転移少女の侵略譚!〜弱小国家の皇帝になったのでほのぼの内政しようと思っていたら隣国達が(悪い意味で)放っておいてくれないので全部滅ぼす〜

くずは

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魔王編

首都攻防戦2

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――マルシュ視点――

それでも数週間でいくつかの都市を堕とす事に成功した。今日は屋根の下で寝る事ができそうだ。

町に入ると住民がそれなりに残っていた。魔王領のほとんどの都市は占領地された人類の都市だから今までは歓迎を受けてきたが、流石に首都の近くは魔族の住民が多いらしい。

既に工兵部隊や補給部隊が街の復興と住民への援助を始めていた。なんでわざわざ敵を助けるのかと上司に聞くと将来の国のためだと言っていた。

俺にはよく理由が分からなかったが、まぁ魔族の人達がかわいそうだと思ったのだろう。全く上司もカッコつけずにそう言えばいいのに。

俺は国が接収したホテルの一室を使える事になった。当然ながらホテルのサービスなんかは使えないが、ふかふかのベッドがついていて中々気に入った。俺が窓際の椅子に座って外を見ていると副官が入ってきた。

「マルシュ中尉。休憩中に失礼します。南西方面からたくさんの魔族がこちらに向かって歩いてきているそうです。敵意はなさそうですが、何をしに来たのか聞いてこいと命令が下りました」

なんだそりゃ。休憩中にやめてくれよ、もう。めんどくさいが行くしかないか。

「わかった。みんなを集めておいてくれ。すぐに出発する」

しばらく飛んでいると確かに大行列が見えてきた。なんだありゃ。何万単位でいるぞ。しかし全員ぼろぼろだ。手押し車などに家財道具のようなものを入れて歩いている。何があったんだ?

「止まれ! 私はニポン皇国軍中尉のマルシュだ。お前らは何をしに来た。元いた場所に戻りなさい!」

するとちょうど先頭にいた男が答えた。

「助けてくれ! ミュンは教皇軍に荒らされている! 俺たちは住む場所も食料もほとんど奪われて町から追い出されたんだ!」

そう言うと集団はそのまま歩いて行った。どうせ止める事は出来ない。何人かを本部に連絡にいかせて、俺たちは魔王領の南部で3番目に大きな町、ミュンに向かう事にした。



ミュンの様子は酷いの一言だった。ここに元々たくさん住んでいた獣人は見当たらなかった。そこそこ住んでいた魔族もいないが、それはさっきの集団に加わったんだろう。

家はほとんどが燃やされて、略奪行為が行われていた。
確かここは教皇軍に占領されていたはずだ。俺は教皇軍の本部に向かった。
見張りの一人に声をかける。

「すまない。俺はニポン皇国軍のマルシュというものだ。誰かこの町の責任者を読んでもらえないだろうか」

すると奥から変に着飾った男が一人出てきた。

「それには及びません。私がミュンの占領を任されています。ちょうどこちらから伺おうと思っていたのですよ。あ、私は枢機卿のゲドウと申します」

「初めまして。さっそくですがこの状況はどういう事なのか説明してほしい」

「どういう……と言われてもそのままなのですが」

「聞き方が悪かったか? なぜこんなに街が荒れているんだ。教会の人助けの教えはどこに行ったんだ」

「人助け……? ここに住んでいたのは魔族の異教徒です。神の教えに刃向かうものをどうして助けるのでしょうか。しかしまぁ死なせるのも忍びない……。
そこで改革派の皆さんは魔族を助けていると聞いて魔族の皆さんにそちらに向かうように教えてあげたのですよ」

「なんだそれは。難民を押し付けているだけではないか。……それじゃあなんで略奪をしているんだ?」

「略奪ではありません。これは神が与えた大地の恵みを異教徒が奪って作られたものです。なので神の手に取り戻すのが我らの仕事ではないでしょうか。貴国にも占領地の物品を教皇領に送っていただけると助かりますねぇ」

なんて奴らだ。これが同じ教会の仲間? 冗談じゃない。神の名を借りた盗賊みたいな奴らじゃないか。だからこうやって反発を生むのが分からないのか?

「一応本国に問い合わせておくが……私個人としてはその要求は絶対に受け入れられないと思う。それに獣人はどこに行った?」

「ブルゴーニュ王国も同様の返事を返してきましたよ。なかなか正義感にこだわるようだが、誇りでは人は生きていけないのを学ぶべきでしょう……。
獣人? 私は知らないですねぇ。魔族がさらっていったんじゃ無いですか?」

頭が痛くなってきた。あいつらにそんな余裕があるわけないだろ。人の心はないのか?

「知らないわけがないだろう! もうこんな事はやめにしろ!」

「おっと。そんなに興奮しないでください。おいそこの兵士。こいつをつまみ出せ」

そこまで言われたら俺は引き下がるしかなかった。こんな事がいくつの町で行われているのだろうか。
これはみんなに知らせないと……。
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