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小話詰め合わせ
□とある女子高生の失恋
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▼島外、モブ視点
女子高生は恋の亡者だ。
だから「気になる人ができた」などと口にすれば、途端に周囲は第三者でありながらも当事者以上の熱量を有する。とか格好良く言ってみたけど結局は野次馬根性なのよちくしょう!
「誰!? うちの知ってる人!?」
「いや、帰りの電車で、ここ一ヶ月くらい前から見かけるだけ……」
「どんな人!?」
「一個上くらいだと思ったんだけど、制服着てなくてさ。大学生、かな?」
「定時制じゃなくて?」
「あー、そうなのかな……わかんない」
「何歳くらい? 大体でいいからさ」
「いやマジでわかんないの。いつも黒い服着ててさ、髪とかも染めてないのよ」
「えっ厨二病じゃん」
「ふざけんな! マジ! マジで全然そんなんじゃないから! 清潔感あんのよ! 癖っ毛なんだけど、そのままって感じじゃなくて……いつも端っこに座ってイヤホンしてるんだけどさ。こじんまりしてる感じが癒し系だし、マジッマジ……!」
「ガチじゃん! もう聞けよ! 今日聞きに行こ!」
こんな会話をして、お前なんか今後友人Aとでも呼んでやると心に決めたのがお昼休み。
そして彼女は本気であたしの後について電車に乗って来やがた。
「ハ? ダウナー系とかうちの担当なんだが!」と、彼を見た瞬間A子が真顔で言った。知るか。
というかダウナー系とか勝手に想像を膨らませるのもどうかと思う。というか痛い。背中を叩くな!
「声かけなよ」
「バカ! 早いって! なに言ってんの!」
「遅いわバカ! 一ヶ月片思いとか十分だし!」
「だって! こんな人少ないとき声かけたら怪しいじゃん!」
「マジ意味分からん! それいま関係ないから」
「あるあるっ! 恥ずかしい! マジムリ!」
数えられる人数しか乗ってない車内は絶好の場だと自分でも気付いている。
けど、扉の前からあたしは動きたくない。
あたし達のいるドアの、ひとつ後ろのドアのそばに気になる人は座ってる。
いつもあの席で、だから一ヶ月前からあたしの定位置もここになった。
ここからが一番当たり障りなく見られるから。
癖っ毛のその人は女子高生のあたし達なんかより肌が白くて、そのせいで余計に黒髪や黒い服装が目立って格好いい。
格好いいよりも可愛い寄りなのかもしれないけど、席から立ち上がった時に遠目からでも身長が高いのは分かったから、そこは男の人なんだなあとか……ちょっと、いやかなりあたしの中の格好いいポイントに刺さった。
「はあー……」
見てるだけで顔が熱くなるんだから、声かけるなんて冗談抜きでムリ!
「声かけなって」
「だからムリ! ホントやめて……いまのまんまで十分だから!」
「彼氏ほしくないの?」
「ほしいけどさ……」
「声かけるくらい平気だって! うちら女子高生だよ? 女子高生に話し掛けられて嬉しくない奴とかいないっしょ」
「ああいう人って大人な、こう、セクシーな女の人とか好きそうじゃない? 大人の女性的な……」
「彼女見たことあんの?」
「いつも一人で乗って、一人で降りてくのしか見たことない」
「なら若さのが勝てるって! 声掛けてみたら変わるかもよ? 大人の女性より女子高生だし! ジェーケーに勝てるやつなんかいないいない! 好きです付き合ってくださいって可愛さアピールして……」
「バカ! 声デカイ!」
テンションが上がって声量が増してきた野次馬の腕を引っ張って制する。人が少ない分目立てばすぐにバレるから本当にやめてほしい。
二人でそっと相手を窺うと、彼はイヤホンをつけたまま下を向いていた。
人形みたいに全然変化がない。よかった……
と、安堵したのも束の間、電車の揺れに変化が起こり、アナウンスが彼の降りる駅名を響かせた。
「あっここ。あの人降りる場所」
「え? ウソッ!」
二人で振り返ると彼は当たり前だが席から立ち、ドア前に待機する。電車がとまり、扉が開いた瞬間迷わずに降り去って「行こう!」A子があたしの腕を引っ張った。
あたし達は電車を降りる。駅のホームは帰宅する人達で溢れていて、けど中間の駅なのであたし達がいつも飲み込まれる中心のほうの駅内に比べれば全然。
すぐに彼の後ろ姿を見付けた。
彼はホームに立ち止まってスマートフォンを操作している。
「っ!」
イヤホンを、外して。
「いまじゃん! 行きなよ!」
「バッ――バカバカバカ! 待ってホントッやばいやばいムリ!」
「とりあえずでいーから!」
「とりあえずってなんだよ!」
二人で押し問答を繰り返す。
正直話し掛けたい。話し掛けたいし、ぶっちゃければ日々賑やかな妄想もしましたよ!
