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新世界
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「ミズキさん……船……大変でしたね……」
タラップを降りながら、死んだ顔のリリアちゃんが話しかけて来た。
やめてリリアちゃん。あの地獄の事を思い出させないで。収納されたドーラ達が羨ましい。
これでも今回のご褒美でギルドの船の個室を使わせて貰えたんだから良い方らしい。
匂い、食事、衛生、船酔い……私もうこの大陸に骨を埋めようかな。
「ようこそ! 我が大陸の玄関口、ドーバへ!」
船から降りた私達をギルドの人が迎えてくれた。若いイケメンだ。ギルドまで案内してくれたし、イケメンは心までかっこいいのか?
「ところでなんで二番目の大陸にここを選んだんですか?」
あれ? 言ってなかったっけ?
「この大陸は二番目に魔物の強い大陸だからね。基本、魔物の強い順に周って行きたいじゃん?
それにここには良い魔物が居るんだよ」
私達はテイマーだからね。魔物図鑑はずっ友なのだ。
「良い魔物?」
「この大陸は古代文明の遺跡が多いらしくてね。ゴーレムがいるんだよ」
そう。この大陸はゴーレムがとても有名だ。もちろん他の大陸にもいるけど、特に特徴的なゴーレムが多い。
単純に性能の高いゴーレムとか、魔法が上手いゴーレムとか、巨大なゴーレムとか。
図鑑の5ページまるまる埋め尽くした実力は伊達じゃない。見た目もバラバラだ。
そろそろ二、三匹くらいテイムしたいね。収納能力にも余裕が出て来たし。基本戦えるのは一匹ずつでもドーラにも相性があるからね。
「へー。私はこの小さいゴーレムさんとか良いですねぇ。可愛いです。あっ、こっちのゴーレムさんも……」
ゴーレムが可愛いという感覚は私には分からないけど、まぁ……本人が良いならいっか。
ドーラも出して頭に乗せて街を歩き始めた。
あっ串焼き売ってる。
へー、塩にタレか……迷うなぁ。もういいや!
「おじさん! それぞれ五本ずつください!」
もう両方頼んじゃえ。
「あいよ! すぐに出来るからそこで待ってな!」
うまうま。あっドーラ。頭の上でタレこぼすとかやめてよ?
串焼きを食べながら歩いていると、別の屋台が見えて来た。
いや、たくさんの屋台が建っている。
「すみません。ここで何かあるんですか?」
私は通行人のおばさんに聞いてみた。
「何言ってるんだい。今年は四年に一度の武闘大会があるんだ。その準備だね」
武闘大会!! まさかこの街でやるのか!
この大会は私も楽しみにしていた物の一つだ。
この大陸中から集まって来た腕利き達が優勝を目指して争い合う。
もちろん強さや年齢別に開かれる物だから私達は結構後の方だ。
こうやって分けておかないとSSランクとかが蹂躙して終わっちゃうからね。それじゃあつまらないでしょ?
それにこの大会には成長著しい人を見つける目的もある。
だから、弱い方でも若くして優勝すれば将来有望という事で様々な国から声をかけられる事もあるとか。
当然私は参加希望だ。
突然参加した仮面の謎の選手が優勝してあの選手は誰だと噂になる。
そこで私は仮面をとって初めて正体を晒すのだ。あちこちの騎士団に誘われて、もしかしたら王族の方から……。
「ミズキさん?」
はっ! リリアちゃんのおかげで妄想の世界から現実に戻ってこれたよ。ありがとう。
「私も……参加した方が良いのでしょうか?」
「なんか参加したくない理由でもあるの?」
まぁ理由は知らないけど、嫌なら無理に出る事も無いんじゃないかな?
そんな話をしていると、後ろから誰かが走って来た。気づかなかった私は背中にもろに攻撃を食らった。
痛!
「す、すみません!」
ぶつかった女の子は急いでるらしく、謝るとすぐにどっかに行った。
気をつけてよね、もう。
「ミズキさん。大丈夫です……か……」
リリアちゃんがこっちを振り返って固まった。
ん? どした? 顔になんか付いてる?
「あの……さっきまで寝てたドーラちゃんはどこに……」
私は頭の上を探す。あれ? ない……いない!?
その時、リュックの中からピューイと鳴き声がした。
後ろを向くと小さな鳥と目が合った。これは君か? ドーラの第三形態とかか? ピューイって。
うん違うよね。この子はこの大陸特有の魔物の鳥だよね。図鑑で見たよ。
でもどこで……さっきの奴か!
慌てて探知を使う。結構な範囲を見れるようになったけど、人や関係ない使い魔の反応が多すぎて分からない。
「急いで探しましょう! まだこの街の中にいるはずです!」
私達は慌てて探し始めた。もう初日にドーラがいなくなるなんて運がない。お祓いでもして貰おうかな。
あっちこっちの店を周り、ギルドも見て……日が暮れても探し続けた。
「はぁ……はぁ……。こっちには居ませんね」
「一緒に探してくれてありがとうリリアちゃん。見つからないね……」
「ドーラちゃんも大事な仲間ですから当たり前です!」
なんていい子なんだ、リリアちゃん。ドーラが見つかったらお姉さんが何でも買ってあげよう。
それからも探し続けていると、ある店が目に入った。
美味しそうな料理の広告やオシャレな店内も気になったけど、もっと気になったのはその中にいた二人組。
いや、正確に言えば一人と一匹がのんびりご飯を食べていた。
……みぃぃぃぃぃつぅぅぅぅぅけぇぇぇぇぇたぁぁぁぁぁ!!!
何をのんびりご飯を食べているんだドーラ!!
