10 / 408
第9話 農地区画計画
しおりを挟む
長雨の時期が到来した。屋敷で今後の村作り計画を、考えることにした。
将来的に村が大きくなっても使えるような設備を計画的に導入していかなければならない。それには、労働力を考慮して、計画をしなければならない。水害や疫病の危険性を取り除くことできた今は、食料生産が最重要課題となってきた。冬を越すだけの食料を、冬が到来するまでの短い時間に作っていかなければならない。
なかなか難しい課題だな。主食である麦は、種になるものを除き、なんとか節約すれば冬を越せる分は確保できそうだ。しかし、主食となるものが他にほしいところだ。ジャガイモとか……ないかな?
とりあえず、来年の作付け……種まきに間に合うように、計画を立てようか……
堤防の補強工事も一段落して、高台と堤防の間に広大な畑予定地が出来た。長雨が終わったら、水田と畑の整備、水路の設置を同時並行的に進めようと考えている。概ね、この数キロメートルの堤防周辺を農地に切り替えるだけで、十分な食料を得ることが可能となる。
現状は、村人の各々ができる範囲で畑が広がっており、形もいびつなもの、高低差があるもの、大木が転がっているものなどがあり、土地利用の効率が著しく低下している。
なるべく畑は、四角く、高低差がないものが望ましい。四角いのは耕作のロスが少なくなり、無駄なスペースが出来にくい。また、水分は低いところに向かっていく習性があるため、高低差をなくすことは土壌水分量に差が出てしまうのを防ぐことができる。
水田は100メートル×100メートルを1枚と考えて、堤防に沿って作っていく。それをニ列作って、間に水路を設ければ、常に水管理をすることができる。水路の水は川から引っ張っていく予定だが、川が大河と言えるほどの水量を誇っていても今後、水田地帯が拡張していけば、必ず水不足に陥ってしまう懸念がある。
水田は、短期間に大量の水を利用するのが特徴の作物で、水利用をずらしたりするのが困難なところがある。
そのために、上流にダムを設置しなければならない。どうやら、この地域の冬は豪雪地帯となるらしく、大量の雪解け水が、春先に河川に流れ込んで、氾濫を引き起こすこともあるという。ということはダムを作れば、大量に水を貯めておけるし、氾濫の予防にもつながる。ダムの設置のための候補地も時間を掛けて探すとしよう。
この地域の農業は真夏に作る作物が少なく、作っている者も少ない。それは、品種が少ないこともあげられるが、干ばつが原因だ。強烈な熱気と乾燥が、栽培を困難にさせている。
夏場の土壌の乾燥を防ぐためには、水場の設置が必須だ。しかし問題は、高台に水場の設置が難しいということだ。川から水を汲み上げるのは、現状難しい。水車でもあればな……今は、ないものねだりは出来ない。次に井戸だが、やはり汲み上げるのが困難だ。さらに、大量の水を汲み上げるのは、地盤沈下の原因になりかねない。
現実的には、雨水を貯めておく貯水池を作ることだな。これなら現状、作ることは容易だ。しかも貯水池は、急な雨の誘導にも使える。下水道のない場所では、住宅の浸水を防ぐのに効果的だ。それだけでも、貯水池の設置は有益だろう。一方、農業で使えるかと言うと、怪しいんだよね。雨頼みなので、安定性にかけてしまう。農業で水が欲しい時は、雨が降らないときなので安定性にかける貯水池に依存するのは、安定生産の弊害になる。
そうすると、高台よりさらに高い地点から、水を誘導することが現実的ということになる。つまり、水道を作るということだ。これをすれば、住宅にも上水道を設置することができ、大きな利点ができる。風呂も作れるし、トイレも水洗に出来る。また、上・下水の分離により、汚染の弊害を減らすことにもつながり、そこから発生する病気を防ぐことができる。居住環境と衛生環境を一気に改善できる。
さらに、農業の水問題を一気に解決することができる。上水道は、なるべくダムに接続することが望ましい。水の安定供給の確実性が上がる。
今後の農業の水問題を考えるに……低地の水田地帯は、初期のうちは川から水を引っ張る。そのため、川からの水の供給量を見ながら、水田の面積を決定していく。
大体、まとまってきたな……。
水田地帯を作るために、まず、区画整理、整地をして、水路を設置後に川と接続する。
畑も同様、区画整理、整地して、貯水池の設置。揚水設備の導入。
住居は……今までどおり井戸水を使ってもらうとして。
最終的には、ダムを建設後、水田用の水路の構築と住居・畑用の上水道の設置をしていこう。
概ねの計画を形作ることが出来たな。すると、エリスが僕の執務室に入ってきた。
「お茶をお持ちしました。あまり、根を詰め過ぎますと体に毒ですよ」
「ああ、ありがとう。ちょうど今、一段落付いたところだ。この計画書をゴードンにも見せておいてくれ。あいつの意見も聞いておきたい。ところで、この村にジャガイモというのはあるだろうか? 食べ物なんだが……」
「ゴードンさんのところには、すぐに持っていきましょうか? 」
「いや、いい。どうせ、すぐにできるような作業ではないのだ。早くとも、冬かな。それまでに話がまとまればよいのだ」
「かしこまりました。それと、ジャガイモという話ですが……おそらくですが、あると思いますよ。その辺に、自生していると……あれは、毒があるとかで、誰も食する者はいませんよ」
