これは私の物語

笹乃笹世

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9章 雪解けと弟たちと新店舗

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「……今年はまだマシだ。 なんといっても味がいつもと違うからな。 例年に比べると減りが早い。 これは君がほこるべきことだ。 実際宿舎の料理も飽きが来るのが――遅かったような気もしているが……――冬の間はどこでも干し肉料理を取り扱うからな……結局は飽きが来る」

 そう言いながらペッショリと肩を落とし、大きく息をつくエルベルトさん。
 本当にウンザリしてるんだろうな……でも、干し肉の重要性は知ってるから文句も言いにくい――って感じかな?

 ……でも、干し肉って元の世界じゃビーフジャーキーでしょ? あれって結構美味しかったイメージあるけど……胡椒とか効いてて――それともあれだって毎日食べてたら飽きるのかなぁ?
 ――胡椒かぁ。 ……とりあえず、来年はバリエーションを、増やすところから始めよう。
 味がたくさんあったら、干し肉に飽きるのを少しでも先送り出来るかもしれない。

「あー……来年の冬籠りはちょっとでもう飽きないように胡椒がたっぷり効いてるやつとか、ちょっと甘めの味付けのやつとか、たくさん作りますね?」

 あ、鶏肉で作ったジャーキーとかもあるらしいよね⁉︎ 美味しく作れたら目新しいかもしれない!

「はは、君が言うと少し楽しみになってしまうな?」
「……でもひとまず今日は、混じり気なしの挽肉で、混じり気なしのハンバーガーを楽しみましょう!」
「――実に楽しみだ」

 そう言って笑ったエルベルトさんの笑顔は即そこお目にかかれないほど上機嫌で満面の笑顔だった――

 ……本当に好きですねハンバーガー。

 ◇

 バザールで肉をミンチにする道具やスライサーやウインナーを作る道具を買って数週間が経った。
 
 うちの料理のバリエーションがとても増え、中でも肉団子入りのスープはいつもより大鍋で3杯は多く作らないと兵士たちに回す分が無くなるくらいには人気料理になっている。

 あと、ミンチを作るついでだと説得――ダダをこねられ、毎日酒場に20個、兵士たち用に40個作ることが決まっていた。
 まぁ数量限定だし、私もみんなもハンバーグは好きなので今のところ文句はない。
 
 でもハンバーグ、うちでも酒場でも裏メニューみたいな扱いで売っている。
 ……本当は同じ値段で買ってくれるお客さんに優劣なんかつけるつもりなかったんだけど、常連さんは毎日富食いしてくれるからこその常連さんなわけで――
 やっぱりいつもお世話になってる分、うちも酒場も、喜んで欲しいのは常連さんなほうで……――そんな思惑から、ハンバーグが数量限定の裏メニューとなった。
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