126 / 687
3章 ダンジョンの街 オルディンシティ
49
しおりを挟む
あと欲しいのはチーズとバター……高くなければ砂糖にお酢……――塩ぐらいしかないところからの準備だから、意外にお金かかるなぁ……――調理器具や食器なんかはたくさんあったからまだマシ……?
――どうしよう値段によっちゃ、生活費を使い切る可能性もあるけど……あれ? でも今って食材とか結構自前で取って来てるのが多いのにギリギリじゃない? ……これ、生活費のおかわりとかしたら、呆れられちゃうとか無いよね……?
「姉ちゃん行かないのー?」
「あ、ごめん。 すぐ行くー」
不安な気持ちは無理やり押し込めてそう答えると、みんなで探検という名の買い物に出かけた。
◇
「――この街は天国だった……?」
「姉ちゃん?」
ちょっと呆れたようなウィリムからの呼びかけで現実に引き戻される。
「あ、ごめん。 どこで買ってもすごい安くしてもらえるんだけど……ご挨拶がてら、ちょっとずつ買って帰ろうか」
「え、全部のお店行く⁉︎」
目を丸くするロランにやんわりと訂正を入れる。
「今日は食べ物買うだけだから、他のお店には行かないよ。 でもちょっとずつ買ってたくさんのお店でお買い物しようね」
「……俺が買ってもいい?」
「いいよ」
「本当⁉︎」
「プリム! プリムも!」
「うん、全員でお買い物しようね」
そんな会話をしながら買い物をしていくが――
やばいぞこの街、物価がすごい安い。 あの村の5分の1ぐらいしかない。
その上、今日はさらに値引きまでしてもらえてるから、なんかもう感覚バグってる。
え、なんで? ……競争相手がたくさんいるから値下げ合戦? いやそれにしたって……――あ、送料? いやでもバターやチーズは村の中で……違う、あんな小さい規模じゃあそこだけじゃ賄いきれないから、やっぱりどっかから持ってきてて、その分が値段に反映……
――あれ? この世界、田舎で暮らすメリットとか全く無いのでは……? 都会は物価も家賃も高い、とかいうデメリットぐらいないと、人口密集待ったなしなのでは……?
「うわ、卵もめっちゃ安い……!」
「買う⁉︎」
「次プリムだよ!」
卵を売っている店の前でロランたちが言い争いを始めそうなのを手で制してふと気がつく。
「……じゃ今度はウィリムね」
「――オレ?」
「うん。 卵6個お願い。 お金はこれね」
「……分かった」
帰って来たのは少し緊張気味の声。
忘れてたけど、多分ウィリムも1人で買い物したことがない。
私と違って手伝いで村の外に出たことないし、村から出た後はずっと私がお金の管理してたから。
心の中で、頑張れー! と応援しながらウィリムが帰ってくるのを店の外で待つ。
――どうしよう値段によっちゃ、生活費を使い切る可能性もあるけど……あれ? でも今って食材とか結構自前で取って来てるのが多いのにギリギリじゃない? ……これ、生活費のおかわりとかしたら、呆れられちゃうとか無いよね……?
「姉ちゃん行かないのー?」
「あ、ごめん。 すぐ行くー」
不安な気持ちは無理やり押し込めてそう答えると、みんなで探検という名の買い物に出かけた。
◇
「――この街は天国だった……?」
「姉ちゃん?」
ちょっと呆れたようなウィリムからの呼びかけで現実に引き戻される。
「あ、ごめん。 どこで買ってもすごい安くしてもらえるんだけど……ご挨拶がてら、ちょっとずつ買って帰ろうか」
「え、全部のお店行く⁉︎」
目を丸くするロランにやんわりと訂正を入れる。
「今日は食べ物買うだけだから、他のお店には行かないよ。 でもちょっとずつ買ってたくさんのお店でお買い物しようね」
「……俺が買ってもいい?」
「いいよ」
「本当⁉︎」
「プリム! プリムも!」
「うん、全員でお買い物しようね」
そんな会話をしながら買い物をしていくが――
やばいぞこの街、物価がすごい安い。 あの村の5分の1ぐらいしかない。
その上、今日はさらに値引きまでしてもらえてるから、なんかもう感覚バグってる。
え、なんで? ……競争相手がたくさんいるから値下げ合戦? いやそれにしたって……――あ、送料? いやでもバターやチーズは村の中で……違う、あんな小さい規模じゃあそこだけじゃ賄いきれないから、やっぱりどっかから持ってきてて、その分が値段に反映……
――あれ? この世界、田舎で暮らすメリットとか全く無いのでは……? 都会は物価も家賃も高い、とかいうデメリットぐらいないと、人口密集待ったなしなのでは……?