僕は、驚きのあまり、椅子から立ち上がってしまった。
「ほんとうか⁉」
エリスが僕の剣幕に押されたのか、一歩後ろに引き下がった。
「ええ……おそらくですが。詳しくは、ゴードンさんのほうが。ジャガイモも確か、先代様が栽培を始めたと聞いておりますから……」
また、父上が出てきたな。父上には、世界の未来が見えていたのだろうか。僕の欲しがるものを用意してくれているのではないかと、錯覚してしまうくらいに……
希望が出てきたな。
将来的に村が大きくなっても使えるような設備を計画的に導入していかなければならない。それには、労働力を考慮して、計画をしなければならない。水害や疫病の危険性を取り除くことできた今は、食料生産が最重要課題となってきた。冬を越すだけの食料を、冬が到来するまでの短い時間に作っていかなければならない。
なかなか難しい課題だな。主食である麦は、種になるものを除き、なんとか節約すれば冬を越せる分は確保できそうだ。しかし、主食となるものが他にほしいところだ。ジャガイモとか……ないかな?
とりあえず、来年の作付け……種まきに間に合うように、計画を立てようか……
堤防の補強工事も一段落して、高台と堤防の間に広大な畑予定地が出来た。長雨が終わったら、水田と畑の整備、水路の設置を同時並行的に進めようと考えている。概ね、この数キロメートルの堤防周辺を農地に切り替えるだけで、十分な食料を得ることが可能となる。
現状は、村人の各々ができる範囲で畑が広がっており、形もいびつなもの、高低差があるもの、大木が転がっているものなどがあり、土地利用の効率が著しく低下している。
なるべく畑は、四角く、高低差がないものが望ましい。四角いのは耕作のロスが少なくなり、無駄なスペースが出来にくい。また、水分は低いところに向かっていく習性があるため、高低差をなくすことは土壌水分量に差が出てしまうのを防ぐことができる。
水田は100メートル×100メートルを1枚と考えて、堤防に沿って作っていく。それをニ列作って、間に水路を設ければ、常に水管理をすることができる。水路の水は川から引っ張っていく予定だが、川が大河と言えるほどの水量を誇っていても今後、水田地帯が拡張していけば、必ず水不足に陥ってしまう懸念がある。
水田は、短期間に大量の水を利用するのが特徴の作物で、水利用をずらしたりするのが困難なところがある。
そのために、上流にダムを設置しなければならない。どうやら、この地域の冬は豪雪地帯となるらしく、大量の雪解け水が、春先に河川に流れ込んで、氾濫を引き起こすこともあるという。ということはダムを作れば、大量に水を貯めておけるし、氾濫の予防にもつながる。ダムの設置のための候補地も時間を掛けて探すとしよう。
この地域の農業は真夏に作る作物が少なく、作っている者も少ない。それは、品種が少ないこともあげられるが、干ばつが原因だ。強烈な熱気と乾燥が、栽培を困難にさせている。
夏場の土壌の乾燥を防ぐためには、水場の設置が必須だ。しかし問題は、高台に水場の設置が難しいということだ。川から水を汲み上げるのは、現状難しい。水車でもあればな……今は、ないものねだりは出来ない。次に井戸だが、やはり汲み上げるのが困難だ。さらに、大量の水を汲み上げるのは、地盤沈下の原因になりかねない。
現実的には、雨水を貯めておく貯水池を作ることだな。これなら現状、作ることは容易だ。しかも貯水池は、急な雨の誘導にも使える。下水道のない場所では、住宅の浸水を防ぐのに効果的だ。それだけでも、貯水池の設置は有益だろう。一方、農業で使えるかと言うと、怪しいんだよね。雨頼みなので、安定性にかけてしまう。農業で水が欲しい時は、雨が降らないときなので安定性にかける貯水池に依存するのは、安定生産の弊害になる。
そうすると、高台よりさらに高い地点から、水を誘導することが現実的ということになる。つまり、水道を作るということだ。これをすれば、住宅にも上水道を設置することができ、大きな利点ができる。風呂も作れるし、トイレも水洗に出来る。また、上・下水の分離により、汚染の弊害を減らすことにもつながり、そこから発生する病気を防ぐことができる。居住環境と衛生環境を一気に改善できる。
さらに、農業の水問題を一気に解決することができる。上水道は、なるべくダムに接続することが望ましい。水の安定供給の確実性が上がる。
今後の農業の水問題を考えるに……低地の水田地帯は、初期のうちは川から水を引っ張る。そのため、川からの水の供給量を見ながら、水田の面積を決定していく。
大体、まとまってきたな……。
水田地帯を作るために、まず、区画整理、整地をして、水路を設置後に川と接続する。
畑も同様、区画整理、整地して、貯水池の設置。揚水設備の導入。
住居は……今までどおり井戸水を使ってもらうとして。
最終的には、ダムを建設後、水田用の水路の構築と住居・畑用の上水道の設置をしていこう。
概ねの計画を形作ることが出来たな。すると、エリスが僕の執務室に入ってきた。
「お茶をお持ちしました。あまり、根を詰め過ぎますと体に毒ですよ」
「ああ、ありがとう。ちょうど今、一段落付いたところだ。この計画書をゴードンにも見せておいてくれ。あいつの意見も聞いておきたい。ところで、この村にジャガイモというのはあるだろうか? 食べ物なんだが……」
「ゴードンさんのところには、すぐに持っていきましょうか? 」