そりゃぁあたしだって彼氏欲しいし、あの人が彼氏になれば帰りに電車で待ち合わせしてそのまま駅内でデートとか……ここの駅のクレープ屋さん美味しいし、一緒に食べたりとかしたいとか色々と妄想するじゃん! するよ! それくらいいいでしょ!
けどその妄想が現実になるとか考えるにはあたしにはまだ度胸が足りない!
「うち一緒に聞くから!」
A子があたしの肩を叩いて言った。
「二人ならいいじゃん! なんならうちが聞くよ!」
A子とか……野次馬モブ扱いしてごめん。
やっぱりこいつはウザイけどあたしの親友だわ。
返事をしようとして、喉が詰まって、本気で泣きそうになっている自分に気が付いた。
「う、うん……」
「よし!」
A子が拳を握る。
あたしは熱くなってる目元を拭って顔を上げ「ひょえ!」素で変な声を出した。
彼がこっちを見て、笑った。笑ってる。
すごく、すごく綺麗な微笑み方で!
それだけじゃなくて、小走りで近付いてくるんだけど……えっえっなんで!? なんで!
そしてA子があたしを激しく叩く。
「や、やっぱ……っ!」
「行くよ、いまでしょ!」
このチャンスを逃してなるものか、とあたし以上に気合いが入っているA子が片手を高く上げた。
「あの――」
「ロキ」
A子が声を掛ける前に彼が言った。
あたし達がそれを名前だと理解したのは、あたし達の後ろに彼が走って行き「どうしてホームに来たの? 僕、なにか間違った?」と会話が始まったから。
「んーん。あッてる。俺が迎えに来たかッただけ」
「わざわざ改札から入ってきたの? ごめんねロキ」
「ハア? そこはありがとうだろ」
「ありがとうロキ」
聞こえてきたのは明らかに男の人の声で、友達と待ち合わせしてたのかな。とあたしは安心した。
でも友達もいるんじゃやっぱり声掛けられないかな?
いや、A子はこういう時もガンガン行くし、頼ろう! と開き直ったあたしの隣で先に振り返っていたA子があたしの鞄を掴んで揺すって来た。
「ちょ、っんな、っ! ぅおお――!」
「はあ? なに? どうしッ!?」
なんか声にならない悲鳴をあげてるA子に急かされて、振り返って、あたしは泣いた。
「コレ超好き。美味いよ、アーン」
「あーん」
モデルとしか思えない顔面偏差値が凶器の外国人と、彼がクレープを食べ合いっこしていた。
黒い彼とは真逆の白い服装の、独特は肌色と髪色の彼より背の高いその人はわざと彼の口にクレープを突っ込んで、彼の口周りを汚す。
それを見てケラケラ笑うのはまだ分かるがその後、彼の口端についたクレープを……舐めっ、な、っなん! なっ!
外国人のスキンシップにしては激しすぎるわけで……いや、え? これってつまり……はい?
「美味し?」
「うん」
「コッチもあげる」
「ふたつも買ったの?」
「オススメ聞いたらコレとコレッて言われたから。一緒に食いたかッたし。あッ俺にもアーン」
「あーん」
彼は受け取ったクレープを相手に食べさせる。
「ロキ、美味しい?」
「コッチのが俺は好きかも」
「どっち?」
「コッチー」
とか言うと、また。外国人はまた彼に顔を近付けてスキンシップをした。
公衆の面前で、二人は二人の世界を作る。
それから外国人はあいた片手を彼の腰に回して、彼も相手に身を寄せて、歩いて行った。
残されたのは喧騒。
「ねえ……これ、失恋かな……」
「ごめん。マジごめん」
「あんた声笑ってんじゃん!」
「だってあんなの女子高生でも勝てるわけないって! 特にアンタじゃ余計ムリ! あの人ぜってーモデルじゃん!」
「若さで勝てるって言ったくせにいいいいいい!」
あたしの絶叫が駅に反響する。
この後、失恋記念でクレープをやけ食いしたのは言うまでもない。
【end】
女子高生は恋の亡者だ。
だから「気になる人ができた」などと口にすれば、途端に周囲は第三者でありながらも当事者以上の熱量を有する。とか格好良く言ってみたけど結局は野次馬根性なのよちくしょう!
