成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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 そこまで考えたリアーヌは、直感的にその考えが限りなく正しいものであることを感じ取っていた。

(割り振ってあげる人が必要……? 親方みたいなーー)

「斡旋所だ!」

 リアーヌの上げた声は長閑な村によく響いた。
 その声に驚きビクリと反応してしまったアンナとオリバーは、苦笑混じりで顔を見合わせると「お嬢様……?」と、嗜めるように声をかける。

「あ、ごめんなさ……」
「考え事しながら歩くと危ないですよ?」
「気をつけます……」

 揶揄うように注意するオリバーに、リアーヌは首をすくめながら答えた。

「ーー斡旋所とは、先程のご婦人方のお話でしょうか?」

 アンナはそう質問しながら、リアーヌがいつ躓いても助けられるよう、さりげなく場所をに移動した。

「あ、そうです! ちょっとした仕事を頼む場所を作って、それを時間のあるおばちゃんたちに割り振ったらどうかなって……」
「なるほど……?」
「料金が普通よりも安いーーなんて売り込みがあるなら需要も見込めるーーんですかね?」

 そういった事情には疎いアンナとオリバーは、そう言い合いながら首を傾げる。

「……と思ったんですけど……」

 雇う側の事情には疎いリアーヌも、正確なことは答えられず、首を捻りながら言葉を濁した。

「ーーゼクス様にご確認するのがよろしいかと」
「ですね!」
「今の時間ですと……ーーもうすぐ視察から戻られる頃ですかね? 集会場で待ちしてはいかがでしょう?」
「そうします!」

 元気よく答えたリアーヌは、その道すがら、3つの井戸端会議に参加しつつ、集会所へと向かった。



「ーー斡旋所……」

 リアーヌが到着するよりもだいぶ前に集会場に戻ってきていたゼクスに、リアーヌはご婦人方の事情と斡旋所の説明をする。

「まぁ、まとめ役とか顔役とか……名前はなんでも良いんですけど、仕事を請け負って、それを振り分けてくれる所があったら良いんじゃ無いのかなって……」
「顔役……ーーリアーヌ以外に詳しいね?」
「だって私、写本のバイトしてた時、顔役の親方から仕事もらってたんですもん」

 顔役とは、そのコミュニティで発言力の強い人物を指す言葉だ。
 リアーヌはその親方に後ろ盾となってもらい、安全に写本のバイトをしていた。

「なるほど……」
「私の場合、おやつのお菓子とか、ちょっとお高い調味料やお肉なんかが買えたらそれで良かったんで、多少の手間賃取られてもなんの問題もありませんでしたし、その手間賃で周りとのトラブルや妙な依頼者から守ってもらえるなら安いぐらいだったと思います」

 リアーヌの説明に、ゼクスは感心したように頷く。
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