これは私の物語

笹乃笹世

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2章 森からの脱出

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 これだけ目的地は街でお腹の書類を見せるんだと言っておけば……大丈夫だと思うんだけど……

「ウィリム」
「……なに?」
「なにかあったら、ロランのこと街まで連れてってね。 ロランもウィリムにちゃんと付いてくんだよ」
「……分かってるけど」

 ロランの視線が気づかうようにプリムに向けられる。

「プリムは姉ちゃんと行くから平気。 ……絶対離さないでね」
「うん……」

 怒っているような戸惑っているような、なんとも言い難い顔で頷くプリム。
 ――今は手を離さないで歩いてくれればそれでいい。

「……姉ちゃんもしかして――」

 ウィリムが何かを言いかけた瞬間だった。 
 道の後方、遠いけれどはっきりとその声が分かるような距離から、ギャアギャアとけたたましい声を上げながら鳥型の魔物の群れが慌ただしく飛び立つ音が聞こえ――

「――走って!」

 私のその言葉と同時に、弟たちは一斉に走り始めた。
 プリムも一生懸命走るのだが、私と同じ速度で走ることはできず、その速度に合わせていると、ウィリムたちと私たちの距離が段々と開いていく。

「姉ちゃ……」

 それに気がついたウィリムが速度を緩めるが、私はそれを大声を出して止める。

「だめ! 走って!」
「でも……」
「姉ちゃん!」

 迷っているのか、明らかに速度を落とした2人に大きな声を出す。

「先に行きなさい! ウィリム、ロランの手握って! 後ろは見ないで走って! 早くっ!」

 そう叫んだ時、ギャアギャアとうるさく鳴く鳥型の魔物の群れが頭の上を通過していく。 ――それをきっかけにスドォーンッ! という大きな音、そしてバキバキと木々を薙ぎ倒す音や、ズドドドドッというたくさんの魔物が走る地響き音が聞こえ、チラリと振り返った背後には大きな土埃が立っていた。

「――走って、追いつかれそうになったら、森の中でやり過ごすんだよ。 走れなくなったらちゃんと荷物は捨てるのいいね」
「……姉ちゃん?」
「助け、読んできて? 姉ちゃんプリムと待ってるから。 お願い」

 その言葉に、こちらにこようとしたロランの手をウィリムが引き――引っ張るように街に向かって走っていく。
 その姿を見届けてから、私はプリムの手を引いて森の中に逃げ込む。

「ねぇちゃ……」

 泣きそうなプリムに、無理やり笑顔を貼り付けて答える。

「大丈夫だよ。 ウィリムたちがすぐに助けを呼んでくれるから。 ちょっとだけ我慢しようね」
「森でガマンする?」
「隠れるだけ。 姉ちゃんが一緒だから平気だよ」
「うん……」

 木の根や草のツルに足が取られるのも気にせず奥へ奥へと進んでいく。
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