最後の言葉は満面の笑みなんだ?
「ギルドマスターのランクは冒険者登録数で決まるんだ。だから、登録してほしいんだ」
耳元でぼそっと言うイディア様の吐息がくすぐったかった。
まぁ、今回はとても悪いことをしたと思っている。
マリアの言動に従ってしまった僕も大いに反省する必要がある。
ベイド絡みの奴らは特に……
「不問にして頂き、感謝します! 今後はこのような事がないように反省します」
「そうですか、そうですか」
これでいいな。
フェリシラ様に視線を送る。
彼女は静かに頷いた。
「じゃあ、僕達は帰りますね」
「ちょ!! 登録はぁぁぁぁ!?」
今回は調査に来ただけだから、別に登録する必要はないだろう。
まぁ、アリーシャはとてもダンジョンを気に入ってしまったみたいだけど……。
その時はその時だな……。
「アリーシャ。今回は残念だったな」
「うん」
見るからに落ち込んでいるな。
なんだか、可哀想になってくる。
「実はね、さっき聞いたんだけど没収されたお肉はお金を払えば、戻すことが出来るんだ。どうする?」
「欲しい!!」
ああ、この満面の笑みを見るだけで疲れが一気に吹き飛んでしまうよ。
「ちょっと! アリーシャちゃんにちょっと甘いんじゃないの?」
なんて、言葉が飛んできそうだな。
最近はアリーシャにお小遣いをあげたり、物を買ったりするとフェリシラ様に窘められることが多い。
まぁ、甘やかしているつもりはないんだけど……
つい、ね。
でも、今回は何も言ってこないんだな。
「な、なんですの? その顔は?」
顔に出てたかな?
「えっと……フェリシラ様もお肉、食べます?」
「食べるぞ!! アリーシャちゃんの手料理なんだろ?」
声でかっ!!
貴女には聞いていないんだけど……。
とりあえず、無視しておこう。
「ええ。ですが、これからは近づいてくる者には気をつけねばなりませんね。それが今回の教訓ですわ」
流石だな……。
僕なんて、調査が出来たことに満足して、マリアのことなんてすっかり忘れていたよ。
そんな小さなことをちゃんと次に活かそうとするんだから。
「それに……ライル」
へ?
なんで、そんなに睨まれないと……。
えっ?
顔が近い……。
「今回の件はお兄様には内密に。特にライルの能力については」
フェリシラ様?
能力というのは、今回分かったことのことだろう。
特性付与……そんなふざけたものが出来るようになった。
もちろん、何をきっかけに出来たかはまだ、判明していない。
少なくとも、そういう特性があればいいなと願ったのは間違いない。
ただ、本当にそれだけで特性が付くかどうかは……まだ、分からない。
でも、一番の信頼を寄せているデルバート様に内緒って……。
「どうして……」
「さあ、帰りましょう!! とても、疲れたわ」
どういうことだ?
だけど、僕が信じるべき相手は……フェリシラ様だ。
デルバート様は僕の今を作ってくれた方だ。
そう言う意味ではこの世界でもっとも頼りにしている人……。
僕は受けた大きな恩を返すためなら、多少嫌なことでも受けるつもりだ。
だけど、デルバート様のために死ぬことは出来ない。
それ位の想いだ。
だけど、フェリシラ様に対しては違う。
僕は無条件で彼女のためなら、死を覚悟できる。
だから、彼女は何も言わなくても、何も思わないんだ。
ただ、盲目的に信じたいんだ……フェリシラ様を。
「じゃあ、お肉を買い戻して……そういえば、イディア様。館の厨房ってお借りできます?」
「ふふっ。なんだか、楽しいパーティーみたいですわね」
そうだな……。
今日は初めてのダンジョンって事でお祝いしよう。
……そういえば、何かを忘れているような……。
ああ、マリアのことだ。
後で知った話だけど、彼女はベイドとはすでに別れていたらしい。
ベイドがメレデルクさんの工房に出向く直前に振られたようだ。
その理由がフェリシラ様が女神すぎるから、お前みたいなブスとは一緒になれない……。
だそうだ。
なんとも、薄情と言うか、ベイドらしい理由だ。
でも、僕とフェリシラ様を消せば、ベイドが自分の下にもどてくると信じていたみたい。
まぁ、彼女はもう無理だけどね……。
ロックハニーのメスはオスとあれをする時、分泌物を出すらしい。
それは人にとっては毒で……。
マリアの全身はただれたようになってしまったらしい。
そう……まるでモンスターのように。
誰かが言うかもね。
僕なら治せるかもって……だけど、絶対にイヤです!!
