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「お家の一大事にございますれば……」
恭しくゼクスに頭を下げたオリバーはいつになく真剣なもので、リアーヌは漠然とした不安を抱えることになった。
(……もしかしなくても、私のこと……ですよね?)
しかし、リアーヌがその質問を口にする前にオリバーはテキパキと動き、指示を出し始めた。
「ああ、エドガーもういいぞ。 サンドラ嬢もありがとうございました」
「とんでもありません……」
「えっと……俺代わりに……?」
「いいから。 ラッフィナートの護衛も優秀だーー心配すんな、もう行け」
エドガーとサンドラは戸惑いつつ顔を見合わせながらも、部屋を出ていった。
「あ、あの私ちゃんといい点取れましたよ⁉︎ 今度の学期末でも座学はちゃんといい点取りますからっ!」
不安に顔を歪めるリアーヌが必死に話しかけるが、オリバーはその言葉を聞くと肩を落としながら頭まで抱え始めてしまった。
「ーーいい点を取るためだけの勉強をなさってきたんですね……?」
そのオリバーの質問に、ゼクスはようやく事態を把握したのか、静かに眉間に皺を寄せた。
「そうですよ⁉︎ 次だって上手くやれます!」
必死に言い募るリアーヌにオリバーはため息混じりに口を開いた。
どうかこの不安が的中していませんように……と、願いを込めながら。
「ーーではお嬢様、お答え下さい。 一八三九年、アグスティンとウルキオラの間で戦争が起こった時、我が国にはなんの被害もありませんでした。 にも関わらず、我が国ではその年の冬に多数の餓死者を出す事態になってしまいました。 それはどんな理由でしょうか?」
「餓死者がたくさん出た理由……?」
リアーヌは忙しなく視線を動かしながら、必死に頭の中にある情報を探り始めた。
(えっと……アグスティンとウルキオラってのは、うちの国と陸続きの隣国で、昔から仲が悪かったところで……ーーそこ二つが戦争したからうちの国で多数の餓死者……? ……あれ? でも餓死ってことは食べ物がなかったわけでしょ⁇ だったら……)
「ーー……不作だったから? あの、戦争の影響で……ーーあ、雪がたくさん降ったから、とか……?」
(なんか戦争やると、ちりやほこりが空気中にたくさん舞っちゃって、雪が多くなった的な話を聞いたことある気がする!)
オリバーはその答えに、一切の表情筋を動かさず、さらに質問を重ねた。
「では、その戦争もしくは一八三九年という年に関連して覚えられている事柄はどのようなものがございますか?」
「ええっと……」
リアーヌは情けない声を上げながら、さらに必死に自身の記憶を探った。
恭しくゼクスに頭を下げたオリバーはいつになく真剣なもので、リアーヌは漠然とした不安を抱えることになった。
(……もしかしなくても、私のこと……ですよね?)
しかし、リアーヌがその質問を口にする前にオリバーはテキパキと動き、指示を出し始めた。
「ああ、エドガーもういいぞ。 サンドラ嬢もありがとうございました」
「とんでもありません……」
「えっと……俺代わりに……?」
「いいから。 ラッフィナートの護衛も優秀だーー心配すんな、もう行け」
エドガーとサンドラは戸惑いつつ顔を見合わせながらも、部屋を出ていった。
「あ、あの私ちゃんといい点取れましたよ⁉︎ 今度の学期末でも座学はちゃんといい点取りますからっ!」
不安に顔を歪めるリアーヌが必死に話しかけるが、オリバーはその言葉を聞くと肩を落としながら頭まで抱え始めてしまった。
「ーーいい点を取るためだけの勉強をなさってきたんですね……?」
そのオリバーの質問に、ゼクスはようやく事態を把握したのか、静かに眉間に皺を寄せた。
「そうですよ⁉︎ 次だって上手くやれます!」
必死に言い募るリアーヌにオリバーはため息混じりに口を開いた。
どうかこの不安が的中していませんように……と、願いを込めながら。
「ーーではお嬢様、お答え下さい。 一八三九年、アグスティンとウルキオラの間で戦争が起こった時、我が国にはなんの被害もありませんでした。 にも関わらず、我が国ではその年の冬に多数の餓死者を出す事態になってしまいました。 それはどんな理由でしょうか?」
「餓死者がたくさん出た理由……?」
リアーヌは忙しなく視線を動かしながら、必死に頭の中にある情報を探り始めた。
(えっと……アグスティンとウルキオラってのは、うちの国と陸続きの隣国で、昔から仲が悪かったところで……ーーそこ二つが戦争したからうちの国で多数の餓死者……? ……あれ? でも餓死ってことは食べ物がなかったわけでしょ⁇ だったら……)
「ーー……不作だったから? あの、戦争の影響で……ーーあ、雪がたくさん降ったから、とか……?」
(なんか戦争やると、ちりやほこりが空気中にたくさん舞っちゃって、雪が多くなった的な話を聞いたことある気がする!)
オリバーはその答えに、一切の表情筋を動かさず、さらに質問を重ねた。
「では、その戦争もしくは一八三九年という年に関連して覚えられている事柄はどのようなものがございますか?」
「ええっと……」
リアーヌは情けない声を上げながら、さらに必死に自身の記憶を探った。
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