タラップを降りながら、死んだ顔のリリアちゃんが話しかけて来た。
やめてリリアちゃん。あの地獄の事を思い出させないで。収納されたドーラ達が羨ましい。
これでも今回のご褒美でギルドの船の個室を使わせて貰えたんだから良い方らしい。
匂い、食事、衛生、船酔い……私もうこの大陸に骨を埋めようかな。
「ようこそ! 我が大陸の玄関口、ドーバへ!」
船から降りた私達をギルドの人が迎えてくれた。若いイケメンだ。ギルドまで案内してくれたし、イケメンは心までかっこいいのか?
「ところでなんで二番目の大陸にここを選んだんですか?」
あれ? 言ってなかったっけ?
「この大陸は二番目に魔物の強い大陸だからね。基本、魔物の強い順に周って行きたいじゃん?
それにここには良い魔物が居るんだよ」
私達はテイマーだからね。魔物図鑑はずっ友なのだ。
「良い魔物?」
「この大陸は古代文明の遺跡が多いらしくてね。ゴーレムがいるんだよ」
そう。この大陸はゴーレムがとても有名だ。もちろん他の大陸にもいるけど、特に特徴的なゴーレムが多い。
単純に性能の高いゴーレムとか、魔法が上手いゴーレムとか、巨大なゴーレムとか。
図鑑の5ページまるまる埋め尽くした実力は伊達じゃない。見た目もバラバラだ。
そろそろ二、三匹くらいテイムしたいね。収納能力にも余裕が出て来たし。基本戦えるのは一匹ずつでもドーラにも相性があるからね。
「へー。私はこの小さいゴーレムさんとか良いですねぇ。可愛いです。あっ、こっちのゴーレムさんも……」
ゴーレムが可愛いという感覚は私には分からないけど、まぁ……本人が良いならいっか。
ドーラも出して頭に乗せて街を歩き始めた。
あっ串焼き売ってる。
へー、塩にタレか……迷うなぁ。もういいや!
「おじさん! それぞれ五本ずつください!」
もう両方頼んじゃえ。
「あいよ! すぐに出来るからそこで待ってな!」
うまうま。あっドーラ。頭の上でタレこぼすとかやめてよ?
串焼きを食べながら歩いていると、別の屋台が見えて来た。
いや、たくさんの屋台が建っている。
「すみません。ここで何かあるんですか?」
私は通行人のおばさんに聞いてみた。
「何言ってるんだい。今年は四年に一度の武闘大会があるんだ。その準備だね」
武闘大会!! まさかこの街でやるのか!
この大会は私も楽しみにしていた物の一つだ。
この大陸中から集まって来た腕利き達が優勝を目指して争い合う。
もちろん強さや年齢別に開かれる物だから私達は結構後の方だ。
こうやって分けておかないとSSランクとかが蹂躙して終わっちゃうからね。それじゃあつまらないでしょ?
それにこの大会には成長著しい人を見つける目的もある。
だから、弱い方でも若くして優勝すれば将来有望という事で様々な国から声をかけられる事もあるとか。
当然私は参加希望だ。
突然参加した仮面の謎の選手が優勝してあの選手は誰だと噂になる。
そこで私は仮面をとって初めて正体を晒すのだ。あちこちの騎士団に誘われて、もしかしたら王族の方から……。
「ミズキさん?」
はっ! リリアちゃんのおかげで妄想の世界から現実に戻ってこれたよ。ありがとう。
「私も……参加した方が良いのでしょうか?」
「なんか参加したくない理由でもあるの?」
まぁ理由は知らないけど、嫌なら無理に出る事も無いんじゃないかな?
そんな話をしていると、後ろから誰かが走って来た。気づかなかった私は背中にもろに攻撃を食らった。
痛!
「す、すみません!」
ぶつかった女の子は急いでるらしく、謝るとすぐにどっかに行った。
気をつけてよね、もう。
「ミズキさん。大丈夫です……か……」
リリアちゃんがこっちを振り返って固まった。
ん? どした? 顔になんか付いてる?
「あの……さっきまで寝てたドーラちゃんはどこに……」
私は頭の上を探す。あれ? ない……いない!?
その時、リュックの中からピューイと鳴き声がした。
後ろを向くと小さな鳥と目が合った。これは君か? ドーラの第三形態とかか? ピューイって。
うん違うよね。この子はこの大陸特有の魔物の鳥だよね。図鑑で見たよ。
でもどこで……さっきの奴か!
慌てて探知を使う。結構な範囲を見れるようになったけど、人や関係ない使い魔の反応が多すぎて分からない。
「急いで探しましょう! まだこの街の中にいるはずです!」
私達は慌てて探し始めた。もう初日にドーラがいなくなるなんて運がない。お祓いでもして貰おうかな。
あっちこっちの店を周り、ギルドも見て……日が暮れても探し続けた。
「はぁ……はぁ……。こっちには居ませんね」
「一緒に探してくれてありがとうリリアちゃん。見つからないね……」
「ドーラちゃんも大事な仲間ですから当たり前です!」
なんていい子なんだ、リリアちゃん。ドーラが見つかったらお姉さんが何でも買ってあげよう。
それからも探し続けていると、ある店が目に入った。
美味しそうな料理の広告やオシャレな店内も気になったけど、もっと気になったのはその中にいた二人組。
いや、正確に言えば一人と一匹がのんびりご飯を食べていた。
……みぃぃぃぃぃつぅぅぅぅぅけぇぇぇぇぇたぁぁぁぁぁ!!!
何をのんびりご飯を食べているんだドーラ!!
応援ありがとうございます!
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