「いや、いい。どうせ、すぐにできるような作業ではないのだ。早くとも、冬かな。それまでに話がまとまればよいのだ」
「かしこまりました。それと、ジャガイモという話ですが……おそらくですが、あると思いますよ。その辺に、自生していると……あれは、毒があるとかで、誰も食する者はいませんよ」
僕は、驚きのあまり、椅子から立ち上がってしまった。
「ほんとうか⁉」
エリスが僕の剣幕に押されたのか、一歩後ろに引き下がった。
「ええ……おそらくですが。詳しくは、ゴードンさんのほうが。ジャガイモも確か、先代様が栽培を始めたと聞いておりますから……」
また、父上が出てきたな。父上には、世界の未来が見えていたのだろうか。僕の欲しがるものを用意してくれているのではないかと、錯覚してしまうくらいに……
希望が出てきたな。
85
あなたにおすすめの小説
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ReBirth 上位世界から下位世界へ
小林誉
ファンタジー
ある日帰宅途中にマンホールに落ちた男。気がつくと見知らぬ部屋に居て、世界間のシステムを名乗る声に死を告げられる。そして『あなたが落ちたのは下位世界に繋がる穴です』と説明された。この世に現れる天才奇才の一部は、今のあなたと同様に上位世界から落ちてきた者達だと。下位世界に転生できる機会を得た男に、どのような世界や環境を希望するのか質問される。男が出した答えとは――
※この小説の主人公は聖人君子ではありません。正義の味方のつもりもありません。勝つためならどんな手でも使い、売られた喧嘩は買う人物です。他人より仲間を最優先し、面倒な事が嫌いです。これはそんな、少しずるい男の物語。
1~4巻発売中です。
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~
津ヶ谷
ファンタジー
綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。
ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。
目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。
その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。
その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。
そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。
これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。
異世界転生!ハイハイからの倍人生
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。
まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。
ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。
転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。
それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。
おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様
あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。
死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。
「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」
だが、その世界はダークファンタジーばりばり。
人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。
こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。
あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。
ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。
死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ!
タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。
様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。
世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。
地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる