これは私の物語

笹乃笹世

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4章 街での日々とご近所さん

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「こっちも値上げしていいんだぞ?」
「確かにな。 安すぎて心配だと何回言われたか……」
「……もう少し慣れてからで――それに、みなさんが来てくれるの、ありがたいことだと思ってて……」

 本当に。 酒場は静かになったし、紹介してもらった店の人たちには大変よくしてもらっている――それに加え、この辺りの人たちにもわりと好意的に接してもらえている。
 ちょっとした挨拶だったり、少しの世間話だったりだけど――兵士の養い子って肩書きが無かったら、絶対にその目はもっと厳しかったはずだ。

 この世界は、ちょっとだけ現代よりだいぶ不便で社会保障も全然。 しかもどんなお金持ちでも、平民は貴族に搾取されてるから働いても働いてもなかなか暮らしは良くならず――ってのがここの世界観。
 だからみんな、ちょっとだけ余裕がない。 よく知ってるけど、1人で暮らしててお金がないって、ものすごい余裕が無くなるんだよね。
 この世界、平民は基本そんな生活を送ってるから、基本的に孤児なんかに優しくしない。 優しくするメリットもなければ――なんなら犯罪者予備軍だと思ってる人もいるくらい。
 だからご近所さんがちゃんとご近所さんしてくれるのは絶対にエルベルトさんたちのおかげ。
 料理安くするぐらいで毎日たくさん来てくれるならいくらだって値下げしちゃうよ。

「不安か……?」
「この家お前らだけになっちゃうもんなー……?」

 ブルーノさんの言葉に少し迷いながら首を振る。

「――不安は不安なんですけど、でも来て欲しいのは、みんなが優しくなってくれるからで……」
「優しく?」

 ブルーノさんの言葉に私は大きく頷いて自分の考えを話していく。
 その話を静かに聞いていたエルベルトさんたちだったが、聞き終わった後に視線を交わし合いながら肩をすくめた。

「あー……多少値上げしたってくるやつは多いぞ?」
「ここに来るのは、君たちの様子を見るためというのも事実だが……もう一つの大きな理由として、美味いものにありつきたいからだ――この街の連中は美味いものに金を出し渋ったりしないぞ?」
「そうだぞ、強気でいけ強気で!」
「じゃあ……――スープは基本肉2個入りってことにして3銅貨で売りましょう」
「……それは値上げだろうか?」
「ぜってぇ違うと思うわー……」

 がくりと項垂れてしまった2人と再度話し合い、これから時期を見て、少しずつ値上げすることが決まった。
 ――ウィリムは大丈夫そうだけど……ロランたちがねー。 2人ともまだ小さいからしょうがないんだけど、もうちょっと素早く計算できるようになってからじゃないとパニックを起こしちゃいそう。
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