67 / 69
王都トリスタニア
side 陰謀公爵 デルバート
しおりを挟む
私はデルバート=スターコイドだ。
全てが私の思い描いた通りに動いていた。
恐ろしいほどに。
『変化』の魔道具とライル君の王国級の剣……それがなければ、ここまで上手くやれることはなかった。
その全てに彼が関わっているのだから……。
やはり使える男だよ……ライル君は。
だが、妹をやるには、まだまだ小物だ。
今しばらくは……。
……。
ライル君がグレンコットから戻ってきてから、狂ったように剣を鍛え始めた。
何かを発見したのかも知れない。
下の者には変化があれば、全てを伝えるように指示を出した。
それが見事に的中したのだ。
さすがはライル君といったところだ。
まさか、あれほどの剣を作ってしまうとは……。
私でも秘蔵のコレクションに加えたいほど、惚れ惚れとするものだった。
だが……。
私は閃いてしまった。
今は第二王子に変身したベイド君という手札がある。
これは第二王子への嫌がらせに大いに使える。
しかし、今はまだ派手に事を進めることは出来ない。
他の貴族への目回しがまだまだ足りないからだ。
だからこそ、ベイド君にもう一働きしてもらおうと思っていた。
第二王子の裸姿で王都を走り回る……というのも面白いが大した被害はない。
しかし、この剣があれば、話は別だ。
私は急遽、ベイド君を王国コンテストに出場させることに決めた。
もちろん、この剣で出場してもらう。
この剣ならば……
最悪、入賞は確実。
もしかしたら、優勝もあり得るかも知れない。
鍛冶師コンテストでは不正は重い罰が与えられる。
ベイド君には重い罰を受けてもらう……
それでウォーカー家を揺すれば……意外と面白い結果が得られるかも知れない。
……。
私は神に愛されているようだ。
まさか、ウォーカー男爵が審査委員長とは……。
しかも、レイモンドまで絡んでいる……。
これは面白くなってきたな。
レイモンドにはライル君の事を耳にわざと入れた。
それはレイモンドに不正を行わせるため。
あいつはバカだ。
気に入らない相手には、どんな手段でも使う。
それが馬鹿げたことであってもだ。
コンテストはそう言う意味では、レイモンドの遊び場だ。
必ず、奴はライルに手を出してくる。
私は決して、見逃さない。
……。
本当にバカだな。
しかも、ウォーカー男爵まで関わっているとは……。
これでこの男の鍛冶師としての栄誉は終わったな。
「王がこれよりこちらにやってくる」
嘘ではない。
だが、これ以上の揺さぶりはないだろう。
ウォーカー男爵の動揺した表情は実に……素晴らしい。
レイモンドとウォーカー男爵の汚い罵り合いも心地よい言葉に聞こえる。
こいつらの弱みを私は一手に得たのだ。
……。
私はウォーカー男爵を呼びつけた。
無論、王が来るまでの短い時間だ。
弱っている今しか、この交渉は出来ないだろう。
「男爵……いや、ウォーカー。君の人生は大きな岐路に立たされている」
それは事実だ。
鍛冶師が……王国コンテストで泥を塗るような行為をした。
それは誰もが侮蔑するほど、汚い行為だ。
これが王の耳に入れば……当然、結果は……。
家名の没収。
鍛冶師からの永久追放。
これだけなら、まだいい。
最悪は処刑だ。
「私はどうすれば、よいのでしょう!! スターコイド公爵、教えて下さい!!」
これだ……私はこのタイミングを待ちに待ったのだ。
「ふむ。ウォーカー家は我が家の子飼い。助けてやりたいのは山々なのだが……すでに、この事は王の耳に入っている。私にはどうすることも……」
「そんな……ウォーカー家はどうなるんでしょうか?」
なんて、情けない男なのだ。
「断絶も覚悟しなければならない。君も鍛冶師ならば、それ位の事をしたのだ」
「……」
この辺でいいだろう。
「分かった! 私も尽力しよう」
「本当ですか!!?」
「ああ。だが、今まで通りというのは難しい。その覚悟はいいな?」
「もちろんでございます。家さえ……」
……これでいい。
私は王にこういった……。
「メレデルク殿下の入れ知恵で断れなくなった」
と。
メレデルク偽物事件で恩を売っておいた甲斐があった。
事実はどうあれ、ウォーカー家には小さな罪だけで済んだ。
これでウォーカー家の製造する武具は全て、我が手中に収まった。
……。
しかし、喜んでばかりもいられない。
一つを得れば、一つを失う。
まさにその言葉の通りだ。
私は手中に収めたライル君という手駒を王に奪われてしまった。
コンテスト会場でのあの王の言葉……。
名誉子爵を与える……。
それは問題ない。
もともと、その約束をしていたのだから。
しかし、筆頭鍛冶師は許せない。
王家直属だと?
ふざけたことを……。
これではライル君を王に取られたも等しい。
ライル君は今後、大きくなる男だ。
絶対に私の手中にしておかなければならない存在だ。
……。
私は覚悟を決めなければならない。
妹、フェリシラをライル君にあげなければならない、と。
彼はこれで私とは親戚だ。
今の王は何をするか分からない。
最悪、王女をライルに……なんてこともあり得る。
その前に手を打たなければ。
しかし、最後の話は解せない。
ライル君に名乗りを許された姓……シーオドア。
これは確か……二十年前くらいに一時、使われていたと記憶している。
そして、その時に名乗っていたのが……現王の妹。
どうして、そんな姓をたかが鍛冶師コンテストで入賞した者に与えるのだ?