「うわ、卵もめっちゃ安い……!」
「買う⁉︎」
「次プリムだよ!」
卵を売っている店の前でロランたちが言い争いを始めそうなのを手で制してふと気がつく。
「……じゃ今度はウィリムね」
「――オレ?」
「うん。 卵6個お願い。 お金はこれね」
「……分かった」
帰って来たのは少し緊張気味の声。
忘れてたけど、多分ウィリムも1人で買い物したことがない。
私と違って手伝いで村の外に出たことないし、村から出た後はずっと私がお金の管理してたから。
心の中で、頑張れー! と応援しながらウィリムが帰ってくるのを店の外で待つ。
3
あなたにおすすめの小説
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
9回巻き戻った公爵令嬢ですが、10回目の人生はどうやらご褒美モードのようです
志野田みかん
恋愛
アリーシア・グランツ公爵令嬢は、異世界から落ちてきた聖女ミアに婚約者を奪われ、断罪されて処刑された。殺されるたびに人生が巻き戻り、そのたびに王太子マクシミリアンはミアに心奪われ、アリーシアは処刑、処刑、処刑!
10回目の人生にして、ようやく貧乏男爵令嬢アリーに生まれ変わった。
もう王太子や聖女には関わらない!と心に決めたのに、病弱な弟のために王宮の侍女として働くことに。するとなぜか、王太子マクシミリアンは聖女ミアには目もくれず、男爵令嬢アリーを溺愛し始めて……。
(頭を空っぽにして笑えることを目指したコメディです。2020年に執筆した作品です。本作を読みたいというお声があったため再掲します)
【完結】一番腹黒いのはだあれ?
やまぐちこはる
恋愛
■□■
貧しいコイント子爵家のソンドールは、貴族学院には進学せず、騎士学校に通って若くして正騎士となった有望株である。
三歳でコイント家に養子に来たソンドールの生家はパートルム公爵家。
しかし、関わりを持たずに生きてきたため、自分が公爵家生まれだったことなどすっかり忘れていた。
ある日、実の父がソンドールに会いに来て、自分の出自を改めて知り、勝手なことを言う実父に憤りながらも、生家の騒動に巻き込まれていく。
この度、青帝陛下の運命の番に選ばれまして
四馬㋟
恋愛
蓬莱国(ほうらいこく)を治める青帝(せいてい)は人ならざるもの、人の形をした神獣――青龍である。ゆえに不老不死で、お世継ぎを作る必要もない。それなのに私は青帝の妻にされ、后となった。望まれない后だった私は、民の反乱に乗して後宮から逃げ出そうとしたものの、夫に捕まり、殺されてしまう。と思ったら時が遡り、夫に出会う前の、四年前の自分に戻っていた。今度は間違えない、と決意した矢先、再び番(つがい)として宮城に連れ戻されてしまう。けれど状況は以前と変わっていて……。
【完結】婚約者なんて眼中にありません
らんか
恋愛
あー、気が抜ける。
婚約者とのお茶会なのにときめかない……
私は若いお子様には興味ないんだってば。
やだ、あの騎士団長様、素敵! 確か、お子さんはもう成人してるし、奥様が亡くなってからずっと、独り身だったような?
大人の哀愁が滲み出ているわぁ。
それに強くて守ってもらえそう。
男はやっぱり包容力よね!
私も守ってもらいたいわぁ!
これは、そんな事を考えているおじ様好きの婚約者と、その婚約者を何とか振り向かせたい王子が奮闘する物語……
短めのお話です。
サクッと、読み終えてしまえます。
双子の姉に聴覚を奪われました。
浅見
恋愛
『あなたが馬鹿なお人よしで本当によかった!』
双子の王女エリシアは、姉ディアナに騙されて聴覚を失い、塔に幽閉されてしまう。
さらに皇太子との婚約も破棄され、あらたな婚約者には姉が選ばれた――はずなのに。
三年後、エリシアを迎えに現れたのは、他ならぬ皇太子その人だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる