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プロローグ
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◇プロローグ◇
蒸し暑いエレベータの中、私は暑さのせいだけではないイライラを必死に押さえつけていた。
……本当、マジで最悪。
バイト先である本屋のエレベータ。
その片隅で目の前のボタンをジッと見つめながら、自分の運の無さに怒りさえ感じていた。
今日この日、あと数時間でコイツのサイン会があるってちゃんと知ってたのにっ!
――大体さ? 私はちゃんと休み申請してて、ちゃんと鉢合わせなくてもいいようにしてたんだよ⁉︎ なのに……
『ごめんっ! 息子が熱出しちゃって……病院、今日は午前中しかやってないのっ――この間の遅刻、タイムカード押して誤魔化してあげたじゃない……!』
って……。 心の底から嫌だったし、なんなら「ほかの病院なら午後もやってるんじゃ……?」って言葉も口から出かかってたけど――子供を心配する親にそんな言葉を吐ける度胸なんてあるはずもなく……
私は、子供+熱+前回のかり、と言う最強コンボにあっさり敗北したのだった……――サービス残業は30分やらないと時給出ないのに、遅刻は1分でも15分ぶん引かれるとかいうクソ仕様は今すぐにでも廃止すべき……
――こんなことが待ってるって知ってたら全力で断ってたけどねっ!
「あーもしもし? なんかもう入れる? 入れてくれるっぽい。 いま、控室になるところに案内してもらってるー」
『わたし、待っててくださいって言いましたよね⁉︎』
「だぁってぇ、美容室早く終わっちゃって暇だったんだもーん。 外暑いし立ってんのもだるいしー」
エレベータん中で、いつまでデカい声で電話してんだよ。 ラインしろライン!
盗作とか平気でしちゃうヤツはやっぱり非常識なんだなぁ……
そう……今、私の背後で無遠慮に電話してるこの女こそが、私が心底会いたくなかった女――中里郁兎。
今は真白うさぎ、とかいう名前で小説家を名乗っている……――私の高校の同級生で私の小説をパクった泥棒だ。
『分かってますよね? 今回も脅迫状が届いてるんです! 1人になるのは……』
脅迫状という単語にギョッと目を剥く。
……ってかこの女、こんな会話スピーカーで話し続けるとか正気か?
それとも“脅迫されちゃう可哀想な私”に酔ってるとか? ……酔ってそー。
――今回も、とか言ってたけど、脅迫状とか送られてるんだ……――正直、ざまぁ! 以外の感想なんか無いけど……容疑者に私の名前とか出てたらヤなんだけど……
「あははっ! それは心配しすぎでしょー 脅迫って言ったって、どうせいつもの盗作を認めなければーでしょ?」
その言葉に思わず肩が震える。
……どうしよう、本気で私が容疑者になってるかもしれない。
蒸し暑いエレベータの中、私は暑さのせいだけではないイライラを必死に押さえつけていた。
……本当、マジで最悪。
バイト先である本屋のエレベータ。
その片隅で目の前のボタンをジッと見つめながら、自分の運の無さに怒りさえ感じていた。
今日この日、あと数時間でコイツのサイン会があるってちゃんと知ってたのにっ!
――大体さ? 私はちゃんと休み申請してて、ちゃんと鉢合わせなくてもいいようにしてたんだよ⁉︎ なのに……
『ごめんっ! 息子が熱出しちゃって……病院、今日は午前中しかやってないのっ――この間の遅刻、タイムカード押して誤魔化してあげたじゃない……!』
って……。 心の底から嫌だったし、なんなら「ほかの病院なら午後もやってるんじゃ……?」って言葉も口から出かかってたけど――子供を心配する親にそんな言葉を吐ける度胸なんてあるはずもなく……
私は、子供+熱+前回のかり、と言う最強コンボにあっさり敗北したのだった……――サービス残業は30分やらないと時給出ないのに、遅刻は1分でも15分ぶん引かれるとかいうクソ仕様は今すぐにでも廃止すべき……
――こんなことが待ってるって知ってたら全力で断ってたけどねっ!
「あーもしもし? なんかもう入れる? 入れてくれるっぽい。 いま、控室になるところに案内してもらってるー」
『わたし、待っててくださいって言いましたよね⁉︎』
「だぁってぇ、美容室早く終わっちゃって暇だったんだもーん。 外暑いし立ってんのもだるいしー」
エレベータん中で、いつまでデカい声で電話してんだよ。 ラインしろライン!
盗作とか平気でしちゃうヤツはやっぱり非常識なんだなぁ……
そう……今、私の背後で無遠慮に電話してるこの女こそが、私が心底会いたくなかった女――中里郁兎。
今は真白うさぎ、とかいう名前で小説家を名乗っている……――私の高校の同級生で私の小説をパクった泥棒だ。
『分かってますよね? 今回も脅迫状が届いてるんです! 1人になるのは……』
脅迫状という単語にギョッと目を剥く。
……ってかこの女、こんな会話スピーカーで話し続けるとか正気か?
それとも“脅迫されちゃう可哀想な私”に酔ってるとか? ……酔ってそー。
――今回も、とか言ってたけど、脅迫状とか送られてるんだ……――正直、ざまぁ! 以外の感想なんか無いけど……容疑者に私の名前とか出てたらヤなんだけど……
「あははっ! それは心配しすぎでしょー 脅迫って言ったって、どうせいつもの盗作を認めなければーでしょ?」
その言葉に思わず肩が震える。
……どうしよう、本気で私が容疑者になってるかもしれない。
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