「誰!? うちの知ってる人!?」
「いや、帰りの電車で、ここ一ヶ月くらい前から見かけるだけ……」
「どんな人!?」
「一個上くらいだと思ったんだけど、制服着てなくてさ。大学生、かな?」
「定時制じゃなくて?」
「あー、そうなのかな……わかんない」
「何歳くらい? 大体でいいからさ」
「いやマジでわかんないの。いつも黒い服着ててさ、髪とかも染めてないのよ」
「えっ厨二病じゃん」
「ふざけんな! マジ! マジで全然そんなんじゃないから! 清潔感あんのよ! 癖っ毛なんだけど、そのままって感じじゃなくて……いつも端っこに座ってイヤホンしてるんだけどさ。こじんまりしてる感じが癒し系だし、マジッマジ……!」
「ガチじゃん! もう聞けよ! 今日聞きに行こ!」
こんな会話をして、お前なんか今後友人Aとでも呼んでやると心に決めたのがお昼休み。
そして彼女は本気であたしの後について電車に乗って来やがた。
「ハ? ダウナー系とかうちの担当なんだが!」と、彼を見た瞬間A子が真顔で言った。知るか。
というかダウナー系とか勝手に想像を膨らませるのもどうかと思う。というか痛い。背中を叩くな!
「声かけなよ」
「バカ! 早いって! なに言ってんの!」
「遅いわバカ! 一ヶ月片思いとか十分だし!」
「だって! こんな人少ないとき声かけたら怪しいじゃん!」
「マジ意味分からん! それいま関係ないから」
「あるあるっ! 恥ずかしい! マジムリ!」
数えられる人数しか乗ってない車内は絶好の場だと自分でも気付いている。
けど、扉の前からあたしは動きたくない。
あたし達のいるドアの、ひとつ後ろのドアのそばに気になる人は座ってる。
いつもあの席で、だから一ヶ月前からあたしの定位置もここになった。
ここからが一番当たり障りなく見られるから。
癖っ毛のその人は女子高生のあたし達なんかより肌が白くて、そのせいで余計に黒髪や黒い服装が目立って格好いい。
格好いいよりも可愛い寄りなのかもしれないけど、席から立ち上がった時に遠目からでも身長が高いのは分かったから、そこは男の人なんだなあとか……ちょっと、いやかなりあたしの中の格好いいポイントに刺さった。
「はあー……」
見てるだけで顔が熱くなるんだから、声かけるなんて冗談抜きでムリ!
「声かけなって」
「だからムリ! ホントやめて……いまのまんまで十分だから!」
「彼氏ほしくないの?」
「ほしいけどさ……」
「声かけるくらい平気だって! うちら女子高生だよ? 女子高生に話し掛けられて嬉しくない奴とかいないっしょ」
「ああいう人って大人な、こう、セクシーな女の人とか好きそうじゃない? 大人の女性的な……」
「彼女見たことあんの?」
「いつも一人で乗って、一人で降りてくのしか見たことない」
「なら若さのが勝てるって! 声掛けてみたら変わるかもよ? 大人の女性より女子高生だし! ジェーケーに勝てるやつなんかいないいない! 好きです付き合ってくださいって可愛さアピールして……」
「バカ! 声デカイ!」
テンションが上がって声量が増してきた野次馬の腕を引っ張って制する。人が少ない分目立てばすぐにバレるから本当にやめてほしい。
二人でそっと相手を窺うと、彼はイヤホンをつけたまま下を向いていた。
人形みたいに全然変化がない。よかった……
と、安堵したのも束の間、電車の揺れに変化が起こり、アナウンスが彼の降りる駅名を響かせた。
「あっここ。あの人降りる場所」
「え? ウソッ!」
二人で振り返ると彼は当たり前だが席から立ち、ドア前に待機する。電車がとまり、扉が開いた瞬間迷わずに降り去って「行こう!」A子があたしの腕を引っ張った。
あたし達は電車を降りる。駅のホームは帰宅する人達で溢れていて、けど中間の駅なのであたし達がいつも飲み込まれる中心のほうの駅内に比べれば全然。
すぐに彼の後ろ姿を見付けた。
彼はホームに立ち止まってスマートフォンを操作している。
「っ!」
イヤホンを、外して。
「いまじゃん! 行きなよ!」
「バッ――バカバカバカ! 待ってホントッやばいやばいムリ!」
「とりあえずでいーから!」
「とりあえずってなんだよ!」
二人で押し問答を繰り返す。
正直話し掛けたい。話し掛けたいし、ぶっちゃければ日々賑やかな妄想もしましたよ!
そりゃぁあたしだって彼氏欲しいし、あの人が彼氏になれば帰りに電車で待ち合わせしてそのまま駅内でデートとか……ここの駅のクレープ屋さん美味しいし、一緒に食べたりとかしたいとか色々と妄想するじゃん! するよ! それくらいいいでしょ!
けどその妄想が現実になるとか考えるにはあたしにはまだ度胸が足りない!
「うち一緒に聞くから!」
A子があたしの肩を叩いて言った。
「二人ならいいじゃん! なんならうちが聞くよ!」
A子とか……野次馬モブ扱いしてごめん。
やっぱりこいつはウザイけどあたしの親友だわ。
返事をしようとして、喉が詰まって、本気で泣きそうになっている自分に気が付いた。
「う、うん……」
「よし!」
A子が拳を握る。
あたしは熱くなってる目元を拭って顔を上げ「ひょえ!」素で変な声を出した。
彼がこっちを見て、笑った。笑ってる。
すごく、すごく綺麗な微笑み方で!
それだけじゃなくて、小走りで近付いてくるんだけど……えっえっなんで!? なんで!
そしてA子があたしを激しく叩く。
「や、やっぱ……っ!」
「行くよ、いまでしょ!」
このチャンスを逃してなるものか、とあたし以上に気合いが入っているA子が片手を高く上げた。
「あの――」
「ロキ」
A子が声を掛ける前に彼が言った。
あたし達がそれを名前だと理解したのは、あたし達の後ろに彼が走って行き「どうしてホームに来たの? 僕、なにか間違った?」と会話が始まったから。
「んーん。あッてる。俺が迎えに来たかッただけ」
「わざわざ改札から入ってきたの? ごめんねロキ」
「ハア? そこはありがとうだろ」
「ありがとうロキ」
聞こえてきたのは明らかに男の人の声で、友達と待ち合わせしてたのかな。とあたしは安心した。
でも友達もいるんじゃやっぱり声掛けられないかな?
いや、A子はこういう時もガンガン行くし、頼ろう! と開き直ったあたしの隣で先に振り返っていたA子があたしの鞄を掴んで揺すって来た。
「ちょ、っんな、っ! ぅおお――!」
「はあ? なに? どうしッ!?」
なんか声にならない悲鳴をあげてるA子に急かされて、振り返って、あたしは泣いた。
「コレ超好き。美味いよ、アーン」
「あーん」
モデルとしか思えない顔面偏差値が凶器の外国人と、彼がクレープを食べ合いっこしていた。
黒い彼とは真逆の白い服装の、独特は肌色と髪色の彼より背の高いその人はわざと彼の口にクレープを突っ込んで、彼の口周りを汚す。
それを見てケラケラ笑うのはまだ分かるがその後、彼の口端についたクレープを……舐めっ、な、っなん! なっ!
外国人のスキンシップにしては激しすぎるわけで……いや、え? これってつまり……はい?
「美味し?」
「うん」
「コッチもあげる」
「ふたつも買ったの?」
「オススメ聞いたらコレとコレッて言われたから。一緒に食いたかッたし。あッ俺にもアーン」
「あーん」
彼は受け取ったクレープを相手に食べさせる。
「ロキ、美味しい?」
「コッチのが俺は好きかも」
「どっち?」
「コッチー」
とか言うと、また。外国人はまた彼に顔を近付けてスキンシップをした。
公衆の面前で、二人は二人の世界を作る。
それから外国人はあいた片手を彼の腰に回して、彼も相手に身を寄せて、歩いて行った。
残されたのは喧騒。
「ねえ……これ、失恋かな……」
「ごめん。マジごめん」
「あんた声笑ってんじゃん!」
「だってあんなの女子高生でも勝てるわけないって! 特にアンタじゃ余計ムリ! あの人ぜってーモデルじゃん!」
「若さで勝てるって言ったくせにいいいいいい!」
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