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一章 村からの脱出
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「――じゃあ2人は、まず服の下にこれを付けて?」
まずは2人に、自分の分の書類と少しのお金が入った袋を渡す。 首と背中でしっかり結ぶタイプの袋で――イメージに一番近いのは金太郎の前掛けかな? ……あんなに立派なのじゃ無いけどー。
「それ付け終わったら、この布に自分の食器と……チーズとベーコンは2人が持つんだっけ?」
「そう!」
「これプリムたちのだから!」
「はいはい。 じゃあ、それぞれチーズとベーコン入れたらくるくるって巻いて身体にくくりつけるの。 ……出来そう?」
「やるー!」
「プリムできるから平気!」
黙々と作業を始めた2人を横に置き、私は棚から錆だらけのブリキ缶に入った古い裁縫道具と、使い古した包丁、そして使い古したまな板に視線を落とし悩んでいた。
このまな板いる? あれば便利だろうけど……荷物は少しでも軽い方が――いやここまで来たらこんな板の1枚ぐらいじゃ重さなんかそんなに変わらないかも……?
「……包丁も鍋もしまっちゃうの?」
「え?」
「明日はご飯食べない……?」
私の荷物を見つめ、ロランが心配そうにたずねる。
「違う違う、これは予行練習。 持っていくのを全部持って見て、歩けなかったら大変でしょ? 置いていかなきゃいけないのに、置いてくのが決まらなかったら出発が遅くなっちゃうし……――ぐずぐずしてたら怒鳴られるかも」
可哀想だとは思ったけど、簡単に納得してもらうためにロランの中の恐怖心を使わせてもらう。
案の定、その言葉にさっと顔色を変えたロランは真剣な顔つきで荷物を自分の身体にくくりつけ始めた。
――うん。 私もとりあえず持ってみよう。 それで重すぎて歩けないとなったら荷物を減らせばいい。
背負って見て分かったのは、重さよりも肩に食い込む蔦の痛みの方が辛いということだった……とりあえずどっかの敷布からボロ布ひっぺがして肩の部分に仕込んでおこう――うん。 重さは……どうかな? 森の中、長期間は歩けなさそうな気もするけど、ロランたちだってそこまで長くは歩けないだろうし……休憩多めなら歩けなくも無い……かな?
そんなことを考えながら2人に視線を向ける。 するとロランはともかく、プリムが荷物を背負っている所だったのだが、重さのせいなのか、バランスの問題なのか、どうにもふらついているようにしか見えない。
「……プリムは平気そう?」
「――うん! プリム自分のお皿とお椀とコップも持ったし、キラキラも持ったし、チーズも持ったの! ぜーんぶ入ってるんだから!」
あ、綺麗な石コレクションも持ってくんだね……? うん、だってプリムの宝物だもんね、そりゃ持ってくよね?
「……重くて辛くなっちゃったら早めに言ってね? いい? 姉ちゃんとの約束ね?」
「……うん」
その顔はすでに重いんじゃ……? コレクション半分捨てるとか……いや、やめよう。 ここで泣かれても困る。
まずは2人に、自分の分の書類と少しのお金が入った袋を渡す。 首と背中でしっかり結ぶタイプの袋で――イメージに一番近いのは金太郎の前掛けかな? ……あんなに立派なのじゃ無いけどー。
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「そう!」
「これプリムたちのだから!」
「はいはい。 じゃあ、それぞれチーズとベーコン入れたらくるくるって巻いて身体にくくりつけるの。 ……出来そう?」
「やるー!」
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「……包丁も鍋もしまっちゃうの?」
「え?」
「明日はご飯食べない……?」
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「違う違う、これは予行練習。 持っていくのを全部持って見て、歩けなかったら大変でしょ? 置いていかなきゃいけないのに、置いてくのが決まらなかったら出発が遅くなっちゃうし……――ぐずぐずしてたら怒鳴られるかも」
可哀想だとは思ったけど、簡単に納得してもらうためにロランの中の恐怖心を使わせてもらう。
案の定、その言葉にさっと顔色を変えたロランは真剣な顔つきで荷物を自分の身体にくくりつけ始めた。
――うん。 私もとりあえず持ってみよう。 それで重すぎて歩けないとなったら荷物を減らせばいい。
背負って見て分かったのは、重さよりも肩に食い込む蔦の痛みの方が辛いということだった……とりあえずどっかの敷布からボロ布ひっぺがして肩の部分に仕込んでおこう――うん。 重さは……どうかな? 森の中、長期間は歩けなさそうな気もするけど、ロランたちだってそこまで長くは歩けないだろうし……休憩多めなら歩けなくも無い……かな?
そんなことを考えながら2人に視線を向ける。 するとロランはともかく、プリムが荷物を背負っている所だったのだが、重さのせいなのか、バランスの問題なのか、どうにもふらついているようにしか見えない。
「……プリムは平気そう?」
「――うん! プリム自分のお皿とお椀とコップも持ったし、キラキラも持ったし、チーズも持ったの! ぜーんぶ入ってるんだから!」
あ、綺麗な石コレクションも持ってくんだね……? うん、だってプリムの宝物だもんね、そりゃ持ってくよね?
「……重くて辛くなっちゃったら早めに言ってね? いい? 姉ちゃんとの約束ね?」
「……うん」
その顔はすでに重いんじゃ……? コレクション半分捨てるとか……いや、やめよう。 ここで泣かれても困る。
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