それが全く分からない……。
早く調べなければ……王に先を行かれてしまうな。
全てが私の思い描いた通りに動いていた。
恐ろしいほどに。
『変化』の魔道具とライル君の王国級の剣……それがなければ、ここまで上手くやれることはなかった。
その全てに彼が関わっているのだから……。
やはり使える男だよ……ライル君は。
だが、妹をやるには、まだまだ小物だ。
今しばらくは……。
……。
ライル君がグレンコットから戻ってきてから、狂ったように剣を鍛え始めた。
何かを発見したのかも知れない。
下の者には変化があれば、全てを伝えるように指示を出した。
それが見事に的中したのだ。
さすがはライル君といったところだ。
まさか、あれほどの剣を作ってしまうとは……。
私でも秘蔵のコレクションに加えたいほど、惚れ惚れとするものだった。
だが……。
私は閃いてしまった。
今は第二王子に変身したベイド君という手札がある。
これは第二王子への嫌がらせに大いに使える。
しかし、今はまだ派手に事を進めることは出来ない。
他の貴族への目回しがまだまだ足りないからだ。
だからこそ、ベイド君にもう一働きしてもらおうと思っていた。
第二王子の裸姿で王都を走り回る……というのも面白いが大した被害はない。
しかし、この剣があれば、話は別だ。
私は急遽、ベイド君を王国コンテストに出場させることに決めた。
もちろん、この剣で出場してもらう。
この剣ならば……
最悪、入賞は確実。
もしかしたら、優勝もあり得るかも知れない。
鍛冶師コンテストでは不正は重い罰が与えられる。
ベイド君には重い罰を受けてもらう……
それでウォーカー家を揺すれば……意外と面白い結果が得られるかも知れない。
……。
私は神に愛されているようだ。
まさか、ウォーカー男爵が審査委員長とは……。
しかも、レイモンドまで絡んでいる……。
これは面白くなってきたな。
レイモンドにはライル君の事を耳にわざと入れた。
それはレイモンドに不正を行わせるため。
あいつはバカだ。
気に入らない相手には、どんな手段でも使う。
それが馬鹿げたことであってもだ。
コンテストはそう言う意味では、レイモンドの遊び場だ。
必ず、奴はライルに手を出してくる。
私は決して、見逃さない。
……。
本当にバカだな。
しかも、ウォーカー男爵まで関わっているとは……。
これでこの男の鍛冶師としての栄誉は終わったな。
「王がこれよりこちらにやってくる」
嘘ではない。
だが、これ以上の揺さぶりはないだろう。
ウォーカー男爵の動揺した表情は実に……素晴らしい。
レイモンドとウォーカー男爵の汚い罵り合いも心地よい言葉に聞こえる。
こいつらの弱みを私は一手に得たのだ。
……。
私はウォーカー男爵を呼びつけた。
無論、王が来るまでの短い時間だ。
弱っている今しか、この交渉は出来ないだろう。
「男爵……いや、ウォーカー。君の人生は大きな岐路に立たされている」
それは事実だ。
鍛冶師が……王国コンテストで泥を塗るような行為をした。
それは誰もが侮蔑するほど、汚い行為だ。
これが王の耳に入れば……当然、結果は……。
家名の没収。
鍛冶師からの永久追放。
これだけなら、まだいい。
最悪は処刑だ。
「私はどうすれば、よいのでしょう!! スターコイド公爵、教えて下さい!!」
これだ……私はこのタイミングを待ちに待ったのだ。
「ふむ。ウォーカー家は我が家の子飼い。助けてやりたいのは山々なのだが……すでに、この事は王の耳に入っている。私にはどうすることも……」
「そんな……ウォーカー家はどうなるんでしょうか?」
なんて、情けない男なのだ。
「断絶も覚悟しなければならない。君も鍛冶師ならば、それ位の事をしたのだ」
「……」
この辺でいいだろう。
「分かった! 私も尽力しよう」
「本当ですか!!?」
「ああ。だが、今まで通りというのは難しい。その覚悟はいいな?」
「もちろんでございます。家さえ……」
……これでいい。
私は王にこういった……。
「メレデルク殿下の入れ知恵で断れなくなった」
と。
メレデルク偽物事件で恩を売っておいた甲斐があった。
事実はどうあれ、ウォーカー家には小さな罪だけで済んだ。
これでウォーカー家の製造する武具は全て、我が手中に収まった。
……。
しかし、喜んでばかりもいられない。
一つを得れば、一つを失う。
まさにその言葉の通りだ。
私は手中に収めたライル君という手駒を王に奪われてしまった。
コンテスト会場でのあの王の言葉……。
名誉子爵を与える……。
それは問題ない。
もともと、その約束をしていたのだから。
しかし、筆頭鍛冶師は許せない。
王家直属だと?
ふざけたことを……。
これではライル君を王に取られたも等しい。
ライル君は今後、大きくなる男だ。
絶対に私の手中にしておかなければならない存在だ。
……。
私は覚悟を決めなければならない。
妹、フェリシラをライル君にあげなければならない、と。
彼はこれで私とは親戚だ。
今の王は何をするか分からない。
最悪、王女をライルに……なんてこともあり得る。
その前に手を打たなければ。
しかし、最後の話は解せない。
ライル君に名乗りを許された姓……シーオドア。
これは確か……二十年前くらいに一時、使われていたと記憶している。
そして、その時に名乗っていたのが……現王の妹。
どうして、そんな姓をたかが鍛冶師コンテストで入賞した者に与えるのだ?
それが全く分からない……。
早く調べなければ……王に先を行かれてしまうな。
0
あなたにおすすめの小説
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる