これは私の物語

笹乃笹世

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7章 大騒動の冬支度

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「忙しいってなもんじゃねぇだろ。 あんだけしかいねーのに、通常業務に大通りの見回り、そもそも入ってくるやつも増えるしなぁ?」
「冬は人が増えるんだ……」
「ああ……ダンジョンがあるからな……――ダリアは知らねぇだろうがな? この街にはとんでもねぇ量の人が押しかけてくるからよぉ、今からでも相談して店――」

 と、レオさんがこちらに身を乗り出し――その身体をいとも簡単にひっぺがして代わりに顔を近づけてくるムキムキなおっちゃん。
 ……え、私なんかやったの⁉︎

「ちょ、……な、何すんだよ……?」

 ペイっと後ろに下げられたレオさんも戸惑いながら講義するが、おっちゃんは私の顔をじっと見つめ続けている。
 ……あれ、でも怒ってはなさそう……? どっちかっていうと……悲しそう……?

「――お嬢ちゃん、去年ここに住んでたか?」
「いえ、今年からここに住んでます……」
「お嬢ちゃん……冬籠りって知ってるか?」
「……冬支度的な?」
「俺が運んだ食料の意味が分かるか?」
「え?」

 そう首を傾げた瞬間、視界の端でレオさんがバッと片手で口を押さえたのが見えた。

「意味? まとめて買うとお得になる?」

 その瞬間おっちゃんは顔を顰めるように目を閉じて、レオさんは転びそうになりながら店の中に駆け込み大声を上げた。

「兄貴ー! 大変だ! 俺ら餓死しちまうっ⁉︎」

 その言葉を聞いてギョッと目を見開き、そんな2人の様子に私はとてつもないイヤな予感をひしひしと感じていた。
 ――本当に待ってください。 冬籠りってなんなんですか⁉︎ 知らない単語使うのやめてください!

「姉ちゃん……? 平気?」

 その言葉に振り返るとすっかり身支度を整えた弟たちが、不安そうな顔つきで身を寄せ合っていた。

 ……姉ちゃんはなんの問題も無いと思ってるけど、多分すっごいトラブルが起きてるんだと思う……

「……ウィリム、冬籠りって知ってる?」
「冬眠のこと?」

 首をかしげられて私も首をかしげ返す。
 だって人間は冬眠出来ないし……

 そんなやりとりを見ていた髭のおっちゃんが、背後でうめくような息を吐き出した。
 ……急募。 冬籠りの説明。



「……つまり、なんの準備もしてねぇんだな?」

 寝起きで目付き最悪のトニーさんにたずねられコクコクとうなずく。

 トニーさんが起きてくると、髭のおっちゃんは、短く話した後私たちに向かって「安心しとけ、意外にどうにかなるもんだから」と言うと仕事に戻って行った。

 頭を掻きむしるトニーさんと、天を仰いでしまったレオさんに、なんと声をかけるべきか迷っていると、背後にいたウィリムが私の隣に立って質問していた。
 
「……冬籠りってなんですか?」

 それにトニーさんは大きなため息をついてから口を開く。
 
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