爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介

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第9話 農地区画計画

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 長雨の時期が到来した。屋敷で今後の村作り計画を、考えることにした。
 将来的に村が大きくなっても使えるような設備を計画的に導入していかなければならない。それには、労働力を考慮して、計画をしなければならない。水害や疫病の危険性を取り除くことできた今は、食料生産が最重要課題となってきた。冬を越すだけの食料を、冬が到来するまでの短い時間に作っていかなければならない。

 なかなか難しい課題だな。主食である麦は、種になるものを除き、なんとか節約すれば冬を越せる分は確保できそうだ。しかし、主食となるものが他にほしいところだ。ジャガイモとか……ないかな? 

 とりあえず、来年の作付け……種まきに間に合うように、計画を立てようか……

 堤防の補強工事も一段落して、高台と堤防の間に広大な畑予定地が出来た。長雨が終わったら、水田と畑の整備、水路の設置を同時並行的に進めようと考えている。概ね、この数キロメートルの堤防周辺を農地に切り替えるだけで、十分な食料を得ることが可能となる。
 
 現状は、村人の各々ができる範囲で畑が広がっており、形もいびつなもの、高低差があるもの、大木が転がっているものなどがあり、土地利用の効率が著しく低下している。

 なるべく畑は、四角く、高低差がないものが望ましい。四角いのは耕作のロスが少なくなり、無駄なスペースが出来にくい。また、水分は低いところに向かっていく習性があるため、高低差をなくすことは土壌水分量に差が出てしまうのを防ぐことができる。

 水田は100メートル×100メートルを1枚と考えて、堤防に沿って作っていく。それをニ列作って、間に水路を設ければ、常に水管理をすることができる。水路の水は川から引っ張っていく予定だが、川が大河と言えるほどの水量を誇っていても今後、水田地帯が拡張していけば、必ず水不足に陥ってしまう懸念がある。

 水田は、短期間に大量の水を利用するのが特徴の作物で、水利用をずらしたりするのが困難なところがある。

 そのために、上流にダムを設置しなければならない。どうやら、この地域の冬は豪雪地帯となるらしく、大量の雪解け水が、春先に河川に流れ込んで、氾濫を引き起こすこともあるという。ということはダムを作れば、大量に水を貯めておけるし、氾濫の予防にもつながる。ダムの設置のための候補地も時間を掛けて探すとしよう。

 この地域の農業は真夏に作る作物が少なく、作っている者も少ない。それは、品種が少ないこともあげられるが、干ばつが原因だ。強烈な熱気と乾燥が、栽培を困難にさせている。

 夏場の土壌の乾燥を防ぐためには、水場の設置が必須だ。しかし問題は、高台に水場の設置が難しいということだ。川から水を汲み上げるのは、現状難しい。水車でもあればな……今は、ないものねだりは出来ない。次に井戸だが、やはり汲み上げるのが困難だ。さらに、大量の水を汲み上げるのは、地盤沈下の原因になりかねない。

 現実的には、雨水を貯めておく貯水池を作ることだな。これなら現状、作ることは容易だ。しかも貯水池は、急な雨の誘導にも使える。下水道のない場所では、住宅の浸水を防ぐのに効果的だ。それだけでも、貯水池の設置は有益だろう。一方、農業で使えるかと言うと、怪しいんだよね。雨頼みなので、安定性にかけてしまう。農業で水が欲しい時は、雨が降らないときなので安定性にかける貯水池に依存するのは、安定生産の弊害になる。

 そうすると、高台よりさらに高い地点から、水を誘導することが現実的ということになる。つまり、水道を作るということだ。これをすれば、住宅にも上水道を設置することができ、大きな利点ができる。風呂も作れるし、トイレも水洗に出来る。また、上・下水の分離により、汚染の弊害を減らすことにもつながり、そこから発生する病気を防ぐことができる。居住環境と衛生環境を一気に改善できる。

 さらに、農業の水問題を一気に解決することができる。上水道は、なるべくダムに接続することが望ましい。水の安定供給の確実性が上がる。

 今後の農業の水問題を考えるに……低地の水田地帯は、初期のうちは川から水を引っ張る。そのため、川からの水の供給量を見ながら、水田の面積を決定していく。

 大体、まとまってきたな……。
 水田地帯を作るために、まず、区画整理、整地をして、水路を設置後に川と接続する。
 畑も同様、区画整理、整地して、貯水池の設置。揚水設備の導入。
 住居は……今までどおり井戸水を使ってもらうとして。

 最終的には、ダムを建設後、水田用の水路の構築と住居・畑用の上水道の設置をしていこう。

 概ねの計画を形作ることが出来たな。すると、エリスが僕の執務室に入ってきた。

 「お茶をお持ちしました。あまり、根を詰め過ぎますと体に毒ですよ」

 「ああ、ありがとう。ちょうど今、一段落付いたところだ。この計画書をゴードンにも見せておいてくれ。あいつの意見も聞いておきたい。ところで、この村にジャガイモというのはあるだろうか? 食べ物なんだが……」

 「ゴードンさんのところには、すぐに持っていきましょうか? 」

 「いや、いい。どうせ、すぐにできるような作業ではないのだ。早くとも、冬かな。それまでに話がまとまればよいのだ」

 「かしこまりました。それと、ジャガイモという話ですが……おそらくですが、あると思いますよ。その辺に、自生していると……あれは、毒があるとかで、誰も食する者はいませんよ」

 僕は、驚きのあまり、椅子から立ち上がってしまった。

 「ほんとうか⁉」

 エリスが僕の剣幕に押されたのか、一歩後ろに引き下がった。

 「ええ……おそらくですが。詳しくは、ゴードンさんのほうが。ジャガイモも確か、先代様が栽培を始めたと聞いておりますから……」

 また、父上が出てきたな。父上には、世界の未来が見えていたのだろうか。僕の欲しがるものを用意してくれているのではないかと、錯覚してしまうくらいに……

 希望が出てきたな。
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