62 / 69
王都トリスタニア
side 第二王子 レイモンド
しおりを挟む
俺はレイモンド=ライゼファ。
ライゼファ王国の第二王子だ。
くそっ!!
忌々しい、スターコイド家。
どこまで、俺をコケにするつもりなんだ。
あの女では飽き足らず、傀儡まで用意しやがって。
……。
「レイモンド殿下。入ります!!」
「ブライアン。どうしたんだ? そんなに息を切らせて」
衝撃的な話だった。
今でも耳を疑う。
「なんだって!? 俺が女を襲った罪で捕まったぁ!?」
何を言っているんだ?
いや、だが……ブライアンは信頼できる男だ。
嘘を付くわけがない。
「もっと詳しく教えろ」
……ありえない。
俺にそっくりな奴が城に入ってきたらしい。
しかも、囚人服を着て……。
「ブライアン。すぐに行くぞ!!」
「はっ!!」
これは面倒なことだ。
くそっ!!
すでにスターコイドは父上と会っていると言う。
遅すぎだ。
俺はブライアンを睨みつける。
だが、そんな事よりも……。
俺を見る、周りの目が気になる……。
どいつもこいつも訳の分からない話を鵜呑みにしやがって。
「父上!! レイモンドです。入ります!!」
「困ります。今はスターコイド卿とお会いになられていますから」
だからこそ、来たのだ。
ええい、邪魔だ。
「開けます!!」
「レイモンド殿下ぁ!!」
なんだ、これは?
俺がいる?
「スターコイド!! これはどういうつもりだぁ!」
「……はて? これはどういうことでしょう?」
惚けた顔をしやがって……。
「ふざけるな!! そいつは俺の偽物だ!!」
「ふむ……どうやら、そのようですな」
「スターコイド卿。先程から、何度も言っているではないか」
「陛下。とんだ勘違いをしてしまいました。私もまさか、と思っていたのですが……」
この野郎……抜け抜けと。
だが、このまま黙って帰らせてたまるか。
「この落とし前をどう、つけるつもりだ? スターコイド卿」
さあ、なんて答える?
あのブスのように毒を飲ませてやろうか?
「はて? どう、と言われましても。私は領主としての職務を忠実に行っただけ。そうは思われませんか? 陛下」
はぁ?
そんな戯言が通用すると思っているのか?
「父上!! ここまで俺がコケにされているんですよ!!? この者に罰を与えて下さい!!」
「ふむ……しかし、よく似ている……私でも見分けがつかない」
何を悠長な。
こんなデブが俺の訳がない。
俺はもっとスマートだ!
「父上!!」
「少し、黙れ! お前には分からぬのか? スターコイド卿がこの者をここに連れてきた訳を」
はぁ?
俺を侮辱するためだろ?
そうに決まっている。
「こいつは俺が嫌いなんだ!! 妹を振った俺が!!」
「馬鹿者が!! スターコイド卿は秘密にして、ここにやってきた。それはお前の名を汚さぬためだ。なぜ、分からぬ」
はぁ?
冗談はよせよ。
「スターコイド卿。此度は苦労をかけた。すまぬが、その者は連れ帰ってくれぬか? ただし……」
「分かっております。どうせ、処刑が決まっている身。レイモンド殿下とは似ても似つかぬような顔にしましょう」
「……助かる。この礼はきっと」
……。
「ならば、一つお願いが」
「なんかな?」
「我が手の者がこの度のコンテストに出場します。その者が入賞した際には……恩賞を賜りたいかと」
コンテスト……だって?
「それは構わぬが……何を望む?」
「地位を……騎士爵でも構いません。どうか、お願いできないでしょうか?」
こいつは、これをするために?
一体、どんな奴なんだ?
スターコイドのお気に入りのやつって言うのは。
「お主には子爵までの任命権を与えていたはず。それでやればよかろう」
「いいえ。是非、陛下に……」
「まぁ、よかろう……入賞すれば、我が国の宝だ。卿の頼み……聞き届けよう」
「はっ!! ありがたき幸せ」
「して、その者の名は?」
「ライル。かつて、ウォーカーを名乗っていた者です」
……ライル=ウォーカー。
その名は絶対に忘れないぜ。
今回のコンテストは俺が主催……。
……楽しみだぜ。
「では、私は」
「うむ。私もコンテストに顔を出そう」
……。
なんだよ。
スターコイドがものすごい形相でこちらを睨みつけていた。
そして、ぼそっと耳元で言ってきた。
「妹を傷つけた報いは必ず受けてもらうぞ」
……へっ!! 笑わせてくれる。
公爵だかなんだか知らねぇが、俺は第二王子だ。
このコンテストでたっぷりと泥を塗ってやるから、覚悟しておけよ。
ライゼファ王国の第二王子だ。
くそっ!!
忌々しい、スターコイド家。
どこまで、俺をコケにするつもりなんだ。
あの女では飽き足らず、傀儡まで用意しやがって。
……。
「レイモンド殿下。入ります!!」
「ブライアン。どうしたんだ? そんなに息を切らせて」
衝撃的な話だった。
今でも耳を疑う。
「なんだって!? 俺が女を襲った罪で捕まったぁ!?」
何を言っているんだ?
いや、だが……ブライアンは信頼できる男だ。
嘘を付くわけがない。
「もっと詳しく教えろ」
……ありえない。
俺にそっくりな奴が城に入ってきたらしい。
しかも、囚人服を着て……。
「ブライアン。すぐに行くぞ!!」
「はっ!!」
これは面倒なことだ。
くそっ!!
