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第2話:反転ロボット【短編】

ロボットとパーティー

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「ロビン、ノア。こんにちわーー」
 茂みから現れたのは、アンジェラだった。魔法の国からトランスポートして来たのだ。ふかふかのダウンを着て毛糸の帽子までかぶっている。魔法の国は、佐渡島より寒いらしい。

 
 ロビンは、いつもアンジェラを思い出していた。

アンジェラは、フランス人形のように、可愛いいけれど、性格は、可愛がられるだけのじゃない。しっかりと自分で考える。頭がよくて、思いやりもあるけれど……ほんとうは、寂しがり屋で、親指の爪をルビむクセがある……それから……それから……

 とにかく。ロビンは、そんなアンジェラを思い出すだけで、とても幸せな気持ちになれたのだ。一緒に、最強の魔女を倒したり、村祭りで、ちょっとケンカになったりした……けれど、実際に会うと言葉が出ない。

「久しぶりだよな。アンジェラ、元気そうだね」ノアが、まともな事を言った。ロビンは、それがなんだかくやしい。

「ええ、とっても元気。今日はねーー」アンジェラは、手提げバッグをかき回して「あった」とパンフレットを取り出した。
「ポポさんから、ノアに渡して欲しいって頼まれたの。ゴールデン国でイベントがあるんだって。ポポさんは、ゴールデン国のロボットをグリーン国に宣伝するチャンスだと、張り切ってるわ。

 魔女のルビーがいなくなったでしょう。おかげで、グリーン国とゴールデン国は仲良くなって、魔法の国が、ひとつになれそうなの」
 
 ノアは、さっそくパンフを広げて「ロボットパーティー?」とアンジェラに尋ねる。

「ロボットと遊べるみたいよ。子供のコーナーもあるの。一緒に行こうよ」

「うん。おもしろそうだな」

「12月21日よ。イベント会場からロビンのスマホに電話する。ふたりが映っていれば、カメラのマークをタップして。トランスポート出来るから。くわしい日時は、パンフで確認してちょうだい。絶対に忘れないで」

 アンジェラは、あいかわらずテキパキと指示を出す。
ロビンは、パーティーの話しを聞いてうきうきした気分になった。「ありがとう!楽しみにしてる」とアンジェラに微笑んだ。アンジェラも、うれしそうにうなずいた。エメラルド色の瞳にぶつかってドキン!と心臓が跳ねた。
 
 ヤバい。きっと、ぼくの顔は、赤くなってるし。

ロビンは、はずかしくて下を向いた。とパタパタとアンジェラの足音が軽やかに去っていく。

「アンジェラ、待って……」
 ロビンが顔を上げると、アンジェラはいなかった。

「行っちゃったぁー」ノアが、残念そうに言った。




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 12月21日。ロビンとノアがゴールデン国にトランスポートすると、粉雪がっていた。ホテルの入り口で、アンジェラが立っている。手袋をはめた手を振りながら駆けてきた。

「おはよう!ゴールデン国、寒いでしょう?」アンジェラがしゃべると、口から白い息がふわふわとのぼっていく。

「寒ぅー」
 ロビンは、身を切るような風に、肩を丸めて両手をポケットに突っ込だ。と、ドスン!背中になんかぶつかって驚いた。足もとで雪玉が割れている。振り返ると、ノアが雪玉をまるめていた。

「やったなぁー」

 ノアのやつめ。手が早い。
 ロビンも雪をすくっていると、又背中に雪玉がぶつかった。
 振り向くと、今度はアンジェラがずるそうに「ふふふ」と笑っている。


 三人で、雪合戦が始まった。
 めちゃくちゃに雪をぶっつけあっていると、こちらにやって来るポポの姿が見えた。

 
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