追放鍛治師の成り上がり〜ゴミスキル『研磨』で人もスキルも性能アップ〜家に戻れ?無能な実家に興味はありません

秋田ノ介

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ダンジョン

第47話 ダンジョンからの帰還

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グレンコットの冒険者ギルド。

そのギルドマスターの執務室で……

立たされていた。

「ライルさん! 本当に困りますよ!!」

僕達四人はラッセントさんに説教されていた。

登録もなしにダンジョンに潜ったことがとても大きな問題になっているみたいだ。

「我々は冒険者達を監督しなければならない立場なんです。分かっています?」

ギルドは冒険者がどこに赴くかを把握し、一定期間帰らなければ、捜索をしなければならない。

それがギルドの仕事なんだと……。

「すみませんでした」
「本当に最悪な事態になっていたらと思うと……あーっ!! 胃が痛い」

ラッセントさんって苦労人だな。

「まぁ、今回は偶々、冒険者が近くにいたから良かったものの」

結局、僕達はその冒険者に保護された。

もちろん、イディア様もアリーシャも一緒に。

彼女らは大量にダンジョンから物を持ち出した。

……没収されたけど。

「そんなぁぁぁぁ」

二人は息をぴったりに叫んでいたのが印象的だった。

保護された者の中に当然、マリアも一緒だ。

それでもロックハニーの執拗な求愛? を受けたことにより大きなダメージを受けていた。

「マリアから話を聞きましたから、今回のことは不問としますが……それでも次からちゃんと……いえ、今から登録をしてはいかがですか?」

なんで、最後の言葉は満面の笑みなんだ?

「ギルドマスターのランクは冒険者登録数で決まるんだ。だから、登録してほしいんだ」

耳元でぼそっと言うイディア様の吐息がくすぐったかった。

まぁ、今回はとても悪いことをしたと思っている。

マリアの言動に従ってしまった僕も大いに反省する必要がある。

ベイド絡みの奴らは特に……

「不問にして頂き、感謝します! 今後はこのような事がないように反省します」
「そうですか、そうですか」

これでいいな。

フェリシラ様に視線を送る。

彼女は静かに頷いた。

「じゃあ、僕達は帰りますね」
「ちょ!! 登録はぁぁぁぁ!?」

今回は調査に来ただけだから、別に登録する必要はないだろう。

まぁ、アリーシャはとてもダンジョンを気に入ってしまったみたいだけど……。

その時はその時だな……。

「アリーシャ。今回は残念だったな」
「うん」

見るからに落ち込んでいるな。

なんだか、可哀想になってくる。

「実はね、さっき聞いたんだけど没収されたお肉はお金を払えば、戻すことが出来るんだ。どうする?」
「欲しい!!」

ああ、この満面の笑みを見るだけで疲れが一気に吹き飛んでしまうよ。

「ちょっと! アリーシャちゃんにちょっと甘いんじゃないの?」

なんて、言葉が飛んできそうだな。

最近はアリーシャにお小遣いをあげたり、物を買ったりするとフェリシラ様に窘められることが多い。

まぁ、甘やかしているつもりはないんだけど……

つい、ね。

でも、今回は何も言ってこないんだな。

「な、なんですの? その顔は?」

顔に出てたかな?

「えっと……フェリシラ様もお肉、食べます?」

「食べるぞ!! アリーシャちゃんの手料理なんだろ?」

声でかっ!!

貴女には聞いていないんだけど……。

とりあえず、無視しておこう。

「ええ。ですが、これからは近づいてくる者には気をつけねばなりませんね。それが今回の教訓ですわ」

流石だな……。

僕なんて、調査が出来たことに満足して、マリアのことなんてすっかり忘れていたよ。

そんな小さなことをちゃんと次に活かそうとするんだから。

「それに……ライル」

へ?

なんで、そんなに睨まれないと……。

えっ?

顔が近い……。

「今回の件はお兄様には内密に。特にライルの能力については」

フェリシラ様?

能力というのは、今回分かったことのことだろう。

特性付与……そんなふざけたものが出来るようになった。

もちろん、何をきっかけに出来たかはまだ、判明していない。

少なくとも、そういう特性があればいいなと願ったのは間違いない。

ただ、本当にそれだけで特性が付くかどうかは……まだ、分からない。

でも、一番の信頼を寄せているデルバート様に内緒って……。

「どうして……」
「さあ、帰りましょう!! とても、疲れたわ」

どういうことだ?

だけど、僕が信じるべき相手は……フェリシラ様だ。

デルバート様は僕の今を作ってくれた方だ。

そう言う意味ではこの世界でもっとも頼りにしている人……。

僕は受けた大きな恩を返すためなら、多少嫌なことでも受けるつもりだ。

だけど、デルバート様のために死ぬことは出来ない。

それ位の想いだ。

だけど、フェリシラ様に対しては違う。

僕は無条件で彼女のためなら、死を覚悟できる。

だから、彼女は何も言わなくても、何も思わないんだ。

ただ、盲目的に信じたいんだ……フェリシラ様を。

「じゃあ、お肉を買い戻して……そういえば、イディア様。館の厨房ってお借りできます?」

「ふふっ。なんだか、楽しいパーティーみたいですわね」

そうだな……。

今日は初めてのダンジョンって事でお祝いしよう。

……そういえば、何かを忘れているような……。

ああ、マリアのことだ。

後で知った話だけど、彼女はベイドとはすでに別れていたらしい。

ベイドがメレデルクさんの工房に出向く直前に振られたようだ。

その理由がフェリシラ様が女神すぎるから、お前みたいなブスとは一緒になれない……。

だそうだ。

なんとも、薄情と言うか、ベイドらしい理由だ。

でも、僕とフェリシラ様を消せば、ベイドが自分の下にもどてくると信じていたみたい。

まぁ、彼女はもう無理だけどね……。

ロックハニーのメスはオスとあれをする時、分泌物を出すらしい。

それは人にとっては毒で……。

マリアの全身はただれたようになってしまったらしい。

そう……まるでモンスターのように。

誰かが言うかもね。

僕なら治せるかもって……だけど、絶対にイヤです!!

フェリシラ様を傷つけようとした人は絶対に助けません。
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