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一章 村からの脱出
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「ダリア村長がお呼びだ」
私が今日の稼ぎ場であるパン屋で品出しをしていると、村長の側近の1人がやって来た。
――あの小屋から出ていく日のお達しかな。
この村の最高権力者である村長の呼びつけを拒否することなどできるわけもないが、今日の日銭を払ってくれるのはパン屋の店主なので、ヘソを曲げられないよう一言かけておく。
「言われたものは出しましたので……」
「おう。 行ってきな」
「……感謝します」
ペコリとお辞儀をして側近の後に続く。
ものすごい機嫌が良いのが逆に怖い。 この人、こんな気さくな態度とすることあるんだ……
嫌な予感を覚えつつも、村長の家へと続く道を進んでいった。
◇
初めて入った村長宅の執務室。
多少年季は入っているものの、豪華な室内に飾りがたくさん彫ってある大きな机。 そこには多少おでこの後退した初老の男性が――村長が座っていた。
私がオルディンへの移住の代表者になったらしく、たくさんの書類を差し出されながら簡単な説明を受ける。
「これがお前たちの市民権。 そして移住許可証と領主様への紹介状だ。 全員分ある。 1枚も無くすんじゃないぞ」
「はいっ」
「それと……これはオルディンへ入るための金だ。 書類と金が無いと街へは入れない。 しっかり管理するように」
「わかりました!」
そこまで事務的に喋っていた村長だったが、ゆっくりと顔をあげるとニコリと優しげな微笑みを浮かべながら口を開いた。
「それとこれは餞別がわりだ。 好きに使いなさい」
そう言いながら机の上に並べられた書類の上に小ぶりのこげ茶色の皮袋を置く。
そのジャラリという音にヒクリと頬が引き攣った。 そんな私に気がついたのか、村長はニコニコと笑いながら「なに、気にすることはない。 さぁ無くすと大変だ、しまいなさい」と続ける。
その言葉に逆らうわけにもいかず、必死に笑顔を取り繕いながら、ペコペコと頭を下げながら皮袋と書類を受け取った。
やだぁ……結構重いんですけどぉ……え、これ本当に私たちがもらってもいいお金なの⁉︎
困惑はしたものの、本当に無くすわけにはいかないお金だったので、素早く皮袋をスカートのポケットにねじ込んだ。
その様子を村長は食い入るように見つめていたが、ポケットにねじ込んだ瞬間、満足そうに大きく頷いた。
「――ああ、それと今年もシャルマン卿からの贈り物が届いた。 それも持っていきなさい」
その言葉に、村長の斜め後ろに控えていた側近が真新しい靴が4足――靴といってもこの世界でいうところの、だ。 この世界だって、それなりの金を払うならブーツやちゃんとした靴も手に入るけど、これは簡易的な靴なので、サンダルのような靴に皮を巻きつけ足を守るタイプだ。 ――っていっても、私たちからしたら高級品なんだけどー。
――あれ? これ、新品だよね? テーブルの上に置いてるし……え、なんで新品?
「どうした? 毎年頂戴しているだろう?」
戸惑っている私に、村長は少し不機嫌そうに顔を歪める。
私が今日の稼ぎ場であるパン屋で品出しをしていると、村長の側近の1人がやって来た。
――あの小屋から出ていく日のお達しかな。
この村の最高権力者である村長の呼びつけを拒否することなどできるわけもないが、今日の日銭を払ってくれるのはパン屋の店主なので、ヘソを曲げられないよう一言かけておく。
「言われたものは出しましたので……」
「おう。 行ってきな」
「……感謝します」
ペコリとお辞儀をして側近の後に続く。
ものすごい機嫌が良いのが逆に怖い。 この人、こんな気さくな態度とすることあるんだ……
嫌な予感を覚えつつも、村長の家へと続く道を進んでいった。
◇
初めて入った村長宅の執務室。
多少年季は入っているものの、豪華な室内に飾りがたくさん彫ってある大きな机。 そこには多少おでこの後退した初老の男性が――村長が座っていた。
私がオルディンへの移住の代表者になったらしく、たくさんの書類を差し出されながら簡単な説明を受ける。
「これがお前たちの市民権。 そして移住許可証と領主様への紹介状だ。 全員分ある。 1枚も無くすんじゃないぞ」
「はいっ」
「それと……これはオルディンへ入るための金だ。 書類と金が無いと街へは入れない。 しっかり管理するように」
「わかりました!」
そこまで事務的に喋っていた村長だったが、ゆっくりと顔をあげるとニコリと優しげな微笑みを浮かべながら口を開いた。
「それとこれは餞別がわりだ。 好きに使いなさい」
そう言いながら机の上に並べられた書類の上に小ぶりのこげ茶色の皮袋を置く。
そのジャラリという音にヒクリと頬が引き攣った。 そんな私に気がついたのか、村長はニコニコと笑いながら「なに、気にすることはない。 さぁ無くすと大変だ、しまいなさい」と続ける。
その言葉に逆らうわけにもいかず、必死に笑顔を取り繕いながら、ペコペコと頭を下げながら皮袋と書類を受け取った。
やだぁ……結構重いんですけどぉ……え、これ本当に私たちがもらってもいいお金なの⁉︎
困惑はしたものの、本当に無くすわけにはいかないお金だったので、素早く皮袋をスカートのポケットにねじ込んだ。
その様子を村長は食い入るように見つめていたが、ポケットにねじ込んだ瞬間、満足そうに大きく頷いた。
「――ああ、それと今年もシャルマン卿からの贈り物が届いた。 それも持っていきなさい」
その言葉に、村長の斜め後ろに控えていた側近が真新しい靴が4足――靴といってもこの世界でいうところの、だ。 この世界だって、それなりの金を払うならブーツやちゃんとした靴も手に入るけど、これは簡易的な靴なので、サンダルのような靴に皮を巻きつけ足を守るタイプだ。 ――っていっても、私たちからしたら高級品なんだけどー。
――あれ? これ、新品だよね? テーブルの上に置いてるし……え、なんで新品?
「どうした? 毎年頂戴しているだろう?」
戸惑っている私に、村長は少し不機嫌そうに顔を歪める。
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