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6章 ヘソ曲がりとチョコレート
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ことの発端は、私たちの共通点でもある、陽気なガラス職人のおっちゃん。
この人が、幼なじみでもある大工の親方から、うちで毎朝振る舞われている朝ご飯の話を聞き、ご飯目当てに手伝いに来てしまうようになったのが始まりだ。
自分だってお弟子さんを抱えている工房の親方なのに、朝早くからよその、しかも大工の手伝いをしていて自分の工房の仕事を滞らせていると、3日もたたないうちに奥さんが乗り込んで来て、うちの庭先で言い争いが勃発。
目当てが料理だと判明して、料理自慢の奥さん大激怒。
「あたしの料理のどこに不満があるってんだい⁉︎」
「いや不満はねぇよ? ねぇが……ここの料理はちげぇんだよ、なぁ?」
振られた大工さんは無言で顔を背けただけだったのに察しのいい奥さんはそれが肯定だと分かってしまい――
「そこまで言うなら見せてもらおうじゃないか! その腕前をっ!」
と、宣言してその日は見せることに。
……そう、その日は、だ。 今日じゃない。
その日は生姜の用意がなかったから、生姜の代わりに卵を入れたスープを作って見せ、味見もしてもらってお引き取り願った。
その時、奥さんは「作り方は覚えた。 絶対にここのより美味しいもんを作ってやる!」と息巻いていたので、騒動はこれで終わりだなーと思ってたんだけど……
その次の日もガラス職人はやって来て「やっぱちげぇんだよなー」と呑気にご飯を食べていた。
大工の親方まで「それ食ったら帰れって……」と助言していたというのに「いやいや、一食分は働かねぇと! 心配すんな! 俺の時給は高いんだぜぇ? ちょちょいってなもんよ!」と豪語したその数分後に顔を真っ赤にして肩を怒らせた奥さんと言い争っていた――
……あん時は「ご飯あげるからもう帰ってね」のほうがうちにメリットあるような気がしてたよ……
――そして本日、生姜をはじめとした材料共々ガラス職人ご夫妻が大工よりも早くやって来て、生姜スープ作りを一からやってみせてくれと、お願いされて作っていたところだ。
「……ちょっと味見してもいいかい?」
「どうぞ?」
そう言って奥さんに小皿を差し出す。
スープを少し取って口に入れた奥さんは、小さく「違う……」と呟く。
「……そんなに違いますか?」
「――違う。 ……自慢じゃないがあたしも旦那も料理にゃうるさいんだよ」
……それはわりと知ってるかも。
「だから、きっとあんたが一つや二つ隠し味をごまかして教えたんだろうと思ってて……――今日はそのヒントだけでも掴んで帰ってやろうと思ってたんだけど……――もう違う」
奥さんは呆然としたような、どこか納得がいっていないような顔つきでスープが入っていた小皿をジッと見つめながら言った。
この人が、幼なじみでもある大工の親方から、うちで毎朝振る舞われている朝ご飯の話を聞き、ご飯目当てに手伝いに来てしまうようになったのが始まりだ。
自分だってお弟子さんを抱えている工房の親方なのに、朝早くからよその、しかも大工の手伝いをしていて自分の工房の仕事を滞らせていると、3日もたたないうちに奥さんが乗り込んで来て、うちの庭先で言い争いが勃発。
目当てが料理だと判明して、料理自慢の奥さん大激怒。
「あたしの料理のどこに不満があるってんだい⁉︎」
「いや不満はねぇよ? ねぇが……ここの料理はちげぇんだよ、なぁ?」
振られた大工さんは無言で顔を背けただけだったのに察しのいい奥さんはそれが肯定だと分かってしまい――
「そこまで言うなら見せてもらおうじゃないか! その腕前をっ!」
と、宣言してその日は見せることに。
……そう、その日は、だ。 今日じゃない。
その日は生姜の用意がなかったから、生姜の代わりに卵を入れたスープを作って見せ、味見もしてもらってお引き取り願った。
その時、奥さんは「作り方は覚えた。 絶対にここのより美味しいもんを作ってやる!」と息巻いていたので、騒動はこれで終わりだなーと思ってたんだけど……
その次の日もガラス職人はやって来て「やっぱちげぇんだよなー」と呑気にご飯を食べていた。
大工の親方まで「それ食ったら帰れって……」と助言していたというのに「いやいや、一食分は働かねぇと! 心配すんな! 俺の時給は高いんだぜぇ? ちょちょいってなもんよ!」と豪語したその数分後に顔を真っ赤にして肩を怒らせた奥さんと言い争っていた――
……あん時は「ご飯あげるからもう帰ってね」のほうがうちにメリットあるような気がしてたよ……
――そして本日、生姜をはじめとした材料共々ガラス職人ご夫妻が大工よりも早くやって来て、生姜スープ作りを一からやってみせてくれと、お願いされて作っていたところだ。
「……ちょっと味見してもいいかい?」
「どうぞ?」
そう言って奥さんに小皿を差し出す。
スープを少し取って口に入れた奥さんは、小さく「違う……」と呟く。
「……そんなに違いますか?」
「――違う。 ……自慢じゃないがあたしも旦那も料理にゃうるさいんだよ」
……それはわりと知ってるかも。
「だから、きっとあんたが一つや二つ隠し味をごまかして教えたんだろうと思ってて……――今日はそのヒントだけでも掴んで帰ってやろうと思ってたんだけど……――もう違う」
奥さんは呆然としたような、どこか納得がいっていないような顔つきでスープが入っていた小皿をジッと見つめながら言った。
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