フェリシラ様を傷つけようとした人は絶対に助けません。
そのギルドマスターの執務室で……
立たされていた。
「ライルさん! 本当に困りますよ!!」
僕達四人はラッセントさんに説教されていた。
登録もなしにダンジョンに潜ったことがとても大きな問題になっているみたいだ。
「我々は冒険者達を監督しなければならない立場なんです。分かっています?」
ギルドは冒険者がどこに赴くかを把握し、一定期間帰らなければ、捜索をしなければならない。
それがギルドの仕事なんだと……。
「すみませんでした」
「本当に最悪な事態になっていたらと思うと……あーっ!! 胃が痛い」
ラッセントさんって苦労人だな。
「まぁ、今回は偶々、冒険者が近くにいたから良かったものの」
結局、僕達はその冒険者に保護された。
もちろん、イディア様もアリーシャも一緒に。
彼女らは大量にダンジョンから物を持ち出した。
……没収されたけど。
「そんなぁぁぁぁ」
二人は息をぴったりに叫んでいたのが印象的だった。
保護された者の中に当然、マリアも一緒だ。
それでもロックハニーの執拗な求愛? を受けたことにより大きなダメージを受けていた。
「マリアから話を聞きましたから、今回のことは不問としますが……それでも次からちゃんと……いえ、今から登録をしてはいかがですか?」
なんで、最後の言葉は満面の笑みなんだ?
「ギルドマスターのランクは冒険者登録数で決まるんだ。だから、登録してほしいんだ」
耳元でぼそっと言うイディア様の吐息がくすぐったかった。
まぁ、今回はとても悪いことをしたと思っている。
マリアの言動に従ってしまった僕も大いに反省する必要がある。
ベイド絡みの奴らは特に……
「不問にして頂き、感謝します! 今後はこのような事がないように反省します」
「そうですか、そうですか」
これでいいな。
フェリシラ様に視線を送る。
彼女は静かに頷いた。
「じゃあ、僕達は帰りますね」
「ちょ!! 登録はぁぁぁぁ!?」
今回は調査に来ただけだから、別に登録する必要はないだろう。
まぁ、アリーシャはとてもダンジョンを気に入ってしまったみたいだけど……。
その時はその時だな……。
「アリーシャ。今回は残念だったな」
「うん」
見るからに落ち込んでいるな。
なんだか、可哀想になってくる。
「実はね、さっき聞いたんだけど没収されたお肉はお金を払えば、戻すことが出来るんだ。どうする?」
「欲しい!!」
ああ、この満面の笑みを見るだけで疲れが一気に吹き飛んでしまうよ。
「ちょっと! アリーシャちゃんにちょっと甘いんじゃないの?」
なんて、言葉が飛んできそうだな。
最近はアリーシャにお小遣いをあげたり、物を買ったりするとフェリシラ様に窘められることが多い。
まぁ、甘やかしているつもりはないんだけど……
つい、ね。
でも、今回は何も言ってこないんだな。
「な、なんですの? その顔は?」
顔に出てたかな?
「えっと……フェリシラ様もお肉、食べます?」
「食べるぞ!! アリーシャちゃんの手料理なんだろ?」
声でかっ!!
貴女には聞いていないんだけど……。
とりあえず、無視しておこう。
「ええ。ですが、これからは近づいてくる者には気をつけねばなりませんね。それが今回の教訓ですわ」
流石だな……。
僕なんて、調査が出来たことに満足して、マリアのことなんてすっかり忘れていたよ。
そんな小さなことをちゃんと次に活かそうとするんだから。
「それに……ライル」
へ?
