成り上がり令嬢暴走日記！

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　放課後の教室の中、リアーヌは自分の席に座り待ち人を待っていた。
　ビアンカはすでに帰宅しているため話し相手もいない。
　手持ちぶさた気味のリアーヌは窓の外を眺めたり、自分の爪を見つめたりしながら時間を潰していた。

「お待たせぇー」

　そう声をかけながら教室のドアをガラリと開けたのはゼクスだった。
　その姿を見つけホッとしたリアーヌだったが、なぜ今日の放課後に待ち合わせをしたのか、その理由を聞かされていなかったため、少し緊張気味にたずねた。

「ほとんど待ってはいないんですけれど……今日は一体どのような……？」

（私あなたに「用があるから、放課後待ち合わせようねー」としか言われてないんですよ！　ーー大体分かってたけど、やっぱり美味しいもの食べに連れてってくれる系のお誘いじゃ無かった……）

「うん。　やっぱりケジメは大切だと思うからさ」
「……ケジメ、ですか？」
「うん……ーー過去の清算のほうが分かりやすい？」

　そう言ってゼクスはリアーヌに向かい首を傾げる。

（どっちにしろサッパリなんですけどー……）

　そう心の中で言いながら苦笑いを浮かべた。

（ーーん？　待って⁇　“ケジメ”に“過去の精算”……？　ーーあれ？　もしかしなくっても、私まで巻き込んでの修羅場に突入しようとされてます……⁇　ーーゼクスの過去の女か……それはそれで興味あるな……？）

◇

（あれ……ここって……？）

　リアーヌはゼクスの後ろに着いて歩いて来たのだったが、目的地だと思われるサロンの扉の豪華さに見覚えがあり、キョトリと首を傾げた。
　そんなリアーヌの態度に気がついたゼクスは、少し呆れたように苦笑いを浮かべながら肩をすくめた。

「話があるならここで聞くって言われちゃってねー」
「なる、ほど……？」

（ーーえっ？　ゼクスってばパラディール家の関係者に手ぇ出したの⁉︎　チャレンジャー過ぎない……？　しかもここのサロン借りてるってことはフィリップにまで話通ってるってことじゃん……？）

　見覚えのあるサロン棟の、見覚えのある豪華な扉。
　リアーヌの記憶が正しいのならば、それはビアンカと共にやってきた、パラディール家のサロンの入り口でーー今回に限っていうならばリアーヌの記憶は正しかった。

　一体どんな人がゼクスの元カノなのかと、ほんのりワクワクしながらゼクスの後ろに続いて部屋の中へと歩みを進めるリアーヌ。
　そして部屋の中で待ち受けていたのはーー

「ーーやぁ。　お待ちしておりましたよ、ラッフィナート男爵殿？」

　豪華な椅子に足を組みながらゆったりと座り、肘置きに肘をついて手を組見ながら優雅に微笑んでいるフィリップだった。