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1章
満月のウミガメ
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ばあちゃんは、遠い目をして話はじめた。
10年ぐらい前のことになるねぇーーー満月の夜だった。じいちゃんと、浜辺をお散歩していたんだ。浜辺の砂金が、月の光でキラキラ光っていて、とてもきれいな夜だった。と、目の前を小さな亀が、よたよた歩いていくの。
びっくりして、浜辺を見回すと他にも亀の赤ちゃんが、いてね。みんな、海に向かって一生懸命歩いているのよ。
「満月の夜は、海水が奥まで来るから、卵もふ化しやすいんだ」
じいちゃんは、お医者さんで物知りだから、亀の産卵と、月の満ち欠けを説明してくれた。引力がどうのこうので、ばあちゃんには、むずかしくて退屈。きょろきょろ、よそ見をしていたら、見覚えのあるタライ船が、浜に打ち上げられているんだ。
「あ!わたしの船」
昔、海に流されてしまったタライ船だった。かけ寄ってみると、小さな男の子が、櫂につかまって立っていた。白いローブを着ていて、私を見るとにっこり笑ったの。子どもだけ?びっくりして、船の中をのぞいてみると、生まれたばかりの赤ちゃんもスヤスヤと眠っている。おそろいの、白いローブを着ていたね。
じいちゃんもやって来て、男の子に話しかけたけれど、キョトンとした顔でじいちゃんを見ている。まだ、言葉が分からなかったんだ。
「神様の贈りもの かしら……
子どもがいない私達に、神様は、子供を二人も下さったに違いないわ。日ごろの行いが、いいからね」
「そんな、ばかなことあるものか。おっ!けがをしている」
みると、男の子の手から血がポタポタと落ちていた。
じいちゃんは、小さな体を抱えて家に駆け出した。ばあちゃんも赤ん坊を抱き上げて、じいちゃんを追いかけたよ。あの頃は、家が診療所にもなっていた。じいちゃんは、きれいに傷を縫い合わせた。気丈な子でね。麻酔の注射をしても泣かない。血だらけの傷がぬい合わされているのを、じっと見ていたんだ。
あくる日、警察に届けて親を探したけれど、結局見つからなかった。施設へ送るのは忍びなくてねぇーーーそれに、かわいい子供達を手放すなんて、じじとばばには、とても出来なかった」
ばあちゃんは、タンスから古い紙包みを大切そうに取り出した。
「ロビンとノアは、このローブを身につけていたんだよ」と開いて見せる。
くるんである紙は、色あせていたけれど、ローブは、白く輝いていた。二枚のローブの大きい方には、”ROBIN” 、小さなローブには、”NOA”と美しい糸で刺繍されていた。そして、それぞれのローブの裾には”剣のユリ”の紋章(※)があった。
「親を探す手がかりになるからと、警察も一生懸命に、服の製造メーカーなんかを調べてくれたんだけれど、分からなかったんだよ。不思議な素材で出来ているんだって。あんた達は、目や髪の色が違っている。どこか遠い国の生まれかもしれないねぇーー」
ばあちゃんの話しが終わって、ロビンは左手をそっと開いてみた。十文字に切り裂かれた傷は未だに残っている。
「やっぱり、捨子かぁー」
ノアはぐすん、と鼻をすすり上げた。ロビンは、(泣くもんか)と立ち上がり、窓から晴れた空を見上げた。ちょうど、いぶきとゆうじがこっちへやって来る。
「ばあちゃん、遊びに行ってくる!」
「気をつけてね」
「うん。おみやげに森でグミの実を取ってくるよ。もう、赤くなってた」
「ありがとう。楽しみにしているよ」
ロビンも真っ赤なグミの実が大好きだ。たくさん取ってきてジャムにしてもらおう。
※剣のユリ(フリー画像より)
10年ぐらい前のことになるねぇーーー満月の夜だった。じいちゃんと、浜辺をお散歩していたんだ。浜辺の砂金が、月の光でキラキラ光っていて、とてもきれいな夜だった。と、目の前を小さな亀が、よたよた歩いていくの。
びっくりして、浜辺を見回すと他にも亀の赤ちゃんが、いてね。みんな、海に向かって一生懸命歩いているのよ。
「満月の夜は、海水が奥まで来るから、卵もふ化しやすいんだ」
じいちゃんは、お医者さんで物知りだから、亀の産卵と、月の満ち欠けを説明してくれた。引力がどうのこうので、ばあちゃんには、むずかしくて退屈。きょろきょろ、よそ見をしていたら、見覚えのあるタライ船が、浜に打ち上げられているんだ。
「あ!わたしの船」
昔、海に流されてしまったタライ船だった。かけ寄ってみると、小さな男の子が、櫂につかまって立っていた。白いローブを着ていて、私を見るとにっこり笑ったの。子どもだけ?びっくりして、船の中をのぞいてみると、生まれたばかりの赤ちゃんもスヤスヤと眠っている。おそろいの、白いローブを着ていたね。
じいちゃんもやって来て、男の子に話しかけたけれど、キョトンとした顔でじいちゃんを見ている。まだ、言葉が分からなかったんだ。
「神様の贈りもの かしら……
子どもがいない私達に、神様は、子供を二人も下さったに違いないわ。日ごろの行いが、いいからね」
「そんな、ばかなことあるものか。おっ!けがをしている」
みると、男の子の手から血がポタポタと落ちていた。
じいちゃんは、小さな体を抱えて家に駆け出した。ばあちゃんも赤ん坊を抱き上げて、じいちゃんを追いかけたよ。あの頃は、家が診療所にもなっていた。じいちゃんは、きれいに傷を縫い合わせた。気丈な子でね。麻酔の注射をしても泣かない。血だらけの傷がぬい合わされているのを、じっと見ていたんだ。
あくる日、警察に届けて親を探したけれど、結局見つからなかった。施設へ送るのは忍びなくてねぇーーーそれに、かわいい子供達を手放すなんて、じじとばばには、とても出来なかった」
ばあちゃんは、タンスから古い紙包みを大切そうに取り出した。
「ロビンとノアは、このローブを身につけていたんだよ」と開いて見せる。
くるんである紙は、色あせていたけれど、ローブは、白く輝いていた。二枚のローブの大きい方には、”ROBIN” 、小さなローブには、”NOA”と美しい糸で刺繍されていた。そして、それぞれのローブの裾には”剣のユリ”の紋章(※)があった。
「親を探す手がかりになるからと、警察も一生懸命に、服の製造メーカーなんかを調べてくれたんだけれど、分からなかったんだよ。不思議な素材で出来ているんだって。あんた達は、目や髪の色が違っている。どこか遠い国の生まれかもしれないねぇーー」
ばあちゃんの話しが終わって、ロビンは左手をそっと開いてみた。十文字に切り裂かれた傷は未だに残っている。
「やっぱり、捨子かぁー」
ノアはぐすん、と鼻をすすり上げた。ロビンは、(泣くもんか)と立ち上がり、窓から晴れた空を見上げた。ちょうど、いぶきとゆうじがこっちへやって来る。
「ばあちゃん、遊びに行ってくる!」
「気をつけてね」
「うん。おみやげに森でグミの実を取ってくるよ。もう、赤くなってた」
「ありがとう。楽しみにしているよ」
ロビンも真っ赤なグミの実が大好きだ。たくさん取ってきてジャムにしてもらおう。
※剣のユリ(フリー画像より)
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