なんで、そんなに睨まれないと……。
えっ?
顔が近い……。
「今回の件はお兄様には内密に。特にライルの能力については」
フェリシラ様?
能力というのは、今回分かったことのことだろう。
特性付与……そんなふざけたものが出来るようになった。
もちろん、何をきっかけに出来たかはまだ、判明していない。
少なくとも、そういう特性があればいいなと願ったのは間違いない。
ただ、本当にそれだけで特性が付くかどうかは……まだ、分からない。
でも、一番の信頼を寄せているデルバート様に内緒って……。
「どうして……」
「さあ、帰りましょう!! とても、疲れたわ」
どういうことだ?
だけど、僕が信じるべき相手は……フェリシラ様だ。
デルバート様は僕の今を作ってくれた方だ。
そう言う意味ではこの世界でもっとも頼りにしている人……。
僕は受けた大きな恩を返すためなら、多少嫌なことでも受けるつもりだ。
だけど、デルバート様のために死ぬことは出来ない。
それ位の想いだ。
だけど、フェリシラ様に対しては違う。
僕は無条件で彼女のためなら、死を覚悟できる。
だから、彼女は何も言わなくても、何も思わないんだ。
ただ、盲目的に信じたいんだ……フェリシラ様を。
「じゃあ、お肉を買い戻して……そういえば、イディア様。館の厨房ってお借りできます?」
「ふふっ。なんだか、楽しいパーティーみたいですわね」
そうだな……。
今日は初めてのダンジョンって事でお祝いしよう。
……そういえば、何かを忘れているような……。
ああ、マリアのことだ。
後で知った話だけど、彼女はベイドとはすでに別れていたらしい。
ベイドがメレデルクさんの工房に出向く直前に振られたようだ。
その理由がフェリシラ様が女神すぎるから、お前みたいなブスとは一緒になれない……。
だそうだ。
なんとも、薄情と言うか、ベイドらしい理由だ。
でも、僕とフェリシラ様を消せば、ベイドが自分の下にもどてくると信じていたみたい。
まぁ、彼女はもう無理だけどね……。
ロックハニーのメスはオスとあれをする時、分泌物を出すらしい。
それは人にとっては毒で……。
マリアの全身はただれたようになってしまったらしい。
そう……まるでモンスターのように。
誰かが言うかもね。
僕なら治せるかもって……だけど、絶対にイヤです!!
フェリシラ様を傷つけようとした人は絶対に助けません。
0
あなたにおすすめの小説
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
【状態異常耐性】を手に入れたがパーティーを追い出されたEランク冒険者、危険度SSアルラウネ(美少女)と出会う。そして幸せになる。
シトラス=ライス
ファンタジー
万年Eランクで弓使いの冒険者【クルス】には目標があった。
十数年かけてため込んだ魔力を使って課題魔法を獲得し、冒険者ランクを上げたかったのだ。
そんな大事な魔力を、心優しいクルスは仲間の危機を救うべく"状態異常耐性"として使ってしまう。
おかげで辛くも勝利を収めたが、リーダーの魔法剣士はあろうことか、命の恩人である彼を、嫉妬が原因でパーティーから追放してしまう。
夢も、魔力も、そしてパーティーで唯一慕ってくれていた“魔法使いの後輩の少女”とも引き離され、何もかもをも失ったクルス。
彼は失意を酩酊でごまかし、死を覚悟して禁断の樹海へ足を踏み入れる。そしてそこで彼を待ち受けていたのは、
「獲物、来ましたね……?」
下半身はグロテスクな植物だが、上半身は女神のように美しい危険度SSの魔物:【アルラウネ】
アルラウネとの出会いと、手にした"状態異常耐性"の力が、Eランク冒険者クルスを新しい人生へ導いて行く。
*前作DSS(*パーティーを追い出されたDランク冒険者、声を失ったSSランク魔法使い(美少女)を拾う。そして癒される)と設定を共有する作品です。単体でも十分楽しめますが、前作をご覧いただくとより一層お楽しみいただけます。
また三章より、前作キャラクターが多数登場いたします!
【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。
どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!
スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!
天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる