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新世界

ライバル

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仕方ない、入ろっか。さっきからリュックで飼ってるこの鳥も返さなきゃいけないし。

「あっ。ミズキおかえりー」

 おかえりちゃうわ! 自宅でもないし。私は肩にドーラを乗せる。ほら、もうどっかに行かずにドーラは肩で大人しくしといてよー。
 
「すみません。うちの使い魔を預かって貰ってしまったみたいで。この子はあなたのですか?」

 言い終わらないうちに鳥は自力で飛んでいった。この子飛べたんだ。

「ブルー! ありがとうございます!」

 なるほど。この子はブルーっていうんだ。青色の鳥だからかな? シンプルで可愛い名前だね。あっ、ドーラも良い名前じゃん拗ねないで……。



「ブルーを見つけてくれてありがとう。私はメイ。テイマーをやってるの」

 あれから少し仲良くなった私達は互いに自己紹介する事にした。

「こっちこそドーラをありがとう。私はミズキ。こっちはリリア。同じくテイマーだよ」

「おー。同じ職業の仲間で良かった。テイマーじゃない人は使い魔を怖がる人もいるから」

 分かるー! 特にこんな大都市だとまだまだ偏見も少ないし、ラッキーだよ。いやいなくなった時点でラッキーじゃないけど。

「そうだねー。辺境の村だと収納しなきゃいけなかったるするしね」

「ところで、これはどこに向かってるの?」

 私達はメイちゃんに「こっち来て」と言われたから、ついていってるけど何だろう。

「それはね……ここ! テイマー協会だよ!」

 案内してくれたのは結構大きな建物だった。まぁあぁの大きさの庭が併設されていて、たくさんの人と魔物が遊んでるのが見える。

「テイマー協会?」

 初めて聞くんだけど。

「名前の通りだよ。まぁテイマー専用のギルドみたいな感じ? 依頼を受けたりは出来ないけどランクによって色々と助けてくれるんだ。
 まだ出来たばかりだから、ミズキ達の大陸では知名度が低かったかな? 一応他の大陸では結構有名なんだけどね」

 説明を聞きながら建物の中に入ると、突然ムキムキなおじいさんが泣きながらメイちゃんに抱きついた。衛兵さんこいつです!

「メイー! どこ行ってたんだ!  心配したんだぞ!  何度街に探しに行ったか……」

 ストーカー行為まで!? メイちゃん大丈夫? 魔法を撃つ準備ならいつでも……。
 するとおじいさんが私達に気づいた。

「これは失礼した。私はゴウリキ。メイの祖父でテイマー協会の初代会長もやっておる」

 ご家族の方でしたか。私はなんて失礼な事を。
 って……ええええぇ!? メイちゃん会長の孫だったの!?




 それから会長の薦めでテイマー協会に入会した私達は、メイちゃんと依頼を受けてみる事にした。もちろんテイマー協会に依頼はないからギルドの方のね。

「でもミズキとリリアもEランクなんてすごい偶然だね」

「こっちこそ驚いたよ。私が言うのも何だけどメイちゃんって強いんだね」

「全然だよ。SSランクのお父さんのおかげってだけ。私は弱いって」

 謙遜しなくても良いのに……今なんて?
 え? まじで? おじいさんは組織のトップでお父さんがSSランク?

 どんな家族なんだ。お母さんは伝説の勇者とか言わないだろうな。

「メイちゃんと比べてお父さんってどれくらい強いの?」

「そりゃもう桁違いだよ。私は弱いからても足も出ない」

 やっぱり先は遠いねー。
 あっ探知してたら魔物がいるじゃん。どれどれ……うわっ。めっちゃ強い魔物じゃん。
 き、今日の所は見逃してやる。

「ミズキちゃん。リリアちゃん。あいつに挑戦してみない? それっ。ブルー。お願い!」

 メイちゃんマジでいってる? 止める間もなく、巨大な青い鳥が敵に向かっていく。

 あっもう攻撃してる。しょうがないなぁ。私達もいくよ! ドーラ。




 はぁはぁ……酷い目にあった。結局、三人で囲んでも全然だめだったよ。

「ごめんね二人共。危ない事に巻き込んじゃって」

 メイちゃんが謝ってきた。まぁ良くやっちゃうミスだから仕方ないね。逃げられたし良し!

「いいよいいよ。挑戦だと思えば」

「私もいい経験になりました!」

 メイちゃんは明るくて良い子だな~。今も楽しかったって笑ってるし。これからも一緒に冒険に行ってみたいな。

 そんな事を考えてるとメイちゃんが突然、質問をして来た。

「ねぇ。二人の実力なら他にも仕事はたくさんあるのに、どうして冒険者なんか続けてるの?」

 私はリリアと顔を合わせた。答えはたった一つ。

「強くなるため。私達はね、いつかSSSランクになるって決めてるの!」

 笑われちゃうかな? 現実を見ろって。
 実際これを言うと笑う人も少なく無いから、最近はあまり言わないようにしている。

 でもメイちゃんは違ったみたい。代わりに予想外の一撃を決めてきた。

「二人と私。どっちがSSSランクになれるか競争しようよ! もちろん勝つのは私だけどね!」
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