すでにスターコイドは父上と会っていると言う。
遅すぎだ。
俺はブライアンを睨みつける。
だが、そんな事よりも……。
俺を見る、周りの目が気になる……。
どいつもこいつも訳の分からない話を鵜呑みにしやがって。
「父上!! レイモンドです。入ります!!」
「困ります。今はスターコイド卿とお会いになられていますから」
だからこそ、来たのだ。
ええい、邪魔だ。
「開けます!!」
「レイモンド殿下ぁ!!」
なんだ、これは?
俺がいる?
「スターコイド!! これはどういうつもりだぁ!」
「……はて? これはどういうことでしょう?」
惚けた顔をしやがって……。
「ふざけるな!! そいつは俺の偽物だ!!」
「ふむ……どうやら、そのようですな」
「スターコイド卿。先程から、何度も言っているではないか」
「陛下。とんだ勘違いをしてしまいました。私もまさか、と思っていたのですが……」
この野郎……抜け抜けと。
だが、このまま黙って帰らせてたまるか。
「この落とし前をどう、つけるつもりだ? スターコイド卿」
さあ、なんて答える?
あのブスのように毒を飲ませてやろうか?
「はて? どう、と言われましても。私は領主としての職務を忠実に行っただけ。そうは思われませんか? 陛下」
はぁ?
そんな戯言が通用すると思っているのか?
「父上!! ここまで俺がコケにされているんですよ!!? この者に罰を与えて下さい!!」
「ふむ……しかし、よく似ている……私でも見分けがつかない」
何を悠長な。
こんなデブが俺の訳がない。
俺はもっとスマートだ!
「父上!!」
「少し、黙れ! お前には分からぬのか? スターコイド卿がこの者をここに連れてきた訳を」
はぁ?
俺を侮辱するためだろ?
そうに決まっている。
「こいつは俺が嫌いなんだ!! 妹を振った俺が!!」
「馬鹿者が!! スターコイド卿は秘密にして、ここにやってきた。それはお前の名を汚さぬためだ。なぜ、分からぬ」
はぁ?
冗談はよせよ。
「スターコイド卿。此度は苦労をかけた。すまぬが、その者は連れ帰ってくれぬか? ただし……」
「分かっております。どうせ、処刑が決まっている身。レイモンド殿下とは似ても似つかぬような顔にしましょう」
「……助かる。この礼はきっと」
……。
「ならば、一つお願いが」
「なんかな?」
「我が手の者がこの度のコンテストに出場します。その者が入賞した際には……恩賞を賜りたいかと」
コンテスト……だって?
「それは構わぬが……何を望む?」
「地位を……騎士爵でも構いません。どうか、お願いできないでしょうか?」
こいつは、これをするために?
一体、どんな奴なんだ?
スターコイドのお気に入りのやつって言うのは。
「お主には子爵までの任命権を与えていたはず。それでやればよかろう」
「いいえ。是非、陛下に……」
「まぁ、よかろう……入賞すれば、我が国の宝だ。卿の頼み……聞き届けよう」
「はっ!! ありがたき幸せ」
「して、その者の名は?」
「ライル。かつて、ウォーカーを名乗っていた者です」
……ライル=ウォーカー。
その名は絶対に忘れないぜ。
今回のコンテストは俺が主催……。
……楽しみだぜ。
「では、私は」
「うむ。私もコンテストに顔を出そう」
……。
なんだよ。
スターコイドがものすごい形相でこちらを睨みつけていた。
そして、ぼそっと耳元で言ってきた。
「妹を傷つけた報いは必ず受けてもらうぞ」
……へっ!! 笑わせてくれる。
公爵だかなんだか知らねぇが、俺は第二王子だ。
このコンテストでたっぷりと泥を塗ってやるから、覚悟しておけよ。
0
あなたにおすすめの小説
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
【状態異常耐性】を手に入れたがパーティーを追い出されたEランク冒険者、危険度SSアルラウネ(美少女)と出会う。そして幸せになる。
シトラス=ライス
ファンタジー
万年Eランクで弓使いの冒険者【クルス】には目標があった。
十数年かけてため込んだ魔力を使って課題魔法を獲得し、冒険者ランクを上げたかったのだ。
そんな大事な魔力を、心優しいクルスは仲間の危機を救うべく"状態異常耐性"として使ってしまう。
おかげで辛くも勝利を収めたが、リーダーの魔法剣士はあろうことか、命の恩人である彼を、嫉妬が原因でパーティーから追放してしまう。
夢も、魔力も、そしてパーティーで唯一慕ってくれていた“魔法使いの後輩の少女”とも引き離され、何もかもをも失ったクルス。
彼は失意を酩酊でごまかし、死を覚悟して禁断の樹海へ足を踏み入れる。そしてそこで彼を待ち受けていたのは、
「獲物、来ましたね……?」
下半身はグロテスクな植物だが、上半身は女神のように美しい危険度SSの魔物:【アルラウネ】
アルラウネとの出会いと、手にした"状態異常耐性"の力が、Eランク冒険者クルスを新しい人生へ導いて行く。
*前作DSS(*パーティーを追い出されたDランク冒険者、声を失ったSSランク魔法使い(美少女)を拾う。そして癒される)と設定を共有する作品です。単体でも十分楽しめますが、前作をご覧いただくとより一層お楽しみいただけます。
また三章より、前作キャラクターが多数登場いたします!
【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。
どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!
